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© LayerX Inc. バクラクによる コーポレート業務の ⾃動運転 7Bets on AI — Session 2 バクラク事業 CTO 中川 佳希 NAKAGAWA, Yoshiki

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© LayerX Inc. Speaker 執⾏役員 バクラク事業 CTO 株式会社エウレカにて、国内最⼤のマッチングアプリの バックエンド開発とインフラエンジニアとしても従事。 その後フリーランスとして、動画ストリーミングアプ リ、⾦融サービス、産学連携の機械学習プロジェクトを 経験。 2020年6⽉株式会社LayerXに⼊社後、バクラク前⾝の⽴ ち上げから開発。テックリード、プロダクト横断の開発 組織 Enabling Team を経て、2024年1⽉より現職。 中川 佳希 NAKAGAWA, Yoshiki

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© LayerX Inc. Exploring Agentic Coding ⾃⼰紹介 AI Coding Meetup #2 開催⾵景

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© LayerX Inc. Agenda ● バクラクが⽬指す先 ● SaaS から次の変化 ● コーポレート業務の⾃動運転 ○ ルーチンを⾃動化する ● エージェントの構成要素 ○ ツールとメモリー

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© LayerX Inc. バクラクが⽬指す先 バックオフィスから全社の⽣産性を⾼める Chapter 1

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© LayerX Inc. 技術組織としての分岐点 バックオフィスから全社の⽣産性を⾼める

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© LayerX Inc. 企業取引の前段となる 稟議の統⼀ と 債権‧債務の⼀元管理 が可能 従業員と経理や管理職の⽅が係る領域において、なめらかな連携を実現、経営を加速させます 技術組織としての分岐点 バックオフィスから全社の⽣産性を⾼める

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© LayerX Inc. 技術組織としての分岐点 プロダクトラインナップ

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© LayerX Inc. 技術組織としての分岐点 プロダクトラインナップ

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© LayerX Inc. 企業の⽀出管理領域から、HRM(⼈的資源管理)領域へ 技術組織としての分岐点 より広くより深くコーポレート業務をラクに ⼈事労務領域 HRM 勤怠 管理 給与 管理 ⼈材 管理 労務 管理 ⽀出管理領域 BSM 請求書 受取 経費 精算 稟議 証憑 保管 B2B 決済 帳票 発⾏ 組織 管理 法⼈ カード

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© LayerX Inc. 技術組織としての分岐点 導⼊実績 ※⼀部企業様を抜粋して掲載しています ※1東京証券取引所 グロース市場に上場している企業を対象にした数値(2024年12⽉末時点) ※2東京証券取引所 グロース市場に2024年に新規上場した企業を対象にした数値(2024年12⽉末時点) 東証グロース市場 上場企業の5社に1社が導⼊※1 2024年に新規にグロース上場した企業の20%※2が活⽤

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© LayerX Inc. BPO(Business Process Outsourcing)の形をとり、お客様のコーポレート業務をバクラクが AI を活 ⽤しながら⾏う。 エンドユーザーからみると「タスクの結果や出⼒を受け取る」が、個別に AI 含むシステムの操作やマ ネージドを最⼩限に減らせるメリットがある。 技術組織としての分岐点 AI BPO の提供 AI BPO と AI エージェント提供の違い

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© LayerX Inc. 紙、Webダウンロード形式、メール添付の全てに対応しています。パスワード付きファイル‧ZIPまで あらゆる請求書をバクラクが代⾏で受領し、開封‧スキャン‧AI-OCR によるデータ化‧原本保管まで 全てに対応します。 技術組織としての分岐点 第1弾:「バクラク受領代⾏」を7⽉より提供開始

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© LayerX Inc. 請求書の受領業務を代⾏してほしい⽅、ご興味ある⽅ぜひお問い合わせください 技術組織としての分岐点 バクラク 受領代⾏

