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× 組織と人をどう育てるか 〜プロダクトマネジメントエコシステムを紐解く〜 2025.02.26 PdM Days 2025

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× Mutureおよびマルイユナイトについて (1/2) 2022年4月設立された、丸井グループとGoodpatchによるジョイントベンチャー Mutureとしてデジタル専門人材の採用を行っており、出島的な位置付けの組織となる。 関係性システム × デザインの考え方に基づいた「伴走型・組織開発DX」が特徴。 現在は丸井グループ以外の大企業支援やソーシャルセクターにも活動領域を広げている。 2024年10月設立された、丸井グループの100%子会社 フィンテック×小売のアセットを活用した、デジタル顧客接点におけるUX戦略策定から 構築までを担うプロダクトカンパニー。 「ビジネス×テック×クリエイティブを一体とした組織」「価値探索型」「内製開発」 を基本方針としており、現在は創業フェーズとして専門人材採用を積極的に進めている。

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× Mutureおよびマルイユナイトについて (2/2) 「大企業文化」「テック文化」という異なる2つの文化を、段階的な出島戦略を約2年半かけ実行していくことで、 大企業の内部に新たな文化を醸成し、外部人材含めて共創可能な土壌をソフト・ハードあわせて準備を進めてきた。 引用: トランスフォーメーションのストーリー: 丸井グループ 詳しくはnoteに →

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マルイユナイトのプロダクト組織と、プロダクトマネージャーの役割 丸井グループは、主に「フィンテック」「小売」の2つのドメインにおいてビジネスを展開している。 領域ごとに深いドメイン知識が求められるため、ドメインごとにPdMを配置し、プロダクトチームを紐づけている。 基本的にドメイン以下については事業会社との密な連携が必須であるため、内部人材を登用し育成することを優先している。 Synergy Level グループ全体で一貫したUXを実現していくための, 事業会社横断した価値探索および戦略策定を担う. • グループ戦略実現に向けたプロダクト戦略の策定 • ドメイン横断したロードマップアラインメント • リソースアロケーション (人・金) Domain Level 事業会社間における戦略レベルでの連携を担う. • 事業戦略を踏まえたプロダクト戦略の策定 • ロードマップマネジメントおよび優先順位付け(Epic) • 数値進捗/予算管理 Product Level プロダクトディスカバリー/デリバリーの実行を担う. ・データ分析、ユーザーインタビュー ・探索結果に基づく企画立案および価値検証 ・事業部門と連携した要求定義, PBLマネジメント

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TechLead Product Designer Product Manager プロダクトチーム組成のための「トレーニング」「パートナーシップ」「採用」 「プロダクトトライアド」における責任範囲を分解し、社内人材で担保していく部分と外部人材で担保していく部分を明確化。 トレーニング ・断片化している情報の所在がわかり、集めてくることができる ・事業状況と内部の温度感を理解しており、施策の妥当性を評価できる ・組織の力学を理解しており、正しく調整をすることが出来る Bridger Product Coach ・プロダクトマネジメントの観点からBridgerの動きを支援する (Muture) トレーニング UX Researcher UI Designer パートナーシップ ・接客に長けた一般社員を中心にインタビュー設計〜実査までを担当 ・パートナー企業(Muture)より半常駐型でアサイン パートナーシップ トレーニング Project Manager Engineer パートナーシップ ・情シス子会社等での開発経験がある一般社員を中心にアサイン パートナー企業より半常駐型でアサイン 実行責任: 「価値リスク」「事業実現性リスク」 説明責任: 「プロダクトのアウトカム達成」 実行責任: 「ユーザービリティリスク」 説明責任:「プロダクト体験」 組織内の暗黙知が十分に低減、 もしくは完全新規サービスにおいては この区分を廃しPdMに統一させていく 将来的なUIデザイナーの採用は視野には あるが、現状ではMutureでアサイン可能 であるため優先度は低い 実行責任: 「実現可能性リスク」 説明責任: 「プロダクトのデリバリー」 ソースコードレベルでコントロールする ために、シニアクラスのエンジニアを 中心に積極採用中

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× 丸井グループにおける 「人的資本投資」と「組織・人」の進化

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丸井グループにおける、15年以上の歳月をかけた企業変革の歩み 丸井グループは、社会課題解決(インパクト) と利益の両立を実現する「社会課題解決企業」への進化を掲げており、 これの実現に向けたマイルストーンおよび独自KPIを開示するなど、企業変革に力を入れている企業の1つとなる。 丸井グループにおける「人的資本投資」と「組織・人」の進化 引用: この指とーまれ!by MARUI GROUP ① ② ③

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① 「新しい企業文化」の実現: 丸井グループにおける人的資本経営 経営危機状態にあった2007年のタイミングより、企業文化の変革に向けた取組みを複数同時進行で実行。 「変化を嫌わず、当然のこととし、前向きに変化を楽しめる組織を目指す」ことを掲げる。 この取組みの結果、人的資本投資におけるIRRは12.7%と有形投資のハードルレートとなる10%を上回ることが実証される。 丸井グループにおける「人的資本投資」と「組織・人」の進化 企業理念 対話の文化 働き方改革 多様性の推進 手挙げの文化 グループ間職種変更異動 パフォーマンスとバリューの二軸評価 ウェルビーイング

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② 「社会実験企業」への進化: Mutureの専門人材によるアクションリサーチ (1/2) 企業文化2.0として「社会実験企業」への進化に移り、このタイミングにMutureも設立される。 Mutureの専門人材によるリサーチの結果、「実験する組織」を実現するためにはスキルトレーニングだけでは不十分であり、 モノづくりの環境やプロセスそのものから見直していく必要があることが明らかとなる。 丸井グループにおける「人的資本投資」と「組織・人」の進化 引用: 丸井グループが取り組むエンタープライズアジャイルと プロダクトマネージャーの役割

