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OKRと「測りすぎ」 〜なりたい姿を、「測りすぎ」ないようにしながらどう追いかけるか〜 株式会社カケハシ 小田中 育生 2024.05.11

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小田中 育生(おだなか いくお) 株式会社ナビタイムジャパンでVP of Engineeringを務め、 2023年10月にエンジニアリングマネージャーとして株式会社カケ ハシにジョイン。テクノロジーとドメインに関する深い知識や経 験をもって高速に仮説検証のサイクルを回すチームづくりとチー ムを起点にした事業価値最大化に確約・集中・公開・尊敬・勇気 している。 著書に『いちばんやさしいアジャイル開発の教本 人気講師が教え るDXを支える開発手法』(2020年、インプレス、共著)がある。 ブログ: dora_e_m|note

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© KAKEHASHI Inc. Overview OKRの基本を おさえる KRは更新する ものだと知る OKRに潜む 「測りすぎ」の 罠を知る 「測りすぎ」な いOKRとの 付き合い方を知 る 「測りすぎ」を 検査する 方法を知る

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© KAKEHASHI Inc. Learning Outcome OKRとの適切な距離感の取り方がわかる 数値ハックの誘惑に負けない勇気を得る

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© KAKEHASHI Inc. Overview OKRの基本を おさえる KRは更新する ものだと知る OKRに潜む 「測りすぎ」の 罠を知る 「測りすぎ」な いOKRとの 付き合い方を知 る 「測りすぎ」を 検査する 方法を知る

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OKRとは

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© KAKEHASHI Inc. OKR Objectives(目標)とKey Results(主要成果) Key Results ● 何を目指したいのか?と いう問いに対する答え ● 気後れするくらいの高い レベル ● 3-5個に絞る ● 目標までの到達度を測定 する指標 ● 定量的で計測可能なもの ● 1つのObjectiveに対し3個 ほど設定 Objectives

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© KAKEHASHI Inc. OKRの例 O-1: 顧客にワォ!を届ける高速 な仮説検証サイクルの実現 O-2: 目指したいプロダクト開発 チームの日本代表になる KR-1-1: 顧客のコンテンツ利用率を 週次10%から50%に上げる KR-1-2: 年間100回を超えるデプロ イ回数 KR-1-3: チームのエンゲージメント スコアが90以上 KR-2-1: tech blogによる発信を 年間24件以上 KR-2-2: 外部メディア経由の発信を 年間10件以上 ※顧客にワォ!が届いている  は顧客満足度が高い状態を示す

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© KAKEHASHI Inc. 大切なのはObjectivesにコミットすること KRはOの到達に向かっていることを示すだろう、という仮説 状況に合わせ見直し、更新していく Key Results ● 何を目指したいのか?と いう問いに対する答え ● 気後れするくらいの高い レベル ● 3-5個に絞る ● 目標までの到達度を測定 する指標 ● 定量的で計測可能なもの ● 1つのObjectiveに対し3個 ほど設定 Objectives

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© KAKEHASHI Inc. CFR OKRを組織に浸透させる循環装置 Conversation Recognition Feedback 対話する フィードバックする 承認・称賛する ジョン・ドーア(2018) Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教 えた成功手法 OKR 日本経済新聞社 第15章より引用 パフォーマンス向上を目的に、 マネジャーとコントリビュー ターのあいだで行われる真摯で 深みのある意見交換。 プロセスを評価し、将来の改善 につなげるための、同僚との双 方向あるいはネットワーク型の コミュニケーション。 大小さまざまな貢献に対して、 しかるべき個人に感謝を伝え る。

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なぜスクラムフェスで OKRの話をするのか

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© KAKEHASHI Inc. OKRは設定して終わりではない O KR KR KR 設定したら、今度は目標達成へ向けて動き始めることになる

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© KAKEHASHI Inc. 目標達成への道のりは平坦ではない O KR KR KR 平坦ではないし、そもそも道のりが見えないことさえある

