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©MIXI ©MIXI MIXI 24新卒技術研修 データ活⽤研修 >> データ可視化編 開発本部 CTO室 データG 柏 正典

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2 ©MIXI 本⽇のAgenda ● ⾃⼰紹介 ● イントロダクション ● データを可視化(わかりやすく表現)する⽬的 ● よりよい可視化のテクニック ● さいごに

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3 ©MIXI ⾃⼰紹介 麻雀 M-リーグ、プロ経験あり。 YouTube鑑賞 数学系(よびのり)、クイズ系(QuizKnock) 料理 理系的&肉系 大学卒業後、小規模ソフトハウスにて、プログラミング、ハードウェア開発、プロジェクトマネジメントの基礎を身につける。その 後、大手自動車メーカのグローバル市場情報室において、 3C(Customer, Competitor, Company)視点での多角的な現状把 握とオポチュニティ分析を行い、商品・サービス・ブランド戦略構築に大きく貢献した。 2017年には、同社企画部門における データ活用組織を初めて立ち上げ、 Big Dataによるニーズ探索手法の開発や、社内におけるデータ利活用促進をリードし、 1000人を超える社員を対象としたダッシュボードを公開し、大反響を得た。その後、データ活用のコンサルベンチャーへ転職。 数多くのデータ活用支援を実施。 2023年10月MIXI入社。 東京都立大学工学部卒。 専門:カスタマーインサイト、定性・定量調査、統計分析、データマネジメント /ビジュアライゼーション 開発本部 CTO室 データG 柏 正典

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©MIXI イントロダクション

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5 ©MIXI データとは 1. 物事の推論の基礎となる事実。また、参考となる資料・情報。
 2. コンピューターで、プログラムを使った 処理の対象となる記号化・数字化された 資料。デジタル大辞泉(小学館) アクティブ ユーザ数 出社率、勤務時間 稼働時間、コード行 数 満足度アンケート SNSコメント ワードクラウド AppStoreの星 ファイナンシャル 指標 データの例 数値だけでなく、質的に表現された指標も データととらえることができる。

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6 ©MIXI 今まで、データを使ったことがありますか? ■ どんなデータ ■ どんな場⾯ ■ データを⾒せた or ⾒た/⾒せられた ■ その結果、どうした?

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7 ©MIXI 本セッションの⽬的 ● 昨今、私たちは、容易にデータを⼊⼿することができるようになりました。 ● これらのデータは、そのままの状態では価値を⽣むことはありません。 ● データは、意思決定に利⽤され、初めてその価値を発揮します。 ● しかし、データの中から意思決定に必要な情報を⾒極めることは容易ではありません。 ● このセッションでは、データから必要な重要な情報を⾒つけ出し、組織内で効果的に共有 するための秘訣ともいえる”データの可視化”の⽬的と技術について学びます。 データから重要な情報を⾒つける練習をしてみましょう。

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8 ©MIXI 9は、いくつ?3秒で答えてください。

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9 ©MIXI 9は、いくつ?3秒で答えてください。

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10 ©MIXI 早押しクイズ 次のページには、ある商品(A~G)の⽉次売上が掲載されています。 Q. 11⽉に⽐べ、12⽉に売上が⼤きく伸びた商品(2つ)は、何か? わかったら、挙⼿してください。

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11 ©MIXI Q. 11⽉に⽐べ、12⽉に売上が⼤きく伸びた商品(2つ)は、何か? 答えがわかったら、「なぜ⾒づらいのか」理由を考えてください。 (想定解は4つ)

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12 ©MIXI Q. 11⽉に⽐べ、12⽉に売上が⼤きく伸びた商品(2つ)は、何か? 答えは、商品Bと商品C。 この表が⾒づらい理由: ①⼤きな数字が1円の単位で記載、②数字が中央揃え、 ③3桁区切りのカンマがない、④12⽉がどこにあるのかわかりにくい

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13 ©MIXI 改善案① - 表を⾒やすくする 表⽰する桁数を減らし(最⼤5桁)、数値を右揃え、着⽬する12⽉に⾚枠をつける、数値により⾊のグラデー ションをつける、といった⼯夫で数値を⾒やすくすることができる。

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14 ©MIXI 改善案② - 折れ線グラフにする 折れ線グラフにすることによって、より直感的に12⽉に売上が伸びた商品を把握することができる。 ‧‧‧こちらのチャートは、まだ改善の余地があるので、それはセッション後半で取り上げます。

