Slide 1

Slide 1 text

深センにしかないものと、日本にしかないもの を組み合わせて、世界の問題を解いていく TAKASU Masakazu/高須正和 スイッチサイエンス国際事業開発 深圳大公坊創客基地 開源社KaiYuenShe Nico-Tech Shenzhen

Slide 2

Slide 2 text

Disclaimer:内容について注意 僕は常にチームやコミュニティで動いています。 コアスキルは「うまく協力関係を築くこと」です 今回は「僕と深圳」が主体の講演なので、 むりやり主語を僕にしていますが、実際は 多くのパートナー、同僚、協力者による成果です

Slide 3

Slide 3 text

高須正和 事業&研究&Community 深圳ほか世界各地のpartnerを開拓し、 IoT開発ツールを輸出入・共同開発、投資,企業間提携などを行う。 深圳大公坊国家级創客基地(iMakerBase),深圳MakerNet 国際事業開発 事業:日本Switch Science, Global Business Development 研究:早稲田大学Research Innovation Centre招聘研究員 ニコ技深圳コミュニティ 共同創業者 中国最大のOpen Source Alliance「開源社」 唯一の国際(非中国語ネイティブ)メンバー 美国MIT Media Lab Shenzhen 2019 Menter ガレージスミダ研究所 主任研究員 著書5冊「プロトタイプシティ」「ハードウェアハッカー」(翻訳)など Community:开源社、Nico-Tech Shenzhen

Slide 4

Slide 4 text

日本、深圳、世界を考える上で 1.中国現法はマーケティングができない(note:藤田侑希) https://note.com/fjtyk95/n/ne62d080d9284 -現在の中国に合わせた仕事ができず、苦しむ製造業日系法人の話(フィクション) -意思決定者に行くほど情報が少なくなる -どのポジションの人もリスクを取らず、ジリ貧になる 2.発展の可能性があるベトナムと停滞する日本 (アルコムワールド,山形浩生) https://cruel.org/alc/alc201103.html -成長する国での仕事は楽しい、とベトナムの日本人が2011年に語る文章 3.サイボーグとSino:bit(米Make: Naomi Wu著,高須訳) https://medium.com/ecosystembymakers/sexycyborg-bd590ad505c4 -深圳の24歳女性クリエイターが語る深圳 -常に手を動かし、発表しながら、社会を巻き込んで考える(多くの会社にはそれができていない) 4.バニーから日本の読者へ(ハードウェアハッカー、バニー・ファン著、高須訳,山形浩生監訳) https://gihyo.jp/book/2018/978-4-297-10106-0/content/message -米MITメディアラボの深圳プロジェクト責任者が語る、「いろいろな人と働くリスク」 -高須は2019年に同プロジェクトにメンターとして参加、このバニー・ファンには様々な影響を受けている 今日の講演で伝えたいのは、 「リスクの取り方」と「それによる成長が、人生と仕事を豊かにしてくれる」ということ

Slide 5

Slide 5 text

仕事の一例: オープンソースを背景に 世界に出ていく 深圳のスタートアップM5Stack

Slide 6

Slide 6 text

クローズアップ現代 「ものづくりxAI」特集 2021年10月20日放送 これらの開発ボードは 深圳M5Stack社(社員50名,日本発売開始2018年)の製品 弊社スイッチサイエンスは日本での販売責任代理店 ソリューションを販売しているのが日本の高専発startup

Slide 7

Slide 7 text

NTT研究所のIbuki 山口大の 密回避システム NHK研の 触覚デバイス 全日本学生児童発明くふう 展で特許庁長官賞(11歳) 企業の研究所から小学生の発明まで、 2018年の発売開始からわずか3年で、 深圳M5Stackは多くの発明家に使われている

Slide 8

Slide 8 text

開発ボードという製品 マイコンチップ、無線機能、I/O端子などをひとまとめにしたもの 用途や価格に応じて多様なボードが存在する 利用者はソリューションを開発するエンジニア、IoTシステム開発を学ぶ学生など 代表的な開発ボード RaspberryPi(英国)などを使って開発 ・適合するセンサを選ぶ ・センサーを処理するソフトをつくる ・動作確認の画面をつける ・ケースを3Dプリンタなどでつくる M5Stack シリーズを 使って開発 完成までまだまだ、 本質(ドアセンサー) 以外の時間がかかる.. 完成。 アイデアの検証が できる! (Proof of Concept) M5Stackシリーズは 「アイデア→実際に作ってみて試す」までの時間を最小化する 例:入退室を記録するシステムを開発する

