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3rd Party Cookie にまつわる話題提供 日本ディープラーニング協会 顧問 デロイトデジタル 執行役員 森 正弥 2021 Feb https://note.mu/masayamori

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「脱Cookie とトラッキング抑止の潮流」 • Cookieは、長年、インターネットにおける顧客との インタラクションの基礎をなしていた技術 • 中でも、3rd Party Cookieは、パーソナライズされ た広告の重要な構成要素となっており、広告ネッ トワークがより詳細なオーディエンスのセグメント と属性を提供し、そのパフォーマンスをトラッキン グするのに役立ってきた • しかし、規制の影響も受け、トラッキングツールと してのCookieの支配が終了しようとしている。 • 脱Cookieと、プライバシー保護の方向性は、様々 な企業とブランドにとって、顧客とのつながり方を 大きく変える契機となるだろう。 https://note.com/masayamori/n/nd43e8fc583e1

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3 自己紹介 代表的なプロジェクト・取り組み 組織戦略立案・構築 • 複数のEC企業におけるビッグデータ組織構築と、AI活用 • 複数のインターネット企業における研究開発組織構築 先端技術活用 • 広告・ECにおけるAIを用いた売上改善、新規顧客獲得 • ヘルスケア企業におけるAIを用いたプロセス改善 M&A、資本提携戦略 • 大手X社(金融)におけるAI企業 M&A戦略策定 • 大手Y社(デジマ)におけるM&A戦略策定 主な著作・共著・記事 • 「クラウド大全 <サービス詳細から基盤技術まで>」 日経BP社 (2009年) • 「ウェブ大変化 パワーシフトの始まり」 近代セールス社 (2010年) • 「AI フロンティア」(クリエイティブAI 担当) 日経BP社 (2019年) • 「大前研一 AI&フィンテック大全」 (フィンテック編) プレジデント社 (2020年) 森 正弥 パートナー / 執行役員 デロイトデジタル 外資系コンサルティング会社、インターネット企業執行役 員を経て現職。組織戦略立案から先端技術活用に従事。 DX 立案・実行、AIのビジネス活用に強み。 日本ディープラーニング協会 顧問、東北大学 特任教授

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4 Deloitte Digitalは世界に16000名以上のデジタルコンサルタントを保有し、 日本でも約450名のデジタルプロフェッショナルによるサービス提供可能 APAC ● Studio ● HUB ● Delivery Center D I G I T A L F O O T P R I N T 49 60 16,000+ Studios Countries Global Headcount Americas ● Camp Hill ● Chicago ●● Denver ● Greensboro ● Los Angeles ●● Mexico City ● New York City ● Orlando ● Red Bank ● San Francisco ● Santiago ●● Seattle ● Sao Paolo ●● Toronto ●● Washington DC EMEA ●● Amsterdam ●● Belfast ● Berlin ●● Brussels ● Bucharest ●● Cape Town ● Copenhagen ●● Dublin ● Dusseldorf ● Edinburgh ● Frankfurt ● Geneva ● Gothenburg ● Helsinki ● Istanbul ●● Johannesburg ●● Lisbon ● Łódź ●● London ●● Luxembourg ●● Madrid ● Malta ●● Milan ● Munich ● Moscow ● Oporto ● Oslo ●● Paris ●● Prague ● Reykjavik ● Stockholm ●● Tel Aviv ● Vienna ●● Warsaw ●● Zurich ● Adelaide ●● Auckland ● Beijing ●● Bengaluru ●● Brisbane ● Canberra ● Chongqing ● Delhi ● Guangzhou ● HCM City ●● Hong Kong ●● Hyderabad ● Jakarta ● Kuala Lumpur ● Manila ●● Melbourne Where we are.

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5 協会概要及び参画企業(一例) 弊社はコンサルティングファームとしては唯一の日本ディープラーニング協会のプラチ ナメンバーであり、ディープラーニング・AI技術の普及・推進に貢献しています 協会概要 ディープラーニングを中心とする技術による日本の産業競争力の向上を目的とし、 2017年6月に東京大学の教授である松尾豊氏が設立 会員企業 (一例) …等々 ABEJA Aidemy Algoage AnyTech AVILEN ブレインパッド 調和技研 Connectome.design ディープコア エッジテクノロジー FiNC Technologies GAUSS NABLAS ニューラルポケット エヌビディア合同会社 PKSHA technology

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6 脱Cookie に向けた動きが加速する 1月26日 日本経済新聞 記事(Web)

