Slide 1

Slide 1 text

あなたのアジャイルが 生成AIのバフになる仕組み 伊藤 宏幸 Empower GenAI with Agile

Slide 2

Slide 2 text

生成AI、 使ってますか? 2

Slide 3

Slide 3 text

生成AIの キャッチアップ、 できてますか? 3

Slide 4

Slide 4 text

生成AIの キャッチアップが できてなくて、 不安を感じてますか? 4

Slide 5

Slide 5 text

生成AIの普及・進化によるソフトウェア開発の変化 「Agile is Dead」 系記事の増殖 • The End of “Good Enough Agile”: AI and Product Models Are Your Wake-Up Call • How AI Is Dismantling Scrum 新しい開発方法論の出現 • 仕様駆動開発 • ハーネス エンジニアリング • AI-DLC 次々に現れる クリティカルな モデル/ツール • OpenAI Codex • Claude Design • Claude Cowork • Claude Mythos • Claude Fable 5

Slide 6

Slide 6 text

アジャイルの居場所、 ある? 6

Slide 7

Slide 7 text

むしろアジャイルが 必要だぞ 『逆境? それ、チャンスだよ 挫けそうになっているキミに贈る47の言葉』 長州 力 7

Slide 8

Slide 8 text

生成AIは「増幅器」 • “AI's primary role in software development is that of an amplifier.” • “It magnifies the strengths of high-performing organizations and the dysfunctions of struggling ones.” 『(DORA) State of AI-assisted Software Development 2025』 3ページ 8

Slide 9

Slide 9 text

「増幅器」とアジャイルとの強い親和性 DORAのアプローチ自体が、アジャイルを前提としているところがある • フィードバックループによる改善 • 小さいバッチ • ユーザー中心アプローチ • バリューストリームマッピング • チームの自律性 『(DORA) State of AI-assisted Software Development 2025』 9

Slide 10

Slide 10 text

あなたのアジャイルの スキルと経験が、 生成AIのバフの 鍵になり得ます 10

Slide 11

Slide 11 text

レビュー コラボレーション ライフサイクル このセッションでのフォーカス領域 11

Slide 12

Slide 12 text

1. レビュー 2. コラボレーション 3. ライフサイクル 4. 今後の研究課題 アジェンダ 5. まとめ 12

Slide 13

Slide 13 text

1. レビュー 2. コラボレーション 3. ライフサイクル 4. 今後の研究課題 5. まとめ 13

Slide 14

Slide 14 text

日々現場で 起きていること 14

Slide 15

Slide 15 text

(1) AIが、指示した意図と違う振る舞いをする 例 • 仕様を勝手に先読みして、 いま必要としていない複雑なコードを生成してくる • カバレッジを100%にするよう指示しても、 抜けのある単体テストを生成してくる • 冗長な情報提示や、求めていない質問をしてくる 15

Slide 16

Slide 16 text

(2) AIが、動作に問題のあるものを生成してくる 例 • 動作しないIaCコードを生成してくる • 動作に必要な設定が、最初から出てこない • 人が動作確認して、初めて漏れに気付く • 既存機能を壊す恐れのあるものを、警告なく生成してくる • 人が動作確認して、初めて問題に気付く 16

Slide 17

Slide 17 text

(3) 認知負荷: レビューの負荷が高い 例 • 1つのプルリクエストがデカい • 追加・修正・削除ファイル数が100以上 • 追加・修正・削除行数が10,000行以上 • レビューしきれず、適当に承認してしまう人が後を経たない • デプロイしてからエラーに気付く • 脳の疲労感が大きい • 仕事を終えた後、何も手につかなくなる 17

Slide 18

Slide 18 text

(参考)GitHubの負荷が最近急増中 An update on GitHub availability (2026/04/28) • 2025年10月 • GitHubの容量を10倍に増強する計画の実行を開始 • 2026年2月 • 上記レポート執筆時点の30倍への増強が必要だと判明 18

Slide 19

Slide 19 text

レビューを工夫しないと、 チームや組織の 持続可能性が損なわれる 19

Slide 20

Slide 20 text

アジャイルによって 期待できるバフ効果 20

Slide 21

Slide 21 text

(1) AIとの「ワーキングアグリーメント」を整備する • AIが予測可能性の高い出力をするよう、下記ファイルを整備する • CLAUDE.md • AGENTS.md • Steering • AIが理解できる指示を出す • 「人が理解できないものは、AIも理解できない」 21 → 「ふりかえり」のスキルが生きる