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© LayerX Inc. 技術組織としての分岐点 バックオフィスから全社の⽣産性を⾼める プロダクトの価値を届けたその先にある 働くをラクにし、 多くの⼈が創造的な仕事に取り組める 世界の実現を⽬指して

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© LayerX Inc. SaaS から次の変化 デジタルな労働⼒ Chapter 2

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© LayerX Inc. エンジニアリングの現場で起きている変化 2021/06 GitHub Copilot テクニカルプレビュー公開 OpenAI との共同開発 (GPT-3 後継のCodex) 2022/06 GitHub Copilot 正式リリース コード補完 2022/11 ChatGPT リリース (GPT-3.5) 2023/03 Cursor(Anysphere)登場 ルールとコード⽣成 2024/12 Devin(Cognition)リリース リモート環境 Agents 2025/05 Claude Code(Anthropic)GA リリース Terminal Agents

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© LayerX Inc. エンジニアリングの現場で起きている変化 ⽣成AIカテゴリーの中で最も資⾦調達額の多いのは、AI Coding の分野 2024年上半期のみで10億ドル(約1,500億円)以上と⾔われる ● デジタル上でタスク完結するものが多い ● ユーザー側(エンジニア)に試す⽂化がある ○ 間違いやバグを許容、利⽤者側でコントロールして使う ● ソフトウェアエンジニアの給与が⾼騰している ● AIツールの開発者⾃⾝がソフトウェア開発ドメインのエキスパート

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© LayerX Inc. AI ツールは⼈のアシスト (近傍コードからの補完) から、⾃律的にコードを書く Agent へ ⼈間が「スクラッチでコードを書く」時代は終わりを迎え、少なくともコーディングは全 く別の仕事になった。 ただそれがエンジニアの仕事がなくなった事を意味しない(少なくとも現⾏ツール延⻑線上でソフト ウェアエンジニアを置き換えることにはまだ隔たりがある)。 エンジニアリングの現場で先⾏して起きた変化、エージェントの⼒ Chat-oriented programming (CHOP):チャット形 式で AI と反復的なやり取りを⾏い、コードの完成を ⽬指すプログラミング。Steve Yegge が提唱。

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© LayerX Inc. デジタルな労働⼒ スケール 従業員数が増えても、同じパフォーマンスで 24/7 稼働 季節性など⼈的リソースに依存しない AI による柔軟性 固定やルールベースではカバーできない、 より⼈間らしい対応が可能 機械的な動作 システムは予め定められた⼿順に従う、 ⽂字通り「機械的」に動作しルーチン業務を迅速に処理 ガバナンス 内部統制‧監査対応の⾃動化を促進する 全社で再現性を持ったプロセス‧ルールを実現できる

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© LayerX Inc. SaaS の勃興は「コンピューティングリソースの調達やアプリケーションの開発、保守」 を不要にし業務システムの導⼊障壁を下げた。今後はデジタルな労働⼒の活⽤へと移る。 SaaS の岐路 コーポレート業務の⾃動運転 バックグラウンドでのタスク遂⾏へ as-is to-be 要求を満たすソフトウェ アだけでなく、タスク完 了までが提供価値に。 従来的なサブスクリプ ションだけでなく、タス ク従量でも評価される。 継続的にシステムが利⽤ されることを前提に常に 機能拡張が⾏われる。 LTV(顧客⽣涯価値)と いう形で評価される。

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© LayerX Inc. 技術組織としての分岐点 バクラクが担う本質的価値の再定義 業務のメンタルモデルを提供 ユーザーが⾃分の業務全体像を 直感的に理解できる「体験」を デザインすること SaaS は業務フローそのものを ユーザーにとって⾒える形にし て⽰し認知負荷を下げ、業務環 境を作る。 正しいビジネスロジックを提供 法令や会計規程、社内ルールに 沿った厳密なチェックと処理を 担保すること エージェントが⾃動化‧効率化 を図っても、最終的に不正やミ スが起きないことをシステムが 保証する。AI の提案や⾃動処理 を⼈が安⼼して受け⼊れられ、 最終的な統合判断を⼈が⾏う。 LLM からみたタスク実⾏基盤 エージェントが実際に業務を動 かす実⾏ツールとその基盤を提 供すること 信頼性の⾼い実⾏基盤を提供す ることで、⼈が信頼性を持って エージェントに仕事を依頼出来 る。