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© KAKEHASHI Inc. 先の見えない道のりをスクラムで突き進む ①スプリントで生み出す価値、  検証したい仮説を明確にする ②どうやって価値を生み出すか  検討し実行する ③毎日、検査と適応を繰り返 しながら価値創出を目指す ④生み出した価値を検査する ⑤スプリントで得た学びに適応し 新たな仮説を得る 外側のループ weekly 内側のループ daily OKRが機能するのに、スクラムというフレームワークが役に立つ

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© KAKEHASHI Inc. OKRがスクラムチームの灯台になる スクラムチームが向かう先をOKRが示してくれる O KR KR KR プロダクト バックログ インクリメント スプリント バックログ

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© KAKEHASHI Inc. Overview OKRの基本を おさえる KRは更新する ものだと知る OKRに潜む 「測りすぎ」の 罠を知る 「測りすぎ」な いOKRとの 付き合い方を知 る 「測りすぎ」を 検査する 方法を知る

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O≠KR

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© KAKEHASHI Inc. KR100%は必ずしもOの達成を意味しない KR-1-1: 顧客のコンテンツ利用率を 週次10%から50%に上げる KR-1-2: 年間100回を超えるデプロ イ回数 KR-1-3: チームのエンゲージメント スコアが90以上 O-1: 顧客にワォ!を届ける高速 な仮説検証サイクルの実現

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© KAKEHASHI Inc. 指標としての妥当性が不足しているケース KR-1-1: 顧客のコンテンツ利用率を 週次10%から50%に上げる KR-1-2: 年間100回を超えるデプロ イ回数 KR-1-3: チームのエンゲージメント スコアが90以上 O-1: 顧客にワォ!を届ける高速 な仮説検証サイクルの実現 コンテンツ利用率が高い=顧客にワォ!が届いてる(満足度が 高い)という仮説だったが、いざ向上させてみたら因果関係が ないと判明

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© KAKEHASHI Inc. 副作用があるケース KR-1-1: 顧客のコンテンツ利用率を 週次10%から50%に上げる KR-1-2: 年間100回を超えるデプロ イ回数 KR-1-3: チームのエンゲージメント スコアが90以上 O-1: 顧客にワォ!を届ける高速 な仮説検証サイクルの実現 デプロイ数のみに着目することで変更障害率が上がってしまう などの副作用が観測される

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© KAKEHASHI Inc. Oとの結びつきが弱いケース KR-1-1: 顧客のコンテンツ利用率を 週次10%から50%に上げる KR-1-2: 年間100回を超えるデプロ イ回数 KR-1-3: チームのエンゲージメント スコアが90以上 O-1: 顧客にワォ!を届ける高速 な仮説検証サイクルの実現 チームとしては大切にしているエンゲージメントスコアだが、 顧客にワォを届けること、高速名仮説検証サイクルを実現する こととの関連がいまいち説明できない

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© KAKEHASHI Inc. ユーチューブはKRを視聴回数から視聴時間に変えた ジョン・ドーア(2018) Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教 えた成功手法 OKR 日本経済新聞社 第14章より引用 “これはユーチューブの視聴回数を大幅に増やす 可能性を秘めていた。しかし私たちが本当に増や したいのは、視聴回数だろうか? 〜中略〜 ユーチューブにとって最も重要なのは、視聴回数 やクリック数ではなかった。視聴時間である。”

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© KAKEHASHI Inc. KRにフォーカスしつつ必要に応じて更新 O KR KR KR プロダクト バックログ インクリメント スプリント バックログ

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© KAKEHASHI Inc. Overview OKRの基本を おさえる KRは更新する ものだと知る OKRに潜む 「測りすぎ」の 罠を知る 「測りすぎ」な いOKRとの 付き合い方を知 る 「測りすぎ」を 検査する 方法を知る

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OKRと「測りすぎ」

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© KAKEHASHI Inc. 「測りすぎ」への警鐘 ジェリー・Z・ミュラー (著), 松本 裕 (翻訳) 測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗す るのか? みすず書房 数値で計測するということ。 状態を正しく把握するために有用。 けれど、数値自体を目標とすると、有害さ を発揮してしまいます。 書籍「測りすぎ」では、重大な犯罪の発生 率を抑えるために本来重犯罪であるべき事 案が軽犯罪扱いされる、といった実際にあ る弊害について紹介されています。

