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www.fkske.com 【業界・業種別】副業・兼業トラブルに関する実態調査 調査結果 2025年2月 株式会社フクスケ

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www.fkske.com 調査概要 調査名称 【業界・業種別】副業・兼業トラブルに関する実態調査 調査内容 主要14業界、97業種別の副業・兼業トラブルの発生に関する 統計調査 調査手法 モニター会社を利用したインターネット定量調査「Freeasy」 調査時期 2024年12月27日 ~ 2025年01月09日 調査対象 [居住地]全国、[年齢]全国20歳〜65歳、[性別]男女、 各業界で会社員(正社員),会社員(契約・派遣社員),パート・アルバイトとして勤務される方 回収サンプル数: 業界 サンプル数 農業・林業・漁業・鉱業 1,821 建設業          10,000 製造業          10,000 電気・ガス・水道業2,921 情報通信業      8,374 出版・印刷業 1,485 メディア・マスコミ・広告 1,878 運送・輸送業 10,000 商社・卸売・小売業10,000 不動産業          3,211 調査業・シンクタンク 763 サービス業      10,000 教育業      8,715 医療・福祉    10,000 集計方法:令和2年国勢調査 産業(大分類別)×性別×5歳刻み年代別の雇用者の構成比に合わせてウェイトバック集計 実施主体 株式会社フクスケ 引用について:本調査を引用いただく際は出所を明示してください。 出所の記載例:株式会社フクスケ「【業界・業種別】副業・兼業トラブルに関する実態調査」

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www.fkske.com 目次 概要 調査概要・サマリ・提言 サマリ 調査結果①-②を踏まえたサマリと提言 調査結果① 業界別副業トラブル発生率 調査結果② 業種別副業トラブル発生率 調査結果③ 業界別解説 Appendix

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www.fkske.com 副業・兼業トラブルに関する業界・業種別実態調査 調査結果のサマリと提言

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www.fkske.com 副業トラブル発生率調査の背景 サマリ 近年、政府の推奨のもと、副業・兼業が広く促進しつつあります。副業の利点やメリットについては多くの情報が発信 されている一方で、実際にどのようなリスクやトラブルが発生しているのかについては、十分なデータが揃っておら ず、不透明な状況が続いています。 例えば、自動車の運転には大きな利便性がある一方で、交通事故のリスクが伴います。しかし、事故の発生確率や原因 をデータに基づいて分析し、安全対策が講じられているため、私たちはリスクを理解した上で運転を行っています。で は、副業の場合はどうでしょうか。 今回の調査では、副業を実施している人の 約34%が何らかのトラブルを経験している ことが明らかになりました。こ の数値は、日本における交通事故の発生率よりも高い水準にあります。それにもかかわらず、副業に関するリスクの実 態や適切な対策についての情報は、十分に共有されているとは言えません。 そこで、株式会社フクスケでは 主要14業界・97業種 を対象に、副業・兼業におけるトラブルの実態を調査しました。 本調査では、単に「副業にはリスクがある」と警鐘を鳴らすのではなく、どのようなトラブルが発生しやすいのか、そ の原因や影響の大きさを明確にし、副業者・本業先・副業受入先の三者間においてどのような問題が生じやすいのかを 分析しています。 副業の一般化が進む中で、適切なリスク管理を行い、安全かつ持続可能な副業環境を整えることが求められています。 本調査の結果が、副業を行う個人や企業が適切な判断を下すための指針となり、副業のメリットを最大限に活かしなが ら、安全・安心な働き方を実現する一助となることを願っています。

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www.fkske.com サマリ 全業界における副業トラブル発生率:33.8% 全業界副業経験者 n=12,367 副業・兼業でトラブルを経験した事がある 副業時に発生した問題 過重労働となり体調を崩した 過重労働となり本業に支障をきたした 本業をおろそかにするようになった 本業先の企業名を副業で利用した 本業企業のイメージダウンになるような問題を起こしてし まった 本業の顧客情報を持ち出してしまった 本業の会社資産となるノウハウ情報を持ち出してしまった プログラムコードなど、情報資産を流用してしまった 本業と競合・競業する副業をおこなった 上司や人事など本業社内関係者と関係が悪化した 副業先の情報を本業先に持ち込んでしまった 上記以外でコンプライアンス上の問題が発生した 主要14業界の副業経験者12,367名を対象に調査したところ、33.8%が副業に起因するトラブルを経験していました。

