Slide 1

Slide 1 text

© RAKUS Co., Ltd. ARR100億超SaaSをさらに成⻑させる      PdM組織の⽴ち上げと今後について #RAKUS Meetup 株式会社ラクス  楽楽精算開発部 製品管理課 稲垣 剛之 2023/12/6 1

Slide 2

Slide 2 text

このセッションで話すこと プロダクトマネジメントの組織を⽴ち上げて、現在に⾄るまでの話をします 話をすること ‧どういう状態だったか? ‧どのように進めたのか?(どのように考えて、どんなことをしたのか) ‧結果どうなったのか? ‧今後は? どんな⼈に聞いてほしいか ‧PdMの役割や組織をこれから確⽴しようとしている⽅ ‧これから新しい役割の組織を⽴ち上げようとしている⽅ 2

Slide 3

Slide 3 text

⾃⼰紹介 稲垣 剛之(いながき たけし)   開発本部 東京開発統括部 楽楽精算開発部 製品管理課 課⻑ <経歴> ⼤学卒業後、独⽴系SIer企業に⼊社 約10年間PG、SE、PMを経験、企画から開発、運⽤等のPMを担当 その後、転職、ファッションECサイトを⽴ち上げ ⽴ち上げ直後から約9年間、開発責任者を担当 その後、最終的には企画‧デザイン‧開発といった              プロダクト開発全般の責任者を担当 2021年8⽉にラクスに⼊社 3

Slide 4

Slide 4 text

4 どんなサービスなのか? 経費・交通費・出張費・旅費・交際費など、お金にかかわる全ての処理を 一元管理できるクラウド型の交通費・経費精算システムです。 リリース日
 2009年7月


Slide 5

Slide 5 text

5 経費精算システムの市場規模

Slide 6

Slide 6 text

© RAKUS Co., Ltd. 6 どういう状態だったか? #RAKUS Meetup

Slide 7

Slide 7 text

PRD ビジネス側 開発側 製品企画 プロダクトチーム体制 7 PdM PMM エンジニア (PJM含む) デザイナー 営業 マーケ CS MRD

Slide 8

Slide 8 text

事業状況 [2022年度3⽉期 第1四半期]  売上⾼     16.7億円  [前年同期⽐ 39.3%増] / ARR 66.8億円 ※単純に4倍した数値  新規導⼊社数  8,199社  [前年度末 +2,113社] 製品状況 [2020年3⽉末-2021年3⽉末] ‧年数回、数⼗数件程度の機能‧改善リリースを実施  └「請求書処理⽀援オプション」    クレジットカードコントロール機能提供 「楽楽コネクタ」によるAPIサービスアップデート&会計ソフトへのデータ連携強化    電⼦帳簿保存対応の原本確認作業効率化機能提供   「Amazonビジネス」「AI Travel」との⾃動連携   経理のみでなく申請者にも優しいUIに刷新 事業‧製品状況

Slide 9

Slide 9 text

© RAKUS Co., Ltd. 9 どのように進めたのか? #RAKUS Meetup

Slide 10

Slide 10 text

問題解決プロセス ⽬標設定 現状把握 問題特定 解決策⽴案 解決策実⾏ 基本的には「問題解決プロセス」に沿って遂⾏ 「組織」も「プロダクト」も同じと考えると全てこのスキームで対応ができる 特に重要なのは以下の3つ 現状把握 適格に捉えていないとこれ以降のステップが「絵に描いた餅」になる ⽬標設定 ここを間違えると成果に繋がらない 問題特定 リソースは限られており「選択と集中」が必要

