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サイボウズのOSPO Jun. 27th, 2024 サイボウズ株式会社 武内 覚 1

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自己紹介: 武内 覚 ▌サイボウズ社内での役割 ⚫自社インフラのストレージシステム開発者 ⚫OSS推進チーム(OSPO) リーダー ▌社員として取り組むオープンソース開発 ⚫CNCF公式プロジェクトRookのメンテナ ⚫自社製CSIドライバTopoLVMのメンテナ 2

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agenda ▌概要 ▌工夫 ▌課題 3

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agenda ▌概要 ▌工夫 ▌課題 4

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サイボウズとOSSとの関係 ▌自社プロダクト内でOSSを使っている ▌成果物の一部をオープンソースで公開 ⚫E.g. https://github.com/cybozu ▌売り上げの一部をOSSに寄付 ▌社外OSSの開発に貢献 5

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サイボウズのOSPO 6 OSPO 開発者 社内 社外 OSS OSS OSS 知見データベース 問題報告、修正 寄付 参照 相談 維持管理 OSSポリシー 参照

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OSSポリシー: 前文 7 OSPO 開発者 社内 社外 OSS OSS OSS 知見データベース 問題報告、修正 寄付 参照 相談 維持管理 OSSポリシー 参照 • 本規程の第一の目的は、当社ならびに当社従業員が OSS 関連活動を過大な負担 なく行えるよう支援することである。 そのために、当社、当社従業員または他者 の著作権、特許権および商標権に関する事項を定める。 • 本規程の第二の目的は、当社がオープンソースコミュニティにおける良き一員で あるために必要な規定を定めることである。 そのために、ライセンス違反への対 応方針ならびに社員が発見した他者 OSS の不具合を報告する努力義務を定める。

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OSSポリシー:著作権について 8 OSPO 開発者 社内 社外 OSS OSS OSS 知見データベース 問題報告、修正 寄付 参照 相談 維持管理 OSSポリシー 参照 以下のいずれかに該当するものを除き、その著作権は従業員に原始的に帰属するものとする • 当社の極秘情報を含むもの • 上長の明示的な指示または承認のもと作成されたもの

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OSSポリシーは社外にも公開 9 OSPO 開発者 社内 社外 OSS OSS OSS 知見データベース 問題報告、修正 寄付 参照 相談 維持管理 OSSポリシー 参照 • OSSへの取り組みに積極的と認識された • 社外のかたに言及される • 社外イベントに呼ばれる • 他社がOSSポリシーを作る際の参考にされたことも

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OSSに関する相談対応 10 OSPO 開発者 社内 社外 OSS OSS OSS 知見データベース 問題報告、修正 寄付 参照 相談 維持管理 OSSポリシー 参照 • ライセンス使用可否 • ライセンスの使用条件 • 使用にあたっての注意 • 社内ツールの公開可否

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知見の集約&再利用 11 OSPO 開発者 社内 社外 OSS OSS OSS 知見データベース 問題報告、修正 寄付 参照 相談 維持管理 OSSポリシー 参照 • 相談経由で得た知識を一か所に集約 • 開発者は自己解決が可能に • OSPOは同件、類似案件の回答に活用

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OSSへの寄付 12 OSPO 開発者 社内 社外 OSS OSS OSS 知見データベース 問題報告、修正 寄付 参照 相談 維持管理 OSSポリシー 参照 • 売り上げのうち所定の割合を寄付

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OSSの問題報告、修正提供 13 OSPO 開発者 社内 社外 OSS OSS OSS 知見データベース 問題報告、修正 寄付 参照 相談 維持管理 OSSポリシー 参照 • 業務上必要なもの • 業務上発見したもの

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参考: OSPOの成熟モデル ▌「Open Source Program Office (OSPO)の進化」 という資料に「OSPOの成熟モデル」が定義されている ▌サイボウズはステージ3「OSSプロジェクトのホスト と コミュニティの育成」に該当 ⚫社外プロダクトにも組み込まれているOSSをホスト ⚫一部の社外OSSはサイボウズが主な開発元企業の一つ ▌「OSPOをステージn相当にする」という目標は無い ⚫組織の状況に合わせて必要なことをすればよい 14

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agenda ▌概要 ▌工夫 ▌課題 15

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OSPO設立や寄付の導入時 ▌社内で実績と信頼があった技術者がOSPO設立やOSS への寄付を起案した ⚫組織は正論だけでは動かない。信頼大事 ▌小さく始める ⚫OSSポリシーは著作権に対象を絞った ⚫寄付額は売上高のうちのビジネスに支障がなさそうな額にとどめた 16

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組織構成 ▌どこの本部にも属さない部署横断のチーム ⚫様々な部署へのノウハウの伝播を期待している ⚫兼務手続きがほぼ無いので参加、離脱コストが低い ▌多様なメンバー構成 ⚫オープンソースが好き ⚫オープンソースへのコミット経験が豊富 ⚫知財、オープンソースに詳しい 17

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OSSへの寄付 ▌寄付先を常に社内で募集 ⚫社内で使っていて、ぜひ寄付したいと誰かが思っているものが対象 ▌寄付は投資ではなく利益の還元 ⚫寄付をしなくてもビジネスはできるが、お世話になっているので還元 ▌還元がOSSの開発促進につながることも ⚫開発用の資金、モチベーション不足による開発終了や脆弱性の放置を 避けるための一助となるかもしれない 18

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社外OSS開発への貢献 ▌「OSSに貢献したいからする」ではなく「業務上必要 だからする」 ⚫機能追加、バグ修正 ⚫ローカル修正をupstream化するとメンテコストが下がる傾向にある ▌努力義務である問題報告も、「貢献ネタを積極的に探 す」ではなく「業務上見つかったから報告」が主 19

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全体的なオペレーションコストの低下 ▌頑張りすぎない ⚫なるべくメンバーの主務に影響を出さない ▌タスク担当は輪番で回す ⚫主務の負荷が高い人は飛ばす ▌寄付額は基本的に均等&自動的に寄付ができるプラッ トフォームを選ぶ 20

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agenda ▌概要 ▌工夫 ▌課題 21

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メンバーの新陳代謝 ▌相談件数は増加傾向だがメンバー数は横ばい ⚫必要性とメンバーになることの利点を訴求して随時メンバーを募集中 ⚫可能なら「やりたい人」にやってほしい ▌いろいろな部門にOSSに詳しい人を増やしたい 22

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クリティカルな人材の継続的な確保 ▌知財とオープンソースに詳しい人材がいないと運営が かなり難しいと感じている ⚫とくに相談への回答の確度、スピードに問題が出そう ▌そのような人材は稀である ▌現在OSPOに所属している該当者が抜けてしまった後 はどうするか、明確な答えが無い 23

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まとめ ▌サイボウズのOSPOはOSSに関するポリシーの管理、 寄付、相談受付を担当 ▌OSSへの貢献は必要ベースで実施 ▌課題はありつつも順調に機能している 24

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参考資料 ▌サイボウズのOSSポリシー ⚫https://cybozu-oss-policy.readthedocs.io/ja/latest/ ▌OSSへの寄付のススメ ⚫https://blog.cybozu.io/entry/2022/06/17/150207 ▌Open Source Program Office (OSPO)の進化 ⚫https://www.linuxfoundation.jp/wp- content/uploads//2022/08/LFResearch_OSPO_Report- jp.pdf 25

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終わり 26