Slide 9

Slide 9 text

M5Stack(2018年日本発売開始) ・社長ジミー・ライは、もと中国南方電網のエンジニア ・しょっちゅうスマートメーターを開発している間に、 「多くのメーターに共通する機能を製品にしよう」と思 いついて起業 ・社長室に専用の部品ボックスと作業台を起き、プロト タイプを自分で作る。いつも身の回りには試作品が転 がっている ・Arduino IDEが利用可能で、IoT開発に必要なwifi/BTをあらかじめ備えたESP32シリーズの CPUを採用した開発ボード。日本でもArduinoを置き換える勢いで普及が進んでいる ・画面、バッテリ、ボタン、Grove,GPIOなどを備え、安価(1500-5000円程度) ・毎週1つ以上の新ハードウェア/センサー類を発表し、拡張性が高い オープンソースハードウェア(部品リスト,ピン番号などの 開発に必要な情報があらかじめ公開されているハードウェア) 買ってくれば使える。ソリューションを開発する上でM5Stack社の取引開始稟 議書、審査や許可が要らない。必要な情報はオンラインで公開されている

Slide 10

Slide 10 text

M5Stack成功の原因 ■何よりも、安心して使えるオープンなハードウェアであること -ソリューションを開発する上でM5Stack社の取引開始稟議書、審査や許可が要らない -必要な情報はオンラインで公開されている ■現役エンジニアならではの優れた製品企画 -プロトタイプ開発を圧倒的に早くするオールインワン(バッテリ,LCD,ボタン,無線) ■深圳ならではの開発・製造力 -プロトタイプから工場のDXまで、様々な用途に対応するセンサー、周辺機器 -1000個単位のフレキシブルな自社製造ラインと、深圳で設計開発することによる サプライチェーンが可能にする超高速な製品開発(毎週1つ以上新製品発売) ■それらが組み合わさった魅力的な製品と、ユーザーの支持やフィードバックが生んだ コミュニティ M5Stackユーザのコミュニティは、日本のユーザが中心になって作り上げた

Slide 11

Slide 11 text

僕の仕事: M5Stackと 弊社スイッチサイエンスの関係

Slide 12

Slide 12 text

M5Stackとスイッチサイエンス,日本ユーザの関係 日本での総代理店 M5Stackシリーズの販売は今も日本が最大 日本30%,US25%,中国20%,ほか5% 「先進的な開発ツール」について、日本は今も大きな市場 (中国やアメリカのエンジニアは、一度流行ってからじゃないと買わない) 2018年メイカーフェア東京で スイッチサイエンスと共同出展するM5 (弊社はM5Stackに資本参加しています) 同社のパートナーには 弊社スイッチサイエンスの他にも SORACOM,Softbank等日本企業が並ぶ

Slide 13

Slide 13 text

成功のカギは「コミュニティ」 モノが良いことだけでなく、安いこと、どこでもちゃんと買えること、情報が多いことは、モノと同 じぐらい大事。アイデアだけも製造だけでも社会は変わらない 3年間で17冊の関連本 200名以上が集まるユーザ会 各大学・電子工作ショップで買える

Slide 14

Slide 14 text

弊社/僕がとった投資とリスク ■時間や工数の投資/リスク -世界でも無名な、オール中国製の製品に注目し、マーケティングをした -日本でのユーザコミュニティ活動支援 -全製品での日本での法規対応等コンサルティング(日本法規NGなものは入れない、日本 で売れそうなものは共同リリース等) -マレーシア、タイ、シンガポール,US,UK等の提携先ネットワークをシェア ■事業面での投資/リスク -日本での総代理店(卸売とカスタマーサポート含む) -ごく少額の投資(M5Stackは創業資金を米有名VCであるSOSventures/HAXから入れてい るので、後から弊社みたいな小企業が入るときにいろいろ説明する必要があって面倒だっ た) ■財務面での投資/リスク -中国からの仕入れ時は前払い、日本の販売時は請求書払対応 スタートアップ協業/投資との醍醐味「一緒にプロダクトを大きくするチーム」

