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Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism Geospatial Information Authority of Japan ウェブ時代の地理空間情報技術 Geospatial information technology on the Web age 藤村 英範 / Hidenori FUJIMURA 国⼟交通省国⼟地理院 Geospatial Information Authority of Japan 1 平成27年12⽉21⽇(⽉)15:05〜16:35 ⻘⼭学院⼤学地球社会共⽣学部講義 「はじめての空間情報システム」 Slides available at speakerdeck.com/hfu

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Disclaimer 本プレゼンテーションの内容は 筆者の個⼈的な⾒解です。 2

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本⽇の講義の概要 ① ⾃⼰紹介 ② GitHub Universe でのプレゼン ‒ GSI Maps for the next wave of civic innovation ③ 空間情報技術の開国進取とは 3

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⾃⼰紹介 〜経歴〜 0 2002-04 情報⼯学で国⼟地理院に技官採⽤ 1 2002-04/ 2004-03 地球地図プロジェクト 地球地図のGML化検討 2 2004-04/ 2007-03 電⼦国⼟(今の地理院地図)運⽤ ISO/TC 211への参画開始 3 2007-03/ 2008-03 在外研究員 (ドイツ・ハノーファー⼤学) 4 2008-04/ 2011-03 技術開発関係の地図業務 ALOS/PRISMを使った道路中⼼線 の⾃動補正研究、住居表⽰住所 データの初期整備(補正予算)等 5 2011-04/ 2013-03 国交省海外プロジェクト推進課 下⽔道の海外展開⽀援、省の技術 協⼒総括、地図の海外展開検討等 6 2013-04/ 2015-11 地理院地図等の運営 ISO/TC 211国内委員会幹事⻑+ ⽇本団⻑を引き受け 7 2015-12/ 地理院の国際業務総括 4 → 地理空間情報関係の、だいたい ICT まわりか国際まわりをやっていて、 国際標準化にも関与(単純推進というよりは適切対処)してます。 災害対応業務 あり 東⽇本⼤震災 国⼟交通省「被害報」 の毎⽇英訳も

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私の2015年3⼤ニュース ① 国⼟地理院ベクトルタイル提供実験が進捗、 全国提供が順次開始される。 ‒ 6⽉に注記、8⽉に道路・河川・鉄道中⼼線、 10⽉に基盤地図情報(DEMを含む) ‒ 世界の地理院界で類を⾒ず、OSMに類がある。 ② GitHub Universe で国⼟地理院が講演する。 ③ 国⼟地理院情報普及課が⽇本OSSフォーラ ムから「⽇本OSS奨励賞」を受賞する。 5

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GitHub 6

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GitHub と GSI 技術の⽔平展開(コラボレーション)のツール として、積極的に活⽤ なぜ⽔平展開するか?⾃分たちが楽になるから • 2008-07: 藤村の個⼈アカウント作成 ‒ GitHub サービス開始(2008-04-11)の3ヶ⽉後 • 2013-04-22: 技術掲⽰板として使⽤開始 ‒ 藤村の情報普及課就任の3週間後 • 2015-01-18: 地理院地図ソースをGitHubへ ‒ 新しい地理院地図公開開始の10⽇後 7

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GitHub Universe でのプレゼン • 2015年10⽉1⽇〜2⽇ ‒ GitHub さんとしても初めての世界イベント ‒ 6⽉の⽇本法⼈開設以降、接触頂き情報交換 ‒ 9⽉に⼊ったころにプレゼン依頼 • Government Panel としてロサンゼルス市等のオープ ンデータ担当者と同じセッションで。 ‒ 企業依頼の海外講演、短い調整期間など、前例の ない部分が多かったが、チャレンジして実現へ 8

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Open 10

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【状況】GIS Colonialism ? • GISの特に標準化周りは、防衛・航法・エンタープライズに 強い⽶国(+欧州)の影響⼒が⾮常に⼤きい。 ‒ ⽶国と欧州各国と⽇本(とその他の国々)の⽂脈は同⼀ではない。 ‒ エンタープライズを背景としてきたGISと、シビックテクノロジーと 親和性の⾼いウェブの⽂脈は同⼀ではない。 ‒ ⽂脈の差異を無視した押し付け・受け⼊れは植⺠地主義のよう。 • 単に「学び、取り⼊れる」だけではなく、「⾃ら考え、⽴場 を明らかにし、提案する」ことがこれから必要! ‒ GISとウェブの⾼度な統合のためには、我らの活躍が鍵になる。 11 【試論】 ウェブを単なるメディア ではなく、本拠地と考え る者たち?

