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松 本 茂 治 72才 [email protected] matsumoto@src-hf.jp 航空安全講習会(滑空協会) 主 な 経 歴 等 ・元 朝日航洋(株)にて操縦士及び CRM,AMRM,防災航空隊等のCRM 教官 ・元 JAPAにてTEM/CRMセミナーの作成・講師、航空安全講習会等の講師 ・元 VOICES(ATEC)において管制・運航(小型機)に関する分析担当者 ・元 日本ヒューマンファクター研究所 所員としてHF関連講師等 ・現在 SRC研究所 研究主幹としてHF関連講師等 主なCRM・ヒューマンファクター訓練に関する受講経験 ・ANA CRM 訓練(CPAC) ・ANA ビジネスソリューション㈱ ヒューマンファクター対策研修 ・米国 University of Southern Californiaにて Threat & Error Management Development Course ・米国 0regon Aero,Inc. CRM/AMRM Training ・中央労働災害防止協会 危険予知訓練 等 講 演 実 績 ・一般企業(電力,鉄鋼,石油,船舶,物流),航空業界(会社,防災,ドクターヘリ)等 1

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航空安全講習会(滑空協会) 2024 年度 航空安全講習会 ( 主 催 日 本 滑 空 協 会 ) コンプレィセンシーについて考察 (Complacency) 2

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航空安全講習会(滑空協会) 主 な 参 考 文 献 (COMPLACENCY) 1.FAAST 資料 4.航空事故調査報告書 等 コンプレィセンシーについて考察 3.航空局 配布資料 2.ASRS Directline 資料 (ASRS=Aviation Safety Reporting System) 3

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航空安全講習会(滑空協会) 講 演 内 容 はじめに(熟練者の行動特性とエラー) 1.コンプレセンシーとは 2.コンプレィセンシーに陥る原因 3.事故事例(米空軍B52墜落事故等)研究 4.コンプレィセンシー防止対策の考察 4

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航空安全講習会(滑空協会) は じ め に (前回の復習) (1) 熟練者の行動特性 (2) 熟練者のエラーの特徴 5

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航空安全講習会(滑空協会) 6 (1) 熟練者の行動特性 自己主体の情報処理 ヒューリスティック(経験則)を用いて判断、意思決定 経験の多いベテランの方は「先読み」が可能 自分に都合の良いように見、聞き、 都合の良いように解釈する傾向 (情報の操作をしてしまう可能性) 自己主体の認知を行う傾向 多くの先入観や偏った見方・情報処理 (認知的不調和、認知バイアス等)

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航空安全講習会(滑空協会) 7 熟練者の陥りやすい行動特性 (1) ・ 同じ仕事を長年繰り返している ⇒ 型にはまり、慣れすぎる ・ 早くできる(する) ⇒ 操作に抜けが生じる (省略行動) ・ 仕事内容を良く知っている ⇒ 憶測に走る ・ 誤りが少ない ⇒ 誤っても気づかない ・ 違反行為に周囲が甘い判断 ⇒ 規則厳守意識の低下 ※

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航空安全講習会(滑空協会) 8 熟練者の陥りやすい行動特性 (2) ・ 苦労せずに実施できる ⇒ 割り込みに弱い ・ 巧みに実施できる ⇒ 驕りが生じる ・ 不必要な仕事はやらない ⇒ 気配りが悪い ・ その仕事だけに興味がある ⇒ 視野狭窄になる ・ 慣れ親しんだ思考・行動を過信 ⇒ 故意の違反をする 周囲の人達 ⇒ これらを意識して、疑問形・依頼形対応 熟練者本人 ⇒ 指摘に対し、受け入れる意識 それは、熟練者のエラーの特徴からも言えます ※

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航空安全講習会(滑空協会) 9 (2) 熟練者のエラーの特徴 (スポラディック・エラー) えっ!!、あの人が ?! 熟練者が起こしやすいエラー 豊富な経験と知識 + 信頼感 等 ⇒ 助言を受けられにくい環境 事故・インシデント発生の可能性 1人で防ぐ事は困難な場合あり (熟練者の行動特性 ※参照)

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航空安全講習会(滑空協会) 1.コンプレセンシーとは (1) FAAST Avoid the Dirty Dozen (2) 操縦技能審査員 定期講習 (H29年度) で使用された定義 10

