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Presented by IAI Fukuoka (Institute for Advanced Intelligence) https://iaifukuoka.connpass.com/ 2018/09/06 (Thu) Developers Summit 福岡 2018 最新AI技術「NAS」を紐解く (Neural Architecture Search) ~Google Cloud AutoMLの裏側を見ていく~ 2018/08/29 ver0.5作成 2018/09/01 ver0.7作成 2018/09/05 ver0.9作成

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1 プログラマ歴36年 / XPer歴18年 / 福岡 技術顧問 (3社) AIジョブカレ 福岡代表 / enPiT (文科省 社会人IT育成) 講師 IT企業2社経営 。 森 正和 |> 。 Elixirコミュニティ「fukuoka.ex」 福岡 理学部 / IAI Fukuoka / 「通常の3倍」福岡 主催 「量子コンピュータ by Blueqat」 / 「OpenQL」 福岡代表 福岡Elixirプログラマ / 重力プログラマ my favotite technology & implements. Twitter/Qiita/Github @piacere_ex

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2 ここから14ページ 最近の活動紹介 (飛ばす方はP17へ)

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OSSを書いて、仕事作る CTO 常務取締役やってます

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国内No.1 AIスクールの福岡代表&講師やってます AI権威の松尾研出身で「詳解ディープラーニング」著者、 巣籠さん監修のAI学校、現役のエンジニアが講義中 https://www.aijobcolle.com/

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5 2018/8/24 福岡Elixirコミュニティ fukuoka.ex MeetUp #13 夏のfukuoka.ex祭=技術のパラダイムシフト

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この1年、福岡で並列・分散言語「Elixir」、広めました 1年間、隔月(偶数月)MeetUp+毎月もくもく会 国内・海外含め、fukuoka.exでしか手に入らない 情報やノウハウ、研究成果が毎回、満載 ナント、スポンサー付きましたw 企業でも無いコミュニティに スポンサー付く時代なんですね 福岡でElixir採用企業、増殖中 今年度、20社採用、目指します

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MeetUpは、「実際に動くコード」でライブデモします connpassのfukuoka.exグループに登録すると、次回 イベント開催のお知らせメール届きます、どうぞご登録を https://fukuokaex.connpass.com/ 地味に女子率、高し(^o^)

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もくもく会は、Elixirに入門する人でも、経験者でもOK 仕事終わり、くつろぎ、ほろ酔いつつ、Elixir/Phoenix によるプログラミングの世界に触れてみませんか? ※入門スライド/Qiitaも用意していますので、初心者も安心 connpassのfukuoka.exグループ登録で、もくもく会の 開催お知らせもメールで届きます、どうぞ、ご登録ください https://fukuokaex.connpass.com/

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35年間、プログラマ続けてて、「重力プログラマ」に到達 先日、UnityでGPU使った天体シミュレータ開発着手

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10 2018/7/20 福岡 理学部 八限目 「重力と宇宙を愛する全ての人に」 #2

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重力・宇宙イベント会 第1回は、こんな感じでした

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第2回は、キエフから、宇宙法専攻JDキターッ!

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静岡県で天体研究しているJK→JDとも仲良し

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福岡で人工衛星飛ばすQPS大西さんとも仲良し

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最近、全国デビューしました 先月、パブリックメディア「Forkwell Press」にて取材され、 インタビューコラムが公開されました

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16 1. AI・ML技術の現状と最新について 2. Google Cloud AutoMLとは? 3. AutoMLが実現する手軽なモデル構築 4. AutoMLの裏側 ~転移学習とNAS~ 5. 「NAS (Neural Architecture Search)」とは? 6. NASの実装 7. 今後、AI・MLにエンジニアは不要? 目次

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17 1.AI・ML技術の現状と最新

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18 1.AI・ML技術の現状と最新 今回、ご紹介する最新技術の前に、ここ数年のAI・ML技術に ついて、簡単に触れていきます 現在のAI・ML技術のトレンドと言えば、真っ先に出てくるのが、 「ディープラーニング」です 技術的には、1958年誕生のニューラルネットワーク (以下NN) の延長で、4層以上のNNに よって構成される、ディープ ニューラルネットワークによる 学習を「ディープラーニング」 と呼びます ニューラルネットワーク誕生 CNN誕生 ディープラーニング誕生 ディープラーニング躍進

