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@XP祭り2021 2021/09/18 良いチーム作りを 意思決定という 側面から眺める

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渡部 啓太
 Twitter: @sobarecord
 チーム整え師
 NRI bit Labs 所属
 コミュニティ活動/本の執筆/ニュースレター配信
 アジャイルコーチ/スクラムマスター


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みなさんのチームは良いチームですか?

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みなさんのチームは良いチームですか? ● より良いチーム(≓ものづくり)を求めているからこういう場にいるのだと思います ● チームの状態によって様々な乗り越えるべき壁があると思いますが、今回のテーマ である「意思決定」のお話しが何かのきっかけになれれば嬉しいです

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スクラムチームの意思決定 ● 開発者は、生産性に関わることを決める ● プロダクトオーナーは、ROIに関わることを決める ● スクラムマスターは、どうチームを支援するかを決める ● スクラムチームとしては、レトロスペクティブで改善アクションを決める この他にも、様々な場面で、様々な意思決定が、個人にもチームにもある。 このひとつ1つの意思決定が、チームのゴールへと結びついていれば良いチームと言え るのではないか?

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チーム作りの理想型 コミュニティ仲間の体験談 • 災害ボランティアは初対面同士で チームを組む • ボランティア慣れしている 人が多くスムーズだった • ワークショップ慣れしている人なら 同じようにいけるのでは? 6

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チーム作りの理想型 ▼コミュニティ仲間の体験談 • 災害ボランティアは初対面同士で チームを組む • ボランティア慣れしている 人が多くスムーズだった • ワークショップ慣れしている人なら 同じようにいけるのでは? 目的・情報・動機が揃っている から意思決定が早い 7

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チーム作りの理想型 ▼コミュニティ仲間の体験談 • 災害ボランティアは初対面同士で チームを組む • ボランティア慣れしている 人が多くスムーズだった • ワークショップ慣れしている人なら 同じようにいけるのでは? 目的・情報・動機が揃っている から意思決定が早い ↓ コミュニティの人たちと「このメン バーで仕事したいね」と思った ことないですか? 8

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ところで、「意思決定」って何でしょう?

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ところで、「意思決定」って何でしょう? 精神薬理学や神経倫理学、神経心理学といった分野の権威であるバーバラ・サハキア ン教授の著書『 Bad Moves 』では、意思決定を 4 つのステップとして定義 1. 情報を発見する 2. 情報の解析と関連情報の選択 3. 情報を組み合わせる 4. 結果を受け取る

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ところで、「意思決定」って何でしょう? 精神薬理学や神経倫理学、神経心理学といった分野の権威であるバーバラ・サハキア ン教授の著書『 Bad Moves 』では、意思決定を 4 つのステップとして定義 1. 情報を発見する 2. 情報の解析と関連情報の選択 3. 情報を組み合わせる 4. 結果を受け取る このプロセスの質が意思決定の良し悪しに繋がる プロセスの重要性について みんなに身近な「投票」を例に考えていこう

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「投票」を考える

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⇒ 有権者のコンセンサスが取れないときの手段 集団で意思決定をするために「投票」がある or or

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オリンピック開催地も「投票」で決まる ● 第14回 冬季オリンピック(1984年)にて ※書籍『「きめ方」の論理』より

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オリンピック開催地も「投票」で決まる ● 第14回 冬季オリンピック(1984年)にて ○ 札幌に決定することは、ほぼ確実と言われていた ※書籍『「きめ方」の論理』より

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オリンピック開催地も「投票」で決まる ● 第14回 冬季オリンピック(1984年)にて ○ 札幌に決定することは、ほぼ確実と言われていた ○ 1度目の投票結果は、札幌: 33票、サラエヴォ:31票、イエテボリ:10票、無効票:1票 ○ 過半数を満たす候補がなかったため、上位 2候補の決選投票となる ※書籍『「きめ方」の論理』より

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オリンピック開催地も「投票」で決まる ● 第14回 冬季オリンピック(1984年)にて ○ 札幌に決定することは、ほぼ確実と言われていた ○ 1度目の投票結果は、札幌: 33票、サラエヴォ:31票、イエテボリ:10票、無効票:1票 ○ 過半数を満たす候補がなかったため、上位 2候補の決選投票となる ○ 2度目の投票結果は、サラエヴォ: 39票、札幌:36票となり、 サラエヴォに決定した。 ※書籍『「きめ方」の論理』より なんで?!