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航空安全講習会(滑空協会) ・ ヒューマンファクターに起因する ミステイクは 約80% ・ ヒューマンエラーの一般的な12の原因 Lack of Communication Complacency Lack of Knowledge Distractions Lack of Teamwork Fatigue Lack of Resources Pressure Stress Lack of Awareness Norms Lack of Assertiveness 1-1 Avoid the Dirty Dozen(FAAST) 整備上 エラーは 約80% 11

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航空安全講習会(滑空協会) タスクを繰返し経験することによる自信過剰 そのタスクにリスクがあったにもかかわらず その結果が 何の問題が生じなかった 偶然 ⇒ 継続 ⇒ リスクに対する感受性が低下 ⇒ 自 信 過 剰 12 (受入れ不可能なリスク・制御されていないリスク)

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航空安全講習会(滑空協会) コンプレセンシーとは危険な状況または 不具合が生じているにも関わらず、それ に気づかないまま無意識のうちに行動 している状態、又は警戒心が失われてい る状態 操縦技能審査員 定期講習 (H29年度) 1-2 局が使用した定義 13

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航空安全講習会(滑空協会) (1) 人間の基本特性 ア. 情報処理はシングル・チャンネル 同時並行的な情報処理不可 ⇒ 情報処理に限界がある ⇒ ひとつの物事に集中すれば 他は自動的に「不(非)注意」 必ず不(非)注意の時がある 2.コンプレィセンシーに陥る原因 14

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航空安全講習会(滑空協会) 15 前回使用したスライド

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航空安全講習会(滑空協会) イ. 最少のエネルギーで対応する特性 ⇒ 情報が不足しても探そうとはせず、 手 抜 き 過去の知識・経験で対応 (2) 熟練者の行動特性 ⇒ 経験則による情報処理(思い込み) 16 ウ. 注意力維持には限界 (30分位)

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航空安全講習会(滑空協会) ・ 経験者は、先読みする能力を保有 (ヒューリスティック = 経験則) 「察する、空気・行間を読む」 等の思考 ・ 原 因 分からない (情報不足) ⇒ 不安 質問する / 自分自身で対応 17 熟練者に多い行動 思い込み ・ 情報の操作 不都合な情報⇒軽視.切り捨て 都合のいい情報 ⇒採用

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航空安全講習会(滑空協会) (3) 認知バイアス 必要とする選択をする際、時間をかけ論理的に 考えることはなく、物事の判断を一瞬で行える 「無意識」 を使って処理 効率的な選択が可能 不合理でメリットの無い選択 認知バイアス ア. 正常性バイアス・リスキーシフト ⇒ リスクに対する感受性の低下 油断、警戒心の欠如 18

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航空安全講習会(滑空協会) 19 イ.自己奉仕バイアス 成功は自分の能力、失敗は外的な要因 ウ.Plan Continuation Bias リソースの活用する意識が欠如 (計画続行バイアス) 操作そのものに能力を割かれ、判断能力が低下。 そして、危険な要素が発生・増加しても、 計画を続行してしまう傾向 状況悪化(リスクが増加)の時も ※ リスクが増加の一例 ; 天候悪化.内部・外部圧力.時間的制約. 疲れ・ストレス 等

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航空安全講習会(滑空協会) 20 思い込み(だろう判断)の一例 20 危 険

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航空安全講習会(滑空協会) (2) コンプレィセンシー ・ 過去、誤った思い込み・Risk-Taking の結果、偶然 何も起こらなかった 油 断 (注意を怠る) 継 続 今回も大丈夫、今後も・・・ 不適切な成功体験は コンプレセンシーを 生む可能性 ? その結果、自分の実力(能力) 以上の事ができると誤判断 正常性バイアスと密接に関係 21

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航空安全講習会(滑空協会) 操縦技能審査員 定期講習 (H29年度) 危険な状況または不具合が生じている にも関わらず、それに気づかないまま 無意識のうちに行動している状態、又 は警戒心が失われている状態に陥る 22 リスクがあるにも関わらず、 それに気づかず 油断している状態!! ※ 受入れ不可能なリスク、制御されていないリスク ※

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航空安全講習会(滑空協会) 3.事 例 研 究 (1) 事例研究 (米空軍 B52 ) (2) 事例研究 (私達の生活の中でも) 23

