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認知科学 シリーズAI入門 人はどのように情報を処理するか © FSCjJh3NeB 2021 (※ 但し画像を除く)

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n ここまで人工知能の概観や,計算機の仕組みを ざっと見てきた n そもそも,人間の持っている(と,思われる)知能を, 計算機で模倣しようという試みが “人工知能” n 人間は 知能だけ の存在ではない u 物理的な体をもっていて,知能も体の中にある n マシンとしての人間はどのように動いているのか? 2

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本節の参考書 n イラストで学ぶ 認知科学 u 北原 義典(著) p 講談社 (2020/11/30) p ISBN-10: 4065215188 p ISBN-13: 978-4065215180 u 基本的に見開きの半分が絵なので 読み進めやすいと思います 3

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本節の構成 ミクロ・生物的な話題から, だんだん情報処理へ 神経細胞 感覚 情報処理 記憶 その他? 4

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ニューロン: 神経細胞 n 刺激を受けると活動電位を変化させて情報を伝達 u 例えば,つつかれるとか何かされると電気を流し, 他の神経細胞に “なんか起きた” という情報を伝える p 例えば,軽くつつかれたときは情報は伝えず, ある程度強くつつかれて初めて伝える…のような閾値も u 脳はこの情報伝達の連鎖で情報処理している 5

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神経細胞:各部の名称 樹状突起 細胞体 軸索 ミエリン鞘 (一種の絶縁体) ランビエ絞輪 神経終末部 シナプス こんな電気回路のイメージ 6

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神経細胞の電位 n 静止状態で,細胞膜の外を 0mV としたとき, 細胞内の電位は -60mV (静止膜電位) n 閾値を超える刺激を受けると,この電位が変化し, 他の神経細胞に対して刺激を伝える 0mV -60mV 時間 電位 人間にバッテリーとか ついてないのに何で どこから電気が? ナトリウムと カリウムの化学的な何かで なんやかんやで,そうなる… 7

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サーモスタット n 環境の変化で動作するスイッチ u 熱膨張率の異なる2枚の金属を貼り合わせて実現 熱でそんなに変化しない素材A 熱で膨張する素材B 加熱 回路のスイッチをサーモスタットにすれば, ある温度になったときに自動で ON/OFF 温度が下がると自動で OFF/ON させられる 8

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鹿威し n 環境の変化で動作するスイッチ u 水の流入より作動する音響装置 9

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脳の消費電力 n 脳 で 色々考えているときの 消費電力 n スパコン 京 の 消費電力 10 1W 12.6MW 一般家庭3万世帯分に相当

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感覚の閾値はいくらか? n 正直,その辺は個体性能による… u 刺激閾 p 感覚が検出できる最小強度 u 弁別閾 p 2つの異なる感覚刺激が判別できる最小強度 • ほんのり暖かい2つのヒーター,片方の温度をだんだんと 上げていったときに,温度差がどのくらいになったら, 違うと気づくか? 右の方が 暖かい?? 11

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感覚の閾値はいくらか? n ウェーバーの法則 u 刺激の強度に対して弁別閾は一定 p 100→110 で変化に気づくとき,200→210ではなく220で気づく n フェヒナーの法則 u 心理的な感じ方は対数 p 100→200 と同じくらいの増加を 感じるには 200→400 が必要 感覚量 R 刺激強度 S 弁別閾 ΔS 刺激強度 S 12

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人間はどのように情報を処理するか? n 今のところ答えはない u まだ構成概念の段階で,正解を判断できる状態にない n モデルの例 u ACT* p 1970年代のモデル,知識の観点からモデル化したもの u ACT-R p コンピュータを意識して,ACT*を発展させたもの u モデルヒューマンプロセッサ p 同じくコンピュータを意識した人間の情報処理モデル u 行為の7段階モデル p PDCAサイクル,OODAサイクル的に捉えた情報処理モデル 13

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人間の認知情報処理に関する振る舞い n 基本は3種類:入力・演算(処理)・出力 14 f(x) 入力 演算 出力

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ざっくりした認知情報処理モデル 15 入力(外部からの光) 演算 出力「ネコかわいい!」 (猫と認識)

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ACT* 宣言的 記憶 手続き的 記憶 ワーキング メモリ 格納 照合 検索 実行 符号化 能力発揮 情報 外界 16

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ACT-R:Adaptive Control of Thought−Rational 意図モジュール 宣言的モジュール 視覚モジュール 運動モジュール 目標バッファ 検索バッファ 視覚バッファ 運動バッファ 照合 選択 実行 生成 ルール 外 界 17