Slide 11

Slide 11 text

© RAKUS Co., Ltd. 11 現状把握 #RAKUS Meetup

Slide 12

Slide 12 text

【現状把握】⼀定規模の製品開発のよくある問題 開発側 ‧システムが肥⼤化し品質維持のためにかかる⼯数が多く、新規機能開発に時間がかかる ‧品質が安定せず、バグの発⽣都度⾼く、その対応に追われ開発が計画的に進まない ‧問い合わせや仕様確認等が多く、開発に専念できない ‧こうして欲しいという要望(HOW指定)が多く、顧客の声や課題がぼんやりしている ‧開発する項⽬の優先度が属⼈的で納得感が⼗分に持てない ビジネス側 ‧思った通りのタイミングでリリースができないことがある ‧バグが発⽣して、その対応に追われている ‧もっと多くの要望を実現して、⾊々試したいがそれが⼗分にできない ‧開発側へしっかり要望が伝わらず、何度もやり取りや資料のやり直しが発⽣する

Slide 13

Slide 13 text

ビジネス側 開発側 製品企画 13 PdM PMM エンジニア (PJM含む) デザイナー 営業 CS PRD MRD ⽬標 設定 現状 把握 問題特 定 解決策 ⽴案 解決策 実⾏ 【現状把握】ヒアリング 【共通】 ⾃組織/役割課題 製品開発課題 【共通】 組織ミッション ⾃組織/役割課題 製品開発課題 PdM組織への期待 インフラ/SRE 開発側連携課題 ビジネス側 連携課題

Slide 14

Slide 14 text

【現状把握】出てきた課題や意⾒ ⽬標 設定 現状 把握 問題特 定 解決策 ⽴案 解決策 実⾏ ポジティブ ‧品質が⾼い、軽微なバグはあるものの致命的なものは皆無 ‧開発プロセスがしっかりしているため、⼿戻りは少ない ‧各組織の⽬標や役割が明確である ネガティブ ‧事業部から開発へ課題や要求が上⼿く伝わらず、互いに効率が悪い部分がある ‧10年以上の運⽤しているシステムであり、開発規模も⼤きくなり  計画通りに進める難易度が年々あがっている ‧開発する項⽬の優先度を決める基準がややあいまいな部分がある

Slide 15

Slide 15 text

© RAKUS Co., Ltd. 15 ⽬標設定 #RAKUS Meetup

Slide 16

Slide 16 text

【⽬標設定】「あるべき姿」に向けて ⽬標 設定 現状 把握 問題特 定 解決策 ⽴案 解決策 実⾏ 何から決めたか  1.MVVの設定(まずはミッション) 2.KGI・KPI/コンテキストの設定 設定時に注意‧意識したこと  1.いずれも変化することを前提に設定  2.「KGI・KPI/コンテキスト」はいきなり理想の追及にはせずに段階を踏むようにした  3.初期の「KGI/コンテキスト」は以下を意識   ・プロダクト開発チームへ価値や貢献がもたらされ、半年以内で変化をさせられる   ・メンバーの現時点での強みが活かせるものにする

Slide 17

Slide 17 text

【⽬標設定】あるべき姿 Mission ・ビジネス、エンジニアリングの架け橋となりカスタマーサクセスに導く、売れる製品を実現する Vision ・お客様とプロダクトの課題解決ができる製品開発のプロフェッショナル集団になる KGI‧KPI/コンテキスト ・【ステップ1】 開発組織への貢献 開発者がより開発に集中できる環境の提供 ・【ステップ2】 事業組織への貢献 PMMがより事業戦略やGTMに集中できる環境の提供 ・【ステップ3】 顧客、製品への貢献 PdMがより直接的に製品へ貢献できるようにする ⽬標 設定 現状 把握 問題特 定 解決策 ⽴案 解決策 実⾏

Slide 18

Slide 18 text

© RAKUS Co., Ltd. 18 問題特定 #RAKUS Meetup

Slide 19

Slide 19 text

【問題特定】あるべき姿とのギャップ ⽬標 設定 現状 把握 問題特 定 解決策 ⽴案 解決策 実⾏ 【ステップ1】 開発者がより開発に集中できる環境の提供 ‧開発部内での業務を分析、開発でないとできない業務以外を抽出 【ステップ2】 事業部がより事業戦略やGTMに集中できる環境の提供 ‧製品開発で事業戦略、計画に影響を与えている部分の問題を抽出 ‧製品開発フローを分析(特に開発組織との設定がある部分) ‧事業部側でないとできない領域とPdMができる領域を抽出 【ステップ3】 PdMがより直接的に製品へ貢献できるようにする ‧どの組織も取り組んでおらず、製品貢献ができる領域を抽出 ‧PdMが取り組むことで、より洗練される領域を抽出

