Slide 1

Slide 1 text

リバースバケットリスト 〜 「死ぬまでにやることリスト」の欠点と対処法 〜 たきびさん@takibi333 2024/11/18

Slide 2

Slide 2 text

たきびさん@FIRE ● FIRE (経済的自立+早期退職)を 2024/03 に達成 ● 日本人の予想残り寿命(中央値)まで後43年もある ● 将来何するか模索中 ● http://x.com/takibi333 ● http://note.com/takibi333

Slide 3

Slide 3 text

バケットリスト “Bucket List” バケツリスト

Slide 4

Slide 4 text

バケットリスト バケットリスト = 「死ぬまでにやってみたいことリスト」 様々な夢や目標、経験をリストアップする ● 旅行、学習、仕事、人間関係、趣味、挑戦など ● 自分のためのリスト FIRE界隈でよく取り上げられる。 ● “FIREしたらバケットリストをどんどんこなしていきましょう!”

Slide 5

Slide 5 text

バケットリストの例 ● 世界一周旅行 ● スキューバダイビングに挑戦 ● フルマラソン完走 ● 自宅を建てる ● 語学を習得する ● 楽器を演奏できるようになる ● オーロラを見る ● 小説を出版する ● ボランティア活動に参加する ● 色々なライブに参戦する どんな内容でもいい!

Slide 6

Slide 6 text

バケットリストの利点 ● 漠然とした夢を具体的な目標へと 落とし込むことができる ● リストを見ることで、日々の生活に張り合いが 生まれ、モチベーションが高まる ● 人生の終わりに後悔する可能性を 減らすことができる

Slide 7

Slide 7 text

バケットリストの欠点 ● 一時的な幸福感 ● 達成へのプレッシャーと不安 ● 本当の欲求を見失う可能性

Slide 8

Slide 8 text

欠点1. 一時的な幸福感 多くの人が人生をより良くするために、キャリアの成功、旅行、良い人間関係など、 様々なものを人生に追加しようとする。 しかし、目標を達成し、欲しいものを手に 入れても、その幸福感は一時的なものに過ぎないことが多いと指摘されている。 → 「快楽のトレッドミル」 心理学用語。目標を達成すると、すぐに次の、より大きな目標を設定し続けるため、 真の満足感を得ることができない。 →バケットリストは目標達成に重きを置くので快楽のトレッドミルに陥りがち。   「人生の足し算」に終わりはない

Slide 9

Slide 9 text

欠点1. 一時的な幸福感 2種類の「幸福」 ● 「ヘドニア」(快感) ● 「エウダイモニア」(意義ある人生を送る幸福) バケットリストは「ヘドニア」の要素が強く、一時的な幸福感に繋がりやすい。

Slide 10

Slide 10 text

欠点2. 達成へのプレッシャーと不安 ● 「やり残したこと」の可視化 ○ バケットリストは、未達成の目標を常に意識させる ○ リスト上のすべてを達成することは難しいという現実を 突きつけられる ○ 「やり残したこと」への不安や焦燥感を抱えやすくなる ● 「したいこと」が「すべきことに」 ○ リストを書くことで執着が生まれ、一覧が増えるほど それに比例して、不満も増える ○ 本来自由であるはずの目標設定が、 精神的な負担とな る

Slide 11

Slide 11 text

欠点3. 本当の欲求を見失う可能性 ● 「他人軸」に陥りやすい ○ バケットリストの内容は、メディアや周囲の影響を受けやすく、自分にとって本当に 大切なものではなく、世間一般的に「良い」とされることや他人が羨むようなことを 優先してしまいがち ● 「達成」が目的化してしまう ○ 「リストを消化すること」に執着しがち ○ 達成することの意味を見失い、空虚な達成感しか得られない可能性 ○ 過程を楽しめるように

Slide 12

Slide 12 text

じゃあどうすればいいの? ● 快楽のトレッドミルから抜け出す ○ NG: もっとお金が欲しい、もっと成功したい、もっと刺激的な経験がしたい ○ NG: 「一時的な快楽」を追い求める ○ OK: 「今」自分が持っているものに感謝し、満足感を得る ○ OK: 「意義ある人生を送る幸福」 を追い求める ● 「過程」の大切さを再認識し、人生をより深く味わう ○ OK: 「達成」を目的化せず、目標を達成するまでの過程で得られた経験や学びを重視する ● 「自分軸」で人生を捉え直し、真の欲求を見極める ○ OK: 自分にとって本当に大切な価値観や心の底からやりたいことを再認識する

