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マネジメント3.0をその基礎となる 複雑適応系、自己組織化から理解しよう 2023/9/23 M3&T LAB. 藤井 拓

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自己紹介 6年ほど電機メーカーで研究開発し、その後ソフトウェアの世界に転職し、30年。そ の間、モデリングや開発手法の研究開発や適用支援等に従事し、何回か管理職を 経験。定年後再雇用3年間を経て、2022年4月から社会福祉の勉強の傍ら、個人事 業主の立場でアジャイルアドバイザー、トレーナー、翻訳、研究に従事。 2023/9/23 2 • 興味を持っている分野 ➢ アジャイルなマネジメント ➢ アジャイル要求 ➢ アジャイルパラダイムのスケーリング ➢ 組織の転換 藤井のブログ/web:https://m3tlab.wordpress.com/ Twitter: @TakuFujii LinkedIn:linkedin.com/in/taku-fujii-1304392 ©2023 M3&T LAB.

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本セミナーのアウトライン ⚫アイスブレイク ◆グループ内の自己紹介等 ⚫複雑適応系とマネジメント3.0 ◆議論 ⚫アジャイル開発の「自己組織化」とマネジメント3.0 ◆議論 ⚫マネジメント3.0モデルとその3つの視点 ◆全体の振り返り 2023/9/23 3 ©2023 M3&T LAB. 本セミナーでは、お話のパートごとにグループ毎の議論を実施します。 全体的に時間がタイトなので、グループワークは時間厳守でお願いします!

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アイスブレイク:自己紹介とMgmt3.0への関心 Zoomのブレークアウトセッションのグループに分かれて自己紹 介等を行って頂きます。 ⚫各グループで、自己紹介の順番を決めて、その順番に従って 自己紹介及びマネジメント3.0にどんな関心(期待)を持っているかをお 話するようにお願いします。 ⚫一人当たりの持ち時間は、1分以内ということでお願いします。 可能であれば、お名前か、ニックネームをMural上のこの議論用区画に付 箋で書き留めて下さるようにお願いします。 4 6分 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB.

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複雑適応系とマネジメント3.0 2023/9/23 5 ©2023 M3&T LAB.

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なぜ、マネジメント3.0 なのか? ⚫現在、周囲の速い変化にすばやく適応する組織作りが 求められており、その鍵を握るのがマネジメントだから。 ◆自己組織化 ◆サーバントリーダーシップ ⚫Jurgen Appeloが書籍『Management 3.0 — Leading Agile Developers, Developing Agile Leaders』でその1つの回答 となるマネジメント3.0モデルを理論と実践の両面から説 明した 2023/9/23 6 邦訳:Jurgen Appelo, マネジメント 3.0 :適応力の高いチームを育むための6つの視点, 丸善出版, 2022 ©2023 M3&T LAB.

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マネジメント 3.0の全体像 2023/9/23 7 ©2023 M3&T LAB.

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自己組織化! マネジメントの責務とマネジメント3.0 マネジメントの責務は主として以下のようなものだと思うが、マネジメント3.0モデルはこ れらを従来と異なる視点で考え直すことで、組織の適応性を高める道筋を切り開くこと を助けるという意義を持つ ◆ビジョン(方向性)を考える ◆リソースを確保する ◆様々な判断をする ◆分担(実行方法)を考える ◆育成する、または成長を支援する ◆組織を作る ◆現状を把握する ◆現状や今後の見通しを説明する ◆成果(結果)に対する責任を負う 2023/9/23 8 チーム/グループ マネジメント ここでのマネジメントは、主としてチームのマネジャーを指すが、同時にラインマネジメント階層も指す。 マネジメント3.0 モデルは、従来のやり方を再考し、組織の適応性を高めるための視点を提供する ©2023 M3&T LAB.

