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【スライド版】 3年のリモートワークの中で見えた 「事業成長と働きがいの両立」のために 整えるべき4つの仕組み

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はじめに リモートワークを中心とした働き方を検討中、現状課題を持つ方へ 本スライドは、noteの記事に基づいて作成されています 詳しくはぜひnoteをご覧ください すみだ@ベーシックCAO 株式会社ベーシック 執行役員 CAO コーポレート部門長 ▼Twitter @takeshisumida_ ▼note @takeshisumida_

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会社や組織の前提情報 会社名 株式会社ベーシック 従業員数 170名 ミッション 「マーケティングとテクノロジー」で世の中の問題を解決する 主要事業 BtoBマーケティングに特化。 ツールとノウハウでリード獲得支援。 フォーム作成最短30秒。 顧客情報をチームで管理できる。 初心者からプロまで。 すべてのマーケターへ情報発信。 会社概要 働きかた概要 何が適切かはフェーズや規模によっても変わる、特に”ベンチャー企業”を前提にご説明します  ・コロナ禍を機に2020年2月からリモートワーク開始  ・在宅勤務率 約9割 (=出社率1割)  ・全社としての固定の出社義務無し (運用は部/グループごとに任意)  ・東京以外の在住者が全社員の約4割 (地方への移住者も多数)

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各種指標から見る会社の状況 会社としての大方針は「事業成長と働きがいの両立」、リモートワークはそのための1つの手段 業績推移 MRR) 働きがい・離職率に対する影響 リモートワーク開始後も業績は順調に成長。 ここ4年でMRRは約10倍に。 リモートワーク開始後も「働きがい」のスコアは上昇傾向。 また「離職率」については、創業以来最も低い水準に。

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ベーシックが感じているリモートワークの”メリット” これらのメリットがあるからこそ、前述の「事業成長と働きがいの両立」が実現できている 地方の優秀人材の 採用拡大 多様な働き方を望む 人材のリテンション 生産性の向上 (移動時間の削減、集 中環境での業務) ただし、このリモートワークのメリットを十分に享受するには、仕組みの構築が不可欠。

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リモートワークを支える4つの「仕組み」 仕組みがないまま手放しで、リモートワーク = どの会社でも常に成果が出る働き方とは言えない 1 行動規範 2 コミュニケーション設計 3 環境整備 4 評価制度  社員にとって欲しい「行動規範」が統一されている。  またその浸透がなされる仕組みが備わっている。  社員同士のコミュニケーションが円滑に行われるための、  各種仕組み・制度・場が整備されている。  出社しなくても業務を完結させられるように、アナログな作業が  排除され、SaaSなどの必要なシステムが社内で整備されている。  あくまで「成果」に基づいた評価を行う仕組みが備わっている。  またその評価を適正に行うための「目標設定」が徹底されている。