Slide 13

Slide 13 text

リバースバケットリスト “Reverse Bucket List” 逆バケツリスト

Slide 14

Slide 14 text

リバースバケットリスト ● 従来のバケットリストの問題を克服するために考えられた2つの方法 ○ 別々の人が考えた全く異なるやり方 ○ しかし名前が両方とも “Reverse Bucket List” ○ 検索すると両方のアイデアが出てきて紛らわしい ● このスライドでは “過去型リバースバケットリスト” “未来型リバースバケットリスト” と名付けて区別する

Slide 15

Slide 15 text

過去型バケットリスト

Slide 16

Slide 16 text

過去型リバースバケットリスト ● 未来の自分を想像するのではなく、 過去の達成をリストアップする ● 感謝の気持ちと達成感を高め、自己肯定感を育む ● 「今」の幸せに目を向け、人生における充実感を得る ● 私たちが自分自身を認識し、私たちが誰であり、 誰になったかに感謝する

Slide 17

Slide 17 text

過去型リバースバケットリスト 〜 準備 ● ノートとペン、またはデジタルツールを用意する ○ リスト作成には、紙とペン、またはスマホやパソコンなど、使いやすいツールを選ぶ ● リラックスできる環境を整える ○ 集中しやすい、静かな場所を選び、時間に余裕を持って取り組む ● 過去を振り返るための材料を集める ○ 写真アルバム、日記、旅行のチケットなど、過去の記憶を呼び覚ます材料があるとよりよい

Slide 18

Slide 18 text

過去型リバースバケットリスト 〜 過去の達成をリストアップ ● 大小さまざまな「達成」を書き出す ○ 大きな成果だけでなく、小さな成功体験や努力、誇りに思える瞬間も積極的に書き出す ○ 例:資格取得、昇進、プロジェクト成功、趣味の習得、目標達成、困難な状況の克服、 新しいことに挑戦したこと、人から感謝されたことなど ● 具体的なエピソードを添える ○ 単に「〇〇を達成した」と書くだけでなく、具体的なエピソードや、当時の感情、学びなどを加えることで、 より深い振り返りができる ○ 例:マラソン完走 - 初めてフルマラソンに挑戦し、練習を重ねて完走できたときは、達成感と自信に満ち溢れた。 ● カテゴリー別に分類する ○ 年代別、人生のカテゴリー別(仕事、家族、趣味、人間関係など)に分類するとより多角的に自己分析できる

Slide 19

Slide 19 text

過去型リバースバケットリスト 〜 主なカテゴリ例 ● 個人的な成果: ○ 卒業、結婚、出産、家の購入 ○ 本の執筆、芸術的または運動競技の偉業 ○ 精神的な探求、旅行体験 ● 仕事上の成果: ○ 新しい仕事に就く、昇進する ○ プレゼンテーションを行う、賞を獲得する ○ 論文を発表する、起業する ● 人間関係の成果: ○ 愛する人との時間 ○ 友人の輪を広げる、過去の傷を許す ○ 奉仕活動をする、意義のある大義のために時間を費やす ● 個人の成長: ○ 新しいスキルを学ぶ、不健康な習慣の改善 ○ 課題や恐怖の克服、自分の限界を広げるための挑戦 ○ 自己への思いやりを育む

Slide 20

Slide 20 text

過去型リバースバケットリスト 〜 リストを振り返り分析する ● 達成感や喜びを感じた出来事に注目する ○ どんなことに喜びを感じ、どんな時に充実感を得られたのか、自身の価値観や強み、 興味関心を分析する ● 困難を乗り越えた経験から学ぶ ○ 困難な状況をどのように乗り越え、どんな教訓を得たのかを振り返る ○ 自己肯定感を高め、未来への回復力、抵抗力を養う ● 感謝の気持ちを再認識する ○ これまでの人生で出会った人々、経験したこと、そして「今」自分が持っているものに感謝の気持 ちを深める

Slide 21

Slide 21 text

過去型リバースバケットリスト 〜 今後の行動指針に活かす ● 過去の成功体験を未来へ繋げる ○ 過去の成功体験から得た自信や教訓を活かす ○ 新たな目標設定や、挑戦へのモチベーションを高める ● 本当に大切なものを再認識する ○ リストアップした内容から、自分にとって本当に大切な価値観や、人生の優先順位を再確認し 今後の生活に反映させる ● 「今」の幸せを大切に生きる ○ 過去を振り返ることで、「今」自分が持っているものに感謝し、日々の生活をより大切に、 充実して過ごすようにする