Slide 22

Slide 22 text

(2) 人とAIの「完成の定義」を合わせる • 私たちが必要とする「完成の定義」を、AIに明示する • 単体テストのカバレッジは100%にする • テストは、動作確認した上で「完成」とする • 動作に必要な設定は、全て最初に提示する • CLAUDE.mdなど、上記 (1) のファイルを整備する 22 → 「ふりかえり」のスキルが生きる

Slide 23

Slide 23 text

(3) 「小さいバッチ」で認知負荷を下げる • AIの出力単位を小さくし、少しずつレビュー/作業する • (DORA AI Capabilities Model) Working in small batches • モブプログラミングで、メンバーの認知負荷をならす • (例)10ファイル前後の単位で、モブでレビューを行う • イテレーティブ・インクリメンタルなフィードバックループで、 継続的に改善する 23 → DevOpsの作法が生きる

Slide 24

Slide 24 text

みなさんなら、 どのようなことが できそうですか? 24

Slide 25

Slide 25 text

1. レビュー 2. コラボレーション 3. ライフサイクル 4. 今後の研究課題 5. まとめ 25

Slide 26

Slide 26 text

いまチーム・組織で 起きていること 26

Slide 27

Slide 27 text

• 生成AIに対するスタンスが不明確 • ビジョンは?人材育成は? • 生成AIで実現したいことが不明確 • 良いプロダクトを提供したい? • スキルの有無に関係なく同じ生産性を実現したい? • 生成AIに対する組織内の調整ができていない • リスクや不確実性を受け入れるのか/避けるのか? • ハードウェアと同じ基準で品質保証をするのか? (1) 生成AIの利活用を阻む組織の「体制」 27

Slide 28

Slide 28 text

(2) 生成AIの利活用を阻む組織の「文化」 • 個人・チームの自律性の欠如 • 意思決定の自由・裁量がない • マイクロマネジメント文化が横行している • 誰を向いて仕事をしているか? • ユーザー?上司?声の強い組織? • 何を実現するのか? • 技術の向上? • ユーザーのアウトカム? 28

Slide 29

Slide 29 text

(3) 「やる気のある無能」の悪影響が増幅される 「やる気のある無能」: ドイツの軍人ハンス・フォン・ゼークト氏による、人材の4象限の分類 怠慢 やる気のない有能 やる気のある有能 勤勉 利口 愚鈍 やる気のない無能 やる気のある無能 ココ 29

Slide 30

Slide 30 text

「やる気のある無能」の特徴 • 正しい判断力や行動力が備わっていないにも関わらず、 自身の判断で行動してしまう • 自身は常に絶対的に正しいと思いがち • 他者からのフィードバックを、自身への人格攻撃だと捉えがち • フィードバックを受け止められない 30

Slide 31

Slide 31 text

「やる気のある無能」に関する私の実際の体験談 • 自分は、生成AIを正しく使いこなせている • 従って、自分が生成AIに出力させたものは常に正しい • Complacency with AI-generated code • 他のチームメンバーが作成したコードは基本誤りを含むので、 自分が正さねばならない 31 → POやユーザーが受入済の機能を報連相なく削除し、 本番障害/デグレが多発

Slide 32

Slide 32 text

生成AIがあっても、 コラボレーションが 阻まれていると 成果を出しづらい 32

Slide 33

Slide 33 text

アジャイルによって 期待できるバフ効果 33

Slide 34

Slide 34 text

『チームトポロジー』の「ストリームアラインドチーム」の考え方を、 生成AIおよび組織に適用する + • 生成AIに対する、組織としてのスタンスを明確にする • (DORA AI Capabilities Model) Clear and communicated AI stance • 生成AIに対する、組織としてのインセプションデッキを構築する • 生成AIのバリューストリームマッピングを実施する (1) AI-aligned Organization 34

Slide 35

Slide 35 text

(2) 組織コーチング 組織全体を一つのシステムに見立てて、 その文化やパターンにアプローチするコーチング手法 例 メンバーに、語尾を濁す、明確に発言しないといった傾向がある → 上記を引き起こす組織文化に目を向ける → 発言を責められる文化が見つかる → これをどのように解決するかを、組織に対してコーチングする 35

Slide 36

Slide 36 text

(参考)Competing Values Framework Process Flexible Internal External Create Collaborate Compete Control 36