Slide 15

Slide 15 text

弊社/僕が得たメリット ■時間や工数のメリット -多くの中国企業(中国以外の企業も含む)から、協業検討の依頼が届く ■事業面でのメリット 深圳のイケイケのスタートアップに成長した M5 から頼りにされる 後述する 関連する企業からビジネスが広がっていく ■財務/収益でのメリット -販売開始後、世界でも日本市場でも年間100%規模で成長する製品 「成功した会社と付き合いたい」と、多くの人が勘違いしている。 成功した会社には、あらゆる会社が(アリババもappleもamazonも)群がる。 スモールプレーヤーは、「小さいものを大きくするチーム」となるべき 一緒に大きくした経験は、簡単には代替できないし、そこから別の可能性 が開ける

Slide 16

Slide 16 text

M5Stack成功の秘訣は、オープンソースにより、 異なるエコシステムをつないだこと 1.天时:高端科技+科技大众化 天の時:ハイテクノロジーが大衆化し、誰でも手が届くように 云计算,IoT,ROS, 人工智能… 2.地利:深圳要进步从便宜山寨到高科技国际产品 地の利:深圳が安価なコピー品製造から国際的な製品の街へ 供应链,生产生态园,投资情况,VC,创业情况… 3.人和:内部外部开源硬件生态园 人の和:オープンソースにより、異なるエコシステムをつないだ Arduino和ESP生态园,ROS生态园,IoT生态园…

Slide 17

Slide 17 text

深圳スピードで 広がっていくビジネス 変わる「Made in China 」

Slide 18

Slide 18 text

オープンソースであることで、 1つの製品が別の製品を生み出す M5Stackシリーズを制御用マイコンに使用している ROS対応ロボットアーム「myCobot」シリーズは 産業用ロボを開発する深圳Elephant Roboticsの協働ロボ 制御用マイコンにm5Stackシリーズを2つ(底部とグリッパー制 御)に使用

Slide 19

Slide 19 text

可能性のある製品を、技術コミュティと共に 広める 日経エレクトロニクスの記事、 日本VR学会の基調講演など 日本のユーザ@necobotが面 白いプロジェクトを作る (ロボットアームで猫じゃらし) 日本のTV(テレ朝)で取り上げ られる 中国のiFlytek提供テレビ番組で myCobotが紹介され、活用事例は日本 のプロジェクトばかり 日本のユーザも中国の開発元も大喜び

Slide 20

Slide 20 text

c 日本の発明家は、技術でもアイデアでも世界一 M5Stackを利用して、 スマートメーターじゃなくて 「かわいいロボット」を作った ししかわ @meganetaan さん 2021.8.12公開 オープンソース スイッチサイエンス/M5Stack 主催コンテスト受賞 アメリカHackaday.ioで金賞 2021.9.4 ドイツ国営Tvの 国際放送(スペイン語版, アラビア語版など) で紹介 2021.11.12 c 他のユーザも続々と派生プロジェクトを ついに公式も開発開始

Slide 21

Slide 21 text

Minipupper スタンフォード大学のオープンソースロボPupperを 小型化したROS学習四足歩行ロボット OAK-D Lite(Open CVカメラ)による オブジェクトトラッキングと連携した 姿勢制御(犬が拳を見つめ続ける) 著名な研究者で、今はMicrosoft深圳 勤務のハードウェア研究者 福本雅明さん しょっちゅう情報交換し ていて、M5Stack+Microsoft提携のきっ かけにもなった このOAK-DはアメリカのAI/画像認識 の有名なソリューション。提携中。

Slide 22

Slide 22 text

Minipupper,myCobotなどに搭載されているFeetechのサーボ 安価で高性能、スタートアップ向けカスタマイズ 3740円(税込) フィードバック ポテンショメータ有 40kg/cmトルク 24Vサーボ 左は85kg,右は120kgト ルク

Slide 23

Slide 23 text

Minipupper,myCobotなどに搭載されているFeetechのサーボ 安価で高性能、スタートアップ向けカスタマイズ 深圳のサーボ企業 数百個単位からカスタムサーボ作ってくれる ロット小(ソフトや付属品) -MCU内のファーム変更 (速度とトルク、アラートなど のバランス) -色、ケーブル長さなどの変更 ロット中(金型変更を伴わない) -サーボ内ギア変更 -軸の長さ変更 ロット大 -軸の場所やコネクタの変更