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② 「社会実験企業」への進化: Mutureの専門人材によるアクションリサーチ (2/2) アクションリサーチを行っていくにあたっては、探索〜検証までの実験を行いやすい特区としてプロジェクトを組成。 実際にプロジェクトを進めていく過程で、丸井グループ内に存在するあらゆる課題の洗い出しを進めていき、 様々な論点を踏まえ、最終的に設立されたのが「マルイユナイト」となる。 丸井グループにおける「人的資本投資」と「組織・人」の進化

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× ③ 「社会課題解決企業」への進化: マルイユナイトの設立 「実験する組織」として必要な機能を備えスタートしたマルイユナイトですが、戦略を実行していくにあたっては 「事業会社とのビジネスプロセスの不一致」「レガシー化した基幹システム」「過度な外注依存」などの課題が浮き彫りに。 「社会課題解決企業」への進化に向けて、まずは戦略実行力を高めるべくこれらの課題に対峙している。 丸井グループにおける「人的資本投資」と「組織・人」の進化

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× 大企業の中に 「プロダクトモデル」を実装する

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企業組織は複雑系であり、複合的な要因を紐解きながら打ち手を講じ続けることが重要 大企業の中に「プロダクトモデル」を実装する 個人レベル チームレベル グループレベル 組織レベル 特に大規模組織においては「歴史・文化」「人・組織」「制度・プロセス」など、様々な要因が絡み合うことで課題が生じ ているため、特定の課題に対して打ち手を講じる場合も、思わぬところにまで影響範囲が及ぶことは少なくない。 → 実際に事業・プロダクトに携わりながら、課題を洗い出し、検証までを行うアクション・リサーチは有効な手段となる。

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組織の進化にあたっては、あらゆる事象に対して向き合い続ける覚悟が求められる (1/2) アクション・リサーチで発見される課題は多種多様であり、解決に向けては総合格闘技のようなスタイルが求められる。 大企業の中に「プロダクトモデル」を実装する

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組織の進化にあたっては、あらゆる事象に対して向き合い続ける覚悟が求められる (2/2) 2008年から始動した企業変革は、「企業文化変革」→「実験する組織」→「社会課題解決」へと着実に歩みを進めてきた。 大企業の中に「プロダクトモデル」を実装する ② 社会実験企業への進化: Mutureの専門人材によるアクションリサーチ (2022.4-) ③ 社会課題解決企業への進化: マルイユナイトの設立 (2024.10-) ① 新しい企業文化の実現: 人的資本経営 (2008-) 専門人材採用による内製開発の加速 ITシステム/開発環境のモダナイゼーション <人材戦略> 専門人材採用に向けた人事制度の策定 既存人材のデジタルスキル向上(OJT, PBL) <ビジネスプロセス> リソース効率からフロー効率へ 企画〜開発まで一貫した優先度付け <組織開発> 職能横断型チームの組成 マネジメント層の役割定義の変更 <制度・規定> 企画/開発決裁フローの見直し 前例のないケース時のトライアルフロー <仮説検証・アジャイル> 仮説検証型アジャイル開発 インサイトマネジメント 「実験する組織」の実現に向けた課題整理 → 新しい組織体制の構築 次期中期経営計画:「好き」を応援するビジネス (2025.5公表予定)

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組織の進化にあたっては、あらゆる事象に対して向き合い続ける覚悟が求められる (2/2) 2008年から始動した企業変革は、「企業文化変革」→「実験する組織」→「社会課題解決」へと着実に歩みを進めてきた。 大企業の中に「プロダクトモデル」を実装する ② 社会実験企業への進化: Mutureの専門人材によるアクションリサーチ (2022.4-) ③ 社会課題解決企業への進化: マルイユナイトの設立 (2024.10-) ① 新しい企業文化の実現: 人的資本経営 (2008-) 専門人材採用による内製開発の加速 ITシステム/開発環境のモダナイゼーション <人材戦略> 専門人材採用に向けた人事制度の策定 既存人材のデジタルスキル向上(OJT, PBL) <ビジネスプロセス> リソース効率からフロー効率へ 企画〜開発まで一貫した優先度付け <組織開発> 職能横断型チームの組成 マネジメント層の役割定義の変更 <制度・規定> 企画/開発決裁フローの見直し 前例のないケース時のトライアルフロー <仮説検証・アジャイル> 仮説検証型アジャイル開発 インサイトマネジメント 「実験する組織」の実現に向けた課題整理 → 新しい組織体制の構築 次期中期経営計画:「好き」を応援するビジネス (2025.5公表予定)

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「組織・人」の進化は一日にして成らず。トランジション期のデザインを忘れない。 組織規模が大きくなるほどトランジション期は長期化するため、必然的に組織設計の重要度は高まる。 出島型にすることで出島側の文化は育みやすくなる一方、既存組織との連携はどんどんと薄れていく。 組織設計における結合度と凝集度を適切にコントロールすることで、新しい文化を育み、波及させる半径までをデザインする。 大企業の中に「プロダクトモデル」を実装する 引用: 201219 Two Loops JA

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トランジションを生み出す「無形の実践知」を活用する 大企業の中に「プロダクトモデル」を実装する 組織変革やDX関連のナレッジは昨今でも多く発信されていますが、実際には対象企業ごとに存在する「無形の実践知」の上 で成立していることも多く、特に外部人材の場合はここをセットにしないと変革を生み出しづらいのが実情です。 アクションリサーチでの学びを元に、パターン・ランゲージを用いてこれを参照可能な形にしていくことにも挑戦しています。