Slide 1

Slide 1 text

Google  vs  Oracle   ~∼Java  API著作権裁判について~∼ 株式会社アイティコワーク               向⾕谷地⼤大樹

Slide 2

Slide 2 text

株式会社アイティコワーク  向⾕谷地⼤大樹 Androidアプリ、iOSアプリ、Webアプリ(PHP) アイティコワークスタッフブログ管理理⼈人

Slide 3

Slide 3 text

Androidアプリの開発⾔言語を巡る争いの話

Slide 4

Slide 4 text

Androidの多くのアプリはJava という⾔言語で作られている

Slide 5

Slide 5 text

もう少し細かく⾔言うとJavaのAPI群を 元にして、Googleが作ったAndroid⽤用の JavaのAPI群で作られている ※API ⽣生の⾔言語をプログラミングしやすい形に調理理 したものをひとまとめにしたもの

Slide 6

Slide 6 text

1991年年8⽉月、 サン・マイクロシステムズの ジェームズ・ゴスリンらが プログラミング⾔言語Oakを開発 後にJavaと名を変え、1995年年5⽉月、 サン・マイクロシステムズにより 発表される

Slide 7

Slide 7 text

2010年年1⽉月、 サン・マイクロシステムズは Oracleに買収される

Slide 8

Slide 8 text

買収に伴い Javaに関する権利利も Oracleに移転

Slide 9

Slide 9 text

⼀一⽅方、Androidは2003年年10⽉月に アンディ・ルービンらが 携帯電話向けソフトウェアプラット フォームを開発するAndroid社を設⽴立立 したのが始まり。 2005年年8⽉月GoogleがAndroid社を買収。

Slide 10

Slide 10 text

2007年年11⽉月、 携帯電話⽤用ソフトウェアプラットフォーム 「Android」を Google、クアルコム、T-‐‑‒モバイルなどが 中⼼心となって設⽴立立した規格団体 「Open  Handset  Alliance」が発表。 2008年年10⽉月、T-‐‑‒モバイルより世界初の 商⽤用Android搭載端末が発売。

Slide 11

Slide 11 text

それ以降降も世界中で様々なAndroidを 搭載した端末が発売され、 ⼀一気に携帯電話市場のシェアを 伸ばしていった。 それと同時にAndroidで動くアプリを 開発するためにJavaを使⽤用する開発者 の数も増えていった。

Slide 12

Slide 12 text

2010年年8⽉月、 OracleがGoogleを訴える。 「AndroidはJavaプラットフォームに 関する特許と著作権を侵害している」 著作権を侵害していると⾔言われている のは、Java  APIについて。

Slide 13

Slide 13 text

訴状の主な主張。 「GoogleのAndroidはOracleの       Javaと、携帯電話およびその     他のモバイルデバイス向けの   ソフトウェアプラットフォームと   して競合している。」

Slide 14

Slide 14 text

えっ、 AndroidがJavaの競合製品? だってAndroidアプリって Javaで作られているんでしょ? Javaのユーザーが増えてるのに 何が問題なの?

Slide 15

Slide 15 text

Java  ME(J2ME) 携帯電話や組み込み機器向けの Java

Slide 16

Slide 16 text

旧サン・マイクロシステムズが開発した Javaはもともと有償で他社に ライセンスする形で配布されていた。 フィーチャーフォン(ガラケー)の多くが 搭載する「iアプリ」などJava  MEの 実⾏行行環境については「端末1台いくら」 という形でロイヤリティが発⽣生。

Slide 17

Slide 17 text

現在この権利利はサンを買収した Oracleが引き継いでいる。 つまり「ガラケー」1台売れる たびにOracleにお⾦金金が⼊入る。

Slide 18

Slide 18 text

ところがGoogleが開発したAndroidは Javaオリジナルの仮想マシンではなく、 『DalvikVM』という独⾃自の仮想マシンを 軸としていて、Javaのライセンスを 受けることなく作られている。

Slide 19

Slide 19 text

Androidアプリの開発は 使⽤用者、経験者が多いJavaで⾏行行うことができるが、 仮想マシンも配布形式もJava  MEとは別。 また、Androidには旧サンがライセンスするコードは 含まれない。 つまりAndroidがどれだけ普及しようが Oracleには何の特もない。

Slide 20

Slide 20 text

Oracleの訴訟の狙いは急成⻑⾧長する Androidから何かしらの利利益を 得ることではないかと⾔言われている。

Slide 21

Slide 21 text

2012年年4⽉月、 サンフランシスコ連邦地裁の法廷開始

Slide 22

Slide 22 text

2012年年5⽉月、 Googleの特許侵害はないとの陪審評決。 ただし、フェアユースは意⾒見見が別れる。 ※フェアユース 著作物を公正利利⽤用する⾏行行為には著作権の 効⼒力力は及ばないという包括的な規定。

