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VPoEの引き継ぎでやったこと、 わかったこと 2025.03.12(Wed) EMゆるミートアップ〜EMConf expansion〜 森住 卓矢 SmartHR 旧VPoE 齋藤 諒一 SmartHR 新VPoE

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自己紹介

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森住 卓矢 @t_morizumi 2018年8月にSmartHR入社 バックエンドエンジニアとしてSmartHRの開発に携わりつつ、スクラ ムやアジャイルの普及活動を行う その後、プレイングマネージャー、EMを経て、2022年1月より VPoEに就任。2024年12月にVPoEを退任。現在は有給消化期間 で、25年3月末にSmartHR退職後は所属なし ストリートファイター6ではケンでMR 1,500あたりをウロウロして います

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齋藤 諒一 @saitoryc SmartHR VP of Engineering SmartHRには2021年7月に入社。当初は新規事業の立ち上げエン ジニアとして、アプリストアの開発などを行う。 その後基盤開発関連のマネージャーとして、プロダクト基盤の拡充 や、IdP機能の開発などを牽引。2025年1月より現職。現在はプロ ダクトエンジニアとQAエンジニアをあわせて180名程度のメンバー を管掌している。 休日は家族でサッカー観戦へ行くか、ドライブへ行くことが多め。

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お品書き

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1.   旧VPoEとしてやったこと/わかったこと 2.   新VPoEとしてやったこと/わかったこと

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森住パート

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まず登壇にあたって、前提のお話しから

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実は引き継ぎの話、EMConf でリジェクトが決まって から SmartHR のテックブログにあらかた書いてし まいました

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https://tech.smarthr.jp/entry/2024/12/25/131529

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ざっくりこんなことが書いてあります ● 業務内容 / 意思決定基準 / 社会関係資本 を引き継ごう ● 常に引き継げる状態を作っておこう ● VP は半年前くらいに退職を伝えた方がいいかも あとは、引き継ぎ全般に関する考え方ですね

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No content

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テックブログに書いた内容をそのまま話しても面白く ないと思うので、書いた内容のうち最も伝えたいこと をちょっと深掘りしてお話しします

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僕の話は、 次のワンフレーズだけ覚えていただければOKです

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マネジメントもチームでやろう

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これだけです

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マネジメントもチームでやろう

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マネジメントをチームでやると は?

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多分みなさん、開発はチームでやられてますよね

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マネジメントはどうでしょうか? チームでやってますか?

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VPoE Director Manager Chief Member

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VPoE Director Manager Chief Member 現場の開発チーム

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VPoE Director Manager Chief Member プレイングマネージャー中心の マネジメントのチーム

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VPoE Director Manager Chief Member シニアマネージャー中心の マネジメントのチーム

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VPoE Director Manager Chief Member VPoPM Director Manager Chief Member VPoS Director Manager Chief Member CEO CPO COO

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VPoE Director Manager Chief Member VPoPM Director Manager Chief Member VPoS Director Manager Chief Member CEO CPO COO 経営レイヤーのマネジメントチームとか、 マネジメントの職種横断連携の話とか、 広げると色々ありますが今回は割愛

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VPoE Director Manager Chief Member シニアマネージャー中心の マネジメントのチーム ↑今日はここの話

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よくある シニアマネジメント層の コミュニケーションパス

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VPoE Director Manager Director Manager Manager Manager

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VPoE Director Manager Director Manager Manager Manager

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VPoE Director Manager Director Manager Manager Manager

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VPoE Director Manager Director Manager Manager Manager いわゆるレポートラインというやつ

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レポートラインのコミュニケーションのみだと…?

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VPoE Director Manager Director Manager Manager Manager ここの会話が少なかったり

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VPoE Director Manager Director Manager Manager Manager 協働する機会が少なかったりする

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ただ階層ごとに人を置いただけでは マネジメントのチームにはならない(それはそう)

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チームになるとは? ● 共通の目標を持ち、目標に向かって協働する ● 文化を共有し、一緒に作りあげていく ● 共に継続的に学習し、改善する ● etc…

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VPoE Director Manager Director Manager Manager Manager レポートラインの コミュニケーションも 大事だけど…

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Director VPoE Manager Director Manager Manager Manager チームとして マネジメントレイヤーをまとめることも大事

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「マネジメントもチームでやろう」 が引き継ぎにどう効くの?