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© KAKEHASHI Inc. Key Resultsは定量的で計測可能なもの Objectives(目標)とKey Results(主要成果) Key Results ● 何を目指したいのか?と いう問いに対する答え ● 気後れするくらいの高い レベル ● 3-5個に絞る ● 目標までの到達度を測定 する指標 ● 定量的で計測可能なもの ● 1つのObjectiveに対し3個 ほど設定 Objectives

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© KAKEHASHI Inc. 直接追いづらいOと追いやすいKR O-1: 顧客にワォ!を届ける高速 な仮説検証サイクルの実現 O-2: 目指したいプロダクト開発 チームの日本代表になる KR-1-1: 顧客のコンテンツ利用率を 週次10%から50%に上げる KR-1-2: 年間100回を超えるデプロ イ回数 KR-1-3: チームのエンゲージメント スコアが90以上 KR-2-1: tech blogによる発信を 年間24件以上 KR-2-2: 外部メディア経由の発信を 年間10件以上

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© KAKEHASHI Inc. KR KR KR プロダクト バックログ インクリメント スプリント バックログ 日々の活動はKRにフォーカス

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© KAKEHASHI Inc. ツールもKRにフォーカスしていたりする KRのスコアを入力すると、 自動的にOのスコアを算出 https://rework.withgoogle.com/jp/guides/set-goals-with-okrs で配布されてるシートを利用して作成 Google re:Workの スコアカードの例 KRがOに効いてるか? を確認せずとも 数値が進捗する

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© KAKEHASHI Inc. Oを意識する機会がないと何が起こるか KR KR KR インクリメント スプリント バックログ O

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© KAKEHASHI Inc. KR1-1がOに寄与しない指標だとする KR-1-1: 顧客のコンテンツ利用率を 週次10%から50%に上げる KR-1-2: 年間100回を超えるデプロ イ回数 KR-1-3: チームのエンゲージメント スコアが90以上 O-1: 顧客にワォ!を届ける高速 な仮説検証サイクルの実現 コンテンツ利用率が高い=顧客にワォ!が届いてる(満足度が 高い)という仮説だったが、いざ向上させてみたら因果関係が ないと判明

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© KAKEHASHI Inc. KRがOに寄与しなくても、そうと気づかない KR KR KR インクリメント スプリント バックログ O

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© KAKEHASHI Inc. おっ!KRの進捗は順調だねぇ!! KR KR KR インクリメント スプリント バックログ

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© KAKEHASHI Inc. 全部100%達成した!けれども… KR-1-1: 顧客のコンテンツ利用率を 週次10%から50%に上げる KR-1-2: 年間100回を超えるデプロ イ回数 KR-1-3: チームのエンゲージメント スコアが90以上 100%! 100%! 100%! 解約率は例年と変わらず… 「ワォ!が届いてる」とは いえないですね

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© KAKEHASHI Inc. OKRにつきまとう「測りすぎ」の課題 1. バニティメトリクス(虚栄の指標) 2. グッドハートの法則

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© KAKEHASHI Inc. OKRにつきまとう「測りすぎ」の課題 1. バニティメトリクス(虚栄の指標) 2. グッドハートの法則

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© KAKEHASHI Inc. 一見よさそうに感じられるけれども、実際の成果に対して 有益な情報が得られない指標のこと バニティメトリクス(虚栄の指標)

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© KAKEHASHI Inc. これらはバニティメトリクスか? KR-1-1: 顧客のコンテンツ利用率を 週次10%から50%に上げる KR-1-2: 年間100回を超えるデプロ イ回数 KR-1-3: チームのエンゲージメント スコアが90以上

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© KAKEHASHI Inc. 結局は、Oに効くかどうか KR-1-1: 顧客のコンテンツ利用率を 週次10%から50%に上げる KR-1-2: 年間100回を超えるデプロ イ回数 KR-1-3: チームのエンゲージメント スコアが90以上 O-1: 顧客にワォ!を届ける高速 な仮説検証サイクルの実現 顧客のワォ!につながっていれば、仮説検証サイクル がまわっていれば、これらは有効な指標。 そうでなければバニティメトリクス。