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線形な考え方 対 非線形な考え方 自分たちを取り巻く世界(システム)の捉え方は、2通りある ◆線形な考え方 ➢世界が将来どのように振舞うかは、因果関係によって決まる。因果関係を理解すれば、将来の振る舞いを予測 できる。 ◆非線形な考え方 ➢世界の振る舞いを左右する因果関係は複雑で理解するのは困難である。そのため、世界の将来の振る舞いを 予測することは困難である。 ◦ 複雑性とは、将来の振る舞いの予測が困難なことを意味する 「線形な考え方」でマネジメントする場合、「因果関係を理解した」人にみんな (部下)が従えばよいというようになることが多い。 2023/9/23 9 システム(系)とは、複数の相互作用する要素から構成されるものを意味する:太陽系、人間の集団、等々 ©2023 M3&T LAB.

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第3章「複雑系の科学」 :システムの分類 因果関係を容易に理解できないシステムは、複雑系である ◆構造の複雑さのレベル:構造が単純、構造がややこしい ➢例:三輪車、自動車 ◆振る舞いの複雑さのレベル:秩序がある、複雑な、カオス(無秩序)的 ➢例:投げたボール、新型コロナウイルスの流行、2重振り子、株式市場 2023/9/23 10 以降のスライドでは、 「振る舞いの複雑さ」を「複雑性」と呼ぶ ややこし い 構造 振る舞い 単純 秩序がある 複雑な カオス的 ©2023 M3&T LAB.

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マネジメント 1.0, 2.0 対 3.0 階層型組織+線形思考 対 非線形思考 2023/9/23 11 マネジメント1.0 マネジメント2.0 マネジメント3.0 マネジメント1.0 は、上位マネジメントが正しい指示を出し、統制するというモデル マネジメント3.0 は、組織自身を外界に適応する複雑系(複雑適応系)にすることを目指す ©2023 M3&T LAB.

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複雑系には複雑適応系で対する 複雑適応系(CAS)とは、生物のように外界の変化に適応する複雑系である。 対応すべきビジネス環境が複雑系(=振る舞いの予測が困難)であるならば、それに対応す るために組織は複雑適応系である必要がある。 2023/9/23 12 ビジネス環境 (複雑系) 組織 (複雑適応系) 国等の人間の集団も複雑適応系である。 国ごとの新型コロナへの対応の違いは複雑適応系としての違いを反映しているかもしれない。 ©2023 M3&T LAB.

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日本と中国の新型コロナへの対応の違い 日本(分権、民主的)の場合 中国(権威主義)の場合 2023/9/23 13 日本と中国のどちらが、より複雑適応系だといえるだろうか? ©2023 M3&T LAB.

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日本と中国の新型コロナへの対応の違 い 日本(分権、民主的)の場合 中国(権威主義)の場合 2023/9/23 14 日本と中国のどちらが、より複雑適応系だといえるだろうか? 適応力の高い複雑系であるための大事なポイント ⚫ 創発が起きる:単なる合計以上のものを生む ⚫ スピードが速い:外界の変化にすばやく適応する ©2023 M3&T LAB.

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複雑適応系とマネジメント3.0の関係に関する議 論 複雑適応系とマネジメント3.0の関係について、以下のこと を議論しよう ◆納得できたこと ◆これらの話題に関係する自分自身の経験 ◆もやもやしていることや質問 ⚫可能であれば、考えたことをMural上のこの議論用区画に書き留めて、 議論 するようにお願いします 15 6分 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB.

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アジャイル開発の「自己組織化」と マネジメント3.0 2023/9/23 16 ©2023 M3&T LAB.

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自己組織化とは 中央の権威や外部要素が計画策定を通じて押し付けることなく、システムにお いて構造やパターンが現れるプロセスのことである。 ⚫自己組織化は、自然界ではありふれた現象である ⚫マネジメント3.0は、自己組織化したチームの力を活かすマネジメントアプロー チである 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB. 17 自己組織化した 開発チーム 「スクラム」というアジャイル開発フレーワークは、人間系の自己組織化をうまく活用している

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スクラム (Scrum) とは Jeff Sutherland、Ken Schwaber、Mike Beedleによって提案されたコンパクトな(プ ロジェクト管理)アジャイルフレームワーク ◆ラグビーのスクラムに、ちなんだ名称 ◆野中らの知識創造プロセスの影響を受けている 「ラグビーボールは一定のやり方では動かない…ラグビーボールの動きは、フィールドでの チームメンバーの連携プレーから生まれてくるのである。…それは、チーム・メンバー間の濃密 で骨の折れる相互作用を必要とする」(野中郁次郎、竹内弘高、『知識創造企業』、東洋経済 新報社、1996を引用) 2023/9/23 18 スクラムは世界的にもっともよく使われているアジャイル開発フレームワークである ©2023 M3&T LAB.

