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iOS/Android アプリを 譲渡した話 2017/8/6 @wiroha

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自己紹介 ● @wiroha ● Android好き、DroidKaigiスタッフ ● SIer→Perlエンジニア→現職 ● 今はPO, CTO, ディレクター, プランナー, CS, 広報,エンジニアなど何でも屋さん

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譲渡の話をしようと思った理由

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情報が少ない & 聞ける人がいない で困ったから

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情報が少ない ● iOS/Android 公式ドキュメントが完璧ではない ○ 日本語版を読んでいたら、最新の英語版が存在した ○ 不明点が多々ある ○ 不明点を問い合わせても答えてくれない ● ググっても情報が少ない ○ やる人が稀 ○ やっても公開する人が稀 ○ 古い情報だと変わっていることも

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聞ける人がいない ● 誰がやったことあるかわからない ● M&Aは機密事項のためSNSで「やったことある人ー!」と聞く ことも出来ない

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私、やりました! ● 今後皆さまやその周りの人が譲渡する際、 wirohaがやってた!と思い出してもらえれば目的達成 ● 知見blogも書きましたが、書きづらいことも多いのでこっそり聞 いてほしい

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アプリの譲渡とは?

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アプリの譲渡とは? ● アプリ管理権限を他のdeveloperへ 渡すこと ● iOSでは「譲渡」, Androidでは「移行」 ● 2013年より可能に。 ● BundleIDやpackagenameはそのまま。 ● URLスキームもそのまま。 ● 今回の場合:別会社へ売却・譲渡により発生 ● 分社化、別ブランド化の場合でも実施(例:Xflag)

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譲渡話が出たら 絶対最初にやること

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譲渡出来る条件に 適合しているか確認する

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絶対最初にやること ● アプリで譲渡出来る条件に適合しているか確認する ○ 特に課金・定期購入を実装していると引っかかりやすい ○ 条件に合うよう開発が必要になる可能性も ○ 結構用語が難しいので、エンジニア自ら確認した方が良い! ■ 例「App 内課金購読(自動更新、無料、非更新)の提供 (現在も過去も)はできません。」 ● プロダクトの利用規約も確認 ○ 運営主が変わる可能性に同意をとっているか?

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譲渡全体の流れ

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譲渡全体の流れ ● 引き合い・コンペなどでお見合い ● 機密保持契約を結び、情報を開示 ● 条件交渉、契約書作成 ● コード改修 ● 譲渡契約の締結 ● アプリ移管 ● 引き継ぎ 規模:4プロダクト×iOS/Android, 合計1400万DL以上    どれも☆4以上の優良アプリ

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譲渡全体の流れ ● 引き合い・コンペなどでお見合い ● 機密保持契約を結び、情報を開示 ● 条件交渉、契約書作成 ● コード改修 ● 譲渡契約の締結 ● アプリ移管 ● 引き継ぎ 規模:4プロダクト×iOS/Android, 合計1400万DL以上    どれも☆4以上の優良アプリ

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条件交渉、契約書作成 ● 契約書とか、法務の仕事でしょ? ● エンジニアにも影響があります! ● 「瑕疵担保責任」 普通の受発注と同じ ○ 瑕疵 (欠陥) があった場合,引渡し義務者が負う担保責任 ● キッチリ不具合/仕様の認識合わせを! ● 対応する年数、補償金額、条件などなど ● 例)「譲渡する前のコードが原因で発生した不具合は、    譲渡元が修正する」といった条項   「OS側の仕様変更によるものは除く」などを追加

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コード改修 ● 提供社名の変更、埋め込みアカウントキーの変更等 ● サーバ側に持たせておくと楽 ○ 普段から変更に強い設計にしておくべき ● 改修自体より、リリースするタイミングが難しい ○ プレスリリース日と揃えたいなどがあると審査の都合など。。 ○ 仕様でカバー:社名を「変更」でなく「消す」ことで、情報公開前に出せるよう対 応

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いよいよ移管

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移管 移管先へ受諾可能通知 移管先が受諾手続き Android iOS 数時間〜 数日以内? 数日以内? 最大2営業日 移管元が移管申請 移管元が移管申請 ストア反映 ストア反映

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移管申請の注意点 ● チームIDなどが必要 ● iOSは移管申請出来ないステータスに注意 ○ 審査中や公開待ちでは申請不可 ● 移管前にレポートをとっておく ○ 普段からとっておけば良かった(数字は別でとっていた)

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iOS移管申請できない問題

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iOSで移管申請できない ● iTunesConnectのバグと思われる ● 「App 用共有シークレット(購入者と共有する必要があります) を生成済みの場合、自動更新、無料、および非更新の登録を 含む App のみ譲渡できます。」 ● Appleに問い合わせ、手動で対応してもらった ● 過去にアプリ内課金を実装し申請を通したが、未リリースのバージョンがあったか ら?

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やったー!移管申請できたー!

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事故発生

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Android側で事故 ● Androidが出す予定日より前に出た ○ 勘違いと、ストア管理権限者とのコミュニケーションミスによるもの ● 戻せない。ツラい。 ● 大慌てでユーザ告知など対応 ● 無事…ではないが、Androidは完了

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iOS受諾手続き ● 移管申請翌日に受諾通知 ● 受諾手続きの1時間後にはストアに反映! ● 早いじゃん!と思ったら4つの内、2つだけ

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終わらない移管

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iOSの移管が終わらない 残りの2つが2営業日経っても終わらず問い合わせ 普通はすぐ終わるはずなので調査します さらに2日経つ 終わらない 問い合わせる 調査中です

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iOSの移管が終わらない ● 4つとも終わったのは、受諾から22日後のことだった… ● 最大2営業日とは何だったのか ● その間、プレスリリースはいつ打つのか? 問い合わせ対応はどちらがやるのか? 契約上問題無いのか?など検討に追われる。。

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移管されたら ● 証明書を再設定すれば完了! ● Widgetを使っている場合はAppGroupsの設定も。 ○ 移管元で削除、移管先で再登録 ○ これも情報少ない

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大変だったこと

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大変だったこと ● たくさんありすぎる。アプリ移管以外が特に大変。 ● 社内ライブラリどうしよう ● keystoreどうしよう ● 社内承認をとる資料作り ● 譲渡先とのコミュニケーション方法。文字化け、同時編集、セキュリティ ● 引き渡せないサービスも。4プロダクト分、合計50サービス調査。 ● 前任者から引き継げないアカウント ● 取引先との連絡。要望も各社異なる ● 管理用社内ツールに属人性 ● 広報、ユーザ対応 ● 引き継ぎ資料を作るのが大変、全員が入れ替わる、普段から仕様書最新化を ● 精算

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やってよかった ● ユーザからの反響はゼロだった ○ 私の情報を別の会社に渡すなんて!等のクレームを想像していた ○ 別のプロダクトをクローズしたときは電話が相次いだ ● 無事嫁に出せた親の気分 ○ 1つは入社して3年半、ずっと担当していたプロダクト

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まとめ

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まとめ ● 計画を立てるのは諦めよう ● 特殊案件なので経験者に聞こう ● 死なないようにエンジニアも積極的に関わろう ● 譲渡に限らず、普段からちゃんとしておくと楽