Slide 24

Slide 24 text

No content

Slide 25

Slide 25 text

まとめその1. 技術/社会/産業の方面から 「オープンソースとサイエンス」

Slide 26

Slide 26 text

コンピュータ以前と以後の製品は違う カメラの写真:カメラ修理屋日記 CAMERA DAYS https://kawazudorepair.ti-da.net/c376563.html カセットレコーダーの写真:檜垣万理子さん提供 カメラ カセットレコーダ コンピュータ以前の製品は ニュートン力学、ユークリッド幾何学の世界、製品ごとに別々の内部構造 たとえばカメラとカセットレコーダーと電話機は別々のチームと会社とノウハウで 作られる。

Slide 27

Slide 27 text

コンピュータ以後の製品 すべてはコンピュータ+入力+出力 入力がコントローラで出力がテレビ画面だとゲーム機 入力がキーボードで出力がモニタだとノートパソコン 入力が大きなセンサーで出力がSDカードだとデジタルカメラ 入力がマイクで出力が携帯電話網だと携帯電話、出力がモーターだとロボット コンピュータ以前は全然別の製品、 コンピュータ以後はほぼ同じ製品 すべてにムーアの法則が適用される。高い機械でも数年で買い換えられる。 10年前のスパコンを使う人はいない。10年間同じ使い方をされる機械もない。

Slide 28

Slide 28 text

インターネット時代のハードウェアの重要性 インターネット クラウド (情報) 物理的な社会、モノ、人間、工場 IoT, カメラ、センサー IoT, ロボット コンピュータ(クラウド)の力が、現実社会を動かすようになった。 センサーとロボットは、どちらも現実世界とコンピュータを繋げるもの ほとんどの産業がこの周りで起こる

Slide 29

Slide 29 text

Source:[Guerilla Production Tactics] by ‘bunnie’ Huang 1社がすべての技術開発をし、 下請けに大量生産させる時代から どの製品も複数の発明・製造を 統合して製品にする時代へ 現代は「下請け」という概念がなくなった世界 半導体製造のTSMCやバッテリのBYDを「下請け」と呼ぶ人はいない 川上・川下といった概念から、それぞれ強みのある会社のopenな協業へ かつての深圳と 21世紀の深圳 深圳には小規模でも独自性のある製品をつくりあげるstartupが多く 存在する

Slide 30

Slide 30 text

成功へのカギである、Businessとしての オープンソースの利点 1.信頼性確保 検証可能性、透明性、保守容易性 2. flexibility 他社製品の一部に使える、既存の知財,資産と組み合わせられる 3.Community オープンな製品にはオープンな人々や協力会社が寄ってくる これらは世界が今の中国製品に求めているもので、 中国政府が第14次5カ年計画で「オープンソース推進」と追加した 理由でもある

Slide 31

Slide 31 text

現在の中国は、「日本みたいな製造業」と 別の製造大国を目指している 第14次五か年計画15章 「デジタル経済で新しい優位性をつくろう」 完善开源知识产权和法律体系,鼓 励企业开放软件源代码、硬件设计 和应用服务 オープンソースの知財管理を完全な ものにし、 企業がソフトウェアのソースコード、 ハードウェアの設計をオープンにす ることを奨励する

Slide 32

Slide 32 text

まとめその2. 個人/ビジネス開発の視点から 「オープンソースとサイエンス」 をテーマに、研究と事業とコミュニティを、 英語と日本語と中国語でやろう

Slide 33

Slide 33 text

キーワード「手を動かす」「興味本位で動く」 「オープンイノベーション」 深圳人のように動く) 趣味と仕事の中間から、がっちり仕事へ 最初は「やりたい」から始まる。 儲かるところはすでに競争になっていて面白くない。 流行ってるものはパワーゲームと正攻法の勝負になる。僕らの場所じゃない 手を動かせる、複数の専門分野の融合 「その場」で「具体的」に決定できる人間が強い ・ニコ技深圳では会議を行ったことがない。目的別に主担当のいるWechat 等のグループ があり、決定はすべて個人が行う。 ・情報をシェアすると助けてもらえる可能性が高まる ・もともと個人判断で動ける、経営者やフリーランスエンジニアが多い 極秘案件が少なく、お金に関係のないプロジェクトも多い ・気軽に情報がシェアでき、試しに一緒に手を動かしてみることがやりやすい。 (たとえばワークショップの運営とかイベントや、一部の翻訳など ・深圳のメイカースペースにいたエンジニアと日本のエンジニアが共同で プロジェクトを行った例も