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スクラムの基本 ⚫スプリント ◆1週間から30日間のサイクルの反復をスプリントとよぶ ◆スプリントの期間中には、外乱を抑え、目標達成に専念できるようにする ⚫体制 ◆プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発チームが連携して開発を進める ◆開発チームの規模は、7±2人 2023/9/23 19 ©2023 M3&T LAB.

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スクラムのプロセス 2023/9/23 20 スプリントゴールの設定:開発チーム、プロダクトオーナー、スクラムマスター スプリントバックログ:開発チーム、プロダクトオーナー Schwaber, Ken, et al, Agile Software Development with Scrum, Prentice Hall, 2002 の図をベースに作成 プロダクトオーナー ©2023 M3&T LAB.

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スクラムのプロセス 2023/9/23 21 プロダクトオーナー スプリントゴールの設定:開発チーム、プロダクトオーナー、スクラムマスター スプリントバックログ:開発チーム、プロダクトオーナー 実行可能なソフトウェア (インクリメント) 計画(Plan) 実行(Do) 確認(Check) 改善(Act) スクラムはPDCAを実践している! ©2023 M3&T LAB.

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組織(管理)形態の違い 2023/9/23 22 従来の開発プロジェクト (指示、縦割り) 柔軟性が低い モチベーションが低い スクラム (自己組織化) 柔軟性が高い モチベーションが高い PM 計画 PL 割り当て メンバー 実行 ©2023 M3&T LAB.

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アジャイル開発の狙いと、 日本でまだ多くの「実情」 ⚫アジャイル開発の狙い ➢(狙いA)市場やニーズの不確実性と向き合い、価値あるものを早く見出し、提供する ⚫日本のまだ多くの「実情」 ➢(狙いB)仕様どおりに安くて品質が良いものを作る …日本のこのような実情に合わせたら、アジャイル開発の良さは損なわれる…. ⚫日本の企業で(狙いA)のために、スクラムというアジャイル手法が使われる ケースが増えてきている 23 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB.

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問いかけ (狙いA)は、外界への適応力が高い開発と捉えることができる なぜ、スクラムにより適応力の高いチームができるのか? 2023/9/23 24 ©2023 M3&T LAB.

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問いかけ (狙いA)は、外界への適応力が高い開発と捉えることができる なぜ、スクラムにより適応力の高いチームができるのか? ⚫私の回答: ◆変化に対して、メンバーが対等かつ活発に連携することで、前向きに良いアイデアを生み 出して対応できるから(→よい状態、活性化した状態) ➢ある集団が、上からの細かい指示がない状態で、与えられた環境に適応するために、単なるメン バーの能力の足し算以上の創意工夫を生み出せる(創発)ならば、その集団は複雑適応系である ◆良いアイデア(仮説)が正しいかを検証しながら、進路を軌道修正できるから(学習) ➢これは、スクラムの単純な実践を超えたものだが、これをしないと外界への適応性が高まらない 2023/9/23 25 ©2023 M3&T LAB. 以降、この「よい状態」がどのようなもので、その「よい状態」を生む仕組みを考えていく

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自己組織化した良いチームの振る舞い イベント 開発チームの振る舞い スプリント計画 不明点を可能な限り無くして、POが目指すものを考慮した達成可能な計 画を立案し、確約する デイリースクラム 自分の作業だけではなく、チーム全体の状況を認識する。個人の遅れ等 を責めるのではなく、むしろ不都合なことを正直に言ってくれたことに感謝 し、その問題に対処する。 スプリントレビュー 自分達の仕事の成果を喜び、フィードバックに感謝する スプリント振り返り 自分達の仕事の結果とそれをもたらした過程でよかったこと、不十分点に ついてメンバー各自が自由かつ積極的に意見を出すとともに、これらの意 見から次のスプリントで適用できる改善策を一緒に考える 2023/9/23 27 ⚫ プロダクトオーナー(PO):目標を押し付けない。チームが成果を達成するために協力する。 ⚫ スクラムマスター(SM):困っているメンバーの問題解決を助けるとともに、スクラムを説明し、より良い 状態への移行を支援する。 ©2023 M3&T LAB.