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試論 ウェブを本拠地とし 連携を積極的に活⽤する 海外展開はローコストであり かつスケールするのではないか。 ・国境越えの連携 ・課題越えの連携 ・セクター越えの連携 ウェブを本拠とし連携を活⽤する、つまり Open 。 12

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Open 13 地理院タイルの活用を推進するための3つの施策 ①Open Data 政府戦略に基づき使いやすく提供する ②Open Source オープンソースを利用し、提供する ③Open Innovation 産学官連携を積極活用し、イノベーティブな成果を追求する

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14 Open or Die Open Innovation Open Source Open Data Open Country 開国進取 北岡伸⼀JICA理事⻑:⽇本⼈は今、内向き傾向が強く、ある意味、「鎖国状態」に ある。しかし、開発途上国の厳しい現場に触れ、⼤きく成⻑した若者を私はこれ まで多く⾒てきた。明治期には「開国進取」が国是で会ったが、現在の内外環境 の下では、JICAは、⽇本と開発途上国をつなぐ「⽇本開国の最前線」としても活 躍していかねばならない。(出典:国際開発ジャーナル 2015年12⽉号(No. 709)「The IDJ Interview ‒ JICA 新理事⻑に聞く ‒ ⽇本開国の最前線たれ」)

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さらに⼤きな⽂脈からの Open 15

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参考 16

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参考 17

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2013年「⽇本外交の新たな5原則」から引⽤ • いまや,⽇本とASEANは,⽂字通り対等なパートナーと して,⼿を携えあって世界へ向かい,ともに善をなすときに ⾄りました。 • ⼤きな海で世界中とつながる⽇本とASEANは,わたくし たちの世界が,⾃由で,オープンで,⼒でなく,法の統 (す)べるところとなるよう,ともに働かなくてはならない と信じます。 • ひととひとが⾃由に交わりあうことによって,互いを敬う ⽂化が根ざすよう,努めねばならないと信じます。 • アジアの海よ,平安なれと祈ります。そのため,経済にお いて強く,意思において強固で,国柄においてどこまでも開 かれた⽇本をつくるべく,わたくしは⾝命を賭したいと思っ ています。 18

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国⼟地理院の国際の 最近の動き 19

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タイ 16.両⾸脳は、タイにおいて、⾼精度測位により精密な地図作成や 洪⽔対策を含む幅広い分野で利活⽤が可能な、衛星測位技術を活⽤ した「電⼦基準点網」の導⼊に協⼒することで同意した。さらに両 ⾸脳は、それが、地理空間情報を活⽤した⾼度情報社会の発展を促 進することを認識した。 Both sides shared the intention to cooperate in installing in Thailand the GNSS Continuously Operating Reference Stations utilizing satellite positioning technology which would contribute to developing maps with great accuracy and their wide applications including ones for flood disaster management by realizing accurate positioning. Furthermore, both sides recognized that it will promote the development of advanced information society utilizing geospatial information. 20 2015-02-09 ⽇・タイ⾸脳会談 約50分間の会談後、訪⽇の成果をまとめた 「⽇本・タイ共同プレス声明」を発表

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バングラデシュ <技術協⼒プロジェクト 2013-10-01/2016-12-31> 1. OJTや研修を通して、測量局職員の地図作成作業が円滑化され 技術が定着する。 2. 測量局の最優先プロジェクトであるNSDIの導⼊に向けて、測 量局のジオポータルのウェブサイトが開設される。 21

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ベトナム 政府機関同⼠(G2G)の協⼒を通じて両国の当該分野での 紐帯を強化していく。 22

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南極 23

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UN-GGIM-AP / UNCE-GGIM ここ最近は、例年8⽉に国連本部で実施。 24

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NSDI 25

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NSDIとは • NSDIとは、国の地理空間情報インフラ= Spatial Data Infrastructure (SDI) ‒ An SDI is a coordinated series of agreements on technology standards, institutional arrangements, and policies that enable the discovery and use of geospatial information by users and for purposes other than those it was created for. (Kuhn, 2005) • 地理院の1:2500データ「基盤地図情報」の根拠 となっている「地理空間情報活⽤推進基本法」 はNSDI法とも呼ばれる。 • やや使い古された⽤語だが、開発途上国からの 技術協⼒要請にはよく現れる⽤語。 ‒ 先ほどのバングラデシュ、ベトナムのスライドにも 26

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⽇本のNSDI協⼒って 何だろう 27

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【試論】⽇本のNSDI協⼒ • ⽇本にNSDIは既にあるという⽴場をとる。 • 地理院と連携した協⼒であれば、地理院が描く地理院 ベースの「⽇本のNSDI」モデルを利⽤した協⼒が有効。 ‒ 違ったNSDI像もあり得る。像は⼀つでなくても良い。 28 電⼦基準点網を中核とする グローバル対応した測地基準網 基盤地図情報を代表とする 公共測量・基本測量システム 地理院地図を中核とする ウェブ地図・ネット提供 ※ 「標準化」については、様々なア プリで使われているコミュニティ 標準(GeoJSON等)を積極的に取 り⼊れる。 ※ 「ディスカバリ」については、地 理空間情報分野、メインストリー ムITを問わず地理院外部の貢献に 期待する。 • メッセージをシンプルに。NSDIを「地図インフラ」と 呼ぶくらいの⼤胆さが必要ではないか。

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【今後の検討課題】オープンイノベーションの海外展開? 29 ⽇本のオープン イノベーション 成功事例 海外を巻き込んだ オープン イノベーション NSDIよりも産学官連携・アプリケーション指向が 強い「オープンイノベーション」(例:地理院地図 パートナーネットワーク)を、海外を巻き込んで 実施することができないだろうか。

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まとめ 海外でただ学ぶのではなく、 海外でただ教えるのではなく、 • 国内の経験を海外で⽣かそう • 海外の経験を国内で⽣かそう それがそのまま開国の定義。 30