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ビジネスとデザインとエンジニアリングを繋ぐために 一人のエンジニアは何ができるか osuzu デザインエンジニアMeetup @20250425

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自己紹介 osuzu ● SWE @株式会社カミナシ ● ex. 千葉大学デザイン学科 → 株式会社LIFULL → atama plus株式会社 @suzu415

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はじめに 学生時代にデザインを学んでいたこともあり、ずっとWebフロントエンド畑 でエンジニアのキャリアを重ねてきました。 過去に何度かUXエンジニアやデザインエンジニアといったロールで仕事をし たいと考えた時期もありました。 ですが前職と現職をSaaSのスタートアップで過ごすことで ● 0→1のプロダクトが売れて誰かの役に立った喜び ● ゼロから立ち上がったチームが機能していく喜び ● 戦略と現実のギャップでプロダクト開発がストップし、大好きだった チームを丸ごと失うことになった悲しみ などを経験し、少し考え方が変わってきた話を今日はしたいと思います。

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SaaSのスタートアップがひとつのプロダクトを作るまで 組織戦略 事業戦略 機能戦術 責務 どこで戦うか なにで戦うか どうやって戦うか プレイヤー 経営, Manager BizDev, Sales, PMM PdM, Eng, Des, CS/SP 形式的な概念図はこんな感じ。 現実には色んな戦い方があると思います。 Discoveryとして PMとDesで活動する 創業期のスタートアップCEOがSalesやPdMも兼ねる 事業開発として SalesとPdMが協業する Engは仕様通り コード書くだけ

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私の価値観について プロダクト作りに銀の弾丸はないと思いますが、私自身は以下のような価値 観を良いものと捉えています。 ● 責務において意思決定は大切だが、検証することも大切。 ● 戦略と戦術とその実行のフィードバックループがちゃんと回っているこ とを重視している。チームが学習していくことを良しとする。

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これまで経験や見聞きした 失敗のパターン

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失敗のパターン:組織に溝が生まれている ● 戦略から実行の連携に溝がある ○ 実行に関心が薄い(検証しない)BizDev ○ 事業戦略やGoToMarketに関心が薄いプロダクトチーム ○ Salesの顧客への機能開発コミットメントにより、プロダクトチーム の開発優先度が万年ロックされている ● ディスカバリーからデリバリーに溝がある ○ この分断がデザイナーとエンジニアといった職種間で起こるのは、 プロダクトチームにオーナーシップがなくなっている兆候 ○ ほとんどウォーターフォール開発なのに、アジャイル開発を現場の 働き方だけで取り繕ったり… ● SalesやBizDevが経営の戦略にアラインしていない ○ この間で溝が生まれているとその先も大体ダメになる

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溝を超えて成功するために カミナシの例を添えて

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溝を超えて成功するために:イネーブリング ● 経営が毎週の会議を伝わりやすい形でまとめ発信する ○ カミナシで行われている取り組みの一つですがとても良いです。 公開で終わらずに届けるところまでオーナーシップを感じます。 ● デザイナーやデザインエンジニアがFigmaにこだわって運用する ○ デザインシステムやコンポーネントカタログも こうした取り組みの一種と言えそうです。 ■ 弊社のデザインエンジニアの取り組みの例です。 Figmaでモックやプロトタイプを作りやすい仕組みを整備 ○ 今だとMCPやv0連携で全社員がプロト作れるようにもできる時代! ● エンジニアが生のデータにアクセスできるよう届ける ○ 前職では毎日データファクトを届ける狂気(もちろん良い意味で) の発信を続けた人がおり、経営の意思決定を変えていました。 ○ 今なら単純にMCPつなげ自然言語でクエリできるようにするとかも

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溝を超えて成功するために:コラボレーション みんなで現場に行くこと プロダクトを作っていくエンジニアやデザイナーにとって、 これは売れそう(現場の役に立てそう)という肌感をもって作ることが、 要らないものを作らないためにも、本当に価値があると感じています。 カミナシでは、職種に限らず現場の一次情報を得る ことを大切にしており、 エンジニアがSalesやCSと一緒に現場訪問する機会も 度々あります。 現場へ行くたびこれを実感します…

