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令和6年3月24日(日) D会場 D-1 令和5年度 日本理科教育学会 オンライン全国大会 愛知教育大学附属名古屋中学校 教諭 奈良 大 [email protected] 生徒が科学的な知識体系への コミットメントを形成する理科授業

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理科授業における主体性 行為・具体操作 科学理論への自信 科学的な探究 観察・実験 心的・認知的 科学理論への自信 科学的な探究 心的・認知的 研究のねらい 主体性の発揮について

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主体性の発揮について 科学の文脈に沿った科学的に探究する活動 観察・実験に先行する理論(仮説)が存在する状況 ◇ 心的・認知的な意味での主体性の発揮 ◇ 科学の文脈に沿うとは 研究のねらい

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深い学びについて 研究のねらい コミットメント (理論を使うことへの自信) 言語で説明できる 理解 星の動きを「天動説」 「地動説」でも説明できる 認知面 情意面 コミットメント (理論を使うことへの自信) 情意面 科学的な知識体系の有用性や 調和性を実感することで形成 「地動説」のほうが有用性があり 便利に感じられるので使いたい!

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深い学びについて 研究のねらい ◇ 科学理論へのコミットメントが高くなると 理論に対する自信があるため、 積極的に科学理論を使って科学的な思考をする 深い学び コミットメントの形成 生徒が科学的な知識体系への コミットメントを形成する理科授業

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研究のねらい ◇ 目指す生徒像 科学知識をひとまとまりの有意味な知識の体系として捉え、 コミットメントを形成することができる生徒 ◇ 育みたい資質・能力 科学の文脈における問題や課題を 科学的に思考して解決する力 研究の概要

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研究の内容 研究の手立て 手立て1 「中核となる知識」を柱とした単元構成 手立て2 科学の文脈における学びづくり 通 読 中 核 と な る 知 識 の 設 定 精読 発 展 的 な 課 題 味 読 問 題 の 発 見 問 題 の 解 決 科学概念や科学理論を基に観察や実験 問 題 の 発 見 問 題 の 解 決 ・・・・・・・

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研究の内容 手立て1 「中核となる知識」を柱とした単元構成 中核となる知識 単元構成を行う上で、特に重要となる科学知識 「中核となる知識」を中心とした 科学的な知識体系を形成 科学的な知識体系へのコミットメントの形成 結果をうまく 説明できる 便利で 有用性がある

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研究の内容 手立て2 科学の文脈における学びづくり 学習が科学の文脈において行われ、 観察・実験に先行して科学概念や科学理論が存在する 状況をつくる 通読・精読・味読の三回の読みによるテクスト解釈の指導法 「三読法」

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通読 精読 味読 単元もしくは小単元の全体を通して、 学習内容を概観しておおよそ把握する場面 問題を発見し、観察や実験を通して問題を解決していく場面 「精読」で解決された個々の問題と、その結果読み解いた部分の 文を元の文脈に戻して意味を再構成させる場面 研究の内容 手立て2 科学の文脈における学びづくり 「三読法」

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◇ 学級全体の活動の様子、学習プリント 科学的な知識体系を基にした発言や記述 ◇ コンセプトマップ 「中核となる知識」を中心とした科学的な知識体系の形成 研究の内容 研究の評価 ◇ 通読・精読プリント 「中核となる知識」へのコミットメントの数値とその理由 認知面 情意面 研究全体 ◇ 授業アンケート 手立ての有効性 「中核となる知識」へのコミットメントができた理由

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授業実践の内容 ◇ 実践単元 2年「電流と磁界」(10時間完了) ◇ 実践時期 令和4年12月~令和5年2月 ◇ 実践対象 愛知教育大学附属名古屋中学校 2年A組 36名

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授業実践の内容 第1時 通読・「中核となる知識」の設定 通読

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授業実践の内容 第1時 通読・「中核となる知識」の設定 通読 通読・精読プリントの記述 タイトルを写すのではなく、 自分で要約して記述する

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授業実践の内容 第1時 通読・「中核となる知識」の設定 通読 「中核となる知識」の設定の流れ この単元で重要だと考えられる語句は何だろうか。 「電流」「磁界」 電流はどこに流れていたり、磁界はどこに生じていたりする のだろうか。 「導線」「コイル」

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授業実践の内容 第1時 通読・「中核となる知識」の設定 通読 「中核となる知識」の設定の流れ ◇ コイルは導線を何回も巻き付けてできている ◇ コイルに流れる電流やコイルのまわりの磁界、 電流と磁界の関係を学習する 「中核となる知識」

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授業実践の内容 第1時 通読・「中核となる知識」の設定後 通読 「中核となる知識」へのコミットメントとその理由 「中核となる知識」

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授業実践の内容 第2時~第7時 精読 精読 仮説演繹的に観察・実験を行う もし(理論)ならば、(方法)すると、(結果の予測)だろう。 仮説の定型文 仮説 = 理論 + 方法 + 結果の予測 検証したいこと 検証方法 検証方法の予想

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授業実践の内容 第2時~第7時 精読 精読 仮説演繹的に観察・実験を行う もし 永久磁石や電磁石のまわりに磁界がある ならば、 まわりに鉄線を置いたり、方位磁針を置いたり すると、 模様ができたり、方位磁針の針が動いたりする だろう。 【第2時 永久磁石や電磁石のまわりの磁界について】 もし 電流を流したコイルのまわりに磁界ができる ならば、 コイルに電流を流す と、 方位磁針の針が動く だろう。 【第3時 コイルのまわりの磁界について】

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「中核となる知識」 授業実践の内容 第2時~第3時 精読後 精読 仮説演繹的に観察・実験を行う