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©MIXI データを可視化(わかりやすく表現)する⽬的

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16 ©MIXI データを可視化する⽬的 データから気づきを得る。 ⼈に主張を伝える。 探索/検証 説明 主張をデータにより補⾜することで 説得⼒を持たせ、 受け⼿の⾏動変容を促す。 データを⾒やすく加⼯し 認知負荷を下げ、 重要な気づきを得る。 上司や部下とのコミュニ ケーションにおいて重要 気づきを 伝える。 ありのままのデータを、 ⾒やすくする。 主張したいデータを、 ⾒やすくする。

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17 ©MIXI データを可視化する⽬的 - 例 探索/検証 説明 上司や部下とのコミュニ ケーションにおいて重要 気づきを 伝える。 ● 提案資料 ● 営業資料 ● 広告 ● KPIダッシュボード ● ⼝コミサイト ● 試⾏錯誤のグラフ ありのままのデータを、 ⾒やすくする。 主張したいデータを、 ⾒やすくする。

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18 ©MIXI ⽬的を達成できない可視化 わかりにくい 遅い 疑わしい ● データから「価値を⾒つけ伝える」ための可視化だが、この⽬的を達成できない可視化に は、⼤きく3種類ある。 グラフが煩雑で、⾊や線が多く、 着⽬すべき点を理解するのに苦労する。 試⾏錯誤をしながらデータを⾒たいが、 切り替えに時間がかかり 都度、思考が途切れる。 データの出典の未記載、 主張を誇張し客観性に⽋けるグラフ、 など、データに疑義が⽣じて 主張⾃体に疑念を抱かれる。 機会損失につながる ● データから、価値を⾒出すことをあきらめる。 ● データへの疑念から主張の信憑性が失われ、期待した態度変容が望めなくなる。

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19 ©MIXI ”疑わしい”可視化の例 - 誇張せずとも、事実は伝わる。 ● 「縦軸の⼀番下をゼロ」としないことで、データは誇張されるが、信頼を失う。 ➡ 何か、やましいことがあったのか?データは本当に正しいのか?>炎上 ● 誇張せずとも、データが事実であれば、主張を伝えることができる。 有給休暇も平均取得率は、令和2年から令和4年にかけ、増加傾向にある。 有給休暇 平均取得率 出典:J-CAST ニュース. 東京都サイトのグラフに「誇張」指摘→修正 ⽬盛が不均等、⾒た⽬は数倍改善...理由や意図は「特段ない」? https://www.j-cast.com/2024/02/06477624.html?p=all , (2024-4-11)

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20 ©MIXI 「わかりやすい」とは「認知負荷が低いこと」 ● わかりやすいグラフは、直感の右脳でデータを理解することができる。 ● 煩雑なグラフでは、⼈は論理をつかさどる左脳でデータを理解しようする。 →理解のために考える必要がある可視化のことを「認知負荷の⾼い可視化」と呼ぶ。 出典:Statwrok "右脳と左脳の情報処理能力の違い 可視化における究極のゴールは、グラフを見て瞬時に「気づきが得られる」「理解できる」グラフを作ることである。 右脳の処理能力は、
 左脳の10万倍とも
 言われている。
 (40byte/sec vs 430万 byte/sec)
 右脳(直感) 左脳(論理)

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21 ©MIXI 『優美なデータは、物語に華を添え、 混沌としたデータは、説の⼒を削ぐ。』 “Elegant data decks narrative with grace, while turbulent figures sap the argument's base.” Masanori Kashiwa

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©MIXI よりよい可視化のテクニック

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23 ©MIXI グラフの種類 - Chart Chooser ツールの進化により、様々な形でデータを可 視化することができるようになりました。 しかし、可視化が⼀般的なものでない 場合、認知負荷の要因となるリスクが あります。ビジネスの場において、以下の4 つが重要。 https://extremepresentation.com/design/7-charts/ https://www.qlik.com/blog/third-pillar-of-mapping-data-to-visualizations-usage 1. 棒(積み上げ)グラフ 2. 折れ線グラフ 3. 散布図/バブルチャート 4. パイチャート 関係 ⽐較 分布 割合 ‧‧‧グラフ選びは、 そんなに重要ではない。 どのグラフを選ぶべきか、悩むケースは限定的。