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モデルヒューマンプロセッサ 長期記憶 ワーキングメモリ・短期記憶 視覚 イメージ 貯蔵庫 聴覚 イメージ 貯蔵庫 知覚 プロセッサ 認知 プロセッサ 運動 プロセッサ 感覚器 から 運動器へ 18

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行為の7段階モデル 知覚 評価 解釈 実行 行為系列 生成 意図 目標 19

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人間はどのように情報を記憶するか? n 情報処理モデルの中では何度も “記憶” という キーワードが出現 u さらに,長期と短期など,記憶にも種類があるらしい n 記憶についてはどのようなモデルがあるのか? 20

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記憶のプロセス 符号化 (記銘) 貯蔵 (保持) 検索 (想起) 情報を取り入れ, 処理できる心的表象に変換する 貯蔵されている心的表象から 特定の情報を取り出す 符号化した心的表象を 記憶領域に保存する 21

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二重貯蔵モデル リハーサル:繰り返し想起すること 短期記憶 長期記憶 感覚貯蔵 視覚 聴覚 触覚 情報 維持 リハーサル 精緻化 リハーサル 数百msec〜数sec 容量は 7±2チャンク 22

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記憶いろいろ 宣言的 記憶 手続き的 記憶 短期記憶 エピソード 記憶 意味記憶 長期記憶 記憶 比較的短時間で消える記憶 さっきすれ違った人の服の色, 4日前の最高気温… 長期間残る記憶 自分の名前,誕生日, 友達との思い出… 言語で表現しにくい記憶 自転車の乗り方,泳ぎ方, 素敵な絵の描き方 言語で表現できる記憶 自分の名前,誕生日 言葉の概念などに関する記憶 日本の首都は東京, ネコは愛玩動物 文脈を伴う記憶 デート中の笑顔がすごく素敵だった, お昼にパンを食べたら歯が折れた How What, Who, etc. 23

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いったんまとめ n いろいろモデルはあるものの基本は同じ u とりあえず,ACT* 位の認識で良い p 外から何かの入力が来る p ワーキングメモリでちょこっと作業 p 必要性・重要性に応じて長期記憶へ p 必要性に応じてアクチュエータを動かす命令など 短期記憶とワーキングメモリは ここではとりあえず似たものと考えてOK 24

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忘却 n 長期記憶した情報は失われないのか?? n そんなことは全くあり得ないということを, 我々は大変よく知っている… n 記憶はどんな感じに消えていくのか? 25

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エビングハウスの忘却曲線 n 時間の経過と記憶の忘却の関係 = 忘却曲線 u 著名なもののひとつが エビングハウスの忘却曲線 p ランダムな文字列を,どれだけの期間 覚えていられるか 100% 記憶保持量 経過日数 無意味な文字列を覚えていられるのは… 1時間で 44.2%, 1日後 33.7%, 1週間で 25.4% 26

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忘却は無駄な機能か? n なんで忘却なんて言う機能があるのか… u なければ,受験勉強の一部はとっても効率化されるのに u 人体の欠陥なのでは!? n 別の回で出てくる 機械学習 でも重要な機能 u 古いモデルを使い続けると新しい状況に対処できない u ストレージは無限ではないし,無限でも探索コストの 問題があるので,よく使うものは近くに置きたい 27

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忘却の効果 こんな感じで時間とともに変化するあるデータがあったとして, これをn-2年目から学習してきたとする n-2年目 n-1年目 n年目 n年目に,この図形が入ってきたとする → 今(n年目)の基準では,全然似てないのに n-2年目の記憶に基づいて “似ている!!!” と答えてしまうと困る… じゃぁ1年ごとに記憶をスパッと消すのが良いかというとそうもいかない 28

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忘却の効果 居室に,数年に1回使うかどうか… みたいなものばかり置いて, よく使う道具を遠く離れた場所にあり 入室も面倒な倉庫に置く… みたいな生活は快適か?? 頻繁に使うもの(記憶)は近くに置いておきたいし, いらなくなったものは捨ててしまって身軽でいたい 29

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注意 n 脳が対象物に感覚や意識を向けること u 選んだ対象以外の情報入力は抑制される(選択的注意) u 注意の総量はほぼ一定で,何かに注意すると他が減る (処理資源有限説) 左図はハーバードの有名な実験 白いシャツの人たちは バスケットボールを何回パスするか? なんとか数えられるが, では黒いシャツのパス回数は…?? 込み入った状況下で, いろいろなことに注意を向けるのは難しい https://www.youtube.com/watch?v=vJG698U2Mvo 30