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具体的な活動として、1h/week の定例を取り上げて どんな話をしていたか見ていきます ● hogeチームがマネジメントで苦労していて、対応を相 談したい ● fugaチームの開発ペースを改善したいので人員に関す る相談がしたい

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具体的な活動として、1h/week の定例を取り上げて どんな話をしていたか見ていきます ● 採用ペースを上げるための施策について検討したい ● 経営会議で話題になっていたあの件について対応策を 考えたい

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具体的な活動として、1h/week の定例を取り上げて どんな話をしていたか見ていきます ● みなさんの管掌領域でこんな課題って出てますか? ● こういう職種を新たに設けたいと思うんですが、ご意見 募集

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そんな感じで、多種多様なトピックを話していました ※密室コミュニケーションになって他のマネジメントレイ ヤーや、メンバーレイヤーを置き去りにしないよう注意が 必要

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そのように議論を重ねる中で、お互いの考え方であっ たり、判断軸であったり、組織におけるコンテクスト だったり、様々な物事が共有されていきます

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そのように議論を重ねる中で、お互いの考え方であっ たり、判断軸であったり、組織におけるコンテクスト だったり、様々な物事が共有されていきます また、協働を通して社会関係資本も少しずつ蓄積され ていきます

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ここで再掲

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https://tech.smarthr.jp/entry/2024/12/25/131529 再掲

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ざっくりこんなことが書いてあります ● 業務内容 / 意思決定基準 / 社会関係資本 を引き継ごう ● 常に引き継げる状態を作っておこう ● VP は半年前くらいに退職を伝えた方がいいかも あとは、引き継ぎ全般に関する考え方ですね 再掲

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ざっくりこんなことが書いてあります ● 業務内容 / 意思決定基準 / 社会関係資本 を引き継ごう ● 常に引き継げる状態を作っておこう ● VP は半年前くらいに退職を伝えた方がいいかも あとは、引き継ぎ全般に関する考え方ですね 再掲

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ざっくりこんなことが書いてあります ● 業務内容 / 意思決定基準 / 社会関係資本 を引き継ごう ● 常に引き継げる状態を作っておこう ● VP は半年前くらいに退職を伝えた方がいいかも あとは、引き継ぎ全般に関する考え方ですね 再掲 マネジメントもチームでやることで、 自然と引き継げる状態に近づいていく

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定例以外にも、採用・配置・評価・報酬・組織開発に関す る業務などで様々に協働する機会がありました

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そういった協働の機会を通して、VPoE にしかできな い / わからない、といったことが減ってマネジメント チームに意思決定などを移譲できた実感があります

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引き継ぎというとたくさんの情報を漏れなく伝えるこ とが肝要、という発想になりがちですが 「VPoE にしか」という要素をそもそも減らすこと が効果的だと考えます

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(ちなみに僕は2023年まではすべての最終面接とオ ファー面談を実施しており、諸々合算で1年に250件 以上の面談・面接を実施していました😇)

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というわけで、

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マネジメントもチームでやろう

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より具体的な話とか生々しい話とかは、懇親会などで お声がけいただければもう少しお話しできるかと思い ます! それでは齋藤さんパートです!👉

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齋藤パート

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前提としてマネジメント経験のご紹介 ● 社会人歴は約20年(3社目) ● 前職 / 前々職でもEM経験はあり ○ 数名チームから数十名程度の組織まで様々 ● CxO / VPの経験はナシ

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自分の上長にあたる人が 「半年後に退職する」と 急に言い出したら…?

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その時の心構えはできてますか?

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● 管掌範囲が広い人ほど、事前に退職の気配は出さ ないので気付けない ● マインドシェアの大半は自分の管掌範囲のマネジメ ントに割かれがち ● 今振り返ればいろいろ準備してたんだなと思える が、心の準備はできているわけがない ● 相談できる人もいない 大体の人はそんな心構えはできていない

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いつかはCxOとかVPとか やれたらいいなぁ… 一方でこんなことも考えていたりする

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「いつか」っていつですか?

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自分の準備ができるまで チャンスは待ってくれない

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「いつかやりたい」と思うなら そのチャンスが来たときに 迷わず飛び込めるかどうか

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引き受けてから気付いたこと

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自分の引き継ぎ準備が 全く進んでいなかった

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● サクセッションプラン(後継者育成)の必要性は把 握していた ● 一方で1〜2年後の組織をイメージしたときに、自 分がまだEMとして在籍している前提だった ● マネジメント人手不足により、兼務もいくつか持っ ている状態だった 自分の引き継ぎ準備が全く進んでいなかった

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技術統括本部 開発本部A 打診を受ける前の管掌範囲 開発本部B 開発本部C 開発本部D 開発部A1〜A3 開発部B1〜B2 開発部C1 ユニットE1〜E3 品質保証部 直下ユニット1〜3 開発部C2 開発部C3 主 兼 ユニットC3-1 兼