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1.評価制度 (概要) リモートで組織・個人の成果と成長を最大化するためには、それを支える「人事制度」が不可欠 グレー ド 期待役割 職務要件定義 期待役割(一言まとめ) 難易度 組織影響度 裁量度 対人関係 スキル 合計 給与 D1 社会人/Starter ビジネスの基本を身に着け、組織の一員となるステージ I:2 I:2 I:2 I:2 8 D2 ひとり立ち/Player 任された仕事を一つひとつやりきりながら、力を高めるステージ II:4 II:4 I:2 II:4 14 D3 II〜Ⅲ:5 II〜Ⅲ:5 Ⅰ〜Ⅱ:3 II:4 17 D4 一人前/Main Player 創意工夫を凝らしながら、自らの目標を達成するステージ Ⅲ:6 Ⅲ:6 II:4 II〜Ⅲ:5 21 D5 主力/Leading Player 組織業績と周囲のメンバーをけん引するステージ Ⅲ〜Ⅳ:7 Ⅲ:6 II:4 Ⅲ:6 23 P1 Manager ・個人と集団に働きかけて、上位方針にもとづいた組織業績を達成していく ステージ Expert ・高い専門性を発揮することを通じて、組織業績と事業成長に貢献するス テージ Ⅲ〜Ⅳ:7 Ⅲ〜Ⅳ:7 II〜Ⅲ:5 Ⅲ〜Ⅳ:7 26 P2 Ⅳ:8 Ⅳ:8 Ⅲ:6 Ⅲ〜Ⅳ:7 29 P3 Ⅳ〜Ⅴ:9 Ⅳ〜Ⅴ:8 Ⅲ〜Ⅳ:7 Ⅲ〜Ⅳ:7 31 P4 Ⅳ〜Ⅴ:9 Ⅳ〜Ⅴ:8 Ⅲ〜Ⅳ:8 Ⅲ〜Ⅳ:8 33 SP1 Senior Manager ・事業、組織の持続的成長に向けて、変革を推進していくステージ Senior Expert ・卓越した専門性を発揮することを通じて、組織業績と事業成長に貢献する Ⅳ〜Ⅴ:9 Ⅳ〜Ⅴ:9 Ⅳ:9 Ⅳ:8 35 SP2 Ⅴ:10 Ⅴ:10 Ⅳ〜Ⅴ:9 Ⅳ:8 37 SP3 Ⅴ〜Ⅵ:11 Ⅴ〜Ⅵ:11 Ⅳ〜Ⅴ:9 Ⅳ〜Ⅴ:9 40 M1 事業変革/Business Officer 戦略的な資源配分を通じて、自ら描いた事業構想を実現するステージ Ⅵ:12 Ⅵ:12 Ⅴ:10 Ⅴ:10 44 M2 企業変革/Corporate Officer 社会における自社の存在意義を絶えず問い直し、自社の進路を決めるステー ジ Ⅵ:13 Ⅵ:13 Ⅴ:10 Ⅴ:11 47 M3 Ⅵ:14 Ⅵ:14 Ⅴ:10 Ⅴ:12 50  ベーシックの評価制度の概要 (期待役割グレード制度)  ・”職能”ではなく”職責”への期待に対してグレードを設定。   グレード決定段階ではまだ能力が足りなかったとしても、   期待して役割を渡すなら報酬は上がるという考え方。   (これにより挑戦機会や抜擢を創出)  ・「難易度」「組織影響度」「裁量度」「対人関係」の   4軸で評価され、その総合点でグレードが決定される。   (4軸それぞれに定量的な水準が設定されている)  ・そのグレードの”期待役割”に応じたミッションを設定。   そのミッションの達成水準に合わせて、ベース給与   からの変動幅が設定されている。   ”グレード(=ベース給与)”そのものの評価と、   ”ミッション達成度”の評価の2つがある。   (これを半期ごとに実施) ※ビジネス職の例。エンジニア等、職種によっては別テーブルが存在。 (参考) ベーシックにおける「グレードテーブル」

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1.評価制度 (目標設定) 適切な評価のためには、適切な「目標設定」がまずは必要 必要要素 詳細アクション まず前段として事業部や部門としての「ミッションツリー」を作成。事業計画と連動する形で、計画達成のために必要な 要素を徹底的にブレークダウンする。その上で、そのツリーに基づき、各社員が為すべき「個人ミッション」をさらに詳 細化する。ポイントは、この個人のミッションの積み上げが、その上段のツリーの KGI達成に確実に結びつくよう連動す る形で設計されていること。 部署ミッションツリー 個人ミッションシート

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1.評価制度 (難易度) 目標に対する「適切な難易度」の設定こそが、マネジャーの腕の見せ所  ベーシックにおける難易度の考え方  とにかく計画は高い方がいいという考えは適切ではない。  難易度が高過ぎて、組織に”あきらめ”や”不安”が蔓延すると  成長や成果が最大化されない。  逆に難易度が低過ぎて、あまりに確実に達成できる計画も  適切ではない。組織に”退屈感”が蔓延し、組織も人も  成長が止まる恐れがあるため。  あくまで組織および個人の「成長と成果が最大化」される  難易度であるのがポイント。  定量的な基準としては、達成確率50%〜70%が目安

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2.行動規範 (概要) リモートであるからこそ、成果を出すために社員にとって欲しい”行動”は統一されているべき 専門性 行動 (コンピテンシー) 指向/態度 性格/基礎能力 ・対人面、課題解決面に関する性格的特性 ・言語的能力、数量的能力など ・積極性、協力性など ・専門職指向、管理職指向など ・その業務で必要とされる  固有の知識や技術 ・その業務で必要とされる課題に  向き合う姿勢や実際の行動  コンピテンシーとは?  高業績者に共通してみられる行動特性のこ   と。「ある職務や役割において優秀な成果   を発揮する行動特性」などと定義されてい  る。  社内で高い業績を上げている社員の専門技   術・ノウハウ・基礎能力等を細かに観察し、  何がその人を「仕事のできる社員」にして  いるのかを明らかにするもの。  出典:MS-Japan 仕事の成果

