Slide 1

Slide 1 text

事業を伸ばすユーザー理解戦略 インサイトマネジメントについて Kenji Kato / 2026.3.5

Slide 2

Slide 2 text

自己紹介 加藤 けんじ @kenjikatooo エンジニア → UIデザイナー → PdM 5つの事業の立ち上げ・グロースを これまでにやってきました 700以上のユーザーインタビューを 少なくとも行ってきました 得意 : 顧客インサイトを起点に 事業を伸ばす(最大年間+800%成長) 好きなストレス発散法 : 霞ヶ浦100km走破

Slide 3

Slide 3 text

今回お話すること 1 インサイトマネジメントとは 2 これまでのユーザー理解の問題点 3 なぜ今、インサイトマネジメントか 4 何をどうやるのか 5 おわりに

Slide 4

Slide 4 text

さっそくはじめていきましょう 1 インサイトマネジメントとは 2 これまでのユーザー理解の問題点 3 なぜ今、インサイトマネジメントか 4 何をどうやるのか 5 おわりに

Slide 5

Slide 5 text

インサイトマネジメントとは さまざまな顧客接点を集めて 体系化することで、 組織全体で扱えるようにすること

Slide 6

Slide 6 text

こんなイメージ ※ 後ほど詳しく解説 インタビュー いつかの商談 定期MTG 行動ログ 分かったこと 分かったこと 分かったこと プロダクト開発 インサイト マーケティング インサイト 事業戦略 分かったこと SNSでの発言 ①集めて ②体系化して ・・・ ③共有・活用する

Slide 7

Slide 7 text

2013年ごろから言われ始めた

Slide 8

Slide 8 text

ユーザー理解と周辺環境の変化 クラウド、BI ビッグデータ 2000s UXリサーチ 生成AI 2010s デザイン思考 ユーザビリティ N1インタビュー 2020s Now インサイトマネジメント

Slide 9

Slide 9 text

ユーザー理解の進化 クラウド、BI ビッグデータ データ 2000s UXリサーチ、 生成AI 2010s インサイト デザイン思考 N1インタビュー 2020s インサイトマネジメント Now インサイトマネジメント

Slide 10

Slide 10 text

点から面へ インサイト時代 いかに質の高い 情報を得るか? N1インタビュー / UXリサーチ 専門的なリサーチャー/UXer インサイトマネジメント時代 いかにムダなく 事業に活かすか? 散らばるインサイトの体系化 職種/部門をまたぐインサイト基盤 論点が「調査・分析」から「統合・共有」へシフトしてきている

Slide 11

Slide 11 text

環境の変化による関心の移り変わり インサイト時代 (インサイトマネジメント) IM時代 関心ごと 深い情報を得る 定性リサーチ N1, UXリサーチ 深さ(点)では足りない 統合・共有 インサイト基盤 環境の変化 BIの整備 リサーチャー普及 開発の内製化 アジャイル開発 データの散逸 リサーチ低ハードル化 生成AI普及 デリバリー高速化

Slide 12

Slide 12 text

実際 : こんなことありませんか この前こんなお客さんの 課題を聞いて... なんかそれ、私も ちょっと前に聞いたことが... あなた 別チームの誰か

Slide 13

Slide 13 text

顧客接点が増えてきたことで... この前こんなお客さんの なんかそれ、 私も 低ハードル化 : 誰でも顧客へのインタビューなど ちょっと前に聞いたことが... 課題を聞いて... 気軽に実施できるようになってきた (質はどうあれ) 当然インタビュー以外にも 顧客に関するデータや接点はたくさんある 結果「これ、やらなくても分かったのでは?」も発生 あなた 別チームの誰か 環境の変化、ユーザー理解手法の成熟、企業の理解度向上などにより これまでのユーザー理解の問題点が浮き彫りになってきた

Slide 14

Slide 14 text

では、何が問題なのか? 1 インサイトマネジメントとは 2 これまでのユーザー理解の問題点 3 なぜ今、インサイトマネジメントか 4 何をどうやるのか 5 おわりに

Slide 15

Slide 15 text

実際に起こっていること① この前こんなお客さんの 課題を聞いて... なんかそれ、私も ちょっと前に聞いたことが... あなた 別チームの誰か 誰かが発見したことが、すでに他の人も知っている

Slide 16

Slide 16 text

実際に起こっていること② この前こんなお客さんの 課題を聞いて... (調査を経ても 別に判断変わらないな...) あなた リーダー・マネージャー 価値が認められず、投資されない(投資が増えない) 日本...リサーチ組織の解体、UX職種募集減、米国...大規模レイオフ(8.5%)

Slide 17

Slide 17 text

実際に起こっていること③ ユーザーインタビューを したいのですが... 今回はスピードを 優先