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「多数決の勝者 = 優れている案」ではない ※書籍『「きめ方」の論理』より

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● 優れている案=他の案と一騎打ちしても勝つ案 ● 選択肢が3つ、投票者が101人の時、優れた結果が選ばれる確率は8割以下 ● 選択肢が7つを超えると5割を切る=優れた選択肢を選ぶ方が難しい (Fishburn, P. C. Simple Voting Systems and Majority Rule. Behavioral Science, 19, 1974, 166-176.) 「多数決の勝者 = 優れている案」ではない ※書籍『「きめ方」の論理』より 決選投票をやらなけれ ば勝ってたのに…

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「投票方法」によって結果は変わる

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● ナーミの反例では投票方法によって選択される案が変わる事実を示せる ○ 決め方の研究者であるフィンランド・トゥルク大学のハンヌ・ナーミ教授が提唱 ○ どの投票方法も選挙や議会で使われた手法 「投票方法」によって結果は変わる ※書籍『「決め方」の経済学』より 人数 4 3 2 1位 A B C 2位 D C E 3位 E D D 4位 C E B 5位 B A A ナーミの反例

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● 1位にした人が多い案を選択する多数決ではAが選ばれる 多数決では… 人数 4 3 2 1位 A B C 2位 D C E 3位 E D D 4位 C E B 5位 B A A ナーミの反例 A:4票 B:3票 C:2票 D:0票 E:0票

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● 多数決で1位と2位の案で決選投票をする場合はBが選ばれる 決選投票では… 人数 4 3 2 1位 A B C 2位 D C E 3位 E D D 4位 C E B 5位 B A A ナーミの反例 A:4票 B:5票 AよりもBが良いので 決選投票では Bに入れる

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● 総当たり戦では全ての戦いで勝つ(ペア勝者)Cが選ばれる 総当たり戦では… 人数 4 3 2 1位 A B C 2位 D C E 3位 E D D 4位 C E B 5位 B A A ナーミの反例 A vs C はCの勝利 A:4票 C:5票 ⇒上記の様に全てのペアで勝負 するとCが全勝する

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● ボルダルールは順位に応じて配点し、点数が高い案を選択する方法 ● 一番得点の高いDが選択される ボルダルールでは… 人数 4 3 2 1位 A B C 2位 D C E 3位 E D D 4位 C E B 5位 B A A ナーミの反例 A:25点 B:23点 C:30点 D:31点 E:26点 ※1位5点、2位4点、3位3点、4位2点、5位1点

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● 是認投票は有権者が案の中からいくつでも丸を付けられる方法 ● 下記の点線部分に丸を付けるとEが選択される 是認投票では… 人数 4 3 2 1位 A B C 2位 D C E 3位 E D D 4位 C E B 5位 B A A ナーミの反例 A:4票 B:3票 C:5票 D:4票 E:6票

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● 是認投票は有権者が案の中からいくつでも丸を付けられる方法 ● 下記の点線部分に丸を付けるとEが選択される 是認投票では… 人数 4 3 2 1位 A B C 2位 D C E 3位 E D D 4位 C E B 5位 B A A ナーミの反例 A:4票 B:3票 C:5票 D:4票 E:6票 ナーミの反例では「決め方」によって 全ての案が選ばれる可能性がある!!!

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どうすればいいんだ…

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それぞれの決め方には特徴がある 決め方 傾向 欠点 多数決 ・特別な選択肢が選ばれる ・はやい、やすい ・票割れからダメな選択肢を選んでしま う 決選投票 ・多数決を繰り返すだけなので同上 ・多数決を繰り返すだけなので同上 総当たり戦 ・他の選択肢よりも優れた選択肢が選 ばれる ・勝敗に循環が生まれ、 1位が決まらな い場合がある ボルダルール ・満場一致に近い選択肢が選ばれる ・ペア敗者が選ばれない ・投票や集計に時間がかかる 是認投票 ・各々の選択肢ではなく、「類」への投票 となる ・多数決と同様になる可能性がある( 1 位にのみ丸をつける) ・他の選択肢の影響を受けるコントラス ト効果や判断軸のブレといった心理的 な影響がある