Slide 34

Slide 34 text

中国オープンソースアライアンス 高須は唯一の国際(中国語が母語でない)メンバーで、 日本でもオープンソースに関する活動を支援・主催している 中国オープンソースアライアンス+ OpenChain(トヨタ自動車,NTTデー タ,Google等が主導する、オープンソース を使った企業関連系の枠組み) 合同イベント 米Apache software Foundationと共催 中国オープンソース大会COSCON`20(China -1億5700万ビュー(オンライン) - 542 職種1,173 組織が参加

Slide 35

Slide 35 text

中国のオープンソースについて、GitHub上で 共同翻訳などの研究をしています ニコ技深圳コミュニティ Facebook上で3300人を超える 深圳の技術コミュニティ

Slide 36

Slide 36 text

オープンソースと産業,深圳について研究していく 書籍の出版 深圳市主催 Next Shenzhenイベントにて、 Huawei Japanの王会長と共 に講演 テーマが2人とも 「オープン」だった 北京にて垂中国大使に、 中国のオープンソースや 深圳の近況について情報提供 JPNIC(日本のインターネットを管理している)の インターネットガバナンスフォーラムに登壇

Slide 37

Slide 37 text

サイエンスがなぜ重要なのか? 競合がいない 自社にしかできない 競合がいない 自社にしかできない 利益をゴールにする 組織で利益を挙げる 属人化しない 利益をゴールにする 組織で利益を挙げる 属人化しない ・僕の属人的な活動が、組織としての利益に繋がる=事業 ・ブルーオーシャンでも利益が出るところは? ・競合が参入できず、自分たちはできるものは? ・弊社は中小企業なので、短期で大きな利益にならなくてもよい ・僕個人の人件費や経費は空振りしてもかまわない=多産多死前提 ブルーオーシャン なかなか利益が出 ない 資本力で決まらな い 利益が出るけど 競合も増え 規模とディテールの勝負 に レッドオーシャン化 資本力で勝負が決まる 事業とそのジレンマ 有名で利益が上がるところほどレッドオーシャンになっていく 僕が関心あるのはこちら 今は仕事になっていないのに、すごい人がすごい労力を注い でいるところ=可能性ある

Slide 38

Slide 38 text

ギークと科学者は未知を既知に変える ブルーオーシャンの宝庫 ・仕事じゃないのにすごいスカラーがあるところ ・自分以外面白がってないことを見つけ、面白さをシェアする ・コミュニティができれば事業になる(かもしれない) 自分しか わからない 自分しか わからない 一部の人は面 白がる 一部の人は面 白がる 世の中みんなが知っ ている(お金にもなって いる) 世の中みんなが知っ ている(お金にもなって いる) ここのキャズムをどう越えていくか ググったら出てくる, 有名Youtuberが解説している, Amazonで本が何冊も出ている →コミュニティ,集合知

Slide 39

Slide 39 text

アカデミアとの距離、アカデミズムの使い方 ・研究者は面白さドリブンで動く専門職 ・そこにはインフルエンサーやライターが持っていない価値がある(それら の職業は、結局は世間のウケを気にしている) ・研究者が何をどう面白がっているかは参考にすべき (学会の仕組み、評 価..アカデミズムの専門家になれなくても同じ言葉が話せる必要がある) まだ小さい分野なら、有名な研究者と一緒に活動ができる 強いアマチュアの価値(by山形浩生) -分野の垣根を越えられる(分野を超える問題はますます大事になっている) -熱量 「ジェイコブズの教訓:強いアマチュアと専門家の共闘とは」←ググると出てくる。オススメ 新しい分野をプロ研究者が追いかけてくるなら、その活動には意味がある (メイカー,初音ミク,ニコニコ動画等SNS..)

