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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. オンライン教育を支える技術 ─10年以上高等教育に携わる  立場として事例などの紹介─ 代表取締役 寺田 学 「OSC2020 オンライン名古屋」 2020年5月30日

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. セミナー概要 このトークはオンライン教育に必要なツールやコンテンツ、動画などの技術を再整理し現状 と課題を洗い出していきます。このトークで、オンライン教育に必要な要素の再確認がで き、準備から実行までの流れと必要な要素がわかります。 取り扱うツールは、LMS(Moodle, Sakai, BlackBoard), MOOC/SPOC(edx), Web(Plone, NetCommons)などです。周辺の技術としてYouTube, Vimeo, Kalturaなどの動画配信方 法、Zoom, Teamsといったオンライン会議ツールなどと、SSO(Shibboleth, CAS)などから、 クラウドサービスの利用なども扱います。 後半では、用途ごとの使うツールの組み合わせ例を紹介します。

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. セミナーの流れ ● 私のオンライン教育への関わり ● 要素の区分け(コンテンツ・ツール・動画・音声・配信・試験・クイズ・評価) ● 各要素の勘所 ● 用途ごとの組み合わせパターン

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. 私のオンライン教育への関わり

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. 自己紹介 寺田 学 (Manabu TERADA) 株式会社 CMSコミュニケーションズ 代表取締役 ● Pythonエンジニア ● 一般社団法人PyCon JP Association代表理事 ● 一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会顧問理事 ● Plone Foundation Ambassador ● PSF Fellow member 2019Q3 & Contributing member ● 国立大学法人一橋大学 社会学研究科 元客員准教授(2011)

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. CMSコミュニケーションズ ● Webシステムのコンサルティング・構築・運用サポート ● Pythonの技術サポートなどのコンサルティング業務 ● 教育系ツールのコンサルティング・構築・運用サポート

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. オンライン教育との関わり─1 初期「Ploneでの関わり」(2010〜2012) ● 大阪大学OCWサイトをPloneベースのeducommonsで構築 (2010) ● JOCW(日本オープンコースウエア) (現: オープンエデュケーション・ジャパン) 賛助会員 (2010〜) ● 京都大学OCWサイト改造及びサポート開始 (2011) ● お茶の水大学向け授業サーポートツールをPloneで構築、継続サービス中 (2012) ● 東大TV(動画系コンテンツ)サイトのリニューアル、以後デザイン・機能回収 (2012)

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. オンライン教育との関わり─2 中期「edXでの関わり」(2013〜2016) ● Ja Sakai カンファレンス(名古屋大学にて)においてedx-platformの紹介 (2014) ● MOOC/SPOCツール Open edX サポート開始 (2014) 4校に構築サービス ● 商用サービス向けOpen edXカスタマイズ XBlock構築等 (2014) ● セキュアな動画配信ツール提供開始 (2016)

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. オンライン教育との関わり─3 近年「コンテンツ制作やコンサルティングでの関わり」 (2013〜2016) ● ネットラーニング eラーニング 最新技術/動向(W3)シリーズ (Python 入門 / Python 活用) 講師 (2018) ● 首都大学東京(現: 都立大学)OSWサイトをPloneベースで構築 ● JMOOC理工系基礎科目シリーズ Python入門コースの担当 (2019 / 2020) ● 日本外国語専門学校向けオンライン教育コンサルティング開始(2020)

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. 教育(高等教育)についてのおさらい 教育はどうやっている? ● 一つの場所に集まって、先生が板書をし、話をして教える・・・100年以上主体となって いる ● 一つの場所に集まって、生徒・学生同士がグループワークをし、先生やTAに質問をし て、何かを作り上げたりし結果をだす・・・ゼミや実験など ● 予習や復習を個別にやる ● (多くの場合) ペーパーテストを実施して評価を行う

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. (多くの場面での) 教育(高等教育)は ここで言えることは、同じ時間に同じ場所にいることが重要 ● 先生からの教えを受けるために ● グループワークを行うために ● ペーパーテストを不正なく受けるために

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. リアルタイム重視 リアルタイムというより同期型・同じようなタイムラインで勉強する だったが このような流れを変えようとした大きな出来事が数年前に起こった。

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. MOOCの到来 どこにいても、いつでも、動画を使って学び、オンライン上の掲示板などでディスカッションし て、理解を深め、確認テストやピアレビューで一定の理解度を計ることができる仕組み。 2013年から世界的なブームとなった。そこで出てきたのが coursera や edx と いわれる高等教育をだれでもが受けられるサービス。

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. MOOC到来後 しかし、動画だけで本当に学べるのかという疑問もすぐに出てきた。 そこで登場した考え方が、反転授業やブレンデッドラーニング。座学は前もって動画を見て 学習しておく(予習)、疑問や理解不足になるところをリアルな授業で解決してく。これは、先 程の「先生が板書して話をする」という部分をオンラインに置き換えている。 この布石は、2002年にアメリカMITで始めたOCW(だれでもが自由に授業のアーカイブ動 画などを閲覧できるサービス。OCWは日本を含めた多くに国の教育機関に波及し、2010 年までに大きな大学では取り入れている。

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. MOOCから見直されたオンライン教育 リアルタイムから オンデマンド型またはアーカイブ型が 使われるようになり、 それらの併用が始まりつつある