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それぞれの決め方には特徴がある 決め方 傾向 欠点 多数決 ・特別な選択肢が選ばれる ・はやい、やすい ・票割れからダメな選択肢を選んでしま う 決選投票 ・多数決を繰り返すだけなので同上 ・多数決を繰り返すだけなので同上 総当たり戦 ・他の選択肢よりも優れた選択肢が選 ばれる ・勝敗に循環が生まれ、 1位が決まらな い場合がある ボルダルール ・満場一致に近い選択肢が選ばれる ・ペア敗者が選ばれない ・投票や集計に時間がかかる 是認投票 ・各々の選択肢ではなく、「類」への投票 となる ・多数決と同様になる可能性がある( 1 位にのみ丸をつける) ・他の選択肢の影響を受けるコントラス ト効果や判断軸のブレといった心理的 な影響がある 時と場合によって 使い分けられると 良さそう

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ちなみに、ボルダルールとは ● 18世紀後半にフランス海軍の科学者ジャン=シャルル・ド・ボルダが考案 ● 案の順位に応じて配点し、点数が高い案を選択する方法 人数 得点 4 3 2 1位 3 A B C 2位 2 C C B 3位 1 B A A 3案ある場合の 有権者9人による順位づけの例 A:17点(3x4 + 1x3 + 1x 2) B:17点(1x4 + 3x3 + 2x 2) C:20点(2x4 + 2x3 + 3x 2) ⇒ C案が選択される

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ボルダルールの特徴 ● ボルダルールは満場一致への距離が近い選択肢が選ばれる 人数 得点 4 3 2 1位 3 A B C 2位 2 C C B 3位 1 B A A 3案ある場合の 有権者9人による順位づけの例 Aが1位になるには10ステップが必要。 ・3人が3位⇒1位(2ステップx3人) ・2人が3位⇒1位(2ステップx2人) 同様にBは10ステップ、Cは7ステップ ⇒満場一致へはCが一番近い

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情報量が多いので広く支持される選択が可能 ● 満場一致に一番近く、ペア勝者を最下位にせず、ペア敗者を選ばない ● ボルダルールは他の手法と比べ、扱う情報量が多いため 人数 4 3 2 1位 A B C 2位 C C B 3位 B A A 多数決で扱う情報 人数 4 3 2 1位 A B C 2位 C C B 3位 B A A ボルダルールで扱う情報 情報量 <

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「決め方」以外の要素

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有権者の偏りが結果に影響する ● 決め方により結果が変わることを見てきた ● ただし、それは「有権者」の範囲内での話である

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有権者の偏りが結果に影響する ● 決め方により結果が変わることを見てきた ● ただし、それは「有権者」の範囲内での話である 大統領選がボルダルールで行われていたらリ ンカーンは当選しなかったという研究がある。 そうなっていたら奴隷が解放されることはな かったかもしれない 有権者 非有権者 ※書籍『「決め方」の経済学』より

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有権者の偏りが結果に影響する(体験談) マネージャーやリー ダーの議題がいつ も採択されないなぁ QAエンジニアが多 いので話題が品質 に偏りがちだ ● 決め方により結果が変わることを見てきた ● ただし、それは「有権者」の範囲内での話である

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有権者の中で方向性がズレている場合もある ● 満場一致で宝くじを買うことにし、みごと一等が当たった家族

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有権者の中で方向性がズレている場合もある ● 満場一致で宝くじを買うことにし、みごと一等が当たった家族 投資しよう!

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有権者の中で方向性がズレている場合もある ● 満場一致で宝くじを買うことにし、みごと一等が当たった家族 投資しよう! 家のローンが 返せるわ!

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有権者の中で方向性がズレている場合もある ● 満場一致で宝くじを買うことにし、みごと一等が当たった家族 投資しよう! 家のローンが 返せるわ! 世界一周したい!

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有権者の中で方向性がズレている場合もある ● 満場一致で宝くじを買うことにし、みごと一等が当たった家族 投資しよう! 家のローンが 返せるわ! 豪邸に住みたい! 世界一周したい!

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有権者の中で方向性がズレている場合もある ● 満場一致で宝くじを買うことにし、みごと一等が当たった家族 投資しよう! 家のローンが 返せるわ! 豪邸に住みたい! 世界一周したい! 満場一致に見えて 満場一致ではない ↓ 結果に不満が出る

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「人」も結果に影響する ・可用性ヒューリスティック ・確証バイアス ・コントラスト効果 ・心理的リアクタンス ・正常性バイアス ・バイアスの盲点 ・アンカリング ・ギャンブラーの誤謬 ・現状維持バイアス ● 人の思考のクセが選択に影響を及ぼす ・コンコルド効果 ・双曲割引 ・フレーミング効果 ・システム正当化バイアス ・根本的な帰属の誤り ・同調バイアス ・集団浅慮 ・ピークエンドの法則 ・損失回避 などなどなどなど… 「最後の藁」 なんてことわざ もありますね

