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組織内でバリュー・ストリーム・マッピング(VSM) の宣教師をやってみてわかった、 VSMを組織に広める3つのポイント 株式会社ナビタイムジャパン VP of Engineering 小田中 育生

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小田中 育生 (おだなか いくお) (株)ナビタイムジャパン VP of Engineering ACTS(研究開発) ルートグループ責任者 経路探索の研究開発部門責任者としてMaaS時代にフィットし たマルチモーダル経路探索の開発を推進。 また、VPoEとしてアジャイル開発の導入推進、支援を行い いきいきとした組織作りを目指している。 著書「いちばんやさしいアジャイル開発の教本」インプレス

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経路探索エンジンの技術で toB, toC問わず 移動の課題を解決する サービスを提供

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Learning Outcome ⚫ VSMの効果 ⚫ VSMの広め方 ⚫ 価値を相手に伝える方法 Target Audience ⚫ 組織においてカイゼンを習慣化したい人、VSMに興味があ る人

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VSMとは何か

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アイデアを着想してからユーザーに届けるま での「価値の流れ」を可視化する作業

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可視化された流れの中から 「ムダ」を見つける

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私がVSMを推す理由

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Microsoftの牛尾さんが会社に来て VSMというものを教えてくれたのが出会い https://microsoft.github.io/techcasestudies/devops/2017/05/03/Navitime.html

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数か月後、自分たちのチームで実施 2018年10月 DevLOVE 「自己組織化チームが越境する日」より引用 https://www.slideshare.net/NavitimeJapan/ss-117077724

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属人化の課題が可視化され、モブを導入 暗黙知が共有されるようになった 2018年10月 DevLOVE 「自己組織化チームが越境する日」より引用 https://www.slideshare.net/NavitimeJapan/ss-117077724

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最終的には リードタイムを1/3に短縮することができた 2018年10月 DevLOVE 「自己組織化チームが越境する日」より引用 https://www.slideshare.net/NavitimeJapan/ss-117077724 VSM作成 ムダを省く施策 ペインキラー 実施

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バリューストリームが可視化されることで 絶えず改善が行われる組織になるのではないか

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これは、広めない手はない。

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VSM宣教活動

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様々なチームにヒアリングを行い、 VSM広めるべし!と確信 手戻りが多い 全体像が わからないんです 〇〇さんしか 出来ないんだよ

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弊社では、もともと牛尾さんからVSMについ て学んでいた。広めることも、たやすいはず

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アプローチしてみた 私 VSMやるとよさそうな人 VSMで効率化 してみませんか

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好感触 私 VSMやるとよさそうな人 VSMで効率化 してみませんか よさそうですね

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やる方向に話が進む 私 VSMやるとよさそうな人 VSMで効率化 してみませんか よさそうですね どれくらい時間 とります?

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しかし・・・ 私 VSMやるとよさそうな人 VSMで効率化 してみませんか よさそうですね どれくらい時間 とります? おおむね 2-4時間 くらいです

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しかし・・・ 私 VSMやるとよさそうな人 VSMで効率化 してみませんか よさそうですね どれくらい時間 とります? えっ そんなには 時間とれない… おおむね 2-4時間 くらいです

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またあるときは… 私 VSMやるとよさそうな人 VSMで効率化 してみませんか

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好感触 私 VSMやるとよさそうな人 VSMで効率化 してみませんか よさそうですね

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しかし・・・ 私 VSMやるとよさそうな人 VSMで効率化 してみませんか よさそうですね じゃあ、 マネージャー 含め関係者 集めてください

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しかし・・・ 私 VSMやるとよさそうな人 VSMで効率化 してみませんか よさそうですね じゃあ、 マネージャー 含め関係者 集めてください マネージャーは 忙しいから 無理だと 思います

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VSMにはこんなにメリットがあると なぜ分からんのだ! 全体像が明らかになる 暗黙知が共同化される 課題が可視化される 認識がズレにくくなる リードタイムを削減できる 1/3まで 短縮の実績あり

