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青森市の中古戸建住宅の価格決定要因の分析
ー価格上昇の有無とリフォームの視点からー
青森公立大学経営経済学部 ( 山本ゼミ 2年生 ) 伊藤小遥、中野優花、馬場美妃、松林晴香、工藤新、山本朔太郎
‣「住宅価格の高騰に対策ある? 空き家の有効活用、後押しを」日本経済新聞社(2026年1月24日)
‣「青森市も空家数、空家率ともに、全国と同様に増加傾向で推移」青森市空家対策計画(第2期)
‣「住宅ローン、平均例で計月1万4000円増 利上げの影響試算」日本経済新聞社(2025年12月19日)
‣「ヘドニック分析を用いた中古住宅リフォームの価値向上効果」…小林(2011)
【問題意識】
新築住宅の価格や住宅ローンの金利が上昇を続け
るなか、青森市では空き家も増加している。
こうした状況のなか、青森市の中古住宅市場に焦
点を当て、(1)中古住宅価格の変化、(2)リフォーム
による価格上昇効果を推計し、(3)青森市における中
古住宅の取引活性化に向け、中古住宅の需給者への
提案をする。なお、データベースは不動産・住宅サ
イト「SUUMO」から入手する。
0.50
1.00
1.50
2.00
2.50
3.00
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
2017年
2018年
2019年
2020年
2021年
2022年
2023年
2024年
2025年
2026年
図3 フラット35の満期が異なる2タイプの金利(%)の推移
15-20年満期 21-35年満期
出典: :SBI ARUHI「【フラット35】の金利推移を基に著者作成
10.2
10.9
12.5
14.6 13.8
15.0
16.7
0.0
2.0
4.0
6.0
8.0
10.0
12.0
14.0
16.0
18.0
0
100000
200000
300000
400000
500000
600000
700000
平成5年 平成10年 平成15年 平成20年 平成25年 平成30年 令和5年
出典:「青森市空家等対策計画(第2期)」の図5をもとに筆者作成
図2 青森市の空家数の推移(左軸:件数、横軸:%)
17
19
21
23
25
27
29
31
図1 青森県と東北地方の(新築建設費万円/住宅面積㎡)
青森県 東北地方
出典:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」をもとに筆者作成
表2 分析結果
被説明変数:中古住宅価格
係数P値による有意水準
(標準誤差)
定数項
2636.8***
(156.477)
β
1
(築経過年数の係数)
-47.4***
(2.553)
β
2
(2025年Dummyの係数)
180.5**
(97.895)
β
3
(部屋数の係数)
L、Dを含めない。
67.1***
(24.635)
β
4
(土地面積㎡の係数)
0.368***
(0.155)
Adjusted-R2 0.483
Sample size 385(=126+259)
注:***、**、*は順に1%、5%、10%で有意を示す。
(1)住宅価格の変化
表1は2022年、2025年の青森市における中古
住宅の価格を含む主な要素の平均値を示す。
⇒ 平均価格は、2022年の1889万円、2025年の
1713万円と低下傾向を見て取れる。
しかし2時点のサンプルの「要素」が異なる
ため、単純な平均値の比較は不適切。
⇒ 2025年ダミー変数(2025年ならば1、そうでなければ0)を含む重回帰分析を行う。
回帰式:販売価格=定数項+β
1
築経過年数+β
2
2025Dummy+β
3
間取り+β
4
土地面積+μ
⇒ 分析結果は表2。なお、μは統計的誤差項。
もし築経過年数、部屋数、土地面積が同じ中古住宅があれば、2025年の方が約181万円高い。
表3 分析結果
被説明変数:中古住宅価格
係数P値による有意水準
(標準誤差)
定数項 1885.7***
(197.6)
β
1
(築経過年数の係数)
-46.5***
(2.490)
β
2
(Reform Dummyの係数)
461.7***
(105.4)
β
3
(間取りの係数) 43.21*
(24.54)
β
4
(土地面積の係数) 0.562***
(0.125)
β
5
(地価(坪)の係数) 73.40***
(8.043)
β
6
(距離(徒歩分)) 3.302
(2.722)
Adjusted-R2 0.665
Sample size 259
表1 主な要素の平均値 2022年9月 2025年12月
サンプル数 126 259
平均価格
1889万円 1713万円
-176万円
平均築後経過年数 25.7年 31年
平均土地面積 145.9㎡ 140.7㎡
平均部屋数 6.2 4.4
(2)リフォームによる価格上昇効果の推計
2025年データの収集では、(販売時)リフォームの有無を含めることができる。こ
れを活用し、リフォームダミー変数(リーフォームしていれば1、していなければ0)を
含む重回帰分析を行い、販売時リフォームによる価格上昇効果を推計する。
回帰式:販売価格=定数項+β
1
築経過年数+β
2
Reform Dummy+β
3
間取り+β
4
土地面積
+β
5
地価(坪)+β
6
距離(徒歩分)+μ なお、μは統計的誤差項
表3より、販売時にリフォームされていると462万円の価格上昇が見込まれる。
(3)青森市における中古住宅の取引活性化
(1)の分析:2022年、2025年の平均価格を比較すると、価格が下がっているように
見える。しかし、要素を揃えて比較すると約181万円の価格上昇を確認できる。
⇒市内の中古住宅価格は(金利も)上昇しているので、早めの購入へ!
(2)の分析:中古住宅の販売時リフォームは約462万円の価格上昇が見込まれる。
⇒供給者はリフォーム前の低い価格で購入できる機会も提供することで、
需要者の購入資金の制約や、自身のライフスタイルやニーズに合わせたリフォームも
可能になるため、相互利益が得られるといえる。
⇒提案:(1)(2)により、中古住宅市場を活性化させ、空き家の抑制へ!
参考文献:
・小林正宏(2025)「リフォームによる住宅の価値向上の実証分析」『資産評
価政策学』25巻2号、資産評価政策学会。
・河合伸治、角田大祐(2020)「ヘドニック・アプローチによるライフデザイン分析の
可能性に関する一考察」『高千穂論叢』第54巻第3号、高千穂大学高千穂学会。