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良い「意思決定」をするには

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どうすればいいんだ…

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完璧な「意思決定」など存在しない ● 決め方に気を付ければいいかと思いきや… ● 選択肢の種類や特徴、有権者、人の心理によって結果が異なるので不安定 ● 性善説が前提ということもある

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完璧な「意思決定」など存在しない ● 決め方に気を付ければいいかと思いきや… ● 選択肢の種類や特徴、有権者、人の心理によって結果が異なるので不安定 ● 性善説が前提ということもある 良い「意思決定」ができる 可能性を高める活動が必要

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完璧な「意思決定」など存在しない ● 決め方に気を付ければいいかと思いきや… ● 選択肢の種類や特徴、有権者、人の心理によって結果が異なるので不安定 ● 性善説が前提ということもある 良い「意思決定」ができる 可能性を高める活動が必要 「方向性」「情報」「納得感」 を整える

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「方向性」を整える ● 一番の重要な要素。ここが合っていればなんとかなる ● 災害ボランティアの目的は「復旧・復興活動」 ● 方向性が合っていれば、例え何らかの意思決定を多数決でしたとしても、コイントス よりは精度が高いはずである

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「方向性」を整える ● 一番の重要な要素。ここが合っていればなんとかなる ● 災害ボランティアの目的は「復旧・復興活動」 ● 方向性が合っていれば、例え何らかの意思決定を多数決でしたとしても、コイントス よりは精度が高いはずである 組織のすべての人間におなじ方向を 向かせることができれば、どの業界で も、どの市場でも、どんな競争相手に 対しても、どんなときでも、圧倒的な 優位に立てる

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『「方向性」を整える』現場の実践例 ● プロジェクトやプロダクト、ひとつ1つの会議での成功の定義が鍵となる ● 手軽にできるのは「ビジョンステートメント」を決める ● ガッツリやるなら「サクセスファクター」 ● 「インセプションデッキ」も大事

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ビジョンステートメント ● 検討課題の明確化・共有化を行う方法 ● 下記3つの質問を各メンバーが答え、方向性をすり合わせる ● シンプルかつ強力なツール。おすすめ。 そもそも、これから何をしようとしているのか( WHAT) なぜやろうとしているのか( WHY) 何が出来たら成功と言えるのか( SUCCESS MEASURES)

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サクセスファクター ● 成功の定義に徹底的にフォーカスする手法 ● 3つのステップを踏み、チーム・プロジェクトの成功の定義を固める

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サクセスファクター ● 成功の定義に徹底的にフォーカスする手法 ● 3つのステップを踏み、チーム・プロジェクトの成功の定義を固める 1. チーム・プロジェクトが大成功したと仮定し、その時にどのような状態になっていた いか?を各ステークホルダー毎に洗い出し、グループ化する 2. グループのタイトルのみを残し、因果関係を表す図を作り、重要なポイントをピック アップ 3. 注力ポイントに対し、どういった数字を計測できれば目標達成となるか (=KPI)を定める

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サクセスファクター グループ化のイメージ

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サクセスファクター ● 成功の定義に徹底的にフォーカスする手法 ● 3つのステップを踏み、チーム・プロジェクトの成功の定義を固める 1. チーム・プロジェクトが大成功したと仮定し、その時にどのような状態になっていた いか?を各ステークホルダー毎に洗い出し、グループ化する 2. グループのタイトルのみを残し、因果関係を表す図を作り、重要なポイントをピック アップ 3. 注力ポイントに対し、どういった数字を計測できれば目標達成となるか (=KPI)を定める

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サクセスファクター 因果関係図のイメージ

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サクセスファクター ● 成功の定義に徹底的にフォーカスする手法 ● 3つのステップを踏み、チーム・プロジェクトの成功の定義を固める 1. チーム・プロジェクトが大成功したと仮定し、その時にどのような状態になっていた いか?を各ステークホルダー毎に洗い出し、グループ化する 2. グループのタイトルのみを残し、因果関係を表す図を作り、重要なポイントをピック アップ 3. 注力ポイントに対し、どういった数字を計測できれば目標達成となるか (=KPI)を定める

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サクセスファクター KPI案出しのイメージ

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「情報」を整える ● 「ナーミの反例」で見たように、情報量は結果を左右する

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「情報」を整える ● 「ナーミの反例」で見たように、情報量は結果を左右する ● 投票結果のみならず、参加者全員に十分なインプットを行うことも必要 情報 情報