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伝えたい相手はVSMを知らない 私 VSM知ってる VSMやるとよさそうな人 VSM知らない

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VSMの生み出す効果が伝わっていない 全体像が明らかになる 暗黙知が共同化される 課題が可視化される 認識がズレにくくなる リードタイムを削減できる 1/3まで 短縮の実績あり

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時間がかかる、などデメリットばかりが 目立っている 全体像が明らかになる 暗黙知が共同化される 課題が可視化される おおよそ2-4時間程度 原則全員参加 認識がズレにくくなる リードタイムを削減できる 1/3まで 短縮の実績あり

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VSMに対して知っている・気にしている ことがずれている 全体像が明らかになる 暗黙知が共同化される 課題が可視化される 認識がズレにくくなる リードタイムを削減できる 1/3まで 短縮の実績あり おおよそ2-4時間程度 原則全員参加 私 VSM知ってる VSMやるとよさそうな人 VSM知らない

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「知らない」ものは、やってくれない。 まず知ってもらう必要がある。

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説明資料を作った

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何がうれしいか社内の事例を交え説明

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どう実践するか解説

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知っていることのギャップは埋められた 全体像が明らかになる 暗黙知が共同化される 課題が可視化される 認識がズレにくくなる リードタイムを削減できる 1/3まで 短縮の実績あり おおよそ2-4時間程度 原則全員参加 私 VSM知ってる VSMやると よさそうな人 VSM知った

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しかし・・・ 私 VSMやるとよさそうな人 VSMで効率化 してみませんか うちはちゃんと やってるから、 ムダなんか ないですよ

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ストレートに訴えかけし者の末路 私 VSMやるとよさそうな人 いやいや! 絶対ムダありま すよ! 無駄無駄! (怒)

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「あなたのところうまくいってませんよ」と いう働きかけは、北風のようなアプローチ

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できれば太陽のようにアプローチしたい

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その人にとっての太陽を探す そのためには、その人・チームを観察 認識がズレにくくなる リードタイムを削減できる 他のチームで効果が出た 社外と連携しているところ でもうまくいった

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身近なところでの実績は強い武器になる 認識がズレにくくなる リードタイムを削減できる 他のチームで効果が出た 社外と連携しているところ でもうまくいった

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「なぜ」と実例が太陽になりそう 知らない ・ 興味ない 「なぜ」を 知ってもらう 実例を示す

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組織の中に広げるには…

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そこかしこに成功事例をつくるのが一番 リードタイム かなり 削減できた! おかげで 手戻り少なく なったよ 全体の認識が 揃ったんだよ

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実例が増えるほど説得力が増す その人に刺さる実例が見つかりやすくなる 知らない ・ 興味ない 「なぜ」を 知ってもらう 実例を示す チームA の実例 チームB の実例 チームC の実例

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VSMに潜むアンチパターンの数々 一部のメンバー のみ参加 粗いタスク分割 「がんばる」 など心構えの アクション

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VSMに潜むアンチパターンの数々 一部のメンバー のみ参加 粗いタスク分割 「がんばる」 など心構えの アクション 全体像が 明らかに ならない 改善が 進まない

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VSMに潜むアンチパターンの数々 一部のメンバー のみ参加 粗いタスク分割 「がんばる」 など心構えの アクション 全体像が 明らかに ならない 問題が 明らかに ならない

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VSMに潜むアンチパターンの数々 一部のメンバー のみ参加 粗いタスク分割 「がんばる」 など心構えの アクション 改善が 進まない

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VSMに潜むアンチパターンの数々 一部のメンバー のみ参加 粗いタスク分割 「がんばる」 など心構えの アクション 全体像が 明らかに ならない 改善が 進まない 問題が 明らかに ならない

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新しいことは、失敗する確率が高い • 学習には5段階のレベルがある • 初めて挑戦するときは意識的無能 • うまくいかなくて当たり前 ※NLP(神経言語プログラミング)より 無意識的無能 知らないしできない 意識的無能 知っていてもできない 意識的有能 考えるとできる 無意識的有能 考えなくてもできる 意識的&無意識的有能 教えることができる