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19 現在、主流のディープラーニング手法 現在、主流となっているディープラーニング手法には、「CNN」 「RNN」「AE」の3つがあります ➢ CNN (Convolutional Neural Network) • 複数用意した空間フィルタで畳込演算 (Convolution) を行い、各フィルタ結果から取捨選択 (プーリング) ことを 繰り返すことで、特徴を抽出できる ➢ RNN (Recurrent Neural Network) • 従来のNNのフィードフォワード構造に加え、フィードバック 構造も持たせることで、現在データだけで無く、過去データ からの影響も含めた、時系列としての特徴を抽出できる ➢ AE (Auto Encoder) • 次元削減時の圧縮法を教師なし学習することで、抽象 的な特徴を抽出できる (最近、データ生成で復活) PyCon Kyushu 2018スライドより

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20 参考: 「arXiv」について AI・ML手法は、2012年以降、2次関数的成長を遂げており、 その火種が、「arXiv」という名の論文サイトで、従来の論文発表 は研究者主体でしたが、arXivではエンジニアも論文を出します 現代におけるムーアの法則と Google I/O 2018で紹介 PyCon Kyushu 2018スライドより

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21 最新AI・ML技術まとめ 今回、ご紹介した最新AI・ML技術をまとめると以下の通りです ➢ カプセルネットワーク • 少ないデータでも、高精度かつ耐久性の高い予測が可能 であり、NN/DLを超える、高い汎化能力を発揮する • 実証が少ないが、仕組みが合理的で、トライの価値あり ➢ 転移学習 • 少ないデータのドメインも、大量データで学習済みのモデル があれば予測を行え、高い汎化能力があると言える • 「学習の仕方を学習する」ことが可能なため、将来的には、 より少ないデータからの高精度学習に応用が期待できる ➢ QRNN • 時系列データ分析は、ビジネス領域で最も重要なデータ 分析課題で、QRNNは、その効率改善に実用できる PyCon Kyushu 2018スライドより

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22 「カプセルネットワーク」とは? 2度の「AIの冬」の間もAI研究を続け、2012年にディープラーニ ングをヒットさせた「AIの父」、ジェフ・ヒントン博士 (70歳!) が 編み出した、ニューラルネットワークを超えると言われるAI新技術 半年前の2017年10月に論文を発表し、ニューラルネットワーク の最高精度に匹敵しつつ、誤答率が最低時のNNの半分にまで 減少できる、という研究成果を発表しています 最大の違いは、ニューラルネットワークが特徴を「全特徴の量」で 捉えていたのに対し、カプセルネットワークは特徴を「各特徴毎の ベクトル」で捉え、更に「各特徴の間にある関係性」も捉えます 現在、Google Brain PJの研究者 とトロント大学教授を兼務している PyCon Kyushu 2018スライドより

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23 「カプセルネットワーク」とは? カプセルネットワークは、各特徴を個別に判定し、更に各特徴間 の関係性も加味できるため、以下のような、全体としては見た目 が異なっている (回転も含む) が、各パーツの相対的な位置は 変わらない対象を「空間一致する」ものとして判別できます また学習時も、CNNでは必須だった、各パーツが微妙に違ったり、 回転させたバリエーションが不要となるため、高効率を実現します PyCon Kyushu 2018スライドより

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24 「転移学習」とは? あるドメインで学習させたモデルを、別のドメインに適応させること で、少ないデータしか手に入らないドメインであっても精度高い 予測を可能とする学習手法です AI界のパイオニア、Andrew Ngが発表した、ビジネスにおける 機械学習の発展予測において、最初は「教師あり学習」が活躍 したが、次に躍進するのは、 「教師なし学習」や「強化学習」で 無く、 「転移学習」と述べています PyCon Kyushu 2018スライドより

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25 「転移学習」とは? 転移学習の実現には、以下3つのアプローチがあります ① 学習済みモデルの出力層のみ別ドメインに適応 • ドメイン間のタスクに共通点がある場合、入力層や中間 層・隠れ層の重みは固定し、出力層だけを別ドメインで 学習させることで、共通する特徴の抽出が可能です ② ドメイン非固有の特徴のみに限定 • 「表現学習」と呼ばれる、汎用的な特徴や、分散を学習 することで、ドメインに依存しない部分に限定して学習し、 ドメイン非固有の特徴を抽出します (AEはこの一種) ③ ドメインの違いを予め認識させて選り分ける • ドメイン間の変換を事前に学習させ、ドメイン間の違いを 認識し、ドメイン固有と非固有を判別することで、各々の 特徴を抽出できます (≒学習の仕方を学習する) PyCon Kyushu 2018スライドより