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開発メンバーの気持ちの変化 ⚫客観的な進歩の実感(達成感)+チームとして仕事の進め方への自信、共感 →個々のメンバーの改善に対する意見がさらに増える 2023/9/23 28 半信半疑 やや混乱 少し慣れ始める 肯定的になる • モチベーション が高まる • コミュニケー ションが増える • チームとしての 一体感が増す ©2023 M3&T LAB.

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何が自己組織化した良い状態を生むのか? ⚫スプリント計画 ◆要望→委任、自律的なメンバー→計画、目標、確約 ⚫デイリースクラム ◆(確約した目標→)現状の確認、対処→当事者意識、心理的な安全性 ⚫スプリントレビュー ◆確約した目標→実績(動くソフトウェア)、フィードバック→前向きに学ぶ姿勢 ⚫スプリント振り返り ◆目標の達成状況、その過程→良かった点、課題、改善策→協働での考案 ⚫PO、SM ◆指示ではなく、委任や支援を通じて、開発チームの自律性等の向上に関与する 2023/9/23 29 ©2023 M3&T LAB.

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ここまでの部分で起きていること 2023/9/23 30 客観的な進歩の実感 (達成感) チームによる仕事の進 め方への自信と共感 肯定的な感情 ©2023 M3&T LAB.

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外界に適応するために、さらに必要になる こと プロダクトが実際のユーザーニーズにマッチしたものでなければなら ない ◆プロダクトの品質 ◆プロダクトの機能 2023/9/23 31 POがプロダクトバックログに入れている項目は、仮説にしか過ぎない! ©2023 M3&T LAB.

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プロダクトの品質を確保するために、開発チームは 何を行うか? 2023/9/23 32 開発チームは、ユーザーストーリー等に対する「完成の定義(DoD)」を定めて、 それを実行する。 「完成の定義」は、自らの仕事の品質を高めるために、開発チームが自ら定めた制約である。 但し、プロダクトの品質を確保するためには、開発チーム以外の観点や基準も必要になる。 ©2023 M3&T LAB.

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ダブルループ学習 スプリントとリリースのダブルループで、適応、探索、予期を通じてプロダクトの 適合性を確認しながらプロダクトを発展させる。 33 • 適応:フィードバック に基づいて軌道修 正する • 探索:様々な試みを 行う • 予期:ニーズを予期 する 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB.

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スクラムの外界への適応力を高める仕組み 2023/9/23 34 モチベーション 内発的モチベーション を高めるもの • 自律性 • 習熟 • 目的 ダニエル・ピンク、『モチベー ション3.0』、講談社、2010 POとSMを「マネジメント」に置き換えると、マネジメント3.0の3つの視点が実現しようとしている状態とほぼ重なる 活性化 ©2023 M3&T LAB. 創発

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外界への適応力のある組織の状態に関する議論 自己組織化に基づく、外界への適応力のある組織の状態 について、以下のことを議論しよう ◆納得できたこと ◆これらの話題に関係する自分自身の経験 ◆もやもやしていることや質問 ⚫可能であれば、考えたことをMural上のこの議論用区画に書き留めて、議論 するようにお願いします 35 6分 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB.

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マネジメント3.0モデルと その3つの視点 2023/9/23 36 ©2023 M3&T LAB.

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マネジメント3.0のモデルは、6つの視点で構成される。 マネジメント3.0モデル(マーティー) 37 チームに委任する 人々を元気づける 制約を揃える コンピテンス を育む 構造を 成長させる すべてを 改善する 書籍 『Management 3.0』の図を基に作成 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB.

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自己組織化とマネジメント 自己組織化は、境界があるシステムではありふれた現象である。自己組織化だ けでは、その活動の善悪や良し悪しは定まらない。 38 自己組織化した チーム/グループ マネジメント 自己組織化だけでは 良し悪しは決まらない! マネジメント 3.0は、自己組織化したチーム/グループとマネジメントのよりよい連携を目指す。 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB.

