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私とデザインの10年
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修了後とWeb業界における「UX」の衝撃
院を修了して、自分はじゃあUXデザインの世界に入ったかと言われれば実は入っておらず、修論があまりにしんど
かったことも含めて、しばらくは仕事をする気が出ていなかった。
4ヶ月ぐらいして、たまたま行政系のコンサルに入った。
例えば、この自治体に住む住民は今後5年後10年後どういう風になっていきたいんだろうかとか、あるいはこの自治
体の教育はどうあるべきだろうかと、大げさに言えばそういうことを考える場所だった。
実際そこまで強固なアクションはできないんだけれども、そういうような場所にいた。
ただまあなんか、自治体というのは結構変わらないもので難しいなと思っていたときに、もう少しUXというものに、
サービスというものに近づきたいと思ってUXで調べてウェブ業界にあたり転職をした。
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ウェブ業界で言われているUXは自分の知らないものだった。
今までデザインやUXというものを7,8年はやっているのにも関わらず、その会社で初めて自分はUXの5段階モデルと
いうものを聞いた。
あるいは話があまりにUIに限られすぎている。もちろん制約があることはわかっている。
しかしながらUXはUIではない。
UIを是とするWeb業界にいながら、「UXはUIではない」と口にすることのいかに虚しいことか。
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後から振り返れば自分は大学や大学院でHCDプロセスとは違うところにいたし、あるいはその次に入った会社ではそ
もそもUXをやれるようなレベルの会社でなかった。
その次の会社にはUXの部署を立ち上げます、やりたいという話に乗っかっていったが、そこは部署再編でUXのこと
が意識されるような部署ではなくなってしまった。
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最後に(というか現職)、2023年の11月にUXをやる会社に行っていろんなことを考えた。
その時から自分はどうもUXそのものではなく、デザインをするということに関して、意識がすごく違うんじゃないか
と思うようになった。
私はデザイン学科出身で、そして自分のことはデザイナーだと思っている。
デザイン出身の人は大抵UIを作る側などに行って、あんまりUXデザイナーやディレクターに行くことはない。
自分がUIデザインに行かないのは、プロジェクト全域に関われないからだ。
WebディレクターやPM、あるいは全域に関わり続けるUXリサーチャー、UXデザイナーが必要ではないだろうか。
実際のところ、デザイン学科出身でUXリサーチャー、UXデザイナー、あるいはウェブディレクターをやっている人
に、自分はまだ出会ったことがない。
職能デザイナーとスタンスとしてのデザイナーは大きく違うのではないか、と思っている。
「最初から仕事の中で収まりきるものを作る」というデザインを学んできた人と、「いいものを作るということを追
求し、それを仕事の中に収め切る」ということの間で葛藤している人は、結構な差があるのかもしれないと思ってい
る。