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2025.06.23 Findy Lunch Conference モノタロウのAI駆動開発 Cline編 Clineを200人で試してみた件 株式会社MonotaRO CTO-Office AI駆動開発チームリーダー 市原 功太郎 1

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モノタロウについて 2

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生成AI時代への私たちの前提 AIの登場はインターネット登場に比肩する変革 全社的な対応が必須 6 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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AI活用方針 「大きく導入、後から検証」 小さく始めるのではなく、全社的に展開 トップダウンとボトムアップの両輪 経営判断 × 現場の創意工夫 LLM進化への適応前提 変化を前提とした仕組み・体制構築 7 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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Cline導入 8

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Clineへの着目 なぜClineなのか? AIによる生産性向上の可能性 VS Code拡張との親和性 開発者の既存ワークフローに組み込みやすい 小規模コストでの試行可能性 当時の世の中の注目度 コミュニティの熱量とエコシステム 9 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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PoCの開始〜現在までの変遷 2025年1月 20名ほどにAPI Keyを発行し、Clineの利用を開始 希望者がどんどん増える。2025年3月で100名弱 2025年5月までに250名ほどにAPI Keyを発行 10 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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APIキーをどうしたか? AnthropicのAPIキーをそのまま配布 一貫してコーディングに強い。開発者に一つ配るならAnthropicと考えた 1人1キーを配布することで、キー単位で利用状況の可視化ができる 11 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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LLM導入で気にすべきこと 守るべき最低ライン 1. データ保護 意図しない情報流出の防止 業務上の機密データの保護 2. 可視性・透明性 誰が、いつ、どのようにAIを利用しているか その結果、どのような成果を得られたか? 12 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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データ保護の最低ライン 学習からのオプトアウト 契約による担保 モデル改善への利用を回避 セキュリティ認証 の取得状況を確認 13 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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可視性確保の最低ライン キー単位での利用状況の把握 誰がどの程度利用しているか 無茶している人がいないか アンケートによる定性的な評価の獲得 どの程度貢献しているか? 開発者体験への影響は? 14 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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【Cline】実績とコスト 導入から見えた現実 成果 社内アンケート人気No.1 生産性向上を実感する声多数 調査・開発・コードレビューのお供に 実際の数値 PR作成数:全体では変化なし コスト:約 $6,000 (5月, Anthropic API) 上位30ユーザーは明確にPR数が増えた 15 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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【Cline】ユーザーの声 ポジティブ 「新規スクリプト作成、圧倒的に早い」 「調べる時間が短縮できて生産的」 ネガティブ 「生成コード、そのままでは動かず」 「結局、正しさの確認が必要」 「PRレビューのコストは増えた」 16 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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利用状況の実態:パレート分布 「導入"だけ"では広がらない」現実 開発支援ツール共通の課題 上位2割だけが明確に成果が出ている 発表者のチームではPR数が3ヶ月で3倍に増えた 変化が大きくないチームも多い 厳しい現実 ツールを配るだけでは全員の生産性は上がらない 使いこなしの格差をどう埋めるか 17 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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作戦: 中間層の底上げ・浸透 使いこなしの格差を埋める 情報・事例共有ミーティング(AI駆動開発トレンドラボ) 使い方を学ぶ場 (DOJO) 現場レベルでの代表者 (エバンジェリスト) 18 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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AIエバンジェリストの役割 現場レベルでの「自分ごと化」 各チームに1名以上配置 率先活用と知見共有 狙い: 中央集権的トップダウンだけでは限界 少人数のAI駆動開発チームを補完 現場が主体的にAIを開発フローに適応 20 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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現場の熱量を高める:トレンドラボ 横断的な学びの加速 社内活用事例・最新情報共有 2ヶ月で6回実施(2025年6月現在) 実績: Devin活用事例 社内MCPツール紹介 のべ180人以上参加 狙い: 現場実践知の組織全体への展開 21 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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現場の熱量を高める:DOJO AI活用を標準開発スキルへ 全開発者のAIリテラシー底上げ AIを使ったコーディングへの適応 新しい開発パラダイムの習得 特定ツールではなく考え方を学ぶ AIと協業しながらプログラム作成 22 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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生成AIが拓く新たな開発 23

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Clineが拓く新たな開発層 商品情報管理チームでの開発事例 非エンジニアメンバーがClineを活用してPRをバンバン出していく Clineに指示を出して コード生成 コミット & プッシュ PR作成 AIによるコードレビュー 24 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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このチームはなぜうまくいったのか? エンジニアによる開発フロー整備へのコミット 強いエンジニアが開発方法の手順化、ドキュメント化、オンボーディングなどを強力にフォロー CIにAIによるレビューを導入 AIに参照させる開発ドキュメントの整備 25 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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AIが活躍するプロジェクトの条件 AIは魔法の杖ではない 人間による開発プロセス設計が不可欠 整理された環境で真価を発揮 26 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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条件の具体例 AIが真価を発揮する環境 技術的要件 使いやすい技術スタック ドキュメンテーション整備 CI/CD整備 テスト整備 本質的な意味 AIが私たちのエンジニアリング能力を試している 高品質なエンジニアリングがAI活用の基盤 27 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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実現の鍵は「AIとの共進化」 新しい関係性の構築 共進化とは AIと人間が互いの特性と限界を理解 相互に影響を与え合い、役割・能力・プロセスを変容 AIと人とで、共に進化し開発プロセスを変え続ける関係 具体例 高性能ロボット掃除機のために部屋を片付ける AIが価値を最大限発揮できるよう開発プロセスを最適化 28 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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AI駆動開発への結論 29

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私たちは来年もClineを使っているか? さっぱりわからない 進化が速い時代。どんどん試すのが大事!! Devin Cline Cursor Windsurf Claude Code GitHub Copilot ...まだ見ぬツールたち 30 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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AI時代の大きな不可逆の変化のなかで 試されているのは 私たち自身が迅速かつ柔軟に変化できるか ということ 31 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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ご清聴ありがとうございました 32 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.

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