Slide 23

Slide 23 text

2012年年6⽉月、 損害賠償⾦金金ゼロで合意。 議論論された37件のJava  APIについては 著作権の保護とならないとされた。

Slide 24

Slide 24 text

2012年年10⽉月、 OracleがJava  APIを著作権の対象と 認めないとした判決を不不服として上訴

Slide 25

Slide 25 text

2014年年5⽉月、 控訴裁は地裁の判決を覆し、APIが 著作権の対象だとする判断を下した。 これらAPIの使⽤用がGoogleの主張する フェアユースにあたるかどうかは 審理理を地裁に差し戻し。

Slide 26

Slide 26 text

2014年年10⽉月、 Google、⽶米最⾼高裁にて上訴申し⽴立立て

Slide 27

Slide 27 text

2015年年6⽉月、 ⽶米最⾼高裁がGoogleの上告を棄却。

Slide 28

Slide 28 text

今後カリフォルニア州北北部連邦地裁に 差し戻され、 Googleの作ったJavaのAPIが著作権法の フェアユースの範囲におさまるかどうかの 審査が⾏行行われる。

Slide 29

Slide 29 text

まとめるとこんな感じ 1991年年    8⽉月  サン・マイクロシステムズでOak(Javaの前⾝身)を開発 1995年年    5⽉月  サン・マイクロシステムズがJavaを発表 2003年年10⽉月  Android社設⽴立立 2005年年    8⽉月  GoogleがAndroid社買収 2007年年11⽉月  プラットフォーム「Android」発表 2008年年10⽉月  商⽤用Android端末発売 2010年年    1⽉月  Oracleがサン・マイクロシステムズを買収 2010年年    8⽉月  Oracle訴える 2012年年    4⽉月  サンフランシスコ連邦地裁法廷開始 2012年年    5⽉月  Googleの特許侵害はないと陪審評決 2012年年    6⽉月  損害賠償⾦金金ゼロで合意 2012年年10⽉月  Oracleが上訴 2014年年    5⽉月  控訴裁は地裁の判決を覆す。APIは著作物であると判断。 2014年年10⽉月  Google⽶米最⾼高裁に上訴 2015年年    6⽉月  ⽶米最⾼高裁がGoogleの上告棄却 今後                        カリフォルニア州北北部連邦地裁に差し戻し  ←いまここ

Slide 30

Slide 30 text

今回の裁判の結果により、 GoogleはOracleに対して多額の ライセンス料料や損害賠償を ⽀支払わなければならない可能性がある。

Slide 31

Slide 31 text

・アプリ開発者にとっては他の開発者のコードを   もとに開発を⾏行行う時に権利利が制限される可能性がある。 ・APIを使うことで様々なシステムを連携させて   動いている便便利利なシステムが減少する可能性もある。 ▼APIを著作物として扱うという判決の影響

Slide 32

Slide 32 text

また、今後Androidアプリの 開発をJavaで⾏行行うのは 難しくなるかもということも 今後の注⽬目点。

Slide 33

Slide 33 text

訴訟の件を抜きにしても、 Androidアプリの開発⾔言語を Javaのままにするのは Googleにとってアキレス腱と なりうる

Slide 34

Slide 34 text

GoogleはOSを作ったけど、 そこで動くアプリは他社が開発する ⾔言語に頼らざるえない状況。 何か⼤大きな変更更を加えたくなっても ⾃自分たちで思うようにコントロールが できない。

Slide 35

Slide 35 text

Googleのライバル会社たちはOSも、 モバイルアプリを作るための⾔言語も ⾃自ら開発している。 【iOSの開発⾔言語】   Apple            :  Swift、Objective-‐‑‒C 【Windows  Phoneの開発⾔言語】   Microsoft  :  C#、Visual  Basic なんだかんだでOSも持っていて、なおかつ ⾔言語を⾃自分たちで作ってるのは強みになる。 これはGoogleの中の⼈人たちも⼗十分に わかってることだと思われる。

Slide 36

Slide 36 text

なので、この裁判の影響で 近い将来Androidアプリの 開発は、Java以外の⾔言語で ⾏行行われるようになるかもし れない! 今後も要チェック!!!

Slide 37

Slide 37 text

★宣伝! アイティコワークでスタッフブログやってます。 おもしろ記事たくさんあるんでぜひ⾒見見にきてください! ITcowork  Staff  Blog  http://www.itcowork.co.jp/blog/