Slide 22

Slide 22 text

過去型リバースバケットリスト 〜 定期的に更新する ● リバースバケットリストは、作成したら終わりではない ● 定期的に見直し、新たな達成や経験を加えたり、過去の出来事に対する解釈を 深めることが重要

Slide 23

Slide 23 text

未来型リバースバケットリスト

Slide 24

Slide 24 text

未来型リバースバケットリスト ● ハーバード大学教授アーサー・C・ブルックスの提案 ● 「人生後半の戦略書 ハーバード大教授が教える人生とキャリアを再構築する方 法」 という本で紹介されている

Slide 25

Slide 25 text

未来型リバースバケットリスト ● 目標を持つこと自体は素晴らしい ● その目標が自分が本当に欲しているもの、価値観に合致したものであることを 明確にする ○ 表面的な成功や物質的な豊かさを追い求めない ○ 自分がなぜその夢を抱いているのかを理解する ● 本当に大切な目標を見つける ○ それに集中し、他のことに時間やエネルギーを無駄にすることを避ける ○ 目標の優先順位を見直す ● 自分の価値観を明確にするために現状における欲求や執着を書き出す

Slide 26

Slide 26 text

未来型リバースバケットリスト 〜やり方〜 1. 欲しいものや執着しているものをリストアップする ○ 「もの」「お金」「権力」「娯楽」「名誉」のカテゴリーを考える ○ 自分が本当に欲しくてたまらないものを正直に書き出す ○ 自分の弱点を自覚し、他者からの承認欲求など、認めたくない欲求にも正直に向き合ってみる 2. 5年後の理想の自分を想像し、要素をリストアップする ○ 5年後に自分の価値観に沿って生きて心理的な安らぎを感じている状態を具体的に想像する ○ そんな未来の人生に含まれるどんな要素が、幸福に大きく貢献しているのかを書き出す 3. 2つのリストを比較する ○ 1. で自分が求めているものが、2. での本当に理想の自分に近づくために必要なものなのか検討 ○ 周囲の人を感心させたり、漠然とした成功や承認欲求を満たしたりするためじゃない??

Slide 27

Slide 27 text

未来型リバースバケットリスト 〜やり方〜 ● バケットリストを洗練する ○ リストの項目が自分の深い欲求や価値観と一致しているならば残す ○ 漠然とした成功や承認欲求を満たしたりするためだけのものであれば消す ○ リストを見ながら「悪いものではないけれど、これを手に入れても私の求めている幸福と平穏は 訪れないし、そもそもこれを目指す時間もない。この願望は手放そう」と言いながら、不要なもの を削り、リストを完成させる ● 自分がなぜその夢を抱いているのかを理解する ○ 自分自身の欲求や執着と向き合い、本当に大切なものを明確にする ○ WHYから人生のバケットリストを見直す

Slide 28

Slide 28 text

まとめ 過去型、未来型の手法は違うが、やりたいことは同じ ● 自分を知る ○ 自分の過去の達成から自分の価値観や強み、興味を分析する ○ 自分のなりたい未来像から、自分を幸福にする要素を分析する ● 本当に大切なものを再認識する ○ 一時的な快楽に終わりはない ○ 人生の優先順位を再確認 ○ なぜその夢を抱いているのかを理解する ○ 他人軸や承認欲求からではなく、自分軸として考える ● 「今」の幸せに目を向け、人生における充実感を得る ○ ポジティブなものに焦点を当てる ○ これまでの道のりへの感謝の気持ちを高める

Slide 29

Slide 29 text

References 過去型 ● How Making A "Reverse Bucket List" Can Make You Happier - Fast Company ● How to Create a Reverse Bucket List ● How to Make a Reverse Bucket List | Hebrew SeniorLife Blog. ● The Power of a Reverse Bucket List — Athena Wellness ● The Reverse Bucket List: Three Experiences You Want to Have — Dr. Taryn Marie - Resilience Leadership Institute ● 逆バケツリストで人生を再起動する 未来型 ● The Secret to Happiness, According to This Harvard Professor: a Reverse Bucket List ● リバースバケットリストをつくろう!人生後半の戦略書 ハーバード大教授が教える人生とキャリアを再構築する方 法の書評