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リラクタンストルク 大阪府立大学 工学研究科 清水 悠生

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2 本記事の目的 ✓ 本記事は初学者向けにリラクタンストルクを直感的に 理解してもらうことを目的とした資料です

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3 空隙付き鉄心(1/3) ✓ 磁束は最も磁気抵抗の小さい(透磁率の大きい)磁路を 通ろうとするため,磁束が鉄心内をまっすぐ通る 磁束線 巻線 鉄心 回転子

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4 空隙付き鉄心(2/3) 磁束線 巻線 鉄心 回転子 ✓ 回転子の回転により,磁気磁路がむりやり曲げられる

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5 空隙付き鉄心(3/3) ✓ 磁気抵抗の小さい安定な状態になろうとする回転方向に リラクタンストルクが働く エネルギー的に不安定 エネルギー的に安定 安定な状態に なろうとする 電磁力が発生

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6 同期モータの場合(1/4) ✓ 同期モータの例として,回転子に空気層のみが存在する 同期リラクタンスモータ(SynRM)を考える 巻線 回転子 固定子 空気層

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7 ✓ 仮想的なq軸巻線による磁束は, 右ねじの法則に従って巻線の周囲に発生する ✓ q軸巻線の詳細についてはこちら https://yuyumoyuyu.com/2020/07/19/dqcrotatingroordinate3/ 仮想的な q軸巻線 同期モータの場合(2/4)

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8 ✓ 電流位相が変化し,仮想的な巻線位置が移動した場合 磁気磁路は回転子の空気層によって曲げられる 同期モータの場合(3/4) 仮想的な d,q軸合成巻線 磁気抵抗の高い 空気層によって 磁気磁路が曲げられる

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9 ✓ 磁気抵抗の小さい安定な状態になろうとする回転方向に リラクタンストルクが働き回転子が回転する ✓ 磁界も同じ速度で回転するため,トルクは発生し続ける 同期モータの場合(4/4) 仮想的な d,q軸合成巻線 電磁力が発生 回転子が回転 磁界も同期して 回転する

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10 ✓ エネルギー的に安定/不安定の「エネルギー」は 磁気(随伴)エネルギーのことを指している ✓ 磁気(随伴)エネルギーは巻線の自己/相互インダクタンス (=通電時の磁束の通りやすさ)によって記述され 磁束の通りやすい(磁気抵抗の低い)回転子位置と 磁束の通りづらい(磁気抵抗の高い)回転子位置のときの エネルギーの差によってリラクタンストルクが発生する (エネルギーの差=回転子に加えられる仕事) ✓ もっと厳密にいうと,インダクタンスの回転子位置による 微分によってトルクは与えられる ✓ 磁気エネルギーについてはこちら https://yuyumoyuyu.com/2020/08/30/magneticcoenergy/ 磁気エネルギーとインダクタンス

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11 ✓ 無通電時の永久磁石同期モータ(PMSM)を考える ✓ 回転子位置が変化すると永久磁石による界磁磁束の磁路も 変化し,磁気抵抗の変化によりトルクが発生 ✓ こういった界磁磁束に基づいて発生するトルクを コギングトルクという(トルクリプルの一因) コギングトルクも原理は一緒 永久磁石 回転子位置により磁気磁路が変化する