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© KAKEHASHI Inc. Oを意識しないことはチームにとって危険が危ない KR KR KR インクリメント スプリント バックログ O

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© KAKEHASHI Inc. OKRにつきまとう「測りすぎ」の課題 1. バニティメトリクス(虚栄の指標) 2. グッドハートの法則

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© KAKEHASHI Inc. グッドハートの法則 「尺度が目標になると、良い尺度ではなくなる」

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© KAKEHASHI Inc. KRの達成自体が目標になると何が起こる? KR-1-1: 顧客のコンテンツ利用率を 週次10%から50%に上げる KR-1-2: 年間100回を超えるデプロ イ回数 KR-1-3: チームのエンゲージメント スコアが90以上

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© KAKEHASHI Inc. KRの達成自体が目標になると何が起こる? KR-1-1: 顧客のコンテンツ利用率を 週次10%から50%に上げる コンテンツ利用率か… そうか!毎日プッシュ通知を 打ちまくれば利用率は 引き上げられるのでは!?

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© KAKEHASHI Inc. KRの達成自体が目標になると何が起こる? KR-1-2: 年間100回を超えるデプロ イ回数 デプロイ数を増やすには… そうだ!1行変更するごとに デプロイしよう!

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© KAKEHASHI Inc. KRの達成自体が目標になると何が起こる? KR-1-3: チームのエンゲージメント スコアが90以上 スコア90以上を目指している ので、サーベイの回答はその 点をふまえて実施してくださ いね!!

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© KAKEHASHI Inc. 手段を選ばずKRの数値を上げて、Oはどうなる? KR-1-1: 顧客のコンテンツ利用率を 週次10%から50%に上げる KR-1-2: 年間100回を超えるデプロ イ回数 KR-1-3: チームのエンゲージメント スコアが90以上 O-1: 顧客にワォ!を届ける高速 な仮説検証サイクルの実現 なりたい姿のためではなく設定された数値を達成する ために行動してしまっては、Oには近づけない

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なぜ私達は 「測りすぎ」るのか

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© KAKEHASHI Inc. Oに向かっているかわからない状況は不安を生む O-1: 顧客にワォ!を届ける高速 な仮説検証サイクルの実現 O-2: 目指したいプロダクト開発 チームの日本代表になる

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© KAKEHASHI Inc. O-1: 顧客にワォ!を届ける高速 な仮説検証サイクルの実現 O-2: 目指したいプロダクト開発 チームの日本代表になる KR-1-1: 顧客のコンテンツ利用率を 週次10%から50%に上げる KR-1-2: 年間100回を超えるデプロ イ回数 KR-1-3: チームのエンゲージメント スコアが90以上 KR-2-1: tech blogによる発信を 年間24件以上 KR-2-2: 外部メディア経由の発信を 年間10件以上 だからKRを経由して目標と向き合っている

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© KAKEHASHI Inc. このあとKRはどう推移する? KR達 成 状 況 経 過 時 間

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© KAKEHASHI Inc. 下がってしまうかもしれない KR達 成 状 況 経 過 時 間

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© KAKEHASHI Inc. 上がってくれるかもしれない KR達 成 状 況 経 過 時 間

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© KAKEHASHI Inc. どう転ぶか、確実な未来はわからない KR達 成 状 況 経 過 時 間

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© KAKEHASHI Inc. ネガティブ・ケイパビリティ 不確実なものや未解決のものを受容する能力 目の前にある不確実性に対して、 ネガティブ・ケイパビリティが不足していると何が起こるか

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© KAKEHASHI Inc. ネガティブ・ケイパビリティ不足が引き起こす問題 1. バニティメトリクス(虚栄の指標) 2. グッドハートの法則 3. 確実な未来の選択

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© KAKEHASHI Inc. 不安から、今ある情報で未来を予測する KR達 成 状 況 経 過 時 間

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© KAKEHASHI Inc. 直近の動きから線形で予測しがち KR達 成 状 況 経 過 時 間

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© KAKEHASHI Inc. よくなる未来もあるけれど・・・ KR達 成 状 況 経 過 時 間

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© KAKEHASHI Inc. リスクのある取り組みは止めよう、となる KR達 成 状 況 経 過 時 間 現状は可視化されているが未来の展望が不明なとき は、リスク回避の判断に倒れやすい

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© KAKEHASHI Inc. そうなるとチャレンジできなくなる 一時的にKR下がるかもだけど、 仮説検証してみたいことが あるんだよね リスクあるなら 無理!!