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「分散型機械学習たるFederated Learning (連合学習)」 • Federated Learning(連合学習)は、個々のデバ イスやサーバのデータを共有することなく、それら デバイスやサーバにまたがってモデルを学習して いく機械学習の手法 • データを共有しないという性質から、データプライ バシー、データセキュリティ、データアクセス権、 異種データの活用等、企業や社会が考慮すべき 重要な問題に対処しつつ、機械学習・深層学習 の恩恵をもたらすことができる https://note.com/masayamori/n/n250f59071293

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8 トレンドの論点 脱 3rd Party Cookieのトレンドを踏まえた、論点は以下の通り 今後2年以内にcookie の新しい仕様が作られ、そちらに移 行する予定。それに伴い、3rd Party Cookie サポートは終了 Cookie を含むデジタルプライバシーにおける今後の方針は、 「透明性」「選択肢」「(ユーザーの)コントロール」* 3rd Party Cookie を軸とした広告等については、今後事業 モデル含めた方針の見直しが必要となる可能性がある Google の動き *日本国内でも個人情報保護法でのcookie を対象にする方針へ Apple の動き (ITP) 規制強化 の動き

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9 Cookie の基本的なユースケースと論点 Cookie の基本的なユースケースと今後の可能性 アナリティクス トラッキング 広告コンバージョン トラッキング ターゲティング • 1st Party Cookie 対応済み • 各社、アナリティクストラッキングに広告情報を乗せること で対応 • 3rd Party Cookie 廃止とともに、ITPの(1st Party Cookie も対象にした)制限強化の動きが厳しく、新技術の開発が 必要になる状況 * Cookie だけに限らず、Apple ではIDFA*を利用した広告配信でも、2021年上旬から広告配信媒体と広告 主アプリ両方でユーザーからの追跡許可を得る方向に変更予定

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「欧州におけるテックプラットフォーマーへの新たな規制の動き」 • 欧州委員会においてテック企業への規制強化が 計画され、アナウンスされている • データ法(Data Act)は、個人のコントロール強化 • デジタルサービス法(Digital Services Act) は、 違法コンテンツや有害コンテンツの監視・削除義 務を強化し、AI(特にレコメンドや広告、ターゲティ ング等)の使用と透明性確保とレポート(誰が特 定の広告を掲載したのか。なぜそのユーザーを ターゲットとしたのか)に関するルールを定める • デジタル市場法(Digital Markets Act)は、デジタ ル空間上での競争をよりオープンにし、プラット フォーマーの市場影響力を減らすよう設定される https://note.com/masayamori/n/n617ddc6c5664

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「XAI (Explainable AI、説明可能なAI)」 • 説明可能性をAIに求める規制の動きはますます 強まっていくと考えられる。その要請に応えるべく XAI の研究開発や実システムへの導入に関する アプローチは、各国、各産業、各企業で行われて いく。 • その過程で、説明可能性に乏しいAIソリューショ ンを別のAIソリューションで代替していくという動 きも進み、またそれにあわせたゲームチェンジも 起きていく。 https://note.com/masayamori/n/neae9102d2aa3

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12 企業(広告主)側の想定される動き 脱 3rd Party Cookieのトレンドとともに、企業側の動きはいくつか想定されるが、自 助努力派と外部活用継続派に分かれていく Federated Learning 基盤や代替技術を活用する DSPに移行 1st Party Data を増やしていく努力を とうとう始める データサイエンティスト を組織化する Cookie なしに活用できる 3rd Party Data を増やす (環境データ、コンテキスト データ) Zero Party Data に着手する 自助努力 外部活用 継続 Walled Garden (プライベートエコシステム) を大きく活用する 強化学習基盤 等 補完技術を活用する 外部に頼っていた エンゲージメントを 戻していく 想定される広告主の動きを踏まえ、アドビジネスのアップグレード戦略 が求められる

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13 アドテク企業側の動き アドテク企業側の動きは、予測することは困難だが、データ・テクノロジー強化と事業 ドメイン再構築、エコシステム形成がそれぞれ進行する 事業ドメイン 再構築 データ・ テクノロジー 強化 *グローバルでは、ゲームアプリの Walled Garden化が予想されている メディア化を狙い 1st Party Data 確保に向かう クリエティブ の強化 メディア・アート、 VR/IoT/Robotics への展開 CDP, DMP のデータ連携機能 を強化する Federated Learning・強化 学習 等をプラットフォーム に組み込む パートナーシップにより 準Walled Garden の構築を進める コンテキストアド (インフィード広告・ エリア広告)の強化 エコシステム 形成 OMOの End to End での差別化 *TieSet 社等、Federated Learning 技術を提供するスタートアップも