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成功体験をもつ人間の伴走

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伴走によるアンチパターンの回避 一部のメンバー のみ参加 粗いタスク分割 「がんばる」 など心構えの アクション

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スキルの問題は、伴走でカバーしやすい 粗いタスク分割 「がんばる」 など心構えの アクション

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「粗いタスク分割」の兆候 長いリードタイム (1week以上) 「開発」など 抽象度の高い キーワード

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「心構えアクション」の兆候 「がんばる」と いった抽象的な 言葉 「〇〇を意識す る」といった 行動ではない 言葉

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問いを投げかけ、掘り下げを促す これって、実際に どんな作業なんですか? どうなったら「意識する」 が実践できたって わかりますか?

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「みんなに参加してもらう」ハードル 一部のメンバー のみ参加

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原因も色々ある 一部のメンバー のみ参加 一部のメンバー だけでよいと 思っている 緊急事態なので 時間がとれない 忙しい人に お願いしづらい

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ここは、ゴリ押ししてはいけない 一部のメンバー のみ参加 一部のメンバー だけでよいと 思っている 緊急事態なので 時間がとれない 忙しい人に お願いしづらい

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ここは、外側から 働きかけられる 一部のメンバー のみ参加 一部のメンバー だけでよいと 思っている 緊急事態なので 時間がとれない 忙しい人に お願いしづらい

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もしこうなったら 私 VSMやるとよさそうな人 VSMで効率化 してみませんか よさそうですね じゃあ、 マネージャー 含め関係者 集めてください マネージャーは 忙しいから 無理だと 思います

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自分から動いてしまう 私 VSMやるとよさそうな人 VSMで効率化 してみませんか よさそうですね じゃあ、 マネージャー 含め関係者 集めてください マネージャーは 忙しいから 無理だと 思います では、 私のほうから 確認してみます

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伴走やってみた

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総リードタイムが一年近くになる大案件

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開発サイクル概要を洗い出した時点で、 多くのメンバーが認識していなかった サイクルを発見

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第一回を終えた事業責任者からの言葉 これは全員で参加しな いと意味ないから、 全員参加できる日程で やろう!

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丁寧に課題と向き合い、洗い出した

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フィードバックは上々 •当事者からのフィードバック •「やってよかった。」 •「改善しようという空気が生まれた。」 •「実際、改善が進んでいる。」 •経営からのフィードバック •「VSMやってから明らかによくなった。」

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他のチームからこんな相談が… あそこのチームで やってたVSM、 うちでも やってみたいです

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社内を照らす太陽が、ついに見つかった

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組織内で バリュー・ストリーム・マッピング(VSM) の宣教師をやってみてわかった、 VSMを組織に広める3つのポイント

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「なぜ」を 知ってもらう 実例を示す サポート する

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「なぜ」と実例が、行動へと動かした 知らない ・ 興味ない 「なぜ」を 知ってもら う 実例を示す 行動する

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3つ目のポイントは「サポート」。 サポートが成功へと導く 知らない ・ 興味ない 「なぜ」を 知ってもら う 実例を示す 行動する 成功する サポート する

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成功は実例となり、組織における VSM実践の動機を後押しする 知らない ・ 興味ない 「なぜ」を 知ってもら う 実例を示す 行動する 成功する サポート する

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次は、どこを目指す?

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成功事例が増えるほど、ネットワーク効 果で組織に広がっていくはず(未検証)。

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「なぜ」を 知ってもらう 実例を示す サポート する 伴走者を増やしたい

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VSMを実施・支援できる人を増やしたい。 そして、VSMを組織の「当たり前」にしたい。

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バリューストリームを可視化し 絶えず改善が行われる組織をつくりたい

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ご参加いただき、ありがとうございました 感想、ご意見、 「こういうやりかたもあるよ!」 など、ドシドシ投稿してください!