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NoOps Meetup Tokyo #6 物理データセンターでも NoOps サイボウズ株式会社 @ymmt2005

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自己紹介 ▌サイボウズ株式会社で20年弱 ◼ cybozu.com 開発責任者とか ◼ メモリ 32 GB おじさんなど ◼現在は Neco というプロジェクトの責任者

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今日の内容 ▌cybozu.com が抱える課題 ▌インフラ刷新プロジェクト Neco の紹介 ◼ アーキテクチャ ◼ 方法論 ▌今後の予定

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サイボウズ & cybozu.com ▌グループウェアの開発・販売 ◼ 「サイボウズ Office」は 20 年以上ベストセラー ◼ もともとはパッケージソフトウェア販売 ▌cybozu.com ◼ 自社グループウェアを SaaS で提供 ◼ 2011年11月からサービス開始

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cybozu.com の規模 ▌契約社数 28,000社 ▌契約ユーザー数 100万人以上 ▌リクエスト数 2.6億/日 ▌サーバー台数 2,000台弱

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単調に規模が拡大 -5000 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 40000 45000 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 契約社数 契約社数 二次回帰 線形回帰 需要予測が容易 強気の投資が可能

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現在のインフラについて

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現在のインフラ概要 国内数か所のデータセンターで稼働 • いわゆるオンプレミス サーバー数十台の頃からアーキテクチャ変わらず • 数千台を扱うのに無理を重ねている 分散システムの基盤は独自開発 • OpenStack や Kubernetes を使っていない • ssh で何とかするアレ

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抱えている課題 手作業・Toil が多い 低いスケーラビリティ 自作に偏りすぎ

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辛い例:プログラムの更新作業 ▌更新手順書を書き起こす ▌手順書をレビュー ▌複雑な手順はアドホックに自動化 ▌開発環境でリハーサル ▌本番環境でペアで手動適用 ▌完了まで何時間も端末前で待機することも 数え役満!

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こうありたい ▌撃ちっぱなし可能な宣言的オペレーション ▌継続的なデリバリ ▌高速な開発・運用のワークフロー(DevOps) ▌数千台の規模を活かせるスケーラブルなシステム ▌自作からの脱却

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インフラ刷新プロジェクト

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Neco プロジェクト概要 ▌2018年1月から始動, 3ヶ年計画 ▌内容 ◼ Kubernetes 中心のアーキテクチャ ◼ オンプレミスデータセンター ◼ 成果物はほぼすべて OSS 公開 ▌体制 ◼ 私含め、現在 10 名

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なぜ Kubernetes? ▌物理サーバーに直接依存させたくない ▌コンテナ・マイクロサービス時代の「勝ち馬」 ◼ 拡大を続けるエコシステム ◼ 自作から脱却するのに好都合 ▌優れた設計 ◼ 宣言的 API で大規模分散システムの運用を容易に ◼ 拡張性が高く、様々な機能をアドオンできる

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データセンター内のシステム論理構成 3~5台の管理サーバー群 数千台のノードで構成される Kubernetes クラスタ Elasticsearch や MySQL のマネージドサービス テナント テナント テナント … Neco

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Neco の設計原則 1.Be Declarative • Kubernetes 以外もすべて、宣言的に操作可能にする 2.Define by Software • 特定の目的に縛られたサーバー・ネットワークを作らない • サーバー・ネットワークの役割をソフトウェアで変更する 3.Test Everything • 継続的なデリバリーには試験は自動化しないといけない • データセンターで動作するすべての機能を自動試験する

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ここまでの成果 ▌宣言的 Kubernetes 管理ツール「CKE」 ▌BGP 中心で設計されたネットワーク ▌仮想データセンターを活用した CI / CD ▌ステージング用物理データセンター ▌その他いろいろ

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CKE

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CKE ▌Kubernetes クラスタの運用を自動化 ◼ 望みのクラスタ構成を宣言するだけ ◼ CKE が適当な物理サーバーを選んで構築・入れ替え ◼ Kubernetes の自動バージョンアップも ▌HashiCorp Vault で秘密管理 ◼ 証明書発行 ◼ Secret 暗号化

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CKE の詳しい話は #CNDT2019 で!