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. 教育を行う上ので3つの方式 リアルタイム型 ○ 教室で行う授業 ○ グループワーク オンデマンド型 ○ MOOCなどのオンライン授業 ○ 授業後のオンライン掲示板などの活用 (LMS活用を含む) ○ 授業の資料をあとで見れる (LMS活用) アーカイブ型 ○ YouTubeなどの動画で勉強(OCWを含む) ○ 書籍で学ぶ

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. 要素の区分け コンテンツ・ツール・動画・音声・ 配信・試験・クイズ・評価

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. コンテンツ ● シラバス ● 教科書・参考書籍 ● 板書またはスライド ● 解説の要点・スクリプト ● 動画 ● 小テスト・確認テスト

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. ツール

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. リアルタイム型を望む声 やっぱり、リアルタイムがいい ● 先生とのやりとりができる ● 生活のリズムがくずれない。 ● 緊張感がある ● あとだとやらない オンライン会議システム ● Zoom ● WebEx ● Google Meet ● Teams ● Skype ● Whereby

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. 動画・音声・配信 ● 撮影 ○ 教室 ○ スタジオ ○ 研究室やデスク ● 画面表示 ○ 講師の姿 ○ 板書の姿 ○ スライド ○ ミックス ○ テロップ ● 音声 ○ 同時録音 ○ 別録音 ○ ナレーター ● 編集 ○ カット、つなぎ合わせ ○ エフェクト ○ 字幕 ● 配信 ○ 形式の選択 ○ 方法の選択

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. 試験・クイズ・評価 ● 評価のためになにをする? ● 試験ができるか? ● 小テスト・クイズで対応するか? ● 過程を評価できるか? ● なりすましが無いか? ● 相互評価・ピアレビューの信憑性

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. 各要素の勘所

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. コンテンツ作成の勘所 オンラインに合わせたコンテンツ作りをどうやるか? ● 章・節・項をしっかり考える ○ 章を1コマから3コマの授業とし学習目標を立てる ○ 節ごとに小テストや学習効果を計れるといい ○ 項ごとに何を伝え、何を知れるかを決める ● オンデマンド型の場合 ○ 動画は5分から10分で細切れにする ● 動画撮影 ○ できれば、きれいに撮影したい。頑張りすぎるとコストが高すぎる ○ スクリプトは準備する

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. ツールは何を使う? ● 何を使う? ○ とりあえずあるものを使う ○ なければ、クラウドサービス ● そもそもどうやって選べばいいの? ○ 提供する側であれば、比較検討が必要 >これは大変 ● 誰が選ぶのか? ○ チームで一緒に検討会をやろう ○ 学生にも相談をしたい

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. 動画・音声・配信はどうする? ● どこまでこだわるか? ○ テレビ番組? ○ YouTuberのように? ○ 音声が届くのか? ● できることをみきわめる ○ デスクで撮影 ○ 教室で撮影 ○ スタジオに入る ● 配信 ○ クラウドサービスなどのインフラ重要。画像を配信するのとは違う

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. 先生はYouTuberになれるのか? NO!!

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. 試験・クイズ・評価 忘れては行けないのは、最終評価 どうするかを最初に決めておきたい ● アクセス履歴などの活用 ● 学習効果をツールで計る ● 評価制度の見直し ● ペーパーテストのやりにくさの代替手段

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. 要素ごとの組み合わせパターン ひとつのアイデア例を紹介

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. 基礎科目を行う方法 「座学として学ぶ」ことができる ● 教科書・参考書を読む ● 動画で学ぶ ● 理解しにくいところだけを対面またはリモートで補完する ● 確認テスト(時間制限付き)で評価する → 「LMS」をベースに必要なツールを組み合わせる

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. 応用科目を行う方法 「教わる、一緒に学ぶ」必要がある ● 基本概念は、基礎科目と同じ ● グループワークやディスカッションをしながら理解を深める ● オンラインツールやチャットツール、掲示板のようなディスカッションボード ● 先生やTAからのアドバイスが重要になる → 「LMS」や「動画」をメインとして、   リアルタイム相談会を「オンライン会議システム」で補完

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. ゼミなどのグループワーク 「対面」で行うことを前提にしている ● オンラインで同時にディスカッションや作業が必要 ● 過程を評価する必要があるので記録を残す必要がある ● 実験などの装置が必要な場合は、物理的な登校が必要な場合も多い → 「オンラインチャットツール」、「Google Docs」や   「ホワイトボードツール」が必要

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. ホームルーム 双方向の「気軽なやりとり」が必要 ● オンラインチャット ● 個別対応も必要 ● 学生同士の小分けグループでのやりとりもあるとよい → 「オンライン会議システム」や「電話」などの活用。   LINEなどの学校が準備しないものも積極活用

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. 補習 個々のやる気、レベルによってさまざまなアプローチを試みる ● 宿題・課題をだす ● 参考書や参考動画を示す ● オンラインチャットでのサポート → オープンな教育リソースの活用、ドリルなどのリソースを   最大限に活用する。サポート体制としてTAがいるとよい

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. 追加事項

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. 著作権法改正・施行の影響 「授業目的公衆送信補償金制度」が前倒しされ、 2020年4月28日施行 https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/92169601.html 著作権法改正が前倒し施行され、今年度は補償金も無料になった。 細かな運用方針や管理団体(SARTRAS)と著作権者の間でさらなる調整が必要ではある が。

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. 学校では授業だけでいいのか? ● クラブ活動 ○ 意義 ○ 未来 ● 友達との学び ○ 必要だよね? ○ どうする?

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. ご清聴 ありがとうございました。

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. Q&A

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copyright © 2020 CMS Comunications Inc. all rights reserved. 展示ブース・質問コーナー