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技術統括本部 開発本部A 打診を受ける前の管掌範囲 開発本部B 開発本部C 開発本部D 開発部A1〜A3 開発部B1〜B2 開発部C1 ユニットE1〜E3 品質保証部 直下ユニット1〜3 開発部C2 開発部C3 主 兼 ユニットC3-1 兼 Director 兼 Manager 兼 Cheif という大フィーバー状態 ※Director is 本部長的なSmartHR内役職です

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● Director・Managerの登用 ○ これは「タレント会議」という候補者をリストアップする社 内の取り組みが活かされました ● 組織再編 ○ そのまま引き継ぐのではなく、誰が何を受け持つのがベ ストか?という観点で組織の分割や統合を実施 引き継ぎを進めるために必要だったこと タレント会議 is https://mag.smarthr.jp/hr-management/evaluation/talentmanagement_genzaichi_03/

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「引き継ぎを並行で進める」 大変さを甘く見ていた

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● マインドシェアはどうしてもVPを引き継ぐ側に 持っていかれてしまう ● CxO・VPの会議などにも呼ばれ始める ● EMとしての責務は引き続き持っていたが、そのパ フォーマンスは低下した自覚がある 「引き継ぎを並行で進める」大変さを甘く見ていた

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技術統括本部 開発本部A 打診を受ける前の管掌範囲 開発本部B 開発本部C 開発本部D 開発部A1〜A3 開発部B1〜B2 開発部C1 ユニットE1〜E3 品質保証部 直下ユニット1〜3 開発部C2 開発部C3 主 兼 ユニットC3-1 兼

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技術統括本部 開発本部A 引き継ぎ後の管掌範囲 開発本部B 開発本部C 開発本部E 開発部A1〜A4 開発部B1〜B2 開発部C1〜C2 ユニットE1〜E3 開発本部D 開発部D1〜D3 品質保証部 直下ユニット1〜3 主

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3〜40名規模から 200名弱の規模への切り替え

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今までの変化とは規模が違う 単一チームから複数チームを マネジメントすることになったときの 連続的成長イメージ 複数チームの間接的マネジメントから 開発組織全体をマネジメントする事に なったときの非連続的成長イメージ

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● すべてを同じ濃度で把握するのは無理だ、という 割り切り ○ 今までも完全にできていた訳では無いが… ● どこまでを自分が把握すべきかの線引き ○ 状況により変動するので、柔軟に捉える ● 他部署のキーマンを抑える ○ ここは意識して動かないと漏れがち 意識の切り替えに必要だったこと

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EMからVPになっての気付き

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自分の発する言葉の重み

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● 「会社としての見解」として受け止められる ● 他部署からは「開発組織としての見解」として受け 止められる ● 「個人の意見」なのかどうか、明確にした上で言葉 を選ぶようになった ● 喋りにくくなったということは今のところはない ○ むしろ社内外への発信をもっと増やさなければ 自分の発する言葉の重み

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「ラストマンシップ」の意識

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● VP of Engineeringとしてはなくてはならないもの ● 今までもラストマンシップは意識していたし、そのつも りで動いていた ● 自分の考えた施策や戦略がそのまま実施されるとして も、誰かがGoを出してくれる環境と、自分が最後の砦 の環境では心持ちがまるで違う 「ラストマンシップ」の意識

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マネジメントチームの 必要性

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● それまでの横並びから関係性が変わる ○ 意識しないと意外と知らないことが多い ● 共通の課題に向き合うチームとして連携ができて いた方が明らかにやりやすい ● そもそも1人ですべてを引き継ぐのは超大変 ○ チームで分散して持つ事ができればベスト ○ あくまで必要なときに代表として立つのがVP マネジメントチームの必要性

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● 前半パートと同じ結論になったのは完全に偶然です ● それだけやった方がいいことだと捉えてください ● トップダウンでチーム化を推進するだけではなく、当 事者に必要性を認識してもらえる取り組みが必要 ● EMConfが盛り上がったように、マネージャーは チームやコミュニティに属したい気持ちがあるはず 補足

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おわりに

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今回はVPの引き継ぎというテーマではありましたが、どのレイヤーをマネ ジメントするにしても「引き継ぎ」というものは発生する可能性があります。 必要になってから慌てて動くと、結果的に組織を構成するメンバーへと皺 寄せが行きます。 退職がなくとも、組織が成長すれば必要なポストは増えます。2〜3年後、成 長した組織の中では自分は今とは違う役割を担うことになるかもしれませ ん。それを頭の片隅に置きながら、サスティナブルな組織づくりをしていき ましょう! おわりに

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ご清聴ありがとうございました