Slide 40

Slide 40 text

面白さとどう向き合うか ・たとえばドクターとは何か →その分野で新発見をし、共有できた人。 未知の一つを既知にした人。 ・その分野でのドクターみたいな感じになれるか なれてるなら可能性はある 大事なのは、実務家と現場の話ができて、研究者と抽象的な話が できること たいていの人が間違って、実務家の書いたわかりやすいビジネス 書やPPTをありがたがる。 そこには「誰でもわかること」しか書いてない 自分たちにしかわからない希少な面白さが大事 かつ、10年ぐらいでもっと大衆性を持ち得るもの 1-2年では短い

Slide 41

Slide 41 text

ベクトル(方向性を持った力)を大きくしていこう コミュニティに なりえること 自分ができ ること 事業として できること スカラー(純粋な力の量)は何より大事、 スカラーに方向性が伴うとベクトルになる この方向にビジネスを 大きくしていく さらに、多産多死なので、 ベクトルは1本ではダメ 僕が気にしている長期的なトレンド ・技術の民主化 ・コンピュータサイエンス ・オープンソース

Slide 42

Slide 42 text

米MIT ML Research at Scale から影響されていること (高須は 2019 年にメンターとして参加) ・「今ないこと」をするために、「今あること」をすべて体験するこ とが大事 ・複数の異なる専門分野の集まり ・Deploy or Die ・お互いの分野を体験することでマッチングが生まれる ・卒業生が次の分野の先生になる

Slide 43

Slide 43 text

いろいろな国やコミュニティから高須が受けた影響 研究者でありスタートアップでありオープンソー ス活動家バニー・ファンの言葉 書籍「ハードウェ ア・ハッカー」 僕は,多くの文化とコラボレーションするリスクを とることが,自分の人生を豊かにし,可能性を 広げてくれると確信している。 僕はこの本で自分の経験をシェアすることで, みなさんももっと共同作業のリスクを取る意欲を 高めてほしいと思っている。しばしば,いちばん 変な人たちが,いったんよく知りあえば,最も素 敵でユニークな人だったりするのだから。

Slide 44

Slide 44 text

コミュニティがなぜ大事なのか? 上海DFRobot,Digikey等の来訪にともな い、深圳ELEXCON僕が主催したディナー 8社32人のCEO含め集まる マイクロソフト深圳のハードウェアエンジニアを案内して深圳のスタートアップへ その後マイクロソフトでのワークショップに繋がる 深圳、上海、成都でそれぞれ開かれたネットワーキングツアー まだお金にならないところで、中国の協力会社たちが、CEO含めて時間を使って集まって 会いたがってくれるなら、深圳はすごくビジネスがしやすくて、今後も伸びていける場所 僕はいつも「どうやってこれを大きく、効果的にしていくか」を考えている

Slide 45

Slide 45 text

10月24日 今日は日本のStack-Chan プロジェクトが 撮影会をしてくれた! 11月6日 日本ではいつも学びをシェア する技術交流会が 開かれている。 中国もそうなるべきだ! 彼ら深圳のスタートアップに 僕ら日本人はどう見えているか? M5Stack CEO Jimmyのwechat 朋友圈より 10月23日 M5が日本の多くの工場に入ってい る!テレビで放映された!

Slide 46

Slide 46 text

中国に欠けがちなものと我々(≒日本)の価値 -ビジネスが盛り上がってるので、お金にならないこと への動きが鈍い (だから、オープンソースや先鋭的な開発ボード等、イノベーティブな分野での 僕らの活動が重宝されている) -だいたいの仕事が中国人で片付くため、グローバルさ、ダイバーシティに欠ける (アメリカの企業や大学は世界一が集まるが、中国の大学はそうならない ただし、この点では日本はもっと悪くて日本人で固まりがち) (だから国際的なコミュニティである僕らの活動が重宝されている) 日本の多くの組織が 「オールジャパンで予算つけて中国に対抗」のように、 さらにアンチイノベーションでドメスティックな戦略をとりがち それで良いことはなにもない。 手を動かす人はみな、人類を前進させるための仲間です。

Slide 47

Slide 47 text

どうもありがとうございました。 中国のオープンソース運動について、白書や政策などを 翻訳公開しています https://github.com/Nico-Tech-Shenzhen/ChinaOpensourceResearch オープンソースとイノベーションについて いくつか書籍を出しています 「プロトタイプシティ」 「メイカーズのエコシステム」 「ハードウェアのシリコンバレー深圳に学ぶ」(藤岡淳一) 「ハードウェアハッカー」 連絡先: 高須正和 takasumasakazu@gmail.com Twitter: @tks Facebook: https://fb.me/takasuinfo WeChat:takasumasakazu