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© LayerX Inc. 技術組織としての分岐点 培ってきた AI 機能は、技術要素‧ナレッジとして活き続ける

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© LayerX Inc. コーポレート業務の⾃動運転 ルーチンをつくり、⾃動化する Chapter 3

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© LayerX Inc. コーポレート業務の⾃動運転 ⾃動⾞の⾃動運転になぞらえ、業務の⾃動運転を 6段階でレベル分けしたもの

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© LayerX Inc. ● バックグラウンドでのタスク⾃動化 ● AI での学習がまわり始めたら、⼈を 判断‧例外処理のみに集中させる 繰り返し発⽣するルーチン業務が多くある。 ⼀⽅で、例外判断や規程違反の検出は⽋かせない。 技術組織としての分岐点 バックオフィス業務の特性 AI エージェントの狙い SaaS としての UX での視点 ● SaaS はフォアグラウンドとして ユーザーの業務メンタルモデルを⽀ える⼟台(完全にエージェントで代 替までの距離を把握する) ● ユーザーのメンタルモデル(経験 則、慣性)に沿った設計は必要

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© LayerX Inc. デモデモ デモ:過去の稟議を元にして申請してもらう UI は実際のサービスで はなくデモ⽤画⾯

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© LayerX Inc. デザインパターン Single-path plan generator パターンで、ルーチンをプランニングする “Agent Design Pattern Catalogue: A Collection of Architectural Patterns for Foundation Model based Agents” Liu et al. (2024), arXiv:2405.10467 技術組織としての分岐点

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© LayerX Inc. エージェントの構成要素 ツールとメモリー Chapter 4

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© LayerX Inc. Building Effective AI Agents \ Anthropic > Consistently, the most successful implementations use simple, composable patterns rather than complex frameworks. 「⼀貫して、最も成功する実装では、複雑なフレームワークではなく、シンプルで構成可 能なパターンが使⽤されます。」 技術組織としての分岐点 エージェントの構成要素 The augmented LLM 拡張 LLM の構成要素となる Tools, Memory を取り上げます

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© LayerX Inc. Building Effective AI Agents \ Anthropic > Agents can handle sophisticated tasks, but their implementation is often straightforward. They are typically just LLMs using tools based on environmental feedback in a loop. 「エージェントは⾼度なタスクを処理できますが、その実装はたいてい単純です。    多くの場合、ループ内で周辺環境からのフィードバックを元にツールを利⽤する LLM に 過ぎません。」 技術組織としての分岐点 エージェントの構成要素 Autonomous agent マイクロなエージェント: 前ページでの構成要素を持つ拡張 LLM が フィードバックループをえて動く

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© LayerX Inc. How to Build an Agent - Amp 今年4⽉ Sourcegraph が投稿したブログ Run というメインルーチンは 40⾏程の for ループで、 ユーザー対話, ツール実⾏, 推論 (API) を実装している。 (実装は素朴で素直なもの、しかしツール実装とその 協調でパワフルな CLI 型のエージェントに) 技術組織としての分岐点 their implementation is straightforward 400⾏に満たない Go コードで実装された code-editing agent

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© LayerX Inc. 思考(ユーザーとの対話)を担当するモデルに対し、ツールは具体的な処理を⾏う これを分ける(環境として識別する)ことでエージェントの開発、運⽤の⾒通しがたつ ● ツール単位で開発‧デバッグ‧テストが可能 ● トレーサビリティ(追跡可能性)を⾼める ● コンテキストウィンドウの消費を⼩さくする ○ Hallucination を防ぐ(ノイズを拾わない) ● 認可 ○ 誤りが認められず、決定的な動きのみが求められる 技術組織としての分岐点 構成要素:Tools High-level flow of a coding agent