Slide 20

Slide 20 text

© RAKUS Co., Ltd. 20 解決策⽴案/実⾏ #RAKUS Meetup

Slide 21

Slide 21 text

【解決策⽴案/実⾏】どんなことをしたのか? ⽬標 設定 現状 把握 問題特 定 解決策 ⽴案 解決策 実⾏ 順序 取り組み概要 状況 1 開発部内での役割を定義   ステップ1 定常的に⾒直し 2 PRDの品質向上   ステップ1 継続改善 3 PMM/PdMの役割分担(あるべき姿を踏まえて)   ステップ2 定常的に⾒直し 4 案件創出決定のフローの⾒直し   ステップ2 定常的に⾒直し 5 開発案件の優先度付けルールを策定   ステップ2 6 プロダクト開発計画の策定   ステップ3 1年分策定中 7 PdMでの顧客解像度を向上   ステップ1-3 継続実施 8 機能‧製品の改善プロセス     ステップ3 今後着⼿

Slide 22

Slide 22 text

© RAKUS Co., Ltd. 22 結果どうなったのか? #RAKUS Meetup

Slide 23

Slide 23 text

ビジネス側 開発側 製品企画 プロダクトチーム体制 23 PMM エンジニア (PJM含む) デザイナー QA 営業 マーケ CS PRD MRD 製品管理 PdM

Slide 24

Slide 24 text

事業状況 [2024年度3⽉期 第1四半期]  売上⾼     31.6億円  [前年同期⽐ 36.4%増] / ARR 126.4億円 ※単純に4倍した数値  新規導⼊社数  13,939社 [前年度末 +3,874社」 製品状況 [2022年3⽉末-] ‧年数回、数⼗数件程度の機能‧改善リリースを実施  └「請求書処理⽀援オプション」受け取り代⾏、オペレーター確認、API連携機能拡張    インボイス制度開始に伴う以下のような機能追加      ‧請求書/領収書に記載のあるインボイス発⾏事業者登録番号をAI-OCRで⾃動読み取り      ‧インボイス発⾏事業者登録番号を国税庁のデータベース情報との⾃動照合      ‧⽀払先(取引)のマスタ登録  ⇒開発ボリュームも増加して、リリース件数も増加、また事業インパクトが⼤きいものが増加 事業‧製品状況

Slide 25

Slide 25 text

● 要件定義フェーズ⼯数を50%削減/⼿戻りゼロ ● 開発項⽬の優先度等について事業部/開発側での認識齟齬なし ● システム改善等の⽣産性をあげる開発にも着⼿開始 ● PdM組織 3名 → 6名 (採⽤応募 300%増 ) その他効果サマリ

Slide 26

Slide 26 text

© RAKUS Co., Ltd. 26 今後は? #RAKUS Meetup

Slide 27

Slide 27 text

今後の取り組み 【ステップ1-3】 解決策をより洗練させていく ● PRDの品質向上  → 外さない顧客/製品課題の発⾒と要求定義へ洗練 ● PMM/PdMの役割分担 → PdMの得意領域を拡張&拡張領域を洗練 ● 開発案件の優先度付けルールを策定 →プロダクトライフサイクル応じて改善 ● 機能‧製品の改善プロセス →これからここにも着⼿

Slide 28

Slide 28 text

© RAKUS Co., Ltd. 28 ご清聴ありがとうございました 当社のPdMに興味がある⽅は以下のQRより カジュアル⾯談でさらに詳しい話をします! #RAKUS Meetup