Slide 1

Slide 1 text

ビッグデータの哲学
 ビッグデータとの付き合い方


Slide 2

Slide 2 text

目的と流れ
 データサイエンスとビッグデータを哲学的に見るということ、
 そしてその利点を知り、日頃の業務に生かすこと
 
 哲学⊃科学哲学⊃ビッグデータ哲学という集合関係なので、
 この順番で話します
 


Slide 3

Slide 3 text

哲学


Slide 4

Slide 4 text

哲学とは
 死とはなにか…
 僕たちは何のためにうまれて
 なんのために生きるのか?
 わからないまま終わるそんなのは嫌だ! 
 
 
 人や世界の謎を
 解明すること


Slide 5

Slide 5 text

ざっくり哲学の歴史
 (哲学者の皆さんはぜひ哲学者らしく広い心で聞いて下さい) 
 古代
 人間と自然を対象
 その解明を仕事としていた
 つまりわからないこと全部
 今は科学とよんでいる領域 もすべて哲学の担当
 
 
 中世
 科学が分離
 自然を対象とした問題のう ち、解明の方法にこれまで の哲学とは異なる手法が使 われる(実験的に定量的に 証明するなど)問題の種類 が現れ始める=科学
 哲学と分離していく
 近世から現代
 人間と科学哲学
 人間を対象にした問題と、 科学となったものの範囲で も依然として哲学的手法で 考察されるべき問題(科学 哲学)が、哲学には残され た


Slide 6

Slide 6 text

科学の哲学とは
 「科学の対象や手法」を対象とし、
 明晰化・抽象化して体系立てたり、
 倫理的な問題を研究する
 (主に存在論・認識論・倫理学) 
 
 これにより実践の現場に何らかの
 利益をもたらす
 
 哲学の定義
 〜 ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタインの場合〜
 哲学の目的は思考の論理的明晰化である。
 哲学は学説ではなく、活動である。
 哲学の仕事の本質は解明することにある。
 哲学の成果は「哲学的命題」ではない。諸命題の明確化 である。
 思考は、そのままではいわば不透明でぼやけている。哲 学はそれを明晰にし、限界をはっきりさせねばならない。
 『論理哲学論考』、野矢茂樹訳、岩波文庫、2003年、51頁より 
 


Slide 7

Slide 7 text

ドゥーユーアンダスタン?


Slide 8

Slide 8 text

でも、僕らがいつもやっていることだって哲学だ
 体系化
 モデル、データの分類
 年齢は比例尺度で、性別 は名義尺度で…
 クラスタリングには、階層型 と非階層型があって…
 ”良さ”とはなにか
 評価尺度
 スパムを判定する機械学習 モデルの”良さ”は、再現率 だけでみるべきではない
 モデルの”良さ”は、解く問 題によって異なる
 真正性(正しさ)
 定性的真値
 このレコメンドは本当に顧客 にとって欲しいもの(正しい もの)を推薦してあげられて いるだろうか
 →こういったことを抽象・明晰化する(=哲学)と、発想がより柔軟になる 


Slide 9

Slide 9 text

ビッグデータ哲学


Slide 10

Slide 10 text

ビッグデータとは
 
 ビッグな情報、あるいは、情報がビッグ
 ・情報とは
 “最も一般的には、情報の現代的な定量化の定式化とは、
 あらゆる媒体に保存、送信、受信、操作されたデータ、コード、テキストの
 量のことである”
 ・ビッグデータとは
 量(Volume)速さ(Velocity)種類(Variety)正確さ(Veracity)価値(Value) 
 


Slide 11

Slide 11 text

ビッグデータ哲学とは
 科学哲学である情報哲学の一分野
 ・ビッグデータはどういうものか(存在論)
 ・ビッグデータをどう扱うか、どう役立つのか、真実なのか(認識論)
 ・ビッグデータは我々や社会にどういう影響を及ぼすか(倫理学)
 といった側面がメインであり、こういった観点から考察する
 
 研究分野としては新しく、哲学としてまとめた文献はあまりない
 


Slide 12

Slide 12 text

今回は、ビッグデータ哲学の
 トピックのうちのひとつを取り上げる
 
 〜私達とビッグデータの相互理解性〜


Slide 13

Slide 13 text

私達と
 ビッグデータ
 私達はデータを前に
 無力感を感じることがある
 しかしそれはお互い様
 お互いに容易に認識できない
 お互いがお互いを直観できていない
 共通の表現・認知を持っていないため
 
 ぱっと見で三ヶ月後に故障しそうなトラクターのセンサーデー タだってわかる人がいたりしたらごめんなさい 


Slide 14

Slide 14 text

宇宙人と交信するみたいなもの
 人間 ビッグデータ ぼくはたこじゃなくて宇宙人だよ おいしいよ ?

Slide 15

Slide 15 text

歩み寄りが必要
 相手の認識できる表現に拡張する
 相手の認識手法を取り込む、など
 相手が慣れ親しんだ形に変形することにより 
 直感的な理解が可能になる 


Slide 16

Slide 16 text

具体例


Slide 17

Slide 17 text

人・データに何らかの工夫をする
 説明可能なAI
 例)RISE
 画像認識において、AIが重 要視しているところを可視 化
 ”可視化”はもう古い?
 例)Immersive Analytics
 VRやARを使い、データを 三次元で見たり、触れられ るようにする
 NNに認識論を
 例)Relational Neural Networks 
 現在のニューラルネットワー クは、インスタンスの集合と いう”経験”でしか物事を捉 えられない
 そこで、人間の認知の特徴 である”概念”を持ち込む


Slide 18

Slide 18 text

哲学の問題は、意識していなくても潜んでいる
 これらの問題は、哲学の問題として意識して取り組まれているわけではない
 しかし、たしかにそこには、共通の問題意識が存在する=必要なのはたしか
 
 したがって、このように哲学の視点で問題を捉えると、
 相互の情報交換や演繹的推論により、
 個別の問題解決の一助となったり、新しい問題の発見が可能かもしれない
 
 哲学と実践(抽象と具象)を意識することは有益なので、あなたもレッツ哲学!


Slide 19

Slide 19 text

参考文献
 Melanie Swan(2015), Philosophy of Big Data Expanding the Human-Data Relation with Big Data Science Services 
 J. Lanier(2014), The Myth of AI, EDGE 
 http://edge.org/conversation/themyth-of-ai. 
 Vitali Petsiuk, Abir Das, Kate Saenko(2018), RISE: Randomized Input Sampling for Explanation of Black-box Models 
 伊藤貴之, “まだ可視化なんて言ってるの?~人間中心型のデータ探索技術の潮流に向けて ~” 
 http://www.comm.tcu.ac.jp/miyachilab/vis_ws/invited/itoh_sensei.pdf
 Spherical Layout and Rendering Methods for Immersive Graph Visualization 
 https://www.youtube.com/watch?v=I7gdrPOo-18 
 Federico Castellano, “What can Philosophy teach Machine Learning?” 
 https://towardsdatascience.com/what-can-philosophy-teach-machine-learning-4ff091d43de6 
 Battaglia P. et al. (2018), “Relational Inductive Biases, Deep Learning, and Graph Networks”.