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26 「QRNN」とは? 2016年11月、SalesForce研究所のジェームズ・ブラッドベリー らが発表した、RNNの計算時間を改善するための手法です RNNでメジャーな「LSTM (Long Short-Term Memory) は、 現在の出力を得るために、「過去の出力値」と「媒介変数の値」 の両方が必要なため、並列計算が行えず、計算に時間がかかる という問題点を持っています QRNNは、CNNの持つ並列計算能力を部分的に利用すること で、この時系列データ学習を高速化し、時間短縮もしくは単位 時間あたりの精度向上が実現できます PyCon Kyushu 2018スライドより

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27 1.AI・ML技術の現状と最新 こうしたモデルアーキテクチャ自体の発展以外にも、既存モデルの 最適化を、人手で行わず、マシンに行わせる…いわゆる自動化 技術により発展させるアプローチも存在します この領域は現状、ハイパーパラメータ (学習で変動しないパラ メータ) のチューニング※ に限定されていましたが、今回ご紹介する 「NAS (Neural Architecture Search)」は、ハイパーパラ メータに限定されない、自動化技術の最新版となります (初めての論文が、2017/2/15と、半年前に出たばかりです) このNASを一早く導入したのが、「Google Cloud AutoML」で、 つい先日の2018/7/25に、β版が公開され、一般のユーザでも 利用可能となりました ※グリッドサーチ、ランダムサーチ、ベイズ最適化、GA等によりパラメータ探索を自動で行う

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28 2.Google Cloud AutoMLとは?

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29 2.Google Cloud AutoMLとは? Googleは、2016年末頃から「AIの民主化」をミッションに掲げ、 「Cloud Vision API」や「Natural Language API」などの、 ”事前学習済モデル”によるサービスを提供してきました https://cloud.google.com/products/machine-learning/ これらサービスは、一定枠内のデータ識別には威力を発揮します が、ユーザ独自のデータ識別や、その元となる学習ができません 一方、AI・ML技術を熟知して、ユーザ独自識別を開発できる 企業・人材は限られており、また、その構築には時間がかかります 「AutoML」は、手軽な”独自モデル構築”を提供します ※上記の詳細は、以下のGoogle Cloud Japan公式ブログをご覧ください https://cloud-ja.googleblog.com/2018/01/cloud-automl-making-ai-accessible-every-business.html

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30 2.Cloud AutoMLでどんなデータ識別が可能? AutoMLは、α版が2018/1/17に発表され、画像認識を提供 する「Cloud AutoML Vision」をリリースしました β版は、2018/7/24に発表され、自然言語解析を提供する 「Cloud AutoML Natural Language」と、翻訳を行う 「Cloud AutoML Translation」がリリース済です http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1807/25/news066.html 米Disneyは、「AutoML Vision」 を採用済で、オンラインショップである 「shop Disney」のレコメンド機能 やショップ内検索を、AutoMLで 構築した、キャラクタ毎のカテゴリや 色による分類によって実現しています

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31 2.AutoMLの前身、Cloud Vision APIだと… 「AutoML Vision」の前身である「Cloud Vision API」は、 ユーザがモデルの学習をさせること無く、ある程度の画像の分類 が可能ですが、事前学習していないデータの分類ができません たとえば、空に浮かぶ雲や、海と一緒に映る雲は、その特徴から 「雲」とは識別できても、「雲の種類」までは分類できません (積雲) (入道雲) (層雲) (積雲と分類できない) (入道雲と分類できない) 分類

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32 2.AutoML Visionではどうなるか? 「AutoML Vision」では、ユーザ自身が訓練データ画像と分類 のためのラベルを共に追加し、画像とラベルの関係性を学習する モデルを構築できるため、ユーザ独自の識別が可能になります (積雲) (入道雲) (層雲) (積雲と分類できる) (入道雲と分類できる) ①ユーザ自身で 訓練データ画像 とラベルを追加し、 モデルを構築 ②構築した モデルを利用 ③分類