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授業実践の内容 第4時~第7時 精読 精読 仮説演繹的に観察・実験を行う もし 磁界の中でコイルに電流を流すと、コイルが力を受ける ならば、 コイルに電流を流す と、 コイルが動く だろう。 【第4時~第5時 電流、磁界、力の関係について】 もし 磁界を変化させると、コイルに電圧が生じる ならば、 磁石とコイルを使って誘導電流を発生させる と、 検流計の針が振れる だろう。 【第6時 ファラデーの電磁誘導について】

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授業実践の内容 第4時~第7時 精読 精読 仮説演繹的に観察・実験を行う もし 直流は電流の流れる向きが一定で変わらなく、 交流は電流の向きが周期的に変わる ならば、 色の異なる2個の発光ダイオードを逆向きにつないだ器具で 左右に振ったときとオシロスコープを使って調べる と、 直流では、発光ダイオードは直線に見え、オシロスコープの 波形は直線になり、 交流では、発光ダイオードが点滅して見え、オシロスコープの 波形は波線になる だろう。 【第7時 直流、交流について】

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「中核となる知識」 授業実践の内容 第4時~第7時 精読後 精読 仮説演繹的に観察・実験を行う

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授業実践の内容 第8時 発展的な課題① 発展的な課題 科学的な知識体系へのさらなるコミットメントの形成 ネオジム磁石をつけた振り子をコイルの上に近付けると検流計の針は振れるだろうか。 「磁界」 「誘導電流」 ア.検流計の針は 振れない イ.検流計の針は 振れる

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「中核となる知識」 授業実践の内容 第8時 発展的な課題①後 発展的な課題 科学的な知識体系へのさらなるコミットメントの形成

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授業実践の内容 第9時 発展的な課題② 発展的な課題 科学的な知識体系へのさらなるコミットメントの形成 電源装置につないで交流を流しているコイルAの上に、コイルBを近付けると コイルBに電流は流れるだろうか。 「磁界」 「電磁誘導」 ア.電流は常に流れる イ.電流は一瞬だけ流れる ウ.電流は流れない

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「中核となる知識」 授業実践の内容 第9時 発展的な課題②後 発展的な課題 科学的な知識体系へのさらなるコミットメントの形成

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授業実践の内容 学級全体の「中核となる知識」への自信度の数値の変容

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授業実践の内容 第10時 味読とコンセプトマップの作成 味読 単元末の問題解決

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授業実践の内容 ある生徒の単元始めと単元末のコンセプトマップの変容

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授業実践の内容 ある生徒の単元始めと単元末のコンセプトマップの変容

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● もともと分かっていた知識を使って発展的な課題を解くのは、 自信度に対する変化をあまり感じられなかったから ● 自分には理解するのが難しかったから。 ○ 様々な場面や他の場面、応用的な場面、複雑な場面においても 「中核となる知識」が当てはまることが分かったから。 ○ 「中核となる知識」の後半部分である「磁界が変化すると電流 が流れる」は教科書の通読だけでは理解しにくい、信頼しにくい ところがあったため、発展的な課題は有効だったと思うから。 ○ 発展的な課題で『中核となる知識』の状況にかなり近い実験を して意味が分かったため、自信度が上がり、有効であったと思う から。 肯定的な回答をした生徒(34名)とその主な記述 否定的な回答をした生徒(2名)とその記述 授業実践の内容 単元末アンケートの結果 発展的な課題は、『中核となる知識』に対する自信度を高めることに有効でしたか。

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研究のまとめ ● 発展的な課題後、自信度の数値が50%以上80%未満の生徒が 2人(そのうち、自信度の数値が下がった生徒が1人)見られた。 精読の場面において、観察・実験前の仮説を立てる際に、 「中核となる知識」を繰り返し使って思考させる必要がある。 ○ 発展的な課題後に自信度の数値が上がった生徒は35人であった。 ○ コンセプトマップの内容から「中核となる知識」を中心とした 科学的な知識体系へのコミットメントが形成できた。 ○ 発展的な課題が「中核となる知識」を中心とした科学的な知識 体系の有用性を実感できるような課題として適切に機能しており、 さらなるコミットメントを形成するのに有効であった。 成果 課題

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参考文献 ○ 遠西昭寿・福田恒康・佐野嘉昭「観察・実験に対する理論の優先性と解釈学的循環」 『理科教育学研究』第59巻、第1号、2018年、79–86ページ ○ ヘッド、J.O.・サットン、C.R.(野上智行訳)「言語・理解・コミットメント」 『認知構造と概念転換』(ウエスト・パインズ編著、進藤公夫監訳)東洋館出版社、 1994年、116-128ページ ○ 遠西昭寿・福田恒康・佐野嘉昭「ホーリズムに基づく理科授業デザインの理論と方法 の提案」『理科教育学研究』第57巻、第4号、2017年、351-358ページ ○ 佐野嘉昭・福田恒康・遠西昭寿「光合成と呼吸:理解のための知識の枠組み」 『理科教育学研究』第59巻、第3号、2019年、393-400ページ ○ 遠西昭寿・久保田英慈「臨床研究ツールとしての運勢ライン法」 『日本科学教育学会研究会』報告、第18巻、第5号、2004年、37-42ページ ○ 福田恒康・遠西昭寿「概念転換のパターンと構造―社会的相互過程として見る概念転 換―」『理科教育学研究』第57巻、第1号、2016年、45–52ページ ○ 塚本正明『現代の解釈学的哲学』世界思想社、1995年 ○ 石山修平『教育的解釈学/国語教育論』国語教育 名著選集、明治図書、1991年

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令和6年3月24日(日) D会場 D-1 令和5年度 日本理科教育学会 オンライン全国大会 愛知教育大学附属名古屋中学校 教諭 奈良 大 [email protected] 生徒が科学的な知識体系への コミットメントを形成する理科授業