Slide 1

Slide 1 text

CTOが語る、 これからのソフトウェアエンジニアに 必要なことと鍛え方 2022年3月18日 技育祭 2022 春

Slide 2

Slide 2 text

自己紹介 データエンジニアリング ウェブ技術が好きです 本も書きました(いずれも共著) 鈴木健太 すずけん 経歴 2012年 VOYAGE GROUP新卒入社 2018年 fluct(子会社) 取締役CTO 2022年〜 CARTA HD 執行役員CTO ポッドキャスト「 https://ajito.fm 」 得意なこと このへんにいます Twitter: @suzu_v

Slide 3

Slide 3 text

今日の発表のコンセプト 「技」術を「育」てる祭り、技育祭。 自分もこれまで、多くの人のお世話になって、自分の技術を伸ばしてきました。 社会にも少しばかり、プロダクトを出してきました。 これまでの自分のキャリアを振り返りつつ、 将来プロのエンジニアになるみなさんに、 あるいは将来のキャリアに迷っているみなさんに、 なにか将来へのヒントに1つでもなるようにと思い、 僕のこれまでの経験を拾い上げてエッセンスを抽出してみました。 ぜひ、楽しんでいってください。

Slide 4

Slide 4 text

感想・質問も気軽にお寄せください! スクリーンショット📷のツイートももちろんOKです。 ハッシュタグ #技育祭 #ホールB (時間があまれば)ツイートを拾いつつ、 Q&A時間をとるのでぜひ質問をなげてみてください! 発表中のツイート 👌 お知らせ💡 スライドはあとで公開するのでメモしなくて大丈夫です📝👌

Slide 5

Slide 5 text

いきなりですが、まとめです 解決する力 問題に会う力 おもしろい問題を 見つける できる範囲が 広がる

Slide 6

Slide 6 text

OB訪問だと思って気楽にきいてください ! 副題 北海道の片田舎から 東京にでてきてかれこれ 15年くらい経った わたしとエンジニアリング

Slide 7

Slide 7 text

アジェンダ 1: これまでのキャリア: 学生編 北海道から出てきてエンジニアになった流れ 初めてのプログラミング、研究、インターン、スタートアップ 2: これまでのキャリア: 社会人編 ソフトウェアエンジニアリングの面白さ プログラミングとソフトウェアエンジニアリングの違い 3: 「必要なこと」と「鍛え方」 10年前の自分に伝えるならなにか じゃあこれからどうしていけばいいだろうか

Slide 8

Slide 8 text

アジェンダ 1: これまでのキャリア: 学生編 北海道から出てきてエンジニアになった流れ 初めてのプログラミング、研究、インターン、スタートアップ 2: これまでのキャリア: 社会人編 ソフトウェアエンジニアリングの面白さ プログラミングとソフトウェアエンジニアリングの違い 3: 「必要なこと」と「鍛え方」 10年前の自分に伝えるならなにか じゃあこれからどうしていけばいいだろうか

Slide 9

Slide 9 text

北海道に行ったことある人? 【十勝平野】 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E5%8B%9 D%E5%B9%B3%E9%87%8E

Slide 10

Slide 10 text

北海道に行ったことある人? 【十勝平野】 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E5%8B%9 D%E5%B9%B3%E9%87%8E

Slide 11

Slide 11 text

十勝について ● 食料自給率1100% ● とても広い平野 https://tokachibare.jp/about_tokachi/

Slide 12

Slide 12 text

プログラマになるまで編: 大学入学 2006年、大学から東京にでてきた 最初は建築方面に興味があって理工学部へ もともと職業エンジニアになるつもりは全くなかった 大学1年時の授業でプログラムを書く課題がでたので、初めて書いてみた ちょっとだけ、プログラミングの基礎力をつけた 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 13

Slide 13 text

初めてのプログラムを書いていた頃の問題 n番目の三角数を求めてください。 三角数 - Wikipedia より 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 14

Slide 14 text

“ https://twitter.com/katzchang/status/1503243138013761538

Slide 15

Slide 15 text

授業のプログラムと、実世界のシステムはどうも遠そう ? そもそもどう作ったらいいかの想像すらつかない・・ 授業のプログラム 実世界のシステム 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 16