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33 3.AutoMLが実現する手軽なモデル構築

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34 3.AutoMLがどれほど手軽にモデル構築できるか? 訓練画像をアップし、ラベルと関連付け、[TRAIN]ボタン押下で、 モデルが構築され、評価も行われます (コーディング一切不要) https://www.youtube.com/watch?v=GbLQE2C181U 訓練画像群で [TRAIN] 適合率 (Precision) と再現率 (Recall) 、 AUCを出力 真陽性率 (True Positive) と 偽陽性率 (False Positive) から ROC曲線とAUCを出力 http://www.randpy.tokyo/entry/roc_auc 学習時

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35 3.AutoMLがどれほど手軽にモデル構築できるか? 新たに構築したモデルは、[PREDICT]ボタン押下でテストができ、 Cloud Vision APIと同じく、REST API呼出で利用できます (積雲) (入道雲) (層雲) REST API呼出で未知データをアップ 分類 テストデータで [PREDICT] テストデータ をアップ 運用時 テスト時 分類

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36 3.参考: AutoML Vision β版のUI Google Cloud Next '18 (2018/7/25開催) で発表された AutoML Vision β版では、UIが大幅に変更されていました 訓練画像群で [TRAIN]

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37 3.参考: AutoML Vision β版のUI テストデータで [PREDICT] 分類 複数ラベルとのマッチ についてもマトリクス で表示されるように REST APIおよび PythonのIFコードも 自動生成

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38 あまりに簡単で、

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39 もしかして、 エンジニア不要?…

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40 ここは最後に 振り返るとしましょう

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41 4.AutoMLの裏側 ~転移学習とNAS~

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42 4.AutoMLの裏側 ~転移学習とNAS~ 「AutoML Vision」 は、2つの最新AI・ML技術で構築されます A) 転移学習 (Transfer Learning) • 学習済みモデルを別のドメインに移し、モデルの一部のみ 別ドメインでの再学習を行うことで、モデル転用する技術 B) NAS (Neural Architecture Search) • 人手で行われていた、ニューラルネットワークの構造設計と、 ハイパーパラメータチューニングを、自動最適化する技術 (AutoML Visionでは、Advancedモード時、使われる) A) B)

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43 5. 「NAS (Neural Architecture Search)」とは?

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44 5.「NAS (Neural Architecture Search)」とは? 人手で行われていた、ニューラルネットワークの構造設計と、ハイ パーパラメータのチューニングを自動で行い、学習を行う最適化 は、「Controller RNN」と「Child Network」という、2つの ニューラルネットワークの組み合わせによって構成されています 「Child Network」は、自動チューニングされる対象のニューラル ネットワーク本体で、「Controller RNN」は、Child Network の構造を最適化探索するためのニューラルネットワークです

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45 5.「NAS (Neural Architecture Search)」とは? つまりNASは、最適な「Child Network」構造を「Controller RNN」で探索し、新たなChild Network構造を生成することで、 人手無での最適化されたモデルを獲得できる、ということです 具体的には、以下の流れの「強化学習」により実現されます ① Controller RNNが設定した、Child Networkのハイパー パラメータでChild Networkを学習させる ② 上記①で学習したChild Networkに、テストデータを入力 し、正解率 (Accuracy Score) を出す ③ 上記②の正解率をController RNNの報酬として与える ④ この報酬を元に、方策勾配法 (policy gradient algorithm) でController RNNを更新する ⑤ 上記①~④を繰り返す

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46 5.CNNにおける「NAS」 CNNの「Controller RNN」は、 層毎におけるハイパーパラメータ (フィルタ、ストライド※1 ) をグリッド サーチ…つまり全探索※2 します ※1: ストライド=フィルタのシフト幅 ※2: 実際はSkip Connectionで層飛びさせます CNNをChild Network とするNASは、右記の通り Controller RNNから Child Networkの設定 を行い、 Child Network が学習され、テスト正解率 を報酬として、Controller RNNの更新を繰り返します Controller RNN Child Network 強化学習

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47 5.RNNにおける「NAS」 RNNの「Controller RNN」は、RNNセルをChild Networkと して、RNNセル毎のハイパーパラメータ (結合、活性化関数) を グリッドサーチします 結合種別 (Add、ElementWise Multiplication、Max等) と活性化関数種別 (tanh、sigmoid、ReLU等) を、各RNN セルに対してController RNNからChild Networkに設定し、 Child Networkが学習され、テスト正解率を報酬として、 ControllerRNNの更新を繰り返します