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航空安全講習会(滑空協会) 3-1 事 例 研 究 (米空軍B52 戦略爆撃機) 米空軍基地で発生した B52墜落事故(1994年) (1) 事 故 の 概 要 米空軍戦略爆撃機 B52 が滑走路 に着陸進入中、管制指示により復行 し、左旋回中に墜落炎上 地面に激突する直前 この事故は単に旋回中に何らかの 原因で異常姿勢になり、墜落した 事故ではありません!! ウィキメディア「1994年のフェアチャイルド空軍基地でのB-52機の墜落事故」参照 24

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航空安全講習会(滑空協会) 25 「B52 戦略爆撃機の墜落事故」(3分10秒)

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航空安全講習会(滑空協会) (2) 組織の対応の遅れや不適切な対応 1991.5 (事故は1994.6)に同空軍基地での 航空ショーで、当該機長はB-52機で、バンク角 やピッチ角の限界を越えた飛行、観客の頭上を 高度制限違反の飛行等を行ったが、 組織は何の対応もとらなかった (らしい) 91.7、92.5、93.4、93.8、94.3 の 各種飛行で規程違反をするも、 組織は口頭注意(警告)程度で処分なし 違反行為に周囲が甘い判断し、 (本人=熟練者)の規則厳守意識が低下 26 (3) 個人(熟練者の行動特性)

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航空安全講習会(滑空協会) 3-2 事例研究 (私達の生活の中でも) コンプレィセンシー なんか、私には関係ないと 思っていませんか? 思い出してみて下さい スピード違反、無理な追い越し、信号無視による道路の横断、 発車直前の電車への無理な乗車、エスカレーターでの急ぎ足、 開かずの踏切での警報機無視による線路の横断 等 27

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航空安全講習会(滑空協会) (1) 統計上、意図的なバイオレーションを 引き起こす人はエラーも多く引き起こす 可能性が高いというデータがあります (2) 意図的にバイオレーションした結果、 問題なし 問題がない状況(状態)が継続 コンプレィセンシーに陥る可能性が増大 28

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航空安全講習会(滑空協会) 4.コンプレィセンシー防止対策の考察 ・ コンプレセンシーに陥らない方策 ・ コンプレセンシーに陥っても、 人的リソースで、その影響を最小限度に 29 自分で創りだしてしまうもの 組織が創りだしてしまうもの 操縦技能審査員 定期講習 (H29年度) 内容から考察 (具体化)

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航空安全講習会(滑空協会) (1) 聞き上手、話し上手になる まず、コンプレセンシーに陥ることが 危険であることを認識する! (3) 一点集中になることを認識できる (4) SOP等の設定理由を理解する (5) 生データをクロスチェックする (2) コンプレセンシーに陥ることを認識する (7) 常に警戒心を持ち、CRMを実践する (6) データ入力、操作時は声を出し、実施する 30 この内容をベースに深掘りしてみましょう!!

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航空安全講習会(滑空協会) (1) 聞き上手、話し上手になる ・ コミュニケーション ア. コミュニケーション・エラー (思い込み、誤解、聞き違い等を含む) イ. 確 認 不 良 (見間違い、読み違い、確認行為の省略) 航空; 41%、一般産業; 58% 航空; 26%、一般産業; 36% 日本ヒューマンファクター研究所資料一部抜粋 ヒューマン・エラーの2大要因 31

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航空安全講習会(滑空協会) 運航に関する情報や意思、意見等を、 誤解がないよう明確に伝えあうこと 伝達と確認 計画と認識を共有(相互に納得) 安全のための質問 安全のための主張 (Assertion) 気をつけて! ⇒ 分かった。気を付けるから 32 心理的安全性の確保が大切

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航空安全講習会(滑空協会) 33 Googleの4年間の調査報告 : 5つの鍵 「生産性の高いチームに共通する法則性」 •心理的安全性:不安を感じず、自分の本来の能力を発揮できる環境がある •信頼性:メンバーを互いに信頼して、相手に仕事を任せることができる •構造と明瞭さ:チームが目指すべき目標やそれを達成するための役割分担、 行動計画が明確に提示されている •仕事の意味:メンバーが自らの役割に対して意味を理解し、自覚をしている •仕事のインパクト:チームが定めている目標や自分の仕事が社会に対して 良い影響力を持っていると確信できている こうした鍵が機能するためには、メンバーがそれぞれ主体的な行動をとり 互いに認めあいながら、生産的な議論ができる環境が整っていることが 重要といえる。それこそが、心理的安全性が確保された環境なのである Project Aristotle 2012-15