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BGP 中心のネットワーク

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BGP + BFD + ECMP で経路管理&冗長化 ▌Linux / Kubernetes から経路を自在に制御可能 ◼ BIRD と組み合わせ可能な CNI プラグイン「Coil」を開発 ◼ MetalLB で LoadBalancer を実装 ▌ルータもソフトウェアで実装可能 ▌専門的な話はブログをどうぞ

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ネットワーク概略図 Spine-Leaf アーキテクチャ コンテナ間の East-West 通信に最適

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仮想データセンター

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なぜ仮想データセンター? ▌Neco はデータセンターを管理するソフトウェア群 ▌Neco の開発・試験にはデータセンターが必要 ◼ 開発者に自分専用データセンターが欲しい ◼ データセンターでの動作も自動試験したい ▌そこで placemat というツールを開発

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placemat ▌仮想データセンター構築ツール ◼ L2 ネットワーク=Linux ブリッジ ◼ ルーター=BIRDコンテナ ◼ サーバー=QEMU/KVM ▌機能 ◼ YAML で宣言的に環境構築 ◼ Virtual BMC (IPMI) ◼ UEFI HTTP Boot kind: Network name: ext-net type: external use-nat: true address: 192.168.1.0/24 --- kind: DataFolder name: data files: - name: sabakan file: sabakan - name: sabactl file: sabactl --- kind: Image name: ubuntu file: ubuntu-18.04-server-cloudimg-amd64.img --- kind: Node name: host1 interfaces: - ext-net cpu: 1 memory: 1G volumes: - kind: image name: root image: ubuntu copy-on-write: true - kind: vvfat name: data folder: data --- …

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データセンターネットワークまるごと仮想化

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宣言的デリバリ

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再掲: Neco のシステム論理構成 3~5台の管理サーバー群 数千台のノードで構成される Kubernetes クラスタ Elasticsearch や MySQL のマネージドサービス テナント テナント テナント … Neco

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管理サーバーの構成 Ubuntu Ubuntu Ubuntu ……… 手作業管理はしんどい! etcd etcd etcd Vault Serf etcdpasswd Sabakan CKE Vault Serf etcdpasswd Sabakan CKE Vault Serf etcdpasswd Sabakan CKE データは etcd クラスタに保存 Made by

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Neco のデリバリー戦略 ▌システムを Kubernetes の上と下で分割する ◼ Kubernetes 上のアプリは Argo CD で宣言的にデリバリー ◼ Kubernetes の下は自作ツールで宣言的にデリバリー ▌システム全体をデリバリー前に試験する ◼ デリバリー前の状態を仮想データセンターで構築、 デリバリー後に壊れないことも試験 ◼ 全電源停止後の動作回復も試験

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Neco as of June 2019 GitHub Argo CD Neco CD Ubuntu 管理サーバー Sabakan CKE 3~5台 管理サーバーを自動更新 CoreOS Coil CoreOS Coil CoreOS Coil CoreOS Coil ネット ブート Kubernetes 自動管理 Argo CD Prometheus MetalLB Calico Contour アプリを 自動管理 Made by push …

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今後の予定

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ストレージ管理 ▌自社製 CSI プラグイン TopoLVM を開発中 ◼ LVM でローカルストレージを PVC で利用可能 ◼ VG 空き容量などを考慮する拡張スケジューラー付き ▌Elasticsearch & MySQL オペレーター ◼ TopoLVM を活用して自動運用する予定 ▌Ceph / Rook ◼ オブジェクトストレージ用に

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テナント管理 ▌2019年7月に本番データセンター構築予定 ▌テナント利用者向けの様々な環境整備 ◼ 各種ポリシー ◼ 利用者向けドキュメント ◼ 利用者向け開発環境 ◼ …

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以上 ご清聴ありがとうございました

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Appendix

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Neco OSS レポジトリ ▌全て github.com 上 ▌cybozu-go/neco 継続的デリバリーツール ▌cybozu-go/neco-ops Argo CD 用 ▌cybozu-go/cke Kubernetes 自動運用ツール ▌cybozu-go/sabakan ネットワークブートサーバー ▌cybozu-go/coil BIRD と組み合わせ可能な CNI プラグイン ▌cybozu-go/topolvm LVM を使う CSI プラグイン ▌cybozu-go/placemat 仮想データセンター構築ツール ▌ cybozu/neco-containers 各種コンテナイメージのビルド