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オルタナティブデータの活用① 14 資産運用の領域では、オルタナティブデータの活用が近年急激に伸びています 19% 24% 29% 31% 33% 35% 36% 38% 43% 0% 10% 20% 30% 40% 50% Eメール開封情報 位置情報 衛生画像 Webトラフィック情報 アプリ情報 その他 ソーシャルメディア Credit/Debit Card Webデータ(スクレイピング) 232 400 656 1,088 1,708 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2016 2017 2018 2019 2020 オルタナティブデータへの投資額(M$) 出典:alternativedata.org Fundが取得している情報 3年で4倍に成長

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オルタナティブデータの活用② 15 資産運用の領域では、オルタナティブデータの活用が近年急激に伸びています No データソース 活用イメージ 1 Social データ アストマックス投信投資顧問の投信「Yjamプラス!」は、ヤフー掲示板 への書き込み数と株価の関係などをAIで分析し、銘柄の選定や売買時期を 判断している 2 Webニュース 「ひふみ投信」を手掛けるレオス・キャピタルワークスは7月、データ分 析を手掛けるゼノデータ・ラボと共同で、経済ニュースを人工知能(AI) で分析し産業の先行きを予測する実証実験を始めた 3 FRB議事録 銀行Aのトレーディング部門では、FRBの議事録を取得し、AIによるセン チメント分析を行う事によって、市況がどう動くかを予測している 4 衛生画像 DATAFLUCT financial.では、衛星画像解析と機械学習の強みを生かし、 衛星画像から対象物体の個数や変化をAIを活用して検出、購買データから 製品・企業の売れ行きを推定 5 POSデータ 金融データ会社のナウキャストは、POSデータ分析により、カルビーのポ テトチップスが、値上げ以降も売れ行きが変わっていない事を元に、好業 績を予測した 6 EC販売実績 楽天では、楽天市場での販売実績を元に、景気動向指数を高い精度で予測 し、証券の運用に活用している 自社で収集 可能なデータ (Web Scraping) ※購入も可能 購入が 必要なデータ

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16 データエンリッチメントサービスの一例 各社から提供されているデータエンリッチメントサービスを用い、自社データの拡充や 顧客理解の深化をはかっていく 顧客データ POSデータ Socialデータ Web アクセスデータ

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17 ゼロパーティーデータ活用 好みの情報や傾向を、顧客から自己申告してもらい、それを活かした顧客コミュニ ケーションやサービスのレコメンド等 パーソナライズを実施する どんなものも緑色が好きです 電話でのコンタクトはいやだけ ど、 メールのコンタクトは全然OK! 資産運用に関する情報は なんでも欲しい 商品説明は わかりやすさ、シンプルが一番 どんなサービスも 他の人の評価を並べて 判断したい 動物情報番組「アニマルプラネット」で、番組 情報のレコメンドの精度をあげるために、ど のような犬が好みかを、犬のトレーディング カードゲームに参加してもらうことで収集した。 また、ゲームで作られたカードはSNSで共有 され、プロモーションとしても機能した 論点  これら好みの情報は個人を特定するわけではなく、「このような好 みの人はこういう傾向にある」という分析結果そのものの共有は 広く可能になる 自分のことはいいので 子供の将来のことを 考えたい

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データを作る“創意工夫” 18 マンガサービス「アル」では、「近いマンガ」検索の為の元データを、Twitterでトレンドに乗るような 企画を行い、バズらせることにより、データを収集することに成功した 出典:https://kensuu.com/n/n58dfb5fc02e7?gs=2253ae73efa6 • Twitterで世界トレンド1位になり、62万件以上の投稿があっ た「#私を構成する5つのマンガ」で選ばれているマンガの データを元に、行列分解等の機械学習の技術を駆使し、各 マンガを多次元のベクトルで表現しました • そのベクトルを使うことで、あなたが好きなマンガを入力す ると、雰囲気が似ているマンガを探せるようになっています • 従来の、カテゴリーや性別などによる検索ではなく、あなた が好きなマンガをベースに検索ができるため、キーワードだ けでは見つけにくい「雰囲気が似ているマンガ」を知ること ができます “私を構成する5つのマンガ” 企画をリリース 2日で閲覧数150万件 65万人が実施 バイラル係数をKPIとし Webで検証しながら バズるコンテンツを作成

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