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24 ©MIXI もっとも⼤事なこと シンプルに、過不⾜なく。 重要な要素を強調し、 ⾒ればわかる冗⻑な説明と必要のないオブジェクトは消す。

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25 ©MIXI 可視化における不要な要素を排除する。 可視化をシンプルにするコツ 伝えたいメッセージを整理する。 効率的にデータを観察しようと多種多様なデータを⼀度に⾒ようすると、かえって⾮効率。 また、データを使って⼈にストーリーを場⾯においても、情報量の多い可視化は聞き⼿の 認知負荷を⾼めるリスクがある。 グラフソフト(Excel / Google Spread Sheet)でデータを可視化する際、デフォルトで利⽤すると 冗⻑な要素が存在するが、グラフ作成者が気づいていないことがある。

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26 ©MIXI 伝えたいメッセージを整理する。 ● プレゼンテーションだけに限らず、普段の仕事においてデータを可視化する際には、 以下の観点で整理するとよい。 探索/検証 説明 問い 何を明らかにするのか? ✔ ✔ 手段 何のデータをどう使うのか? ✔ ✔ 基準 何と比べるのか? ✔ ✔ 結果 何がわかったのか? ✔ 要因 なぜ、そうなったのか? ✔ 提案 その結果、何をすべきか? ✔ 「データの可視化」 とは直接関係ないが、 データを利⽤する際 の重要な要素である。

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27 ©MIXI データがなくて説得できなかった実話(誇張あり) 私 :最近、めちゃくちゃ忙しいので、何とかしてほしいんですけど、、、 上司 :どのくらい忙しいの? 私 :超残業してます。 上司 :超って?何にどのくらい時間を取られているの? 私 :‧‧‧なんで、わかってくれないの!!! 私 :最近、めちゃくちゃ忙しかったので、過去半年の残業時間を⼀緒に⾒てもらえますか?」 上司 :どれどれ。 私 :こんな感じで、最近2か⽉の残業時間が過去の平均よりも40時間も多くなっています。 理由は、xxです。 上司 :なるほど。 私 :誰か、ヘルプに⼊ってもらえるよう調整していただけませんか? 上司 :了解、考えておく。 データなし データあり 問い ⼿段 基準 提案 要因

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28 ©MIXI 可視化における不要な要素を排除する。 余計な要素を排除しグラフを⾒やすくするための考え⽅として「データインク率 (Data-Ink Ratio)*」がある。これは、データ以外の装飾に使うインクは最⼩限にすべき、 という発想から⽣まれた⾔葉です。 *)Data-Ink Ratio = データを表すために使われたインク量 / グラフ全体のインク量。⼩さいほど、シンプルでわかりやすい。 出典: Remove to Improve(the data-ink ratio)

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29 ©MIXI グラフツールのデフォルト設定は、冗⻑なことが多い。 多くの⼈が様々な⽤途で使うツールにおいては、「情報なくて困る」よりは「冗⻑でも情 報がある」ことを優先するため、冗⻑な設定となっている(と、私は考えている) 。 私たちがデータを表現する場⾯では、これらの表現を削除することお勧めする。 「売上」が重複。 「⾦額」は、 単位を⾒ればわかる。 横軸の値を⾒れば、 ⽇付であることは ⾃明。 グリッド線が 多すぎる。 不要な枠線。 ⼩数点2桁 凡例とデータの 位置が遠い。 ⾊が わかりにくい。

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30 ©MIXI 【重要】わかりやすい可視化で考慮すべき要素 ⾊ Color ⽂字 Text 線 Line 配置 Layout 視線の動きに沿ったレイアウトを意識する。上→下。左→右。 空白を置くことで、視点を目立たせたい場所に誘導する。 意味が近い情報は、近接させる。(例:データと凡例) 利用する色数を、なるべく3色以下にする。 人は、1度に8色以上の色を認識することができない 。 不要な情報は、目立たない色を使う(グラデーション/グレースケール) 冗長な罫線 / 枠線は極力削除する。 必要な場合は、目立たないよう色・太さ を配慮する。 グラフのグリッド線は、3本以下がオススメ。なくてもよい。 冗長な文字は極力削除 する。(例:軸ラベル、データラベル) 主張したいメッセージは、短い文章で強調。 補足的な情報は、目立たないよう色・サイズを配慮する。 認知の しやすさ Abc