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「情報」を整える ● 「ナーミの反例」で見たように、情報量は結果を左右する ● 投票結果のみならず、参加者全員に十分なインプットを行うことも必要 ● また、お互いの考えを共有することによりバイアスの除去が期待できる 情報 情報 情報

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『「情報」を整える』現場の実践例 ● 情報を集める、バイアスを除くのがポイント ● 多数決より「ドット投票」 ● 情報を整理していくなら「決定分析マトリックス」 ● プロセスやツールよりも個人と「対話」を ● もちろん、「付箋」を使うのもみんなの意見を集められる

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● 選択肢の数の1/2票があると優れたものを選ぶ確率が最も高い ● 例:選択肢が10個だった場合に優れた案が選ばれる確率 ○ 1票:約3割 ○ 3票:約6割 ○ 5票:約7割 ○ 7票:約6割 ○ 9票:約3割 ドット投票 ※書籍『「きめ方」の論理』より

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● 選択肢の数の1/2票があると優れたものを選ぶ確率が最も高い ● 例:選択肢が10個だった場合に優れた案が選ばれる確率 ○ 1票:約3割 ○ 3票:約6割 ○ 5票:約7割 ○ 7票:約6割 ○ 9票:約3割 ドット投票 ※書籍『「きめ方」の論理』より 何気なくやっている「1人3票で!」 は確率を上げる行為

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決定分析マトリックス ● 選択肢含め、関連情報の収集・評価に時間をかけ、確度の高い案を選べる

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対話(「熟議」の例で説明) ● アメリカのオレゴン州で飲酒運転などの厳罰化を住民投票(2010年) ● 住民代表が検討し、声明文を出すプロセスを入れると投票結果に影響が出た 熟議と投票の組み合わせで何が起こるのか?《後編》 熟議 × 投票 = 民主主義のバージョンアップ https://www.youtube.com/watch?v=nWUQVJ5b46M より

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対話(「熟議」の例で説明) ● アメリカのオレゴン州で飲酒運転などの厳罰化を住民投票(2010年) ● 住民代表が検討し、声明文を出すプロセスを入れると投票結果に影響が出た 熟議と投票の組み合わせで何が起こるのか?《後編》 熟議 × 投票 = 民主主義のバージョンアップ https://www.youtube.com/watch?v=nWUQVJ5b46M より 世論調査 賛成:67~73%

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対話(「熟議」の例で説明) ● アメリカのオレゴン州で飲酒運転などの厳罰化を住民投票(2010年) ● 住民代表が検討し、声明文を出すプロセスを入れると投票結果に影響が出た 熟議と投票の組み合わせで何が起こるのか?《後編》 熟議 × 投票 = 民主主義のバージョンアップ https://www.youtube.com/watch?v=nWUQVJ5b46M より 検討プロセス 賛成5,反対6,保留13 ⇒ 賛成3,反対21 世論調査 賛成:67~73%

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対話(「熟議」の例で説明) ● アメリカのオレゴン州で飲酒運転などの厳罰化を住民投票(2010年) ● 住民代表が検討し、声明文を出すプロセスを入れると投票結果に影響が出た 熟議と投票の組み合わせで何が起こるのか?《後編》 熟議 × 投票 = 民主主義のバージョンアップ https://www.youtube.com/watch?v=nWUQVJ5b46M より 検討プロセス 賛成5,反対6,保留13 ⇒ 賛成3,反対21 世論調査 賛成:67~73% 投票結果 賛成:57% →声明文を読んだ人 賛成:40% →読まなかった人 賛成:66%

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「納得感」を整える ● 有権者全員の納得感が醸成できるような意思決定プロセスにする必要がある ● 納得感があれば、その後の行動に整合性がでる

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「納得感」を整える ● 有権者全員の納得感が醸成できるような意思決定プロセスにする必要がある ● 納得感があれば、その後の行動に整合性がでる より良い意思決定をしたと感 じるべきなのは 意思決定者自身なのである

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「納得感」を整える ● これは統計学的に正しいかどうかということではない ● 評価基準を明確にし、関係者が意思決定プロセスに関わるようにする ▼統計学的考え 還元率は50%未満(法律で決まっている) なので買わない方がよい ▼他の価値感を混ぜた考え ・1枚数百円の支払い < 億万長者の夢 ・仲間の間で流行っているから買う

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「納得感」は2種類ある ● プロセスの納得感 ○ 意見を出し切れていなかったり、言いたいことが言えなかったりすると納得感が下がる ○ そもそも、関わる人が呼ばれていないこともあるので、大事な意思決定ほど気を使う