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www.fkske.com サマリ 業界による副業トラブル発生率に最大2倍以上の差 14業界の副業経験者 n=12,367 14業界の副業経験者12,367名を対象に集計した結果、発生率は21%~52%と約2倍近い開きが見られます。農業・林業・漁業・ 鉱業が52%と最も高く、教育業や医療・福祉では21%にとどまりました。業界の特性や副業の種類に応じて大きな差が発生し ています。

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www.fkske.com 最大数値40%に達する業界も存在、各トラブル発生者別の所属業界割合 トラブル発生者ベースでみると、教育業における「過重労働となり体調を崩した」(40%)の突出が目を引きます。 一方、商社・卸売・小売業(27%)や電気・ガス・水道業(25%)、製造業(25%)など複数のセクターでも「過重労 働」が20%を超え、業界を横断するリスクとして捉えられます。 商社・卸売・小売業、出版・印刷業、調査・シンクタンクでは「本業と競合・競業する副業をおこなった」(22%)が目 立ちました。 情報通信業では「本業企業のイメージダウンになるような問題」(20%)、「プログラムコードなど情報資産の流用」 (19%)が高く、電気・ガス・水道業では「本業先の企業名を副業で利用」や「顧客情報の持ち出し」が高いなど、業界 特有のリスクが顕著に表れています。 業界を問わず、重要情報やノウハウの持ち出し、社内関係者との対立などのリスクが散見されるため、労務管理のみにと どまらず、情報資産管理やコンプライアンス・ガバナンスとの連携が必要です。

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www.fkske.com 業界別の副業通知率:教育業・農林水産業が最高、出版・印刷業は半数以上が未通知 14業界の副業経験者 n=12,367 教育業(45%)や農業・林業・漁業・鉱業(43%)が最も高い届出率を示す一方、出版・印刷業では56%が「知らせていない」と 回答し、未通知率の高さが際立ちます。上司や同僚への「非公式な知らせ」も未通知と定義すると、届出率は3割前後の業界が多 く、副業の透明性やコンプライアンス対応には業界間で大きな差があることがうかがえます。なお、全体平均では届出率が32%に とどまり、本業先に公に報告しないまま副業を進めている層が少なくありません。

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www.fkske.com 副業の届出率とトラブル発生率を業界別にクロス集計した結果、農業・林業・漁業・鉱業(43%/52%)、製造業(37%/46%)では 両スコアとも高い結果となり、届け出だけでは十分なトラブル抑制につながらないケースが確認されました。一方、教育業 (45%/21%)や医療・福祉(36%/21%)のように届出率が比較的高くトラブル発生率が一定低い業界もありました。業界ごとの労 働環境や就業形態に基づくリスク要因が異なることから、単に届出制度を整えるだけでなく、本質的なコンプライアンス教育や労務管理 の仕組みづくりが求められる可能性があります。 14業界の副業経験者 n=12,367 届出率【高】×トラブル率【高】 副業の通知率とトラブル発生率の関係性

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www.fkske.com 特定業種のトラブル発生率が突出:業界平均33.8%を大幅に上回り、最大81%の業種も 業界平均のトラブル発生率は33.8%でしたが、業種別に細分化してみると、IT広告(DSP/SSP事業など)では81%と、平均を大きく上回る高率が確認されまし た。また林業、パルプ・紙・紙加工品、旅行なども70%を超えており、同じ業界内でも業種特性によってリスクが高まることが示唆されます。逆に医療・福祉 の一部業種(「その他」や児童福祉など)では10%未満~10%台にとどまり、低率な業種がある点も顕著です。企業規模や労働環境、技術情報の取り扱い方 針など多面的な要因によって生じており、単純な業界分類だけでは見えづらい固有のリスク構造に注目する必要があります 1.IT広告(DSP/SSP事業、アドテク等)(情報通信業)81%/n=34 2.林業(農業・林業・漁業・鉱業)75%/n=60 3.パルプ・紙・紙加工品(製造業)75%/n=55 4.旅行(サービス業)71%/n=58 5.Web/アプリサービス(プラットフォーム運営・SNS等) (情報通信)60%/n=135 6.繊維・衣服(製造業)59%/n=44 7.宿泊(サービス業)59%/n=123 8.漁業(農業・林業・漁業・鉱業)58%/n=47 9.不動産開発(不動産業)57%/n=124 10.解体工事業(建設業)52%/n=45 トラブル発生率が高い業種10種 トラブル発生率が低い業種10種 1.医療・福祉 その他(医療・福祉)8%/n=155 2.児童福祉(医療・福祉)9%/n=48 3.教育業の内、大学研究員以外・その他(教育業) 11%/n=294 4.特別支援教育(教育業)14%/n=50 5.サービス業 その他(サービス業)15%/n=491 6.運送・輸送業 その他(運送・輸送業)16%/n=132 7.情報通信業 その他(情報通信業)16%/n=101 8.新聞社(メディア・マスコミ・広告) 16%/n=31 9.塾・予備校(教育業)17%/n=232 10.建設業 その他(建設業)17%/n=208