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48 5.参考: NAS (Neural Architecture Search) 論文 2018/9/2現在、arXivで、計26本の関連論文が出ています 初投稿は2017/2/15 と1年半前になる 直近は2018/8/29、 つい先日とホットなトピック

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49 6.NASを実装するには

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50 6.NASを実装する前に…NASは重過ぎる NASを実装する前に、NASには「計算コストが高く、処理時間も 長い」という課題があり (≒800個のGPUを使って、21~28日 も実行にかかる等)、そのまま実装しても非実用的です その原因は、ハイパーパラメータの組み合わせを全探索することで、 Child Networkが収束するまで学習せざるを得ないことです (グリッドサーチの非効率さと、ほぼ同じ課題) そこで、全てのChild Networkで、重みを共有するように強制 すれば、個々の全収束を避け、学習効率を改善できる、ENAS (Efficient NAS)」という手法が考案されました

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51 6.Efficient NASについて 重みを共有することは、「転移学習」と同様のメカニズム (≒特定 のドメインで学習された重みは、別のドメインでも有効) で有用 なことが分かっており、重みは、そのままか、軽微修正で転用でき、 個々のゼロベースでの収束が不要となります NASが探索するグラフを、より大きな グラフの一部とみなし、DAGのような 単一方向の結合のみとし、重みは 転移で処理すれば、大幅に効率が 改善できます

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52 6.Efficient NASの実装例 ENASをTensorFlowで実装したコードが、論文共著者本人の Githubにあるので、こちらを使って、実装のポイントを説明します https://github.com/melodyguan/enas

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53 6.Efficient NASの実装コード 2つあるサンプルのうち、画像データセットサンプル「CIFAR-10」 の学習をENASで最適化する方について解説します 論文にも記載されている、以下2種類のCNNの最適化が可能 です ① NN構造最適化 (マクロ探索) ② CNNセル最適化 (ミクロ探索) この2種類を、search_forパラメータでスイッチしています if FLAGS.search_for == "micro": ControllerClass = MicroController ChildClass = MicroChild else: ControllerClass = GeneralController ChildClass = GeneralChild src/cifar10/main.py

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54 6.Efficient NASの実装コード マクロ検索のGeneralControllerは、Controller RNNとして、 Child Networkの接続をDAGとみなし、以下を探索します ① 中間層4層は、どの処理を選択するか? ② どのスキップ接続 (各矢印) を有効化するか? DAG表記

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55 6.Efficient NASの実装コード 選択対象である各層は、以下コードで定義します これらを、main.pyのtrain()で中間層4層にアサインすることで、 探索します コード (会場以外には、別途 お見せする機会設けます)

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56 6.Efficient NASの実装コード 各層の選択は、下記のような総当たりの組み合わせを探索し、 この後、テスト正解率を報酬として、Controller RNNの更新を 繰り返します コード (会場以外には、別途 お見せする機会設けます)

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57 6.Efficient NASの実装コード ミクロ探索のMicroControllerは、Controller RNNとして、 下記のような、Convolution Cellと、Reduction Cellの各々 を別々のDAGとみなし、以下を探索します ① 入力となるCNNセル2ノードを選択する ② 2ノードは、どの処理を選択するか?

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58 6.Efficient NASの実装コード Convolution Cell (≒normal_arc) と、Reduction Cell (≒reduce_arc) は、以下コードで定義します これらを、main.pyのtrain()でCNNセル2ノードにアサインする ことで、探索します コード (会場以外には、別途 お見せする機会設けます)

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59 6.Efficient NASを実行する 下記サイトにある「CIFAR-10 python version」をDLし、git cloneしたenasソースフォルダ配下のdataフォルダに「cifar10」 というフォルダを作成し、DLしたものを解凍します https://www.cs.toronto.edu/%7Ekriz/cifar.html マクロ探索は、以下のスクリプトで行えます ミクロ探索は、以下のスクリプトで行えます ./scripts/cifar10_macro_search.sh ./scripts/cifar10_micro_search.sh

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60 6.Efficient NASの性能を確認する 実行結果は、以下の通りで、GPU800個で21~28日かかる NASと比べ、ENASは、マクロ検索/ミクロ検索共に、GPU1個 で半日以内には終わり、エラー率もNASと変わらない精度です ここまでの性能があれば、AutoML同様、実用になるでしょう

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61 7.今後、AI・MLにエンジニアは不要?