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「納得感」は2種類ある ● プロセスの納得感 ○ 意見を出し切れていなかったり、言いたいことが言えなかったりすると納得感が下がる ○ そもそも、関わる人が呼ばれていないこともあるので、大事な意思決定ほど気を使う ● 結論の納得感 ○ 声には出さないが、結論に納得できてないメンバーがいることも多い ○ 納得できているかどうかを見えるようにするのがポイント

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『「納得感」を整える』現場の実践例 ● 「プロセスを共創」し、みんなが納得できる意思決定のやり方を作る ● 「ファイブフィンガー」で納得度合いを見える化

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プロセスの共創 ● 参加者全員で意思決定をどう進めるかを考える ● 5W1Hの観点で考えるとプロセスが公正かがわかりやすい Why:なぜ、何のために意思決定をするのか What:何を、どこまで意思決定をするのか Who:誰が、どんな役割で意思決定をするのか When:いつ、どれくらいの時間で意思決定をするのか Where:どこ、どんな場所で意思決定をするのか How:どんなルールと手順で意思決定をするのか

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ファイブフィンガー ● 個人個人が「本当はどう思っているか」を指を使って表明する ● 意思決定の納得感を測る際には、下記のように各指の本数を定義するとよい 5本:全面的に賛成。100%納得した 4本:賛成。問題ない 3本:可もなく不可もなし 2本:ひっかかる部分が少しある 1本:まったく納得感がない

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ファイブフィンガー ● 全員が4本以上の指を出していたら問題なし。そうでない場合は指の本数の差がど こからくるのかを話し合う ● リモートであればチャットに「せーの」で投稿するのがよい

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おわりに

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意思決定の大前提は「信頼」 ● 意思決定には戦略的操作が入る要素が多分にある ● 情報の過不足も影響がおおきい ● つまりは、心理的安全性が必須。チームビルディングはここに効いてくる

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意思決定の大前提は「信頼」 ● 意思決定には戦略的操作が入る要素が多分にある ● 情報の過不足も影響がおおきい ● つまりは、心理的安全性が必須。チームビルディングはここに効いてくる チームを構築するときの信頼とは、メンバー同士が相手 に悪意がないことを信じ、グループ内で身を守ったり慎 重になったりする理由がないと確信することである。要 するに、チームメイトが安心して互いに弱みを見せられ なくてはならない。 <中略> ここで弱みとは、能力不足、対人関係における 欠点、ミス、そして助けを求めることを指す。

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スピードや重要度でも決め方は変わる ● コストがかからない、リスクが低い場面でガッツリした意思決定のプロセスをなぞっ ても時間の無駄になってしまう ○ ランチでどこに行くかを決めるのに細かな分析は必要なし ○ (とはいえ、多数決だとずっと同じ店になってしまうことも) ● 意思決定に必要なスピード、重要度によって手法を使い分けよう

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完璧な「意思決定」など存在しない (2回目)

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完璧な「意思決定」など存在しない (2回目) ● そう、完璧な「意思決定」など存在しない(3回目)

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完璧な「意思決定」など存在しない (2回目) ● そう、完璧な「意思決定」など存在しない(3回目) ● なので、チーム・個人の意思決定の質を上げるよう考えよう

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完璧な「意思決定」など存在しない (2回目) ● そう、完璧な「意思決定」など存在しない(3回目) ● なので、チーム・個人の意思決定の質を上げるよう考えよう ● 「方向性」「情報」「納得感」を意識すると良い「意思決定」になる確率UP ○ 方向性を合わせるための活動を行う ○ 情報量を増やすために情報共有・整理や話し合いの時間を設ける ○ 納得感を醸成するためのプロセスを考える ● 大前提は信頼関係

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完璧な「意思決定」など存在しない (2回目) ● そう、完璧な「意思決定」など存在しない(3回目) ● なので、チーム・個人の意思決定の質を上げるよう考えよう ● 「方向性」「情報」「納得感」を意識すると良い「意思決定」になる確率UP ○ 方向性を合わせるための活動を行う ○ 情報量を増やすために情報共有・整理や話し合いの時間を設ける ○ 納得感を醸成するためのプロセスを考える ● 大前提は信頼関係 こうして、意思決定を整えると良いチームになる 良いチームは良い意志決定がつくるのです

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良いチームへのヒントとなるニュースレターやって ます。ぜひご登録ください! ご静聴ありがとうございました! チームを整えるあれこれ