Slide 1

Slide 1 text

チームビルディングは “感性”で向き合おう スクラムフェス三河2024 吉田 浩一@kohzas 1

Slide 2

Slide 2 text

チームビルディングとはどういうものか? ➡ 例えば次のようなことを通じて、チームの力を最大化すること ● 共通の目的や目標の設定 ● メンバー間の信頼関係の構築 ● 効果的なコミュニケーションの促進 ● メンバーの役割と責任の明確化 ● チームワークとコラボレーションの強化 2

Slide 3

Slide 3 text

チームビルディング、もうちょっと深堀りすると 3 同じ目的を共有し、同じ目標に向かって力を発揮できている状態 目的こそが最も大事な共通の価値観 目標は目的を果たすためのマイルストーン、軌道修正しつつクリアしていく

Slide 4

Slide 4 text

では良いチーム、悪いチームとは? 共通認識の醸成度合い 目的に対する理解度 目標に対するアクションが自身で策定できるか つまり、主体性を発揮できる状態に向かっているか 4 Step 1 結集 Step 2 統制 Step 3 自立

Slide 5

Slide 5 text

“感性”がなんで必要か 5

Slide 6

Slide 6 text

“感性”は 成長プロセスに欠かせない要素 6

Slide 7

Slide 7 text

チームの成長プロセス 7

Slide 8

Slide 8 text

成長に必要な3つのポイント 今 Current 目標 Goal 目的 Objective 今、どんな状態かを把 握することで、目標に 対する打ち手が見える どんな状態であれば目 的を達成できるだろう か 私たちが目指す状態は どのようなものか、ま た、なぜそこを目指す のか 8

Slide 9

Slide 9 text

成長に必要な3つのポイント 今 Current 目標 Goal 目的 Objective 今、どんな状態かを把 握することで、目標に 対する打ち手が見える どんな状態であれば目 的を達成できるだろう か 私たちが目指す状態は どのようなものか、ま た、なぜそこを目指す のか 9 “今”を知るのは思ったよりむずかしい

Slide 10

Slide 10 text

“今”を知る 10

Slide 11

Slide 11 text

今を知るのは、目標に対する手段を導くため 目標とのギャップを把握するために、今を知る 目標を達成するために、どんなことをどれくらい頑張らないといけないか 今を知ることがむずかしいのは、見えないものがたくさんあるから ● 言語化・数値化は万能ではないこと ● 思い込みが邪魔をしていること ● 要するに人間は複雑であること 目標 今 ギャップ 11

Slide 12

Slide 12 text

数値化で気をつけること 変更障害率 デプロイ頻度 リードタイム 平均障害感覚 平均修復時間 指標は様々な要因による結果 定点観測はOK、指標改善は注意 「測りすぎ」 “スピード” を減衰させる要因 “本質” を見失う要因 になりえる 12 「デプロイ頻度200%改善!」 価値に繋がっているかまで考え られているか

Slide 13

Slide 13 text

言語化で気をつけること 言葉を足すことで詳細になるが 100%言語化することはできない 「正確に表せない」 “言葉足らず” で誤解を生む要因 “満足” して思い込みの要因 になりえる なるほどね わたしのかんがえる さいきょうのりんご りんごとは なるほどね 13

Slide 14

Slide 14 text

目に見える情報は氷山の一角 数値化・言語化など、表に見えるもの 🛳 数値化・言語化できない、表に見えづらいもの 14

Slide 15

Slide 15 text

目に見える情報は氷山の一角 数値化・言語化など、表に見えるもの 🛳 見えないものを見るには? 数値化・言語化できない、表に見えづらいもの 15

Slide 16

Slide 16 text

見えないものを見るアプローチ 16

Slide 17

Slide 17 text

想像力 と 感性 = 洞察力 想像力 感性 そこに見えていないも のが隠されているとす れば、どんなことがあ るだろう? ✕ 感じること そこに隠れている何か を捉える 17 見えているものだけで全体像をわかったつもりになりがち だけど 見えないものも含めて全体があることを意識しておく

Slide 18

Slide 18 text

“感じる”ための 事前知識 18

Slide 19

Slide 19 text

感じる力は弱まっているかもしれない 19

Slide 20

Slide 20 text

心と身体と頭の関係 出典: 泉谷閑示(2006)『「普通がいい」という病』 頭は、「〜すべき」(must) 心と身体は一体、「〜したい」(want) 頭と心の間にはフタがある フタが閉じていると、心と身体の声が頭 に届かない 頭と心と身体が一致しないと「葛藤」 フタが閉じていると「抑圧」 ↓ フタを開けて一致させていくことが大事 20