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2.行動規範 (参考:ベーシックのコンピテンシー) 過去は多数あったものを3つに集約、よりシンプルで覚えやすいものに刷新  コンピテンシー策定の上でのポイント  ・ 圧倒的にシンプルで覚えやすいか  ・ 会社の成長に必要であり、    さらに向上させたい行動は何か  ・ どのような行動特性を持っている人と    一緒に働きたいか    GOAL ORIENTED 常に目的からの逆算で考え、 達成、成果にこだわり抜け。 TRY & LEARN あくなき仮説と検証を繰り返し、 学びを進化に繋げろ。  TEAM SPIRIT 刺激し、高め合う、 共闘のチームスピリッツを 

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2.行動規範 (浸透の仕組み) 1  分かりやすく噛み砕く 2  適切に評価を行う 3  繰り返し啓発する 4  日々の行動レベルに落とし込む 5  部署ごとに責任者を据える 策定だけでは不十分、本質的に会社に”浸透”させるための具体策が必要 (参考) https://note.basicinc.jp/n/n7018620c98d7

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3.コミュニケーション設計 (概要) コミュニケーションは呼びかけるだけでは増えない、それを促進・誘発する”仕組み”が必要 制度の設計 金銭的補助を出すことで、コミュニケーションを取る機会を誘発する。 ・社員同士での飲食に対する補助制度を用意しておく ・リモートワーク主体のため、オンラインでの開催の場合もその対象とする 機会の創出 補助に加え、人事主導で機会自体を創出。仕事以外の繋がりも作ることで組織への粘着性を高める。 ・会社軸:社長、配属部署、中途同期入社、同職種 ・プライベート軸:趣味(コミュニティ)、同年代、同郷 ・イベント軸:四半期に一度の全社会議はオフラインが原則 (地方在住者もいるのでハイブリッド開催) 場所の提供 とはいえオフラインも重要な場。いかにオフィスにも来てもらえるかは合わせて追求する。 ・リモートワーク主体前提でのオフィスの在り方を再定義 (レイアウトの変更) ・自宅勤務の生産性を超えるメリットの提供 異変の察知 社員からのアラートは相対的に見えにくい。後手にならず察知できる仕組みを構築しておく。 ・新入社員に対する人事面談の継続実施 (1ヶ月目、3ヶ月目、6ヶ月目、10ヶ月目) ・月次アンケートに体調/精神面に関する項目を盛り込む ・人事×部署の定期ミーティングの実施 (上記で吸い上げた状況もここで確認)

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3.コミュニケーション設計 (具体例) 「制度の設計」と「機会の創出」は両輪、双方があることでコミュニケーションは最大化される (参考) https://note.basicinc.jp/n/n3a31f48f07b1 人事で複数の切り口で機会を設ける。特に業務以外の繋がり を作ることが粘着性を高める。  ① 配属部署  ② 社長  ③ 同期入社  ④ 同年代  ⑤ 先輩社員(≒メンター)  ⑥ 同郷  ⑦ 同職種  ⑧ 勤務場所(地方勤務者)  ⑨ 趣味(コミュニティ) 機会の例 ・コミュニケーション補助  社員同士での飲食代を補助 (1ヶ月あたり1人5回まで) ・歓迎ランチ補助  新入社員の歓迎会代を補助 (新入社員1人につき1回まで)  ※いずれもオンラインでの開催も補助対象 制度の例

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3.コミュニケーション設計 (オフィス)   複数人で 議論できる 家より 集中できる   出社したら 交流できる (参考) https://note.basicinc.jp/n/n79b636688155 リモートワーク主体の場合の「オフィスの在り方」を再定義、レイアウト変更を実施 個別ブース の新設 議論スペース の増設 BAR、ソファ席 の設置

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4.環境整備 (概要) リモートワークをすることで「生産性」が落ちないことは絶対条件、下記2つが整備のポイント デジタル化 特に一般的にアナログ業務が残りがちなコーポレート職種のデジタル対応が肝 ・SaaSを中心としたシステムの徹底活用 ・アナログ業務をそもそも廃止する  (印刷物の廃止、押印の廃止、請求書のPDF化 等) 外部の活用 内製にこだわり過ぎず、外部も適切に交えた環境整備が大事 ・アナログが残るノンコア業務を外部に委託する  (紙の契約書の保存の外部倉庫への委託、PCのキッティング・配送の委託 等)

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4.環境整備 (参考:コーポレートにおけるツールマップの例) それぞれの機能の業務遂行手段を可視化、デジタル化すべき業務をマップで洗い出すことも有用

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(最後に) 会社としての大上段の「目的」が何より重要 その上で“リモートワーク”をその手段として取る場合は、それを支える仕組みの構築が必須 事業成長と働きがいの両立 (※ベーシックの場合) 目的 リモートワーク 手段 支える仕組み 1 行動規範 2 コミュニケーション設計 3 環境整備 4 評価制度 × ×