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航空安全講習会(滑空協会) 34 4つの不安と行動特徴 •無知だと思われる不安:「知らない」「わからない」が 言えなくなりわかったふりをして業務を続けることになる •無能だと思われる不安:失敗したらいけないと思い込む、 あるいは、自分のあやまちを認めることができなくなる •邪魔になっていると思われる不安:自分の発言が進行を 妨げるのではないかと考え自発的な発言や新しいアイデア を積極的に出せなくなる •ネガティブだと思われる不安:否定的に捉えられる可能性の ある発言や、慎重になるべきだとの指摘をすると、積極性や 行動力がないと思われるのが心配で、失敗するかもしれない 可能性に気がついても指摘できなくなる 心理的安全性 Prof. Amy Edmondson Harvard Business School 1999

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航空安全講習会(滑空協会) ウ.リソースの有効活用 (ア) 必要性 誤判断・エラー防止のために必要 (イ) リソースの有効活用とは a. リソースを活用する姿勢を示す ⇒ リソースを活用する芽を摘んでしまう b. 情報源を特定する ⇒ リソースが複数あると混乱 情報源を絞り込む c. 良い情報より、悪い情報に価値がある ⇒ 悪い情報を的確に伝える→ 受け手は情報を活用しやすい d. 情報の真実性を見極める ⇒ 相反する情報がある場合は見極めが必要 35

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航空安全講習会(滑空協会) (2) コンプレセンシーに陥ることを認識 36

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航空安全講習会(滑空協会) (3)一点集中になることを認識できる ア. シングル・チャンネル (不注意の存在) 人間の脳内の情報処理回路はシングル・ チャンネルです。ある情報の処理にかかり 切りになっている間は、他の情報は処理さ れない状態なる可能性 (非注意の存在) 37

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航空安全講習会(滑空協会) イ. Overload (タスクの問題) ・ 脳の限界により、Overload になると 重要な情報が無視される可能性が・・・ ・ Overload の兆候 パフォーマンスの急激な低下、一点集中、安易な行動、 情報の遮断、感情の起伏、落ち着かない、沈黙、パニック 飛行前の時間の有効活用、チェックリストの活用 優先順位付け、管制機関の積極的利用(タスクの配分) (Overload の兆候とその対応) 38

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航空安全講習会(滑空協会) ウ. 急かされると (時間的な問題) 急ぐ場合 ≒ 自分の能力の範囲内 急かされる場合 ≒ 自分の能力の範囲を超える可能性 ハリーアップ症候群のおそれ 様 々 な 理 由 に よ り 作 業 や 業 務 を 急 か さ れ る 、 または急ぐ必要がある場合や認識していること によって、操縦士のヒューマン・パフォーマンス が低下している状態をいう ASRS Directline (Issue Number 5 : March 1993) 仮訳 一点集中、安全に対する配慮が欠如、 慎重さに欠けた行動 39

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航空安全講習会(滑空協会) エ. ストレス ・ 疲労等 (内面的な問題) ストレス等の過度な蓄積、処理しなければ ならない情報量の過多により、脳が正常な 機能を果たせていない状態 ・ 脳疲労により一点集中を助長 • 集中力の低下(考えるのが面倒) • 記憶力の低下(もの忘れ) • 理解力・判断力の低下 • コミュニケーション低下 • 作業効率の低下 • 注意力の低下によるミスの増加 40

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航空安全講習会(滑空協会) ・ マニュアルの形骸化とデメリット ア. 間違った効率化によるマニュアルの修正 イ. マニュアル絶対主義 無事故が継続 ⇒ 正常性バイアスが作用 ⇒ 記載された注意項目に疑問 ⇒ 注意項目の削除 ⇒ 効率化の促進 ・ マニュアルに記載されたことのみを実施 ・ マニュアルに記載されていないことは考えない。やらない ・ 今は無事故 ⇒ 何とか なってるから見直しはしない (4)SOP等の設定理由を理解する マニュアルの形骸化 (自主裁量の余地) 41