Slide 21

Slide 21 text

心と身体が感じたことを、そのまま受け入れる 心と身体の感じた情報は、頭で解釈される このとき、頭は素直に受け入れてくれない たとえば、身体が「疲れている」と感じてい ても、頭は「仕事が残っているから身体に鞭 打ってもっと頑張らなければ」と解釈する つまり頭はブラック企業の働きをしがち 頭 心 身体 なんでやねん💢 しんどいっす😰 21

Slide 22

Slide 22 text

心と身体が感じたことを、そのまま受け入れる 頭 心 身体 頭が「身体が疲れているんだな」とあるがま まを解釈できるようにする あるがままを受け取る しんどいっす😰 なんでやねん💢 しんどいんやな🥹 22 あるがままを受け取れない要因 ・認知バイアス(習慣、文化、思い込み) ・責任感(〜べき・ねば思考)

Slide 23

Slide 23 text

心と身体の声が”感性”のアンテナ 23

Slide 24

Slide 24 text

感じる力を取り戻せたら 24

Slide 25

Slide 25 text

水面下の氷山の形は・・・ こんなかもしれないし こんなかもしれない 25

Slide 26

Slide 26 text

五感をフル活用して“現実”を感じ取る 現 実 見えるもの、見えないもの、 全部ひっくるめて現実 26

Slide 27

Slide 27 text

[コラム] 「よかれと思って」は“幻覚”を見ている よかれと思って口や手をだしたことが裏目に出るときに何が起こっているか? 現実を適切に捉えられていないから、幻想の課題をつくりだしてしまう 幻想の課題への打ち手が受け入れられる幻想を見てしまっている 無意識に感謝されることも期待してしまう 故に受け入れられないときに「あれっ?」となる 「こんなにあなたのことを想っているのに・・・」 27

Slide 28

Slide 28 text

28 と考えるくらいが丁度良いかも

Slide 29

Slide 29 text

“感性”で向き合う チームビルディング 29

Slide 30

Slide 30 text

観察するときにだいじなのは、バイアス(偏見、先入観、習慣)を排除すること それによって、”今”の”現実”を鮮明に把握していく 例えば、 今、チームで不協和音を感じたとする。AさんとBさんの仲が良くないのではない か、と。とすれば、本当に仲が良くないのか、ただそう見えただけかを観察(場 合によっては行動)して確認する。 観察して方向性を定める 30

Slide 31

Slide 31 text

意思決定して行動する 意思決定で大事なのは、観察した結果導いた方向性に沿っていること 例えば、 AさんとBさんは、Aさんは何とも思っていないがBさんが悪感情を抱いていること がわかった。ならば、次に明らかにするのはBさんが悪感情を抱いている原因と なる。 31

Slide 32

Slide 32 text

行動した結果を観察する 行動の後、何が起こったかを改めて観察する 例えば、 Bさんの悪感情の原因をヒアリングし、Aさんとすり合わせを行った。その後、B さんの悪感情は和らいだようだ。 32

Slide 33

Slide 33 text

“感性”によるチームビルディング、実は、OODAループ Observe 観察 Orient 方針 Decide 決定 Act 行動 33 変化に柔軟に対応するための 意思決定や問題解決のフレームワーク

Slide 34

Slide 34 text

“感性”によるチームビルディング、実は、OODAループ Observe 観察 Orient 方針 Decide 決定 Acr 行動 34 観察の質がその後の意思決定や行動を左右する ここを間違えれば延々と間違いを続けることになる

Slide 35

Slide 35 text

観察 = “現実”を把握する = ズレを明らかにする 表にでてくることは全てではない 言葉の裏側に本質がある 日常のコミュニケーションに本質が埋もれている 掘り出しましょう、ズレからはじまる本質探し 現場に行く、話を聞く、理解を伝える、ズレを明らかにする、共通理解を得る チーム 35

Slide 36

Slide 36 text

ズレを認識すること 方向性と現実、そのズレを”感性”も活用して適切に認識する ズレを修正していくプロセスがアジャイル 方向性には幅がある、唯一の正解ではなく幅を最大に使って前に進むこと 今ココ ⭐ 以前ココ ⭐ 以前ココ ⭐ 次はこの辺り を目指す 方向性 未来 過去 36 Observe 観察 Orient 方針 Decide 決定 Act 行動 Observe 観察 Orient 方針 Decide 決定 Act 行動

Slide 37

Slide 37 text

さいごに 37

Slide 38

Slide 38 text

38 感性 感性が見えない要素を理解したり、観察の精度の鍵となる 感じる力を取り戻す 頭と心と身体を活用する 今を知る 数値も言語も感性もすべてを動員して今を知る OODAループの活用 精度高く観察し、意思決定、フィードバックを繰り返す さいごに

Slide 39

Slide 39 text

さいごに 何が正しいかはわからないという前提のもと 隣のチームのベストプラクティスは 自分のチームのベストプラクティスではないかもしれない 体験しながら作り上げていく この道を歩んでいる状態こそがスクラムと言えるのかもしれない 39