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1 Vibe Codingの幻想を超えて -生成AIを現場で 使えるようにするまでの泥臭い話 Developers Summit 2025 Summer

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2 今日伝えたいこと ● メルカリの事例を参考に、AI活用を推進してほしい ● 一人の力ではなく、チーム全体で進めることの重要性 ● AIの活用自体がゴールではないが、探求することの価値

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3 ● Software Engineer at 株式会社メルカリ ○ フリマアプリ、メルカリのAndroid版の開発 ○ AI Task Force ● 趣味: 旅行、Vibe Coding ● Devin Expert 自己紹介 メルカリとして皆が色々行なっていることを話します。 チームメルカリとしての試行錯誤の結果です

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4 ● AIにやりたいことをお願いするだけ ● コーディングは全部AIにお任せ! ● 開発体験としてたのしい! Vibe Codingの魅力

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5 ● 個人開発と企業開発の違い ● システムの規模が大きい ○ 複数Repositoryで構成されるシステム ○ 短期的な生産性 <<< 継続的な開発 ● 企業特有の制約と課題 ○ 上場企業としての責務 ○ 「人」の問題 Vibe Codingの現実の壁

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6 ● Cursor ○ エンジニア以外も活用している ● Claude Code, Cline, 等々 ● ChatGPT Enterprise, Gemini: 全社的な活用 ● その他ツールの導入が... ● 想像以上に活用が進んでいる現状 ● AI in Japan に最新の情報が乗ってます ○ https://github.com/fumiya-kume/ai-in-japan メルカリでの AI活用の現在地

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7 ● 肯定的な人が多いが、慎重派も存在 ● キャッチアップの時間を取りづらいメンバー ● 幸いなことに、上長の全面バックアップ有り 一枚岩ではない現実

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8 ● 大企業なので一人の影響力は限られる ○ エンジニアだけでもたくさんいる ● 情報流出リスク ● セキュリティ・経済安全保障の課題 上場企業としての制約 外部サービスの導入には、 セキュリティチームのチェックが必要

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9 ● 手軽で安全に使いたい ● 社員間の知識ギャップ ● LLMの関心度・温度感 課題点を整理 同僚に使い始めない理由を実際に聞きました!

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10 ● 個人契約ではなく会社がまとめて契約 ● LiteLLMによる社内プロキシサーバー ○ https://engineering.mercari.com/blog/entry/20250625-acfc60bbea/ ○ 会社が管理しつつ、LLM API Key を発行できる ■ 監査ログ ○ エンジニア視点では、安全に API叩ける ■ 一人当たりの予算キャップを設定できる、超えたら上限上げてもらう ● アカウント発行・管理の自動化 ○ IT Service agent ■ Cursor や ChatGPTのライセンスを発行してくれる ■ Slack でリクエストを送って、ボタンクリックするだけ ○ ツールを使い始めるハードルが極限まで下がる 技術的基盤の構築

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11 ● 困っている人がいたらなるべく助けたい vs 自分には本業がある ○ 最初はDMなどで質問に回答してた ○ 情報が検索されず、その場限りの労力になりがち ● サポート用社内コミュニティの作成 ○ 社内にSlack Channelを作成 ○ チーム内だけで情報交換してたのでは、限界がある ○ 情報交換と助け合いの空気感づくり ○ Cursor, Devin, Claude Code などのツールごとにチャンネルを作成 ● 非エンジニアも気軽に質問できる環境 ○ MCP server の設定方法は? とか入門的質問が飛び交う 労力をかけないサポート体制の整備

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12 ● 課題: メンバー間のAI活用知見ギャップ ○ 「AI系の開発ツールの使い方がわからない」から使ってない人がそれなりにいた ○ 内部勉強会 ■ 社内の知見を共有 ■ LT会スタイル ○ 外部勉強会の自社会場での開催( Cursor Meetup Tokyo、Devin Meetup Tokyo) ■ 社外イベントだけど、社員が参加しやすい ■ 他の会社の知見も知れるチャンス ● Givers Gain / 情報は発信するところに集まる ■ CTOとVPoEにDM/カレンダーに招待 ● 世間のリアルな熱気を伝えるには来てもらうしかない ● 懇親会費用の予算への Approve貰いやすい(かも) 学習機会の創出

