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企業の持続的な優位性を築く「7 POWERS」 1

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目次 1. 概要 2. パワーの定義 3. 7つのパワー 4. パワーの構築と発展 5. まとめ 6. Appendix: 用語辞書 2

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想定読者 事業戦略に興味がある経営者、マネージャー ▶ スタートアップの創業者 ▶ ビジネススクールの学生 ▶ 長期的な競争優位性を構築したい企業の従業員 ▶ 3

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概要 著者:ハミルトン・ヘルマー(初期のNetflixに投資した投資家兼コンサルタント) ▶ 「7 Powers」 :企業の持続的な優位性を築くための7つの力 ▶ 実例:Netflix、インテル、ピクサー、トヨタ等 ▶ 特徴:シンプルで覚えやすい概念、事業やプロダクトの優位性検討に有用 ▶ 4

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パワーの定義 パワー:持続的な差分リターンの潜在能力を創出する条件の組み合わせ ▶ 戦略:重点市場における継続的なパワー獲得への道 ▶ パワーの二要素: ▶ 1.ベネフィット:キャッシュフローの改善 - 2.バリア:競合相手の行動を阻害する障害 - 「Moat(モート)」はバリアと同概念 ▶ 5

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7つのパワー 6

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Scale Economics / 規模の経済 定義:生産量の増大につれて単価が低下する事業体 ▶ ベネフィット:コストの削減 ▶ バリア:市場占有率の拡大を阻むコスト ▶ 例:Netflix、ウォルマート、フォード - 特徴:競合他社は同じ商品提供で極めて不利な立場に ▶ 7

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Network Economics / ネットワーク経済 定義:利用ユーザー数の拡大に伴い、ユーザーにもたらす価値が増大するビジネス ▶ ベネフィット:より高い価格設定が可能(例:LinkedInのHRソリューション) ▶ バリア:後発企業の市場参入が困難 ▶ 特徴: ▶ 勝者総取りの傾向 - ソーシャル系サービスに多く見られる - 8

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Counter Positioning / カウンターポジショニング 定義:既存企業が採用できない新しく優れた事業モデルを新規参入者が採用すること ▶ ベネフィット:コスト削減や高価格設定による優位性 ▶ バリア:既存企業の従来事業への損失懸念(副次的損失) ▶ 例:バンガード(低コスト)vs フィデリティ(高コスト) - 特徴: ▶ 新興企業が既存企業を打ち負かすための重要な手段 - イノベーションのジレンマを誘引する戦略 - 9

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Switching Costs / 乗換コスト 定義:他社製品への乗換が困難になる事象 ▶ 種類:金銭的、物理的、心理的コスト ▶ ベネフィット:既存顧客に対する高価格設定 ▶ バリア:競合企業の顧客獲得コスト増大 ▶ 例:SAP(顧客満足度低いが維持率高い) - 特徴:一度購入した顧客は離れにくく、将来収益を確保 ▶ 10

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Branding / ブランディング 定義:長期にわたる積み重ねで形成された信頼 ▶ ベネフィット: ▶ 1.感情価:ブランドへの好意的感情 - 2.不確実性の減少:期待を裏切らない安心感 - バリア:ブランド構築に要する長期間(履歴現象) ▶ 特徴:非排他的、構築に長時間 ▶ 例:Apple、NIKE、スターバックス、ティファニー等 - 11

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Cornered Resource / 競合なきリソース 定義:事業価値を高める資産の優先的所有・使用権 ▶ ベネフィット:希少資源による高収益性や製品差別化 ▶ 例: ▶ ピクサーの映像制作チーム - 製薬会社の特許 - セメント製造会社の石灰岩所有権 - ボシュロムのソフトコンタクトレンズ製造方法 - 12

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Process Power / プロセスパワー 定義:長期的組織活動により根付いたオペレーショナル・エクセレンス ▶ ベネフィット:継続的な品質向上とコスト削減 ▶ バリア: ▶ 1.複雑性:製造過程と物流連鎖の複雑さ - 2.不透明性:明文化されていない暗黙知の蓄積 - 例:トヨタ生産方式 ▶ 数十年にわたる品質向上とコスト削減の維持 ▶ GMの失敗事例(ヌーミ社) ▶ 13

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4. パワーの構築と発展 すべてのパワーは「発明」から始まる ▶ 製品、プロセス、事業モデル、ブランドなどの発明が起点 ▶ 発明には行動、創造、リスク、情熱、熱中、熟達が必要 ▶ パワー獲得の一般的順序 ▶ 1.出発:カウンター・ポジショニング、競合なきリソース - 2.離陸:規模の経済、ネットワーク経済、乗換コスト - 3.安定:プロセス・パワー、ブランディング - 長期的優位性には戦略的なパワー構築が必要 ▶ 14

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まとめ 7 Powersは企業の持続的優位性構築のための強力なフレームワーク ▶ 各パワーは独自のベネフィットとバリアを持つ ▶ パワーは段階的に構築され、複数のパワーの組み合わせが理想的 ▶ 発明だけでなく、パワーへの昇華が重要 ▶ 長期的な戦略視点でパワー構築を考えることが成功の鍵 ▶ 15

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用語 パワー:持続的な差分リターンの潜在能力を創出する条件の組み合わせ ▶ ベネフィット:パワーがもたらす経済的利益 ▶ バリア:競合他社の参入や模倣を阻害する障壁 ▶ Moat(モート) :競争優位性を守る「堀」のこと。バリアと同義 ▶ 規模の経済:生産量増大に伴う単価低下 ▶ ネットワーク経済:ユーザー数増加に伴う価値向上 ▶ カウンターポジショニング:既存企業が採用できない新事業モデル ▶ 乗換コスト:他社製品への切り替えに伴う障壁 ▶ プロセスパワー:組織に根付いた卓越したオペレーション能力 ▶ 16