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溝を超えて成功するために:コラボレーション 職種をまたぎドメインモデリングを行うこと カミナシにとってドメインモデリングとは、 現場の課題解決と、実現(現仕様の制約やデータベースの制約)との 間の溝に橋をかけることです。 同僚の記事もオススメです

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溝を超えて成功するために:コラボレーション ディスカバリーやGTM検討にエンジニアとして影響力をもつこと ここはプロトタイピング力や多職種をまたぐ専門性を通して、 デザインエンジニアが影響力を持てる領域だと考えています。 必ずしもリードする必要はなく、 責任を持つ人(多くはPdMやPMM)が「売れる」「撤退する」といった意思 決定を素早く、自身をもって実行できるように支援すること。 そしてディスカバリーを通して得られた学びを、作るところにまで一貫して 持ち帰れるはずです。

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溝を超えて成功するために:補足 イネーブリングやコラボレーションすることは、合議で決めることを推奨し たり、人の専門性を超え意見することを推奨するものではありません。 むしろ意思決定においてはちゃんと説明責任を果たす人を決め、その人が リードすべきと考えています。(権限移譲は必要だとも思いますが) 意思決定の速度や精度を上げるために、集合知で助けあうことを意図してい ます。(一人のエンジニアが果たせる役割はたくさんあるはず!) とはいえ、信じて任せることと無関心/無責任でいることとの間のバランスは 私もずっと悩んでいるテーマの一つです。。

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溝を超えて成功するために:補足 もっとシンプルに… 良いUIを作るのは、デザイナーとエンジニアがどれだけコミュニケーション したかにかかっていますし、 良い戦術を作るのは、経営やBizDevやSales、現場でプロダクトを使う顧客、 そしてプロダクトチームがどれだけコミュニケーションしたかにかかってい ると思います。※ここでのコミュニケーションとは同期で言葉を交わすことに限りません 泥臭いコミュニケーションをサボらないこと。凡事徹底。 SaaSを作る世界では、たった一つのコミュニケーションが成否を分ける場面 がたくさんあると感じています。

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デザインエンジニアから スタッフエンジニアへ

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デザインエンジニアからスタッフエンジニアへ 自身のバックグラウンドから、デザインとエンジニアリング両方への影響力 を発揮するため、デザインエンジニアになりたかった時期がありました。 とはいえ「デザインエンジニア」という職種は少なくとも国内で一般的では なく、採用やキャリアラダー面で課題があります。(私個人としてデザイン エンジニア職種の採用は増えてほしいと思いますが) ただし今は、スタートアップでプロダクトやその先のビジネスの成否に向き 合うなかで違った考えももっています。 大切なのは肩書きでなく何を為すかであって、そのオポチュニティは至ると ころにあったと気づいたのです。 キャリアの登り方は違えど、シニアやその先のスタッフロールで期待される バリューは同じなのではと。※ハイパースペシャリストとしてのキャリアは除く

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デザインエンジニアからスタッフエンジニアへ デザインエンジニアに期待されるレイヤーごとの役割イメージ デザインとエンジニアリング両方 に専門性を発揮し、 プロトタイピングでDiscoveryと Deliveryを繋ぎ、 失敗に陥りやすい組織の溝に橋を かける力が、きっとデザインエン ジニアにはあるはずです。 デザイン エンジニ アリング ミドル ディス カバリー デリバ リー シニア 戦略 戦術 スタッフプラス 溝に橋をかける

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さいごに 私自身、まだまだスタッフを名乗れるレベルに達してない中で恐縮ですが、 さいごに書籍「スタッフエンジニアの道」より好きな一節を紹介します。 「でも、取り組むべきインパクトのある仕事が積まれた魔法のバックロ グはどこにあるのでしょうか?」
 
 「あなたが創り出すのです! 」
 
 
 『スタッフエンジニアの道』


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