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情報-イノベーションシステム 今日、組織が生き残り、繁栄するために、そのイノベーションを生み出す能力が 問われている。マネジメント3.0では、それを5つの歯車で機能する情報-イノベー ションシステムと捉える。 39 自己組織化した チーム/グループ マネジメント 情報-イノベーションシステム 書籍 『Management 3.0』の図を基に作成 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB.

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視点#1:人々を元気づける 「人々を元気づける」とは、情報-イノベーションシステムの5 つ歯車が元気よく動くようにすることである 40 情報-イノベーションシステム 自己組織化した チーム/グループ マネジメント 内発的モチベーション、 (DIY) 価値の共有、… 書籍 『Management 3.0』の図を基に作成 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB.

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第5章「どのように人々を元気づけるか」 :個性 ⚫メンバーと自分の個性を評価し、理解する ◆書籍では、16PFなど利用できるパーソナリティー診断方法を紹介している ◆まず、自分(マネージャー)の個性の評価結果をチームに共有する ⚫自前(DIY)のチームの価値を定める ◆チームの価値を決める ➢50個の美徳(アジャイルの価値を含む)のリストを用いて5ステップで決める ◆そして、マネジメントは自分の個人的な価値を定める ➢聖人君主であったり、万能であったりする必要はない 41 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB.

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50個の美徳の大きなテーブル 正確さ 創造性 正直さ 粘り強さ シンプルさ 自己主張 好奇心 ユーモア 現実主義 スキル 美学 潔さ 勤勉 明確な目的を持つ 管理 バランス 決断力 率先 合理性 如才なさ 慎重 忍耐力 誠実 信頼性 徹底 清潔 熱意 楽しさ 回復力 寛容 真剣さ 卓越 知識 敬意 信頼 自信 柔軟性 注意深さ 責任 頼り甲斐 協力 焦点 率直さ 自己訓練 結束 勇気 有益さ 整頓 奉仕 ビジョン 42 書籍 『Management 3.0』の表を翻訳 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB.

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「情報-イノベーションシステム」と 「人々を元気づける」の骨子 ⚫企業や組織がビジネスの世界で生き残り、繁栄するためには、イノベーションを生み出す複雑 適応系 (CAS) であるべき ⚫イノベーションを生み出すためには、情報-イノベーションシステムの5つの歯車が元気よく動く ようにマネジメントしなければらない ⚫モチベーションについては、メンバーの内発的なニーズ(欲求)を理解し、それらにどのように 対応できるかを考える必要がある ⚫個性については、メンバーと自身を理解し、さらにそこからチームとしての価値を見つけ出して いく必要がある 43 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB.

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視点#2:チームに委任する 委任(エンパワメント)することで、チームの成長を後押しする。また、以下のよう な意思決定のオプションを理解し、使い分ける。 44 自己組織化した チーム/グループ マネジメント 責任を委ねる 告げ る 売り 込む 相談 する 合意 する アドバ イスす る 尋ね る 委譲 する 責任を抱え込 む 起こりがちなこと 自分の発想 に限定される 失敗を恐れる 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB.

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第7章「チームにどのように委任するのか」 :委任対委譲 ⚫委任 対 委譲 ◆委譲: ➢何らかの責任を誰か他の人に任せる行為(出典『Management 3.0』を独自に翻訳) ◆委任: ➢委譲以上のものであり、以下のことをサポートする ◦ リスクを取る ◦ 個人の成長 ◦ 文化の変革 ➢権限を認めることだけではなく、相手がどれほど力を持っているかを認める。(出典『Management 3.0』を独自に 翻訳) ➢それでも、マネージャーにとっては怖いことでもある 45 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB.

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第7章「どのようにチームに委任するのか」 :委任の成熟度と権限のレベル ⚫委任の成熟度 ◆低レベルの委任:会社に大きな影響を及ぼさないような責任 ◆中レベルの委任:採用の際のインタビュー、従業員の自己学習など ◆高レベルの委任:給料を一緒に決める、プロジェクトの選択など ⚫タスク毎 ◆権限のレベル ➢7段階の権限レベル → デリゲーション・ポーカー ◆関与する人々 ➢特定の個人、同じ権限レベルの人たち、チームが関与する人を選ぶ 46 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB.