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© KAKEHASHI Inc. 数値目標は様々な問題と隣り合わせ 1. バニティメトリクス(虚栄の指標) 2. グッドハートの法則 3. 確実な未来の選択

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© KAKEHASHI Inc. Key Resultsを計測すること自体は良い事 Objectives(目標)とKey Results(主要成果) Key Results ● 何を目指したいのか?と いう問いに対する答え ● 気後れするくらいの高い レベル ● 3-5個に絞る ● 目標までの到達度を測定 する指標 ● 定量的で計測可能なもの ● 1つのObjectiveに対し3個 ほど設定 Objectives

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© KAKEHASHI Inc. 「測りすぎ」にならず、Oと向き合うには Objectives(目標)とKey Results(主要成果) Key Results ● 何を目指したいのか?と いう問いに対する答え ● 気後れするくらいの高い レベル ● 3-5個に絞る ● 目標までの到達度を測定 する指標 ● 定量的で計測可能なもの ● 1つのObjectiveに対し3個 ほど設定 Objectives

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© KAKEHASHI Inc. Overview OKRの基本を おさえる KRは更新する ものだと知る OKRに潜む 「測りすぎ」の 罠を知る 「測りすぎ」な いOKRとの 付き合い方を知 る 「測りすぎ」を 検査する 方法を知る

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OKRを知る

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© KAKEHASHI Inc. OKRの基礎知識を身につける 本を読んだり… ジョン・ドーア (著), 土方奈美 (翻訳) メジャー・ホワット・マターズ 伝説のベンチャー投資家 がGoogleに教えた成功手法OKR 日本経済新聞出版社 スライドを見たり… https://speakerdeck.com/navitimejapan/okrhaturidehanai

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© KAKEHASHI Inc. 知識をベースに、OKRを考えてみる まずは身近な例から考えてみるとイメージをつかみやすい

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© KAKEHASHI Inc. KRを考えてみよう O: スクラムフェス新潟を通して新潟を満喫する どのような成果が出ていれば、「満喫した」と言える?

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© KAKEHASHI Inc. 誰が知識を持っているとよいか 一人だけでは、周囲の理解を得づらい

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© KAKEHASHI Inc. 誰が知識を持っているとよいか チームみんなで学びたい

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© KAKEHASHI Inc. 誰が知識を持っているとよいか できればステークホルダーも

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© KAKEHASHI Inc. なぜ、OKRの知識を持っておきたいのか 定義通りに正しくOKRを運用するため→No

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© KAKEHASHI Inc. なぜ、OKRの知識を持っておきたいのか 定義通りに正しくOKRを運用するため→No OKRを正しく活用して成果を出すため→YES!

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成果指標と透明性

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© KAKEHASHI Inc. いかにして透明性をたもつか 1. なぜそのKRかを問い続ける 2. 定期的に見直す 3. 少し先の予測を共有する

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© KAKEHASHI Inc. いかにして透明性をたもつか 1. なぜそのKRかを問い続ける 2. 定期的に見直す 3. 少し先の予測を共有する

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© KAKEHASHI Inc. こちらのOに対してKRを考えましたね O: スクラムフェス新潟を通して新潟を満喫する どのような成果が出ていれば、「満喫した」と言える?

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© KAKEHASHI Inc. Q. なぜその成果指標を選んだのですか?

