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開発生産性指標は組織の何を証明するか 開発生産性 NIGHT - 2024.03.14 - 野沢康則 / X: @nozayasu

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プロフィール ● 野沢康則 / X: @nozayasu ● 2018 年ツクルバ入社 ○ ↓ Backend Engineer ○ ↓ Backend Tech Lead ○ ↓ Engineering Manager ○ ↓ & Product Manager ○ CTO ● Topics ○ 建築都市環境学専攻 ○ 不動産営業 → エンジニア

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導入

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導入 | 開発組織運営における課題感 なぜ xxx 万の予算が必要なの?採用を加速して開発力を上げない?儲かるの? 開発組織運営の役割と向き合う中で問われる、経営や財務目線での質問群 開発生産量(アウトプット) = 人数規模(インプット) x 生産性(係数) エンジニア組織外からは生産性がブラックボックスに見えるため、定量評価が可能な人数規 模による開発生産量を計画したくなる エンジニア組織内からは生産性がネガティブ要因に見えるため、定量評価が難しくとも生産 性の改善による開発生産量を計画したくなる このズレを解消するような、生産性改善施策を効果的に定量評価できる指標があれば... \ システム施策の ROI 教えて / \ 開発組織の採用目標教えて / \ 利益との関係性教えて /

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導入 | Four keys 指標の登場 アウトカムと相関が見られる開発生産性指標が学術的に検証され Four keys 指標が一般化 計測可能な概念化 × 一般化が画期的であり、多くの企業でマネジメントに活かされる流れへ 実際に組織運営や計画策定に組み込む過程で、どのような捉え方をしたのか? 構造として収益性と優位性へ接続させる考え方 タイトルにもある証明を根拠とした、全社マネジメントに採用するまでの一事例 運用における具体を紹介させて頂けたらと思います システム施策のリターン \ 生産性 +xx % ね! / 開発生産量を前年対比 +xx% \ 生産性 +xx% × 採用人数ね!/ \ 利益と相関があるのね!/

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捉え方と2つの証明

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管理会計に利用可能な指標として捉える ※ 管理会計は企業マネジメントに必要な情報をまとめた会計、組織の状態把握や将来の変化予測を行うための概念 ※ 管理会計の代表的な業務 ● 過去実績から未来予算を策定する「予算管理」 ● 予算と実績の比較から問題を洗い出す「予実管理」 ● 状況の数値表現から客観的に判断する「経営分析」 捉え方と2つの証明 | 管理会計と業界平均比較 1. 管理会計に組み込み エンジニア組織の状態 × 収益性の証明 2. 業界平均比較を行い エンジニア組織の状態 × 優位性の証明 2つの証明 捉え方 基本方針は、開発生産性指標を用いたマネジメントが組織運営にとって有用である 要素を証明することで、全社マネジメントに組み込む意思決定を取りに行く考え方 をしていました

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捉え方と2つの証明|管理会計との接続 出典:『キャプランとノートンの戦略バランスト・スコアカード』(櫻井通晴 訳、2001年、東洋経済新報社、p.109)より BSC(Balanced Scorecard) 経営戦略 × 管理会計の分野における アプローチの1つ 各種プロセスを財務的指標だけでなく、 非財務的指標からも把握する重要性を説 き、そうした指標を企業組織の全域から バランスよく収集する事を価値に捉える 非財務的指標を管理するエンジニア部門 と、財務的指標を管理する経営を繋ぐ時 に重宝するアプローチ(財務に接続する ので目線が合い易い) 開発生産性指標を、エンジニア部門 における BSC 構造 「学習と成長」 レイヤーのアクションに対する管理 指標として接続する

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捉え方と2つの証明|優位性との接続 各部門の競争優位性の掛け合わせ → 全体の競争優位性 業界平均と比較可能な管理指標を用いて、各部門が業界平均以上であることを証明できれば 会社全体としても、業界平均以上のパフォーマンスを有するであろうと言う構造で捉えて接続させていく Four Keys は学術的な検証結果を持った指標でかつ、導入企業が多く共通尺度での比較が可能

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捉え方と2つの証明|全社マネジメントとの接続 🧭: 計測項目 🎁: 提供価値 󰝊: アクション項目 ① エンジニア組織の各 アクションと状態を財務 視点に繋げることで、一 定以上であることが組織 的な収益性の証明となる ② 他組織との比較可能 な基準値があることで、 一定以上であることが組 織的な競争優位性の証明 となる ①と②の証明を根拠に、 開発生産性指標に対する 管理・分析を行うことが 組織にとって有用である と位置付け、全社マネジ メントに組み込む意思決 定を獲得

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運用事例|ケイパビリティ獲得と生産性指標 󰝊 ケイパビリティ獲得

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運用事例|ケイパビリティ獲得と生産性指標 󰝊 ケイパビリティ獲得 インフラ環境 & CI/CD 環境刷新 デプロイ対応可能者を拡大 デプロイ頻度指標(期間平均) 1.8 → 3.1 システム改善施策 x 指標変化量を過去実績として蓄積 システム改善施策に対する「予算管理」の精度向上、管理会計の枠組みで回りやすくさせ 営利企業内で正当かつ再現性を持ったシステム改善予算確保へ繋げたい 手にした指標の運用で、未来システム予算の合理性を高める

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プロダクト開発組織にスコープを広げた時に、機能毎に追いかけているもの ● PdM ○ 定性: プロダクトマネジメントで施策の流量とリターンを追いかける ○ 定量: ユーザー施策 ROI / 業務施策 ROI / マーケティング施策 ROI / etc… ● TechLead ○ 定性: バリューエンジニアリングで実現価値と開発コスト最適化を追いかける ○ 定量: 施策開発コスト / デリバリー完遂率 / SLO(稼働率) / etc… ● EM ○ 定性: エンジニアリングマネジメントで開発の流量と開発生産性を追いかける ○ 定量: 総開発予算 / 稼働人数 / 開発生産性指標 / etc… ● Team ○ 定性: 施策リターンの早期化と最大化を追いかける ○ 定量: リターン発現期間 / リターン発現量 / etc… 指標を運用する際に気をつけていること ● 数字の高さの追求は重要としていない ○ 一定基準以上であることを目標に、時系列での状態変化に着目 ○ 状態変化をトリガーに、課題探索と解決の PDCA が回ることを重視 ● 任意指標の向上が見て取れても、上位指標に影響を与えないアクションは継続しない ○ 単一指標の数字はハック可能なので、全体像や継続性でアクションの有用性を判断 ○ 組織的な有用性のある概念やアクションを継続することで、成果の再現性に繋げたい 運用事例 | Appendix

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1. 管理会計に利用可能な指標として捉える 2. 管理会計に組み込み エンジニア組織の状態 × 収益性の証明 3. 業界平均比較を行い エンジニア組織の状態 × 優位性の証明 4. 開発生産性指標を用いる有用性を説き全社運営に組み込み 開発生産性指標は組織の何を証明するか | 結び ご静聴ありがとうございました🙌

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