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「チームに委任する」の骨子 ⚫自己組織化は、中央の権威が計画を通じて課すことなく、システムにおいて構造や パターンが表れるプロセスである ◆それ自身は良いものにも、悪いものにもなりうる ⚫構造と振る舞いが複雑な世界を相手にする場合、1人の人がその世界を把握し、適 切な判断を下すのは困難である ⚫その代わりに、適切な情報を持つ人やチームに委任すべきである ⚫委任は、(組織の)成熟度という観点と、タスク毎の権限レベル、関与する人々という 観点で考え、改善していくべきである 47 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB.

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視点#3:制約を揃える チームの意見も聞きつつ、方向性を決める。また、最低限守ってほしいことを明 示する。 48 自己組織化した チーム/グループ マネジメント マネジメント3.0 では、人をマネジメントするのではなく、システムをマネジメントすることを目指す。そのため に、直接的に人に指示を出すよりは、チームに対する目標、制約を設定する。 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB.

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第8章「目的に沿ってリードし、統治する」 :自己組織化するチームとマネージャー ⚫パラメーターを構成する ◆自己組織化するチームは、一定のパラメーターが決定的な範囲にある時にカオスの縁に取り組む(出 典『Management 3.0』を独自に翻訳) ➢多様性、情報のフロー、チーム間のつながりなど ➢ゲームの細かいルールを作る必要はない ⚫システムを守る ◆マネージャーとして、私は働くのによく、安全な組織とするための基本的な管理を実施し、そして人々や 共有されたリソースが確実に公平に扱われることで、人々と共有されたリソースを守る。(出典 『Management 3.0』を独自に翻訳) ➢例えば、ハラスメントやイジメなどが起きないようにしたり、限られた予算や共有環境を管理する 49 • 「パラメーターを構成する」とは、チームメンバーの選定/採用等によりチームの初期状態を作ることである • カオスの縁:秩序と無秩序の間に位置し、線形な思考では予測困難な、複雑な振る舞いが生じる 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB. 書籍 『Management 3.0』の図を基に作成

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エンタープライズアジャイル勉強会とは 日本の企業で「エンタープライズアジャイル」は以下の3つの形で実現される可能性が ある。これらの可能性を追求する際に直面する様々な課題とその解決策を共有する ⚫第1の可能性 ◆業務の変化に対応し、基幹系やバックオフィス系のシステム(「エンタープライズシステム」)を効 果的に開発するためにアジャイル開発を適用する ⚫第2の可能性 ◆競争力に資する製品やサービス、戦略的システムを開発するためにアジャイル開発や反復開発 を大規模に適用する ⚫第3の可能性 ◆変化により良く対応できる、活力のある組織を実現するために企業や事業部をアジャイル化する 50 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB.

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「制約を揃える」の骨子 ⚫ 自己組織化をより成果に結びつけるために、マネージャーは、パラメーターを設定し、 自己組織化している組織を守る、方向性を示す必要がある ◆Mgmt3.0では、マネージャーの役割に庭師のメタファーを用いている ⚫ 方向性を示すためには、マネージャー自身が目的を設定するだけではなく、メンバー の目的と折衷させる可能性も念頭に置いた方がよい ⚫ 重要な判断領域において、どのように誰が判断を行うのかを明示し、それを見直す ⚫ また、起こらないで欲しいことを明示する 51 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB. 「パラメーターを設定する」とは、チームメンバーの選定/採用等 によりチームの初期状態を作ることである 書籍 『Management 3.0』の図を基に作成

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自己組織化したチームとマネジメント3.0と の組み合わせ 例えば、「スクラム無し」に以下で示されるようなチームのよい状態を作り出す 2023/9/23 52 ©2023 M3&T LAB. 創発

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本セミナー全体に対する振り返り 本セミナー全体を通じて分かったこと等をMural上のグループ毎の振り返 りボードに記入して下さい。 6分 分かったこと 試してみたいこと もやもやしていることや質問 53 2023/9/23 ©2023 M3&T LAB.