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© LayerX Inc. ● Divide and Conquer (Method): 分割統治法 そのままでは解決できない⼤きな問題を⼩さな問題に分割し、その全てを解決することで、最終的に問 題全体を解決する⼿法。 ● Peter H. Salus.『UNIXの1/4世紀』アスキー, 2000 ⼀つのことを⾏い、またそれをうまくやるプログラムを書け。協調して動くプログラムを書け。標準⼊ 出⼒(テキストストリーム)を扱うプログラムを書け。標準⼊出⼒は普遍的インターフェースだ。— ダ グラス‧マキルロイ 技術組織としての分岐点 問題を解く単位はツール実装に委ねる Quicksort

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© LayerX Inc. エージェントが実⾏するツールは、ただの API や関数ではなく、責務を持つモジュール 1. ビジネスロジック a. 会計処理、社内規定、稟議など、SaaS しか持ちえない「組織の判断基準」も含まれる 2. 認可とガードレール a. 認可スコープを明⽰し、誰がなにを出来るかを制御する b. これにより、誤実⾏‧不正実⾏の抑⽌や責任追跡ができる 3. 粒度制御 a. 実⾏結果に対して、「何が起きたか」「ログとして記録するべきか」の境界 技術組織としての分岐点 ツール = 単なる関数呼び出しではない

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© LayerX Inc. エージェント向けのメモリを指す(単にチャットログを覚えているではなく、ユーザープロファイルや ツール実⾏結果などがある) コンテキストエンジニアリングの中核をなす。 技術組織としての分岐点 構成要素:Memory Raw capability With Memory メモリを持たないエージェント 毎回ユーザーとは「初対⾯」、  「初めて遭遇する問題」に メモリからもコンテキストを補完 「最⼩の⼿助け」で問題を解く

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© LayerX Inc. 「⼈の辿った思考や⽅法を模倣する」ところから始める。 ⼈にアテンドしながら成功‧失敗を貯めて、進化を続けることが出来る。 技術組織としての分岐点 過去、⼈が⾏ったタスクの⾃動化 エージェントが⻑期メモリを持つことで期待されること 成功したもの ● ユーザーがやりたいことを反 映したプレイブックになる 失敗したもの ● 失敗理由をラーニング出来る ● 次回失敗時の⾃⼰修繕的なア クション(巧い活⽤はまだみ えない)

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© LayerX Inc. 消費するコンテキストウィンドウを⼩さくするためのアプローチ 1. 中間ステップを取り除き、コンテキストに追加する a. 導かれた過程の正確性を⽋く可能性がある 2. メモリ情報を圧縮しサマリーをつくり、コンテキストに追加する a. compaction についての知⾒、実験が必要 b. (ヒューリスティックにはコーディングエージェントでも有効に感じる事が少ない) 3. 外部記憶に保存された情報を現在のコンテキストから参照可能にする a. 情報の加⼯が不要、Immutability を担保できる b. 追加で外部記憶から取得するプログラム(か推論)が必要 技術組織としての分岐点 コンテキスト補完に効果的なメモリの活⽤

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© LayerX Inc. An agent is a software program that thinks and acts Lessons learned

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© LayerX Inc. 1. ⼈間の思考をトレースから始める 2. 愚直な実装から始める / Start with straightforward implementations a. ツールもシンプルな問題を解くところから始める 3. LLM モデルは(より安価に)強⼒になるが、⼀⽅でそれがメモリやツール実⾏、環 境からのフィードバックの必要性に取って代わることはない 技術組織としての分岐点 Lessons learned

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© LayerX Inc. エージェントは思考し、⾃律的に動く ただし、ソフトウェアとしての制御は引き続き求められる 技術組織としての分岐点 An agent is a software program that thinks and acts. エンジニアリング領域を新たに拡げるものに対し、 Fundamental なメンタルモデルでつくって理解する重要性は⾼い