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航空安全講習会(滑空協会) (5)生データをクロスチェックする ア. SRMにおける「Risk Management」 Perceive-Process-Perform (3P) model a、Perceive 『PAVE』 により、ハザードに気づく b、Process 『CARE』 により、リスクレベルの評価 Consequences=ハザードがもたらす結果は? Pilot Aircraft Environment External Pressures Alternatives = 利用可能な代替手段は? Reality = 当面の実状況は? External Pressures = 外部圧力の影響は? 42

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航空安全講習会(滑空協会) イ. 「思い込み」 等が情報を操作 分からない ⇒ 不 安 質問する 思い込みで対応 熟練者に多い行動 情報の操作 不都合な情報 ⇒ 切り捨て 都合のいい情報 ⇒ 採用 ウ. クロスチェック=やり方や観点を変えて エ. ダブルチェック=人を変えて 生データーにより、正しく状況認識 43 だろう 判断

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航空安全講習会(滑空協会) (6)データ入力、操作時は声を出し、実施する 声出しのメリット a. エラーの減少 声出し ⇒ 口の周りの咬筋が大脳を刺激 b. チェックリスト等の実施速度の調整 確認行為を伴う場合、黙読では早すぎ c. 脳 (前頭葉) を刺激し、活発化 言語能力や自制心、やる気などを向上 d. メ タ 認 知 (客観視) e. ダブルチェック効果 44

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航空安全講習会(滑空協会) (7) 常に警戒心を持ち、CRM を実践 45 現場力・チーム力の向上/チーム戦化 安全で効率的な運航を達成するために すべての利用可能な人的リソース (航空機乗組員、客室乗務員、運航管理者、 整備士、航空管制官等)、ハードウェア 及び情報を 効果的に活用することを言う 運航規程審査要領細則 国土交通省

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航空安全講習会(滑空協会) 46 CRM と は ー1 ・ 特にⅬとⅬに着目 エラーが発生した場合、その場に いる人の力(現場力)が大切 意識=積極性,協調性,遵法性,状況認識性 能力=業務管理能力,危険管理能力 危機管理能力 (NTS = ノン テクニカル スキル) 認知スキル・チームワークスキル ・利用可能な人的資源とは 装備・手順・人員等からの助け(援助) そこから得られる情報、手段、方策等

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航空安全講習会(滑空協会) 47 CRM と は ー2 ・ 効果的に活用するとは ヒューマン パフォーマンスを適切に考慮し、人 間と周辺の他の要素との安全の調和を求める ヒューマンファクターにおける良い面(創造性、 応用力、協調性、連携、問題解決能力、学習能 力等)を効果的に活用 気づき・気がかり・解消活動(3K活動) 安全で質の高いチームを形成して、相互補完 ・ここでいうマネジメントとは 皆で行う相互作用の概念、良い状態を維持 (多くの場合、当事者は警戒心を失っている。気づいてもいない)

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そして、再発防止 さらに未然防止へ 航空安全講習会(滑空協会) (8) 事例研究により、安全な運航に 多くのヒヤリハット事例を活用 48 自分の振返り 多いヒヤリハット事例の研究 事故・重大インシデント事例研究 (ただし、数は少ない) 仲間との共有

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航空安全講習会(滑空協会) 49 最 後 に

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航空安全講習会(滑空協会) 50 コンプレィセンシー 局の定義では 危険な状況または不具合が生じているにも関わらず、 それに気づかないまま無意識のうちに行動している状態、 又は警戒心が失われている状態 簡単に言うと ・・・ リスクがあるにも関わらず、それに気づかず 油断している状態!! ※ ※ 受入れ不可能なリスク、制御されていないリスク 気づき・気がかり・解消活動(3K活動)

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航空安全講習会(滑空協会) 51 『 安 全 管 理 』 現場では、危険をしっかり意識して (RISK) 『 危 険 管 理 』 (Risk Management) 『 安 全 』 『 安 心 』

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航空安全講習会(滑空協会) お わ り ご清聴、有難うございました 何か不明な点がありましたら 松本茂治=[email protected] [email protected] コンプレィセンシーについて (考察) 52