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© KAKEHASHI Inc. こういうConversationが大切 O-1: 顧客にワォ!を届ける高速 な仮説検証サイクルの実現 O-2: 目指したいプロダクト開発 チームの日本代表になる KR-1-1: 顧客のコンテンツ利用率を 週次10%から50%に上げる KR-1-2: 年間100回を超えるデプロ イ回数 KR-1-3: チームのエンゲージメント スコアが90以上 KR-2-1: tech blogによる発信を 年間24件以上 KR-2-2: 外部メディア経由の発信を 年間10件以上 週次50%を目指している 理由が知りたい! コンテンツを利用→プロダ クトを必要としていると考 えると、半数の顧客にとっ て必要なプロダクトになっ ているという仮説。 なるほど、それくらい使っ てくれてたら顧客に 「ワォ!」が届いてる、 っていう想定なのね

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© KAKEHASHI Inc. いかにして透明性をたもつか 1. なぜそのKRかを問い続ける 2. 定期的に見直す 3. 少し先の予測を共有する

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© KAKEHASHI Inc. 目標達成への道のりは平坦ではない O KR KR KR 平坦ではないし、そもそも道のりが見えないことさえある

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© KAKEHASHI Inc. チームの学びをもとにKRを更新する O KR KR KR プロダクト バックログ インクリメント スプリント バックログ

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© KAKEHASHI Inc. どんなときに見直すとよいか 見直しのアクション いつ? KRの上方修正 Oの達成にKRが有効で、かつ上積みするほど達成に 近づくと判明した場合 KRの下方修正 よりOの達成に寄与するKRが存在する場合 KRの追加 Oの達成に有効な手段が新たに見つかった場合 KRの削除 そのKRがOの達成に有効でないと判明した場合 Oの変更・追加・削除 戦略的意思決定が行われた場合などに限定される

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© KAKEHASHI Inc. 理解を得やすい見直しのアクション 見直しのアクション いつ? KRの上方修正 Oの達成にKRが有効で、かつ上積みするほど達成に 近づくと判明した場合 KRの下方修正 よりOの達成に寄与するKRが存在する場合 KRの追加 Oの達成に有効な手段が新たに見つかった場合 KRの削除 そのKRがOの達成に有効でないと判明した場合 Oの変更・追加・削除 戦略的意思決定が行われた場合などに限定される

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© KAKEHASHI Inc. 理解が得られにくい見直しのアクション 見直しのアクション いつ? KRの上方修正 Oの達成にKRが有効で、かつ上積みするほど達成に 近づくと判明した場合 KRの下方修正 よりOの達成に寄与するKRが存在する場合 KRの追加 Oの達成に有効な手段が新たに見つかった場合 KRの削除 そのKRがOの達成に有効でないと判明した場合 Oの変更・追加・削除 戦略的意思決定が行われた場合などに限定される

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© KAKEHASHI Inc. BAD COMMUNICATION OKRのことわかってます? 全部大事にするっていうのは 全部大事にしないってこと なんだがwww

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© KAKEHASHI Inc. 伝わるように話そう 今回、一番達成したいこと、 Oに関連するものはなんですか?

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© KAKEHASHI Inc. いかにして透明性をたもつか 1. なぜそのKRかを問い続ける 2. 定期的に見直す 3. 少し先の予測を共有する

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© KAKEHASHI Inc. 青と赤、どちらを選ぶ? KR達 成 状 況 経 過 時 間

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© KAKEHASHI Inc. 青と赤、どちらを選ぶ? KR達 成 状 況 経 過 時 間

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© KAKEHASHI Inc. 日々の開発で考えてみる 「コードベースが複雑化してきたので2ヶ月間リ ファクタリングに集中させてください」

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© KAKEHASHI Inc. ステークホルダーの気持ち 「コードベースが複雑化してきたので2ヶ月間リ ファクタリングに集中させてください」 OKRの進捗が芳しくないのに、 新規開発を2ヶ月も止めるつもりなの? それはちょっと・・・

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© KAKEHASHI Inc. エンジニアには、少し先が見えてるかもしれない KR達 成 状 況 経 過 時 間 リファクタした未来 リファクタしない未来

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© KAKEHASHI Inc. その予測をステークホルダーは知らないかもしれない KR達 成 状 況 経 過 時 間 リファクタした未来 リファクタしない未来

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© KAKEHASHI Inc. やることの意義をセットで伝える 「コードベースが複雑化してきたので2ヶ月間リ ファクタリングに集中させてください リファクタリング後は仮説検証サイクルが高速化 しKR達成率が倍の速度で上がる見込みです」

