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千住に愛された 日本画家 高橋 廣湖 たかはし こうこ 高橋廣湖(中心)と家族 (高橋廣湖ご遺族蔵) 令和 2 年 7 月 9 日

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高橋 廣湖 (明治8~明治45/大正元年、1875~1912) ・熊本県山鹿市出身の日本画家。 たかはし こうこ ・美術界の指導者、岡倉天心にも 実力を認められました。 中村春洋 《高橋廣湖像》 (当館蔵 高橋廣湖ご遺族旧蔵) ・千住の人々と親しく交流し、廣湖 の活動を支援する団体が千住 で結成されました。 や ま が お か く ら て ん し ん 明治日本画壇の俊才

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・父の浦田雪翁は、水墨画の流派 「雲谷派」の絵師で、廣湖は父に 絵の基礎を学びました。 画業のはじまり ・廣湖の生家、浦田家は熊本県 北部の山鹿市で画塾を営む 絵師の家でした。 浦 田 雪 翁 ・ 浦 田 廣 香 《 人 物 山 水 図 》 当 館 蔵 ( 高 橋 廣 湖 ご 遺 族 旧 蔵 ) ※ 廣 湖 の 父 、 雪 翁 と 、 弟 の 廣 香 に よ る 合 作 。 う ら た せ つ お う う ん こ く は や ま が

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上京への転機 –高橋こうとの出会い- ・高橋こうは幕末明治の新吉原 で人気を博した元花魁です。 ・明治以降は舞台女優となり、 熊本で出会った廣湖の画才を 見込んで東京へ導きました。 ・上京した廣湖は、恩人こうの養子 となって「高橋」姓になりました。 浮世絵に描かれた高橋こう 歌川房種画 (当館蔵 千住・名倉家寄贈) お い ら ん

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東京画壇での廣湖 ・22歳で上京した廣湖は、歴史画の 大家、松本楓湖が浅草の自宅で 開いた画塾「安雅堂」に入門します。 松 本 楓 湖 《 児 島 高 徳 図 》 ( 当 館 蔵 千 住 仲 町 ・ 石 出 通 治 氏 寄 贈 ) ※ 『 太 平 記 』 に 登 場 す る 武 将 、 児 島 高 徳 を 描 く 。 ・同門には、巨匠として画壇に名を残す 今村紫紅や速水御舟がいました。 ・この他に、岡倉天心を中心とする 日本美術院など様々な美術団体に 参加して、高く評価されます。 ま つ も と ふ う こ あ ん が ど う い ま む ら し こ う は や み ぎょ しゅ う

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廣湖の作品 《大原女》 明治時代後期 (当館蔵 高橋廣湖ご遺族旧蔵) ・京都北郊の大原から薪や農作物を 売りに来る行商女性「大原女」を、 少ない線描と淡い色彩で描きます。 お は ら め お お は ら ま き

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廣湖の作品 《花屋之図》 明治時代後期 (当館蔵 高橋廣湖ご遺族旧蔵) ・行商の花売りから花を 求める母子。歴史・故事 を得意とした廣湖です が、明治の社会風俗も 観察し、画題としました。 は な や の ず

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廣湖の作品 《 養 老 の 瀧 図 》 明 治 時 代 後 期 当 館 蔵 《 阿 弥 陀 三 尊 像 》 明 治 時 代 後 期 当 館 蔵 《 狗 図 》 明 治 時 代 後 期 当 館 蔵

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千住とのつながり ・明治30年頃、廣湖と親交を 結んでいた千住の人々が支援 団体「芳廣会」を結成します。 廣 湖 の 支 援 者 だ っ た 千 住 の 旧 家 に 伝 来 し た 《 武 内 宿 禰 図 》 ( 当 館 蔵 名 倉 家 寄 贈 ) ※ 武 内 宿 禰 は 出 世 長 寿 の 吉 祥 画 題 。 ・芳廣会の人々は、生活の中で 使う掛軸や屏風などの制作を 廣湖に依頼していました。 ほ う こ う か い か け じ く

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千住に伝来した 廣湖の屏風 《春秋野径図屏風》 ・銀箔貼の屏風に貼られた、 田舎道を行く女性たち(右) と、家路につく親子(左)の 図です。 全体 しゅんじゅう やけい ず びょうぶ 明治時代後期 (当館蔵 名倉新宅寄贈) ぎ ん ぱ く ば り

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早すぎる逝去 ・明治45(大正元、1912)年、 廣湖は朝鮮・満州の旅の 途中で病を得て、37歳の 若さで早逝しました。 ・没後、「故高橋廣湖作品 遺墨展覧会」が開催され、 千住からも多くの作品が 出展されました。 「故高橋廣湖作品遺墨展覧会」に合わせて 刊行された『故高橋廣湖作品画集』(当館蔵)。 せいきょ そ う せ い い ぼ く

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千住 芳廣会から出展された作品 《 鍾 馗 図 》 ( 『 故 高 橋 廣 湖 作 品 画 集 』 よ り ) 《 鍾 馗 図 》 ( 『 故 高 橋 廣 湖 作 品 画 集 』 よ り )

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千住 芳廣会から出展された作品 《 曲 水 の 宴 》 ( 『 故 高 橋 廣 湖 作 品 画 集 』 よ り ) ※ 庭 園 の 遣 水 に 盃 を 流 し て 詩 歌 を 詠 む 「 曲 水 の 宴 」 を 描 い た 六 曲 一 双 の 大 作 。 き ょ く す い え ん

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お わ り 足立区立郷土博物館 高橋廣湖の東京画壇での活躍は 15年ほどでしたが、 その記憶と作品は、 千住・足立の人々の中に残り、 今日まで伝えられてきたのです。 編集:学芸員 小林優