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全体のまとめ マネジメント3.0を理解するためには、マネジメント3.0が目指す組織のあり方につい て具体的なイメージが持つことが有効である ◆複雑適応系 ◆自己組織化 ⚫今回のお話 ◆複雑適応系とマネジメント3.0 ◆アジャイル開発の「自己組織化」とマネジメント3.0 ◆マネジメント3.0モデルとその3つの視点 2023/9/23 54 チームに委任する 人々を元気づける 制約を揃える コンピテン スを育む 構造を 成長させる すべてを 改善する 書籍 『Management 3.0』の図を基に作成 ©2023 M3&T LAB. • スクラム等でどのように自己組織化の良い状態の実現を促進しているかが参考になる • マネジメント3.0は、マネジメントが一人で学ぶこともできるし、チームとともに学ぶこともできる!

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参考文献 ⚫ Jurgen Appelo、マネジメント 3.0 :適応力の高いチームを育むための6つの視点、 丸善出版、 2022 ⚫ ヨーガン・アペロ、マネージング・フォー・ハピネス――チームのやる気を引き出すゲーム、 ツール、プラクティス、 明石書店、2022 ◆ マネジメント3.0に基づくゲーム、ツール、プラクティスを紹介する書籍 ⚫ 書籍『マネジメント3.0:適応力の高いチームを育むための6つの視点』のご紹介: https://onl.la/NyqZSas ◆ 書籍紹介 ⚫ ゲイリー・ハメル、ビル・ブリーン、経営の未来、日本経済新聞社、2008 ◆ マネジメント3.0と似た考え方で、大企業を変革した事例が紹介している 2023/9/23 55 ©2023 M3&T LAB.

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付録:マネジメント3.0のツール等のご紹介 マネジメント3.0のモデル以外の素晴らしい点は、様々なツール、プラクティス、ゲーム が提供されている点である ⚫Kudoカード ◆チームの他のメンバーへの感謝や称賛を伝えるためのカード ◆https://onl.tw/is4kwUv ⚫デリゲーションポーカー ◆7つの委譲レベルを議論するためのカード ◆https://developers.cyberagent.co.jp/blog/archives/13234/ ⚫セレブレーショングリッド ◆失敗を祝うことで、失敗や実験を肯定するためのボード ◆https://qiita.com/viva_tweet_x/items/439574320cc2ad61f757 2023/9/23 56 これらのツール等を使いながら、マネジメント3.0を理解していくこともできる! ©2023 M3&T LAB.

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Mgmt3.0関係のコミュニティー ⚫人に優しい組織マネジメント勉強会 ◆『人々が活気にあふれ、幸せを感じるようにするためのマネジメントについて勉強すること』 が目的の勉強会 ◆Management3.0という考え方と手法を参照するが、それに限定されない ◆月に1回オンラインでイベントを開催 ◆https://management30.connpass.com/ 2023/9/23 57 ©2023 M3&T LAB.

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蛇足1:私がマネジメント3.0に興味を持った理由 ⚫80年代に私が製造メーカーにいた時代、周囲で行われたり、自分も参加した 製品開発プロジェクトでマネジメントの善し悪しが成果を左右することに興味 を持ったのが原点 ⚫その後、アジャイル開発におけるマネジメント、リーダーシップを論じた本を何 冊読んだが、概念的なものだったり、イマイチぴんとこなったりした ⚫マネジメント3.0は、マネジメントのあり方として共感できるものであ り、理論と実践の両方が示されているという点で興味を持った 2023/9/23 58 ©2023 M3&T LAB.

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蛇足2:日本のマネジメントのアンチパターン 上から降りてきた仕事をひたすら「真面目に」がむしゃらに (長時間)取り組むことを当たり前とするマネジメント ⚫私が若い頃、上から降りてきた仕事をひたすら「真面目に」がむしゃらに(長時 間)取り組むようなマネジメントは良くないと思いました。そのようなマネジメン トは、価値の高低に関わらず、時間をかけて自分も仕事し、部下もそれに巻 き込んでしまうのではないかと思います。 ⚫このようなことは、日本で比較的よく見られるのではないでしょうか。しかし、 マネジメント1.0に「勤勉さ」が加わって生まれたと思われるこのパターンは組 織の適応性を低下させる一因になっているのではないでしょうか。 2023/9/23 59 ©2023 M3&T LAB.