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© KAKEHASHI Inc. ステークホルダーの気持ち 「コードベースが複雑化してきたので2ヶ月間リ ファクタリングに集中させてください リファクタリング後は仮説検証サイクルが高速化 しKR達成率が倍の速度で上がる見込みです」 達成率が倍になる見込みなんだね。 目に見えるアウトプットは出しつつ リファクタする、やってみてください

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© KAKEHASHI Inc. 見込みがわかっていれば、待てる KR達 成 状 況 経 過 時 間 但し、言ったことはやるだろうと信頼してもらってることが前提

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Objectivesへの 集中

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© KAKEHASHI Inc. Objectivesの達成にこだわり抜きたい Objectives(目標)とKey Results(主要成果) Key Results ● 何を目指したいのか?と いう問いに対する答え ● 気後れするくらいの高い レベル ● 3-5個に絞る ● 目標までの到達度を測定 する指標 ● 定量的で計測可能なもの ● 1つのObjectiveに対し3個 ほど設定 Objectives

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© KAKEHASHI Inc. Key Resultsに振り回されないためには? Objectives(目標)とKey Results(主要成果) Key Results ● 何を目指したいのか?と いう問いに対する答え ● 気後れするくらいの高い レベル ● 3-5個に絞る ● 目標までの到達度を測定 する指標 ● 定量的で計測可能なもの ● 1つのObjectiveに対し3個 ほど設定 Objectives

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© KAKEHASHI Inc. ふたつのアプローチ KRを定期的にアップデートする習慣を持つ Oにフォーカスする

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© KAKEHASHI Inc. KRはアップデートされるという認識をもつ O KR KR KR プロダクト バックログ インクリメント スプリント バックログ

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© KAKEHASHI Inc. Qごとにアップデートしてみたり Q1 Q2 Q3 Q4 O KR1 KR2 KR3 KR1 KR2 KR3 KR4 KR1’ KR3’ KR4 KR1’ KR3’ KR4

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© KAKEHASHI Inc. KRの生存期間を短くする O-2: 目指したいプロダクト開発 チームの日本代表になる KR-2-1: tech blogによる発信を 年間24件以上 KR-2-2: 外部メディア経由の発信を 年間10件以上 Qごとの件数に変更すれば 強制的に見直しする 機会を得る

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© KAKEHASHI Inc. Oにフォーカスしたチーム運営 O KR KR KR プロダクト バックログ インクリメント スプリント バックログ

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© KAKEHASHI Inc. KRは、設定はするが高頻度には見ない O-1: 顧客にワォ!を届ける高速 な仮説検証サイクルの実現 KR-1-1: 顧客のコンテンツ利用率を 週次10%から50%に上げる KR-1-2: 年間100回を超えるデプロ イ回数 KR-1-3: チームのエンゲージメント スコアが90以上 Oを実現するためには?を考えて開発に取り組む

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© KAKEHASHI Inc. 観察はする O-1: 顧客にワォ!を届ける高速 な仮説検証サイクルの実現 観察はしてそこから学び行動するけれど、 「デプロイ数を上げるためには?」というアプ ローチはとらない。今のデプロイ数だと目指した い仮説検証サイクルのスピードにはまだまだだ ね、という判断にのみ使用 KR-1-1: 顧客のコンテンツ利用率を 週次10%から50%に上げる KR-1-2: 年間100回を超えるデプロ イ回数 KR-1-3: チームのエンゲージメント スコアが90以上

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© KAKEHASHI Inc. やりかた:観察者を置く インクリメント スプリント バックログ O KR KR KR チーム 観察者 フィードバック チーム ・O、スプリントに集中 観察者 ・OKR全体を観察 ・フィードバック

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© KAKEHASHI Inc. Q.やっぱりチームでKR見たほうがよくない? O ● もちろん、NGではありません ● KRを確認したときに、それ自体を目的化 しないチームなら確認することはメリット のほうが大きいでしょう ● ただ、思ったより数値の引力は強いです インクリメント スプリント バックログ KR KR KR チーム

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© KAKEHASHI Inc. 数値がもつ引力 その1 O-2: 目指したいプロダクト開発 チームの日本代表になる KR-2-1: tech blogによる発信を 年間24件以上 KR-2-2: 外部メディア経由の発信を 年間10件以上 KRに集中するということはKRの積み上げに貢献しない選択肢を 切り捨てることでもある。KR→Oの貢献が確からしいものなら よいが、そうでないなら探索の選択肢はもっておきたい KR-2-3: ????????