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www.fkske.com ※N数30未満は参考値として計算 14業界の副業経験者 n=12,367 97業種別副業トラブル発生率

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www.fkske.com 業界・業種別のトラブル別発生ランキング 本調査では、副業に関連するトラブルを 「過重労働」「情報漏洩」「競業行為」「コンプライアンス違反」 などの具体的な ケースごとに業種別ランキングを作成しました。

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www.fkske.com 【副業起因による過重労働による体調不良リスクが最も高い業種トップ10】 順位 業界 業種 1 教育業 社会人教育・研修 2 教育業 学校運営 3 教育業 公教育支援 4 製造業 自動車・バイク関連 5 建設業 解体工事業 6 製造業 飛行機・船舶等輸送機器 7 商社・卸売・小売業 その他 8 製造業 機械 9 農業・林業・漁業・鉱業 林業 10 サービス業 旅行 本ランキングでは、副業による過重労働が原因で体調を崩すリスクが最も高い業種 を示しています。教育 業、製造業、建設業が特に上位を占め、肉体労働やシフト制勤務が多い業界 に集中しており、副業が本業の 負担を増大させて体調を崩すリスクを高める可能性があります。

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www.fkske.com 順位 業界 業種 1 製造業 家具 2 電気・ガス・水道業 その他 3 電気・ガス・水道業 電気 4 運送・輸送業 水運 5 建設業 総合工事業(ゼネコン) 6 製造業 その他 7 製造業 機械 8 製造業 鉄・非鉄金属 9 製造業 繊維・衣服 10 情報通信業 IT広告(DSP/SSP事業、アドテク等) 【本業先の企業名を副業で利用するトラブルが最も多い業種トップ10】 本業の企業名を副業で利用される機会が多くトラブルになりやすい業種は、ブランド価値や企業の信用が重要 な業界に集中 していることが分かります。特に 製造業、インフラ業、建設業、運送業、IT業界 では、企業名 の使用ルールを明確化されていない場合、問題となるケースが想定されます。

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www.fkske.com 順位 業界 業種 1 製造業 家具 2 情報通信業 デジタルコンテンツ 3 製造業 鉄・非鉄金属 4 情報通信業 IT広告(DSP/SSP事業、アドテク等) 5 情報通信業 Web/アプリサービス(プラットフォーム運営、 コンテンツ配信、SNS) 6 農業・林業・漁業・鉱業 林業 7 建設業 総合工事業(ゼネコン) 8 農業・林業・漁業・鉱業 漁業 9 製造業 パルプ・紙・紙加工品 10 不動産業 不動産開発 【副業起因で本業企業のイメージダウンに繋がるトラブルが多い業種トップ10】 企業ブランドの無許可利用や信用を利用した副業行為が問題になりやすい業種として特に 製造業、情報通信 業、建設業、農林水産業、不動産業が上位に入っています。副業に関するルールを明確化し、企業の評判を 守るための対策が求められます。

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www.fkske.com 順位 業界 業種 1 製造業 飛行機・船舶等輸送機器 2 出版・印刷業 新聞 3 教育業の内、大学研究員以外 公教育支援 4 情報通信業 デジタルコンテンツ 5 医療・福祉 保険衛生 6 製造業 印刷 7 情報通信業 Web/アプリサービス(プラットフォーム運営、 コンテンツ配信、SNS) 8 調査業・シンクタンク 市場調査 9 建設業 総合工事業(ゼネコン) 10 製造業 パルプ・紙・紙加工品 【副業起因で本業の社内関係者と関係が悪化するリスクが高い業種トップ10】 本業の社内関係者と関係が悪化するリスクが高い業種では、チームワークや納期管理が重要な業界が多い こ とが分かります。特に 製造業、出版・印刷業、教育業、情報通信業、医療・福祉、調査業・シンクタンク、 建設業 では、副業が本業のスケジュールや職場環境に影響を与えないような対策が求められます。

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www.fkske.com 引用について:本調査を引用いただく際は出所を明示してください。 出所の記載例:株式会社フクスケ「副業・兼業トラブルに関する業界・業種別実態調査」 問い合わせ先:株式会社フクスケ 広報担当 [email protected]