Slide 37

Slide 37 text

(参考)Competing Values Framework Process Flexible Internal External Create Collaborate Compete Control 37 現状 理想 ギャップの埋め方を考える

Slide 38

Slide 38 text

(3) 「やる気のある無能」をチーム/組織から外す • 意思決定者に、正直に「事実」を伝える • 「解釈」ではなく、「事実」をそのまま伝えることが重要 • 意思決定者に、「やる気のある無能」の実際の振る舞いを見せる (見える化・透明性) • その上で意思決定者に、チーム/組織の観点での最善策を問う • 個人攻撃ではなく、心理的安全性を保ちながら障害として取り扱う 38 → スクラムマスターの役割の一つである 「障害(Impediments)の除去」のスキルが生きる

Slide 39

Slide 39 text

みなさんなら、 どのようなことが できそうですか? 39

Slide 40

Slide 40 text

1. レビュー 2. コラボレーション 3. ライフサイクル 4. 今後の研究課題 5. まとめ 40

Slide 41

Slide 41 text

SNSで日々目に入ってくる情報 • バイブコーディングを活用して、 短時間で動くソフトウェアを作れたことを自慢するPO/PdM • マルチエージェントによる、 短時間での開発の成果を発信する開発者 • Building a C compiler with a team of parallel Claudes 41

Slide 42

Slide 42 text

みんな、 短時間での開発に フォーカスしている ように見える 42

Slide 43

Slide 43 text

一方で気になること • 開発した後の運用・監視ってどうなっているんだろう? • (個人的所感)割と情報が出ていないような? • 自動テストはどうしているんだろう? • それらのソフトウェアや機能は、 そもそもユーザーが欲しいものなのだろうか? 43

Slide 44

Slide 44 text

ライフサイクルの 観点がないと 全体最適しづらい 44

Slide 45

Slide 45 text

アジャイルによって 期待できるバフ効果 45

Slide 46

Slide 46 text

生成AIを中心に据えて、ソフトウェア開発ライフルサイクル全体の 視点からの改善を行う (例)AI-DLC (AI-Driven Development Lifecycle) • アジャイルを熟知していることで、より効果的な改善を行える • 自動テスト • CI/CD • 運用・監視 (1) ソフトウェア開発ライフサイクル 46

Slide 47

Slide 47 text

(2) プロダクトライフサイクル 生成AIを中心に据えて、迅速にプロダクトおよび機能を提供し フィードバックを得る一連のサイクルを改善する (例)ユーザー中心アプローチ • メンバーに以下の効果も期待できる • モチベーション向上 • バーンアウト減少 • チームおよび組織のパフォーマンス向上 『(DORA) State of AI-assisted Software Development 2025』 47

Slide 48

Slide 48 text

(3) ライフサイクルのティーチング/コーチング • 個別最適で動くジュニア-ミドル層に対して、 全体最適の観点を教える • チームに、運用・監視・プロダクトグロースを体験させる • 組織全体に、「ライフサイクル」のティーチング/コーチングを行う 48 → スクラムマスターがまさに適任では?

Slide 49

Slide 49 text

みなさんなら、 どのようなことが できそうですか? 49

Slide 50

Slide 50 text

1. レビュー 2. コラボレーション 3. ライフサイクル 4. 今後の研究課題 5. まとめ 50

Slide 51

Slide 51 text

問題を「見える化」するツールとしての生成AI 生成AIの「増幅器」の要素を、 成長のためのヒントを得るツールとして活用できないか? (例)リリース後に迅速に機能追加・修正を行えない場合 • リファクタリング可能なコードとなっているか? • チームメンバーが協力し合える仕組み・文化となっているか? • プロダクトライフサイクルを見据えた組織体制になっているか? 51

Slide 52

Slide 52 text

1. レビュー 2. コラボレーション 3. ライフサイクル 4. 今後の研究課題 5. まとめ 52

Slide 53

Slide 53 text

生成AIの状況は、 日々変わりつつある 53

Slide 54

Slide 54 text

今こそ「Be Agile」が求められている • 継続的な実験 • 検査と適応 • 変化にコミットし続ける勇気 54

Slide 55

Slide 55 text

みなさんなら、どのようなことができそうですか? • 本質はこれ • 他の方のアイデアで参考になるものがあれば試してみよう • 他の方とも定期的に意見交換し、選択肢・引き出しを増やしていこう 55

Slide 56

Slide 56 text

生成AIとの 付き合い方を 共に見つけていこう 56

Slide 57

Slide 57 text

…アジャイルで! 57