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13 ● 課題: メンバー間のAI活用知見ギャップ ● 超初心者向けハンズオンの実施 ○ そもそも、GitHubやVisual Studio Code の使い方がわからない人がいた ■ 今では、Cursor などを活用して活用している状態 ○ 教材に沿って操作すれば、全体の雰囲気を掴める ■ コードの説明 ■ バグの修正 ■ 独自ルールの追加 ■ テストを実装してもらう ■ フロントエンド・バックエンドの実装チケット ○ LLM関連エコシステム全体のキャッチアップのサポート ● Android Engineer syncでの共有 ○ 一方的に、最近のLLM動向を共有 ○ 興味ない人でも、一定程度基礎知識はついている状態に ○ 2025年4月ぐらいからほぼ全員 AIを使ってモバイルアプリを開発してる 学習機会の創出 (2)

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14 ● AI Task Force ○ 7月から活動している ■ 始まる前からやってたことが本業になった形 ○ エンジニアがEnablerとして開発組織だけではなく、全社的にアサインされる ○ エンジニアだけが活用すればいいのではなく、メルカリ全体での動き・話である。 ○ 既存プロセスを明文化して、 AIが適用できそうな所を見つけていく ■ エンジニアって意外に暗黙知多くないですか? ■ 戦術ではなく戦略的な改善をしていきたい ● 目標:メルカリをAI Nativeな会社にすること ○ VPやCTOなどからは、単なるツールの導入だけではなく Go Bold な成果が必要 ○ AI Task Force としての活動が終わっても継続的に AIに適応できる環境づくりも求められてい る 組織的推進体制 https://careers.mercari.com/mercan/articles/53732/

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15 ● MoM/EM/TL レイヤー全体へ個別インタビューした ● エンジニアは自発的にAI活用を行なっている ○ ベストプラクティスが何か不安なまま進めている ○ 知見の水平共有をいい感じに解決したい ● チーム、ドメイン、リポジトリを跨いだ情報共有・取得 ○ ソースコード(実装)、仕様、背景情報、開発スケジュール等々 ○ 情報の要約というAIが得意そうなドメインではある ■ 全部をサポートする理想的なソリューションは見つかっていない ■ Devin Search はソースコードの情報取得には強い ■ Google Agentspaceはドキュメントの検索には強い ○ 人間の情報処理能力が先に限界を迎える可能性も ...? ● 個別最適化ではなく、劇的な改善をしたい ○ 解決策が見つかったら、どこかのカンファレンスで話します。 エンジニア組織における AI活用の問題点 (解決中)

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16 ● Be a Pro ○ 技術を駆使して、AIを活用しやすい環境作るの大事 ● All For One ○ 一人で何かするのではなく、隣の席に座った人にも手伝ってもらう ○ AI活用知見のインフルエンス連鎖は思っている以上に大事 ● Go Bold ○ どうせやるなら、盛大にやり切る やっていき力大事💪 ● Move Fast ○ AIの進化は早い、フットワーク軽く最新技術をキャッチアップするの大事 ○ 発表で極力ツール名を出さなかったのは、ベストプラクティスは変化し続ける 学びと示唆

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17 ● https://aiau.connpass.com/event/357271/ ● Devin に関するMeetup ○ Cognition(Devinの開発元 )の共同創業者が Keynoteします ○ 業務でDevinをどのように活用できるのか学べる設計の Meetup ○ オフラインはすでに補欠が 100人程度 (250人枠) ○ オンライン or メディア枠で来てください! 宣伝: Devin Meetup Tokyo

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18 まとめ ご静聴ありがとうございます メルカリにいる皆の成果の発表でした