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62 7.今後、AI・MLにエンジニアは不要? ENASは、GPU1個で約半日あれば、AutoMLと同じ画像認識 モデルの自動構築が可能なことが分かりました また、転移学習も、GPU1個で約半日あれば、やはり同じように、 画像認識モデルの自動構築が可能です (PyCon Kyushu 2018登壇時、VGG16で検証済) このように、自前でAutoMLと同様のモデル構築が可能ですが、 冒頭でお見せした通り、AutoMLによって実現されるのは、画像 認識モデルの自動構築だけで無く、以下も付いてきます ① ノンプログラミングでモデル構築が可能 ② 学習→予測→APIの過程が、使いやすいUIで提供される 自前のNAS/転移学習が出る幕は、無いように思えてきます…

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63 7.今後、AI・MLにエンジニアは不要? 潤沢な資金や、高い投資対効果が確定しない場合、AutoML では無い、自前での構築にもニーズはありそうです ① AutoMLは、1時間あたり$20と、高額なサービス ② 自前でも、1度、転移学習/ENASを構築してしまえば、 GPU1個で約半日と、あまり時間がかからない ③ UIは無くとも、正解データとなる画像をアップし、テストデータ で確認し、コンソールで正解率を確認しても、実は大差無い まだまだAI・ML開発に、エンジニアは必要な場面はありそうです accuracy = 0.995 == コンソール出力 AutoMLのUI

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64 最後に 「arXiv」では、誰でも閲覧し、利用できる論文が、2次関数的 に増え続けており、まさに日進月歩の発展が、無料で手に入る 状況で、いつまでもAI・MLを「知らない」「入門で止まっている」 「自分に関係無い」と言ってられない状況が、そこまで来ています

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65 こんな流れを受けて…

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①AI入門が終わった方向けのAI・MLコミュをどうぞ 昨年7月に発足した「福岡x人工知能x…」のミッションは、 「AI・MLに入門する人を増やし、仕事の中でAI・ML の開発ができる人を増やしていく」ということでした 実際に1年活動してみて、プログラミング会などの 手を動かすイベントも行いましたが、入門後、実務に 結びつかない実態が浮き彫りになってきました…そこで、 Institute for Advanced Intelligence Fukuoka 「IAI Fukuoka」 ≒ 「居合い福岡」 という、実務に直結のAI・Ml開発を「もくもく会」主体 で毎月開催するようなコミュニティを7月発足しました (最新AI・MLのお披露目も。connpass登録どうぞ)

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②AI・MLに欠かせない前処理系をOSSで無償提供 AI・MLには、前処理 (データクレンジング、変換・集計・加工) が 欠かせませんが、Elixir+Phoenix+Vue.jsで開発したOSS 「Esuna」を使えば、UI上でデータ処理を設定でき、AI・MLへと スムースにデータを流せます (α限定公開中、10月β公開予定)

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③Elixirで、scikit-learn/Keras相当を実装中 「Elixir」の性能・並列性・生産性をAI・ML文脈でも活かすため、 fukuoka.exでGPU実装を行い、機械学習エンジン開発中です 半年後にはscikit-learn相当、1年以内には、GPU対応済の Keras相当をリリース予定です (IAI Fukuokaでも取上げます) 北九大、京大の先生と共に Elixir GPU活用の共同研究 論文も書いてます

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もし、fukuoka.exにご興味湧いたら… ポータルサイトを先月末にプレオープンしたので、どうぞご覧ください https://fukuokaex.fun/ Fusicやベガコーポレーション といった、福岡を代表する 企業のElixir導入に至った インタビューコラムを公開中 (カラビナ、YAMAP、PIVOTと 毎週のように続々、続きます) 全世界におけるElixir採用 事例も紹介しています (国内にいると見えにくい、 Elixirの盛り上がりを実感) これまでMeetUpやQiitaで 数多く蓄えたElixir技術情報 やスライド、コラムも集約予定

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70 最後にAI・ML 以外の告知です

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9/13(木)、「重力と宇宙」イベント2回目、開催決定!! はやぶさ2開発者 村田教授と元スペースワールド部長 島田様の夢の宇宙講演です (福岡 理学部 十限目) ”宇宙世紀 講演”でググれば、トップに出ます なくなるョ全員集合 で九州を騒がせた この方を呼べました

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72 ご清聴ありがとうございます