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31 ©MIXI わかりやすい可視化で考慮すべき要素 - スライド作成時にも応⽤できます。 ⾊ Color ⽂字 Text 線 Line 配置 Layout 視線の動きに沿ったレイアウトを意識する。上→下。右→左。 空白の領域を置くことで、視点を目立たせたい場所に誘導する。 意味的に近い情報は、近接させる。(例:データと凡例) 利用する色数を、なるべく3色以下にする。 人は、1度に8色以上の色を認識することができない。 不要な情報は、目立たない色を使う(グラデーション/グレースケール) 罫線 / 枠線は、削除する。 必要な場合は、目立たないよう色・太さを配慮する。 グラフのグリッド線は、3本以下がオススメ。なくてもよい。 グラフ内の冗長な文字は極力削除する。(例:軸ラベル、データラベル) 主張したい重要なメッセージは、強調。 補足的な情報は、目立たないよう色・サイズを配慮する。 認知の しやすさ Abc

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32 ©MIXI 冒頭の説明で使ったグラフの改訂版 ■商品C
 ■商品G
 ■商品B
 ■商品A
 ■商品D
 ■商品F
 ■商品E
 ● 2023年12⽉の売上が伸びた商品を強調するようなグラフになっている。 軸の ⼩数点を削除 凡例と値を ⾒やすい位置に 変更 グリッド線を減らし 枠線を削除 単位を追記。 ”⽇付”の ラベルを削除 主張したいデータと その他で⾊を分けた。

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33 ©MIXI さいごに ● わかりやすい可視化は、受け⼿への気遣いである。 ○ 「少々乱雑なグラフでも意図は伝わる」と考えることできる。 ○ 受け⼿によっては、瞬時に理解しづらいグラフに苛⽴ちを感じることもある。 ○ 組織内で協調しながら成果を出すために、情報をわかりやすく伝えるための配慮が求められる。 ● よい可視化かどうか、「判断すること」と、「作ること」は別物。 - 料理をできなくても、料理がうまいかどうか、判断することはできる ○ 誰でも「わかりやすいグラフ」かどうかを判断することはできる。 → それが「わかりやすい」ということ ○ ⾃分で作るためには、ノウハウを知り練習をする必要がある。 ● わかりやすく作るのは⼤変。場⾯に応じた作りこみにする ○ わかりやすいグラフを作るには労⼒がかかるが、タイミングを逃してしまっては、本末転倒。 ○ ⽇々のコミュニケーションで使う場⾯や、多くの関係者に対する説明する場⾯では、作りこみのレベルを使い分けること。 ● データに対して誠実であること ○ 主張を伝えるために、恣意的な可視化や不都合なデータを隠ぺいをしないこと。 ○ データに疑念を持たれることでストーリー全体の信憑性を損なうリスクとなる。 ○ 意図しないデータを⾒つけても、事実に向き合い不利益な事実も含めて相⼿に説明することが、信頼を得る近道となる。

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34 ©MIXI まとめ シンプルに、過不⾜なく。 ⽇々の業務の中で、データを⾒る機会を増やし、 シンプルなグラフ作りを⼼がけてもらえれば幸いです。

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35 ©MIXI 参考⽂献 ● 『データ視覚化のデザイン』 ○ 永⽥ゆかり [著] 2020 SBクリエイティブ 可視化に関する要素が余すことなく書かれた本。ダッシュボードの事例も多い。 ● 『Google流資料作成術 - storytelling with data』 ○ コール‧ヌッスバウマー‧ナフリック [著]、村井瑞枝 [訳] 2017 ⽇本実業出版社 データを使ってストーリーを語るための⼿順について具体的に詳しく書かれている。 ● 『ビジネスダッシュボード 設計実装ガイドブック』 ○ 池⽥俊介、藤井温⼦、桜井将允、花岡昭 [著] 2023 翔泳社 ビジネスで活かされるダッシュボードについて、要件定義から実装、運⽤まで書かれている。 ● 『なるほどデザイン 〈目で見て楽しむ新しいデザインの本。〉』 ○ 筒井 美希 [著] 2015 エムディエヌコーポレーション 様々な事例について、良いデザインと惜しいデザインを⽐較しながら理解でき、わかりやすい。

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