Slide 16 text

情報工学、ではなくちょっと変化球で管理工学科を選ぶ https://www.st.keio.ac.jp/departments/faculty/ae.html 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 17

Slide 17 text

突然のプログラマ実践編❶: 事務バイトのはずがプログラムを書くことに 2008年〜 先輩から紹介してもらい、特許法律事務所で事務バイトをはじめた いわゆる業務システムとの出会い 最初は事務バイトで入ったが結局プログラマとしてバイトしていた プログラムを書いてお金をはじめて稼いだ 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 18

Slide 18 text

突然のプログラマ実践編❷: 事務バイトのはずがプログラムを書くことに ● 周りにエンジニアはだれもいない環境だった ● 自分で事務作業をしてみると、面倒なところがわかってきた ● まわりの事務の方々に「何に困ってますか?」をひたすらランチや雑談 で聞いた ● すると細かい作業に手間がかかっており、目視での確認も多く必要なこ とがわかった ● 「エクセルにあるデータをそのままブラウザに反映すればいい」と気づ いた ● 調べてみると、どうやらVBAというのを使えばできるということがわ かった 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 19

Slide 19 text

少しだけ、実世界の問題を解くことができた 問題に会い、解決する力がちょっと上がった 自分にも解けそうな 小さな問題 小さな小さな課題を解く 実世界のシステム 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 20

Slide 20 text

ちょっとだけ、課題を解決することができた 解決する力 問題に会う力 おもしろい問題を 見つける できる範囲が 広がる

Slide 21

Slide 21 text

次にチャレンジしたかったこと: Web どう作れば? 小さな小さな課題を解く 実世界のシステム Web 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 22

Slide 22 text

Webを構成する要素 Web URL HTTP HTML シンプルで強力なのは、ユーザーとしてなんとなくイメージしていた Tim Berners-Lee 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 23

Slide 23 text

研究: Linked Open Dataとの出会い https://ja.wikipedia.org/wiki/Linked_Open_Data 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 24

Slide 24 text

2010年: もっとウェブのことを知りたいと思い、研究へ 山口研究室へ 人工知能・オントロジー工学・セマンティックWebの世界へ データを結びつけた形で公開することをLinked Open Dataと呼んでおり、 ちょうど大学院生のころに提唱され始めた とりあえずそこに会計データを乗っけると面白いのでは、ということで XBRLという会計用XMLフォーマットをRDFに変換したりしていた 大学図書館でひたすらプログラミングの本を借りてサンプルを写経したり 動かしたりした 研究をしていくと、ウェブ歴史的な背景を数多く学ぶ機会になった 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 25

Slide 25 text

研究をしたけど、やっぱりまだ作れるイメージがわかなかった どう作れば・・? Webの理論 実世界で動いている Webサービス Web URL HTTP HTML ? 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 26

Slide 26 text

プロの世界がわからないのでインターンにいってみた 2010年: インターンTreasureに参加した 当時ECナビ(その後VOYAGE GROUP、現CARTA HD) 学生が20-30人くらい3週間集まって開発するインターン PHPによるAPI実装、テスト駆動開発、セキュリティ、データモデリングな どについて学んだ 現場のエンジニアの方々は「持続可能なアプリケーション」をつくっている のだなあ・・ということを知った 「修羅の世界に飛び込むか・・」という気持ちでいったらみんな技術談義を 楽しんでいて、自分も自然体で楽しめた なにより自分にとって、ウェブはなくてはならないものであり、この世界に 携わりたいと思いはじめた 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 27

Slide 27 text

インターンにいったら、ちょっとイメージが湧いた 画面設計してDBモデリングして、API設計して画面ごとのURLも決めて、 認証認可を組み込んで、あとは実装すればだいたいできそう😃 Webの理論 とりあえず動く Webサービス Web URL HTTP HTML 2006 2011 2010 2015 2012 2008 󰤠

Slide 28

Slide 28 text

アルバイト、研究、インターンを通じて、 少しだけ「解決する力」がついてきた 解決する力 問題に会う力 おもしろい問題を 見つける できる範囲が 広がる

Slide 29

Slide 29 text

でもやっぱり、実世界で動くものはもうちょっと遠い気がした 「実世界」の課題を発見できていない・・? Webの理論 実世界の Webサービス Web URL HTTP HTML ? 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 30