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より複雑な認知活動 n ハードウェアから始まって,いろいろな仕組みで 人間が動いてそうなことはみてきた n 関連する概念として,限定合理性があげられ, それに基づいて(一見不合理な)人間行動の 説明・解釈なども行われている 何でお札を 燃やしてるんだ? 31

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合理的経済人 n 古典的経済学などにおける仮定のひとつ u 社会は複雑であるが故に,“仮定”をおいて議論 n “人は(客観的に見て)合理的に行動する” u 特定のスマホを購入するとして,その機種の取り扱いのある 世界のあらゆるお店の値段を比較し,コスト最小のモノを購入 n もちろん… u 手計算の時代は,むしろこのくらいでないと無理 p データを観測するのも,記述するのも,分析するのも大変 • ヒトが万能の神を模して作られている以上,本質的にはヒトは誤らない, or 神ならこうなさる…といった文化・宗教観的文脈も? u ただし仮定が強いので乖離もそこそこ… 32

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限定合理性 n ヒトは認知的な限界などから, 限定的な合理性しか有し得ない u あらゆる選択肢を列挙して比較することは不可能 u 確保できたリソース(情報や記憶容量などもろもろ)の中で, =限定された条件の中で,合理的な選択を行う u H.サイモン の提唱した概念 p 最初期の人工知能研究者 • 政治学者・認知心理学者・経営学者・情報科学者 • ノーベル経済学賞,チューリング賞などを受賞 33

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限定合理性を通じて見る世界 n 世界には不可解で非合理的な選択があふれている n 一見,不可解であってもヒトを含む動物が主体的に 意思決定する時,そこには根拠や理由があるはず u 各主体にとっては不可解なことはなく合理的 u おかしく見えるのは,限定条件が異なるから n 同じ条件下であれば,自分も同じ行動をするかも? u 決定論的,行動主義的な世界観 34

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n 知能が,かえって妙な結果を招くことも… ドア 衝立 窓 ハエの閉じ込め ランダムに動けば出られるが 明るい窓の方へ移動するので, 閉じ込められてしまう 走光性 は 条件反射か 知能か? ランダムよりは知的っぽい 条件反射も知能の一部? 35

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返報性 n ヒトは何か良いことをしてもらうと, それとおなじことをお返ししたくなる傾向がある n 例 u 挨拶をされると,挨拶を仕返してしまう。 u お菓子をもらってから頼まれごとをされると, 依頼を断りづらい(お菓子の借りを返したい。) u 家族の話など自己開示されると,自分も家族の話など 自己開示をしてしまう。 36 知能のバグ?生存の知恵?

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公平性の追求:負の返報性 n 自分が損をするとしても,相手に得をさせない と,いう行動をとる傾向がある n 設定 u 10万円を2人で分ける p ランダムに,分ける係と最終決定係に割り付け p 分ける係:10万円の分配額を好きに決める • 自分が9万円,相手に1万円など p 最終決定係:分配額に従うかどうかを決める • 従えば分配額通りにもらえる。従わないと2人とも分配なし。 n 結果 u たとえ1円でもゼロ円よりましなのに,額が不均衡だと オファーを断る被験者が多い 37 (最後通牒ゲーム) 知能のバグ?生存の知恵?

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一貫性とコミットメント n ヒトはいったんコミットメントを表明すると, あとで意見を変更することを避けやすい n 例 u 「辛いものが好き」と行った後,自分の好きなレベルを 超えたものすごく辛いお菓子を勧められても,それを 断りにくい u 「100円貸してほしい」と言われて承認した後, 「やっぱり1000円いる」と言われても断りにくい 38 知能のバグ?生存の知恵?

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Asheの同調実験 n ヒトは,それが明らかに間違いとわかっていても, 多数派の意見に同調してしまう傾向がある n 設定 u 3本の異なる長さの線A,B,Cと,1本の教示線がある。 u 教示線とおなじ長さの線を答える。 u 参加者8人中7人はサクラで,あきらかな間違いを選択。 n 結果 u 被験者50人の1/3が,サクラとおなじ間違った選択。 39 知能のバグ?生存の知恵?

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価値割引 n すぐにもらえる報酬は,後からもらえる報酬より よりよく見える(価値が高い)傾向がある n 設定の例 u 今すぐもらえる1万円と,10年後にもらえる10万円※。 前者を選ぶ人の方が多い。 n 応用など u 明らかな長期的利益であっても,目先の利益を追求する 現象をうまく説明できる. p ex.麻薬中毒:明らかに体に悪いのでやめたいが,やめられない 40 (※ 価値調整済み) 知能のバグ?生存の知恵?