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© KAKEHASHI Inc. 数値がもつ引力 その2 O-2: 目指したいプロダクト開発 チームの日本代表になる KR-2-1: tech blogによる発信を 年間24件以上 KR-2-2: 外部メディア経由の発信を 年間10件以上 KRとして表現されていないことはスコープ外になる。下記例で いうとtech blog/外部メディア経由発信の件数は考慮している が、その品質や実際に訴求したかについては考慮していない

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© KAKEHASHI Inc. 「意義」を欠損しない仕組みをつくる O-2: 目指したいプロダクト開発 チームの日本代表になる KR-2-1: tech blogによる発信を 年間24件以上 KR-2-2: 外部メディア経由の発信を 年間10件以上 事前: レビューでOに寄与する品質のものであることを担保 事後: 公開一週間でのview数などからOへのインパクトを推定 Oをにらんだ品質担保 Oへのインパクトを踏まえ アップデート

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© KAKEHASHI Inc. Overview OKRの基本を おさえる KRは更新する ものだと知る OKRに潜む 「測りすぎ」の 罠を知る 「測りすぎ」な いOKRとの 付き合い方を知 る 「測りすぎ」を 検査する 方法を知る

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© KAKEHASHI Inc. 測りすぎチェックリスト ❏ OKRの進捗を確認するときにKRの話だけしている ❏ KRの達成率を上げる施策の副作用は考慮から外している ❏ 現状の数値からわかる保守的な意思決定をしている ❏ 年間を通じてKRを更新せず同じ指標を追い続けている ❏ KRの達成率が個人の評価に強く紐づいている →KR達成にフォーカスするインセンティブになってしまう ❏ その目標がなければ採用されない施策が採用される →利用率を上げるためにプッシュ通知を毎日送る、など 現場のOKRで以下に当てはまるものがあるなら、 このスライドで紹介した取り組みを試してみてください

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まとめ

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© KAKEHASHI Inc. OKRがOとKRに分かれている理由 分離していることで、定量的な指標への「測りすぎ」を防げる Key Results ● 何を目指したいのか?と いう問いに対する答え ● 気後れするくらいの高い レベル ● 3-5個に絞る ● 目標までの到達度を測定 する指標 ● 定量的で計測可能なもの ● 1つのObjectiveに対し3個 ほど設定 Objectives

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© KAKEHASHI Inc. だから、OKRを知ろう 本を読んだり… ジョン・ドーア (著), 土方奈美 (翻訳) メジャー・ホワット・マターズ 伝説のベンチャー投資家 がGoogleに教えた成功手法OKR 日本経済新聞出版社 スライドを見たり… https://speakerdeck.com/navitimejapan/okrhaturidehanai

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© KAKEHASHI Inc. KRに透明性をもたせよう 1. なぜそのKRかを問い続ける 2. 定期的に見直す 3. 少し先の予測を共有する

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© KAKEHASHI Inc. Objectivesに集中しよう KRを定期的にアップデートする習慣を持つ Oにフォーカスする

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© KAKEHASHI Inc. あえてKRを見ないやり方もある インクリメント スプリント バックログ O KR KR KR チーム 観察者 フィードバック チーム ・O、スプリントに集中 観察者 ・OKR全体を観察 ・フィードバック

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© KAKEHASHI Inc. 測りすぎてないか? ❏ OKRの進捗を確認するときにKRの話だけしている ❏ KRの達成率を上げる施策の副作用は考慮から外している ❏ 現状の数値からわかる保守的な意思決定をしている ❏ 年間を通じてKRを更新せず同じ指標を追い続けている ❏ KRの達成率が個人の評価に強く紐づいている →KR達成にフォーカスするインセンティブになってしまう ❏ その目標がなければ採用されない施策が採用される →利用率を上げるためにプッシュ通知を毎日送る、など 「測りすぎ」チェックリストで現状把握してみましょう

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O!!! 大事なのは

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OK ?

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OKR!