Slide 30 text

スタートアップを始めてみた 2006 2011 2010 2015 2012 2008 2011年2月 修士1年のとき、Trippieceという旅行サービスの立ち上げ 大学院で研究をしつつ開発 きっかけは同じくECナビ(当時)にインターンに来ていた @ishidaian から、 「人を誘って旅行に行けるサービスをつくるエンジニアを探してる」 と言われたこと。 なんとなく、作れそうな気がしたので参加してみることにした。 あと、直感的に楽しそうだな〜と思った😃

Slide 31

Slide 31 text

実世界は想像よりも難しい ● かっこよく作った画面に全然ユーザがこない ● 「アルファリリースしました!」と告知しても一覧ページだけ見られた だけでユーザが帰っていく ● ユーザに旅行プランを作成してもらえるようにしていたけど、ネタのよ うなプランしか投稿してもらえない ● 旅行のプランが投稿されるだろうと思ったけど、「カフェいきましょ う」のような投稿が増えてしまったりする 結局、デザインからすべて作り直すのを2回やった。 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 32

Slide 32 text

スタートアップで世の中に踏み込んでみて、 天然の問題のおもしろさに気がついた 解決する力 問題に会う力 おもしろい問題を 見つける できる範囲が 広がる

Slide 33

Slide 33 text

【これまでのキャリア】意識的に、自分のコンフォートゾーンから飛び出していく 目的ある練習の4つのポイント ● はっきりと定義された具体的目標がある ● 集中して行う ● フィードバックが不可欠 ● コンフォートゾーンから飛び出すことが必要 “30年間同じ曲を同じやり方で繰り返し弾き続けてきたアマ チュアピアニストは、たしかに1万時間分の練習を積んだかも しれないが、30年前と比べてまったく上達していないはずだ” “ 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 34

Slide 34 text

【これまでのキャリア】気づけばコンフォートゾーンの外側へ 気づけば社会のなかでプログラムを書いていた うっすらと「お金を稼ぐ + プログラムを書く」はつながっていった 給料のため?役立つから?でも役立つものを作らないと稼げないよな、とは 漠然とこのころから思っていた なんとなくウェブに触れていた経験が自然とそうさせていた パソコンに向かっている時間が3度の飯より好き・・なんだけど、 人と出会うことで、知らない課題に会わせてもらった 「エンジニアとして」人に会うことが増えた 出会いが自分をコンフォートゾーンの外側につれていってくれた 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 35

Slide 35 text

【これまでのキャリア】なんとなく、実世界のイメージがついてきた 自分にも解けそうな 小さな問題 実世界で動く Webサービス 実世界の問題に出会って、ちょっとだけ解決することができた 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 36

Slide 36 text

学生編まとめ 少しずついろんな問題に出会い、つながっていき、少しずつ解決する力をつけた 解決する力 問題に会う力 おもしろい問題を 見つける できる範囲が 広がる

Slide 37

Slide 37 text

【これまでのキャリア】でも、きっともっとソフトウェアエンジニアリングの世界は広い 実世界で動く Webサービス 実世界で動く、大きくて 複雑なWebサービス ? まだまだ遠い世界の話のような気がする・・ 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 38

Slide 38 text

アジェンダ 1: これまでのキャリア: 学生編 北海道から出てきてエンジニアになった流れ 初めてのプログラミング、研究、インターン、スタートアップ 2: これまでのキャリア: 社会人編 ソフトウェアエンジニアリングの面白さ プログラミングとソフトウェアエンジニアリングの違い 3: 「必要なこと」と「鍛え方」 10年前の自分に伝えるならなにか じゃあこれからどうしていけばいいだろうか

Slide 39

Slide 39 text

【これまでのキャリア】入社 2012年、 VOYAGE GROUP (現: CARTA HOLDINGS) に入社 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 40

Slide 40 text

【これまでのキャリア】2012年当時作りたかったもの❶ どんなにデータをいれても遅れなく集計される クエリするとすぐ返ってくる 世界中のサイトで使われているはずなのになぜか無料 規模もさることながら、そもそもどうつくっているかの見当も当時 はつかなかった 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 41

Slide 41 text

【これまでのキャリア】2012年当時作りたかったもの❷ すごくたくさんの Webサイト 検索とかを いい感じにする API データを収集する なんらかのAPI きっとすごい速い 最強の データベース 2012年当時の自分なりにGoogle Analyticsのアーキテクチャを妄想 その後、サービスを見るたびにアーキテクチャを妄想するのが習慣に 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 42

Slide 42 text

【これまでのキャリア】「実世界のもっと大きなサービス」をやりたくてウェブ広告業界へ 2006 2011 2010 2015 2012 2008 スタートアップの立ち上げを通じて、ウェブサービスをつくるというのは 体験できた(と思っていた) せっかくだし、もっと大きなサービスを作りたい 複数のサイトをまたがって動くものというのは技術的にも面白そう 1サイトじゃ経験できない難しさを味わえそうな予感 「ウェブ広告」の仕組みが近いのでは?と思い、ウェブ広告畑へ

Slide 43

Slide 43 text

【これまでのキャリア】2012年当時作りたかったもの❸ 2012年当時の自分なりに広告システムのアーキテクチャを妄想 きっと似ているに違いない・・!(という思い込み) すごく たくさんの Webサイト データを 収集する なんらかの API なんらかの 広告在庫 いい感じに 広告を選ぶ API なんらかの 広告が 表示される 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 44

Slide 44 text

【これまでのキャリア】2012年: fluctに配属 せっかく会社に入るならでかいデータさわりたいと思い入った メディア向け広告事業をやっている子会社であるfluctへ @s_kozawa さんに誘われた 6台しかない実験用Hadoopクラスタ、夜な夜な暴走するMongoDB、 スループットの足りないPHP製APIサーバ、fluentdでのログ転送と向 き合う 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 45

Slide 45 text

【これまでのキャリア】2012-2013年: 行動ログ解析 + セグメントする基盤をつくる 新規事業の立ち上げへ ● 行動ログを集めて分析して返す仕 組み(DMP)をつくった ● エンジニア3-4人くらいのチーム ● AWSでのデータ処理(EMR、 DynamoDBまわり)をごりごり触 る機会になった https://www.slideshare.net/suzuken/dmp-30079817 DMPの仕組み データを扱う基礎力があがった 広告システムを初めて作ることで、お金の流れと経済性に興味がわき始めた しかしその後事業撤退へ・・ 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 46

Slide 46 text

クラウドインフラで、データをいい感じにする力がちょっとついた 問題に会う力 おもしろい問題を 見つける できる範囲が 広がる 解決する力 問題に会う力 おもしろい問題を 見つける できる範囲が 広がる

Slide 47

Slide 47 text

【これまでのキャリア】次のチャレンジはなにをしよう?と考えた コードの規模 売上 スタートアップ 桃源郷? 撤退しよう 順当に成長した

Slide 48

Slide 48 text

【これまでのキャリア】当時の頭の中: 雑にコード規模と売上を分解してみる コードの規模 売上 スタートアップ 撤退しよう 順当に成長した 桃源郷? これは大変そう・・ DMPでやった スタートアップもやった どこにある・・? こっちは やったことがない

Slide 49

Slide 49 text

【これまでのキャリア】2015年: fluct SSP開発へ 2006 2008 2010 2011 2012 2013 2015 SSP 当時、リリースから5年、事業的にもぐいぐい伸びているfluctのメインプロダ クト。エンジニアは15人くらい。いままで一番大きな開発チーム。 昔書かれたコードが多く、意図がわからないものも。そもそも仕組み自体が 複雑で、理解もたいへん。 こんなにでかいコードベースに対処できるのか?という不安➞またコン フォートゾーンから飛び出すことに

Slide 50

Slide 50 text

【これまでのキャリア】1日に何億回もオークションを開催する 2006 2008 2010 2011 2012 2013 2015 トラフィックの正体から考えるアドテクの面白さ - CARTA TECH BLOG より

Slide 51

Slide 51 text

【これまでのキャリア】意識的に、自分のコンフォートゾーンから飛び出していく 目的ある練習の4つのポイント ● はっきりと定義された具体的目標がある ● 集中して行う ● フィードバックが不可欠 ● コンフォートゾーンから飛び出すことが必要 “30年間同じ曲を同じやり方で繰り返し弾き続けてきたアマ チュアピアニストは、たしかに1万時間分の練習を積んだかも しれないが、30年前と比べてまったく上達していないはずだ” “ 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 52

Slide 52 text

【これまでのキャリア】たくさんの難しさ。でも超えられなくはなさそう。 事業ドメインが複雑でわからない 最初は、なにが課題でなにが課題ではないのかもわからない ヒアリングしていくと、実はチームのエンジニアも同じ状況だということがわかった コードの規模が大きい。「なぜ」こう書かれているのかがわからない でも、これまでにつけた「解決する力」があるから、なんとかなりそうな気がしてきていた 1つ機能を追加するにも、その裏にまたわからない機能がでてくる 1つをこなすのに、たくさんのコードを検証しないといけない でも1つ1つ読み解いていけば、小さな問題が見えて、また自分に解法をあたえてくれる 大きくて よくわからない 問題 小さい問題 小さい問題 小さい問題

Slide 53

Slide 53 text

【これまでのキャリア】レガシーコードと向き合う https://speakerdeck.com/suzuken/phpcon2017

Slide 54

Slide 54 text

【これまでのキャリア】内部品質をあげると、機能改善もしやすくなっていった 様々な手段を使って徹底的に分解し、問題を1つ1つ解いていった。 ● 無駄な例外を消して例外を構造化する ● 徐々に型を付けていく ● ひたすらデッドコードを消す ● ペアプログラミングで知識を伝搬する その結果、読みやすく・テストしやすく・変更しやすくなった。 大きくて よくわからない コードベース ちょっと 読みやすい コードベース 安全に 書き換えやすい コードベース

Slide 55

Slide 55 text

問題を小さくし、少しずつ解決していった 解決する力 問題に会う力 おもしろい問題を 見つける できる範囲が 広がる 少しずつパッチをあてて、 コードベースに詳しく。 視野が広がっていく。 解ける大きさの問題に分割。 1つずつ解いていく。

Slide 56

Slide 56 text

【これまでのキャリア】入社前に思い描いていたこと(再掲) 2006 2008 2010 2011 2012 2013 2015 実世界で動く Webサービス 実世界で動く、大きくて 複雑なWebサービス ? まだまだ基礎も足りない気がする・・ あと課題もまだわかってない気がする・・

Slide 57

Slide 57 text

【これまでのキャリア】実際はこう たくさん失敗して、たくさんコードを書いて、 たくさん学んで、ようやく改善につながっていった 実世界で動く 小さな小さな Webサービス 実世界で動く 大きくて複雑な 価値を与え続ける Webサービス

Slide 58

Slide 58 text

エンジニア リング 【これまでのキャリア】ちょっとずつ分かってきたこと 利用される価値 プロダクト=資産 質への投資 お金になる価値 プロダクトが大きくなると、使う人も開発す る人も増える 長くプロダクトの「質」を保つことは難しい 「質」を保つためのエンジニアリングは、 将来に価値を与える 「質」に投資すればプロダクトは「資産」に なり、長期的に価値を生み出す 使われ続けるサービスになるには、プロダク トが変化し続ける必要がある 気づけば「ソフトウェアエンジニアリング」 に出会っていた

Slide 59

Slide 59 text

ソフトウェアエンジニアリングと プログラミングの違いって なんだろう?

Slide 60

Slide 60 text

再掲: 初めてのプログラムを書いていた頃の問題 n番目の三角数を求めてください。 三角数 - Wikipedia より

Slide 61

Slide 61 text

「ソフトウェアエンジニアリング」と「プログラミング」の違い プログラミングとソフトウェアエンジニアリングの決定的な違いは3 つある。 時間、スケール、そして作用しているトレードオフだ。ソフトウェ アエンジニアリングのプロジェクトにおいてエンジニアは、時間の 経過と、結果的に出てくる変更の必要性に、より配慮しなければな らない。ソフトウェアエンジニアリング組織内では、生産するソフ トウェアと、ソフトウェアを生産する組織、それら両方のスケール と効率に関してより配慮しなければならない。最後に、ソフトウェ アエンジニアとして我々は、時間と発展に対する不正確な見積もり に多くの場合基づき、比較的大きな利害の関係する結果を伴う、よ り複雑な決定の実行を求められる。 “

Slide 62

Slide 62 text

社会を意識するように👀 問題に会う力 プログラムをたくさん書く中で、 「何をつくるか」「どんな価値を生み出すか」の興味がどんどん湧いてきた。 携わっている広告事業についてあらためて俯瞰して眺めてみた。 ウェブ広告は、「Profit Stream」とも呼ばれる。 バナーを貼るとなぜお金が生み出されるのか? 経済性を生み出し、コンテンツの支えとなる構造である。 電車内の広告をみて裏のシステムを想像する そこにもプロダクトがあり、経済性があり、解決している人たちがいる。

Slide 63

Slide 63 text

社会から、人から、好奇心から、問題は広げられる まだ知らない 外の世界 解決する力 問題に会う力 おもしろい問題を 見つける できる範囲が 広がる

Slide 64

Slide 64 text

ソフトウェアと経済性: たくさん使われるコードを書く 広告システムだと1回書いたコードが 毎日数億回利用されたりする きっと今日も誰かが自分の書いたコー ドを通り抜けていく たくさん使われるコードは必然的にお 金が集まり、人が集まり、コードベー スが磨かれていく 使われないコードは放置されていく 利用される プロダクト 質への投資 お金 経済合理性と コードメンテナンス 使われるプロダクト には、投資する理由 が生まれる 利用されない ☠ 放置

Slide 65

Slide 65 text

アジェンダ 1: これまでのキャリア: 学生編 北海道から出てきてエンジニアになった流れ 初めてのプログラミング、研究、インターン、スタートアップ 2: これまでのキャリア: 社会人編 ソフトウェアエンジニアリングの面白さ プログラミングとソフトウェアエンジニアリングの違い 3: 「必要なこと」と「鍛え方」 10年前の自分に伝えるならなにか じゃあこれからどうしていけばいいだろうか

Slide 66

Slide 66 text

解決する力 問題に会う力 おもしろい問題を 見つける できる範囲が 広がる 必要な2つの力

Slide 67

Slide 67 text

最初は小さく、プログラムを書き始める n番目の三角数を求めてください。 三角数 - Wikipedia より

Slide 68

Slide 68 text

授業のプログラムと、実世界のシステムは遠い どう作れば? ? 授業のプログラム 実世界のシステム

Slide 69

Slide 69 text

実世界で動く 小さな小さな Webサービス 実際の問題は、もっと複雑で、大変で、とてもおもしろい! 実世界で動く 大きくて複雑な 価値を与え続ける Webサービス たくさん失敗して、たくさんコードを書いて、 たくさん学んで、ようやく改善につながっていった

Slide 70

Slide 70 text

意識的に、自分のコンフォートゾーンから飛び出していく 目的ある練習の4つのポイント ● はっきりと定義された具体的目標がある ● 集中して行う ● フィードバックが不可欠 ● コンフォートゾーンから飛び出すことが必要 “30年間同じ曲を同じやり方で繰り返し弾き続けてきたアマ チュアピアニストは、たしかに1万時間分の練習を積んだかも しれないが、30年前と比べてまったく上達していないはずだ” “ 2006 2011 2010 2015 2012 2008

Slide 71

Slide 71 text

少しずつ、自分の力を伸ばしていくと、より大きな問題を解けるようになる 解決する力 問題に会う力 おもしろい問題を 見つける できる範囲が 広がる 新たについた力をつかって、 また新しい問題と出会う。 コンフォートゾーンを超えて やってみる。

Slide 72

Slide 72 text

「鍛え方」というより「楽しみ方」: もっと実世界の複雑さを楽しもう ● 実際に使われる世界は、予測が難しい ● 予測が難しいほうが、面白い ● 「ソフトウェアエンジニアリング」は実世界の難しさを手元に たぐり寄せ、制御し、時間の積分をつかって解く技術 ● 「プログラミング」する力は解ける問題の幅を広げてくれる ● あれこれ考えるのもいいけど「やってみる」力をプログラミン グは与えてくれる やってみると、続けてみると、きっともっと面白い