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価値割引 contd. n 価値は線形で低減する訳ではないのがポイント 41 t 価値 A B ア イ u ア:お酒をのむことで得られる楽しさ u イ:お酒をのまない場合に得られる健康 n Aの区間では,イの価値が高いと認識して,飲まないつもり n Bの区間では価値割引で選好が逆転し,お酒を飲む ※ 低減曲線のきつさは,年齢とともに穏やかに 知能のバグ?生存の知恵?

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プロスペクト理論 n ヒトは損の価値を過大にみつもる n 古典経済学の視点 u 1万円をもらう嬉しさと,失う悲しさは釣り合う p 価値は同じなので,自然な仮説に見える n 実際 u 1万円を失う悲しみは,もらう嬉しさを上回る 42 損 得 価値 損する場合は価値が急落 得する場合は価値の上昇は 緩やかにしか行われない 知能のバグ?生存の知恵?

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勝者の呪い n 一度,競争がはじまってしまうと, その競争から降りることは難しい n 設定 u 100ドル札を1ドルからオークション u 一番高値のヒトはその値段で競り落とせる u 2番目に高値のヒトは,その値段を払う必要はあるが 100ドル札はもらえない(払い損) n 結果 u 価格が100ドル以上になっても,上位2名の競争が続く 43 知能のバグ?生存の知恵?

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フレーミング(枠組み効果) n いわゆる“常識”・“マインドセット”の活用が暴走し, 正しい判断を曇らせてしまうことがある n 設定 u 珍しい病で600人が死ぬ。どの計画を採用するか? p A:確実に200人助かる。 p B: 1/3 の確率で600人助かるが,2/3 の確率で誰も救われない。 p C:確実に400人死ぬ。 p D:1/3 の確率で誰も死なず,2/3 の確率で600人死ぬ。 n 結果 u A,Bを提示した場合7割がAを,C,Dでは8割弱がDを選択 p 意味的には,A=C,B=Dなのに,言い方だけで逆の結果に p A,Bは「利益枠組」,C,Dは「損失枠組」 44 知能のバグ?生存の知恵?

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提示順序と印象 n どの順番で情報が提示されるかで, 同じ情報でも,受ける印象が異なる n 例題 u A:明るい、素直、頼もしい、用心深い、短気、嫉妬深い u B:嫉妬深い、短気、用心深い、頼もしい、素直、明るい n 解説 u A,Bともに単語のセット(全体の情報)は同じ u だが,うける印象は大きく異なる 45 知能のバグ?生存の知恵?

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連言錯誤 n ヒトは簡単に間違える n 設定 u リンダは独身で、とても頭がよくはっきりとものを言う 性格です。大学では哲学を専攻していて、人種差別や民 族差別などの社会問題に深く関わりました。 n 問題 u リンダの職業はどちらである可能性が高いでしょうか? p 銀行員の窓口係 p 政治活動を行っている銀行の窓口係 n 解説 u 後者は条件が増えるので,その分確率が落ちるはずだが, 多くの場合に後者が選ばれる 46 知能のバグ?生存の知恵?

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パタン抽出の魅惑 n ヒトはパタンのないところにもパタンを求める n 設定 u 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21 という数列の規則を答える n 正解 u 一つ前の数字より大きい n 結果 u 多くの人がフィボナッチ数列など,より複雑で高度な パタンを回答してしまう 47 知能のバグ?生存の知恵?

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ランダムネスの知覚 n ヒトが思うランダムは,意外と非ランダム n 設定 u AとB,どちらがランダムか? p A 010001111010011100010 p B 010101110010101100010 n 結果 u 数学的にはAの方がランダムだが,Bが多く選ばれる n その他 u ランダム性にかかわらず,統計的な判断について, ヒトの直観は間違うことも多い u ランダムなのに,パターンを見出すことも… 48 知能のバグ?生存の知恵?

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弱い紐帯の強さ n グループ内で交換される情報は, ほとんどが互いに知っている情報 n 有益な情報は,少し遠い知り合いからもたらされる n 解説 u コミュニティの社会調査では,就職に有用な情報は, 多くの場合,普段よく合うヒトではなく,すこし遠い 知り合いからもたらされる u 別の合意形成に関する調査では,グループ内で交わされ る情報は基本的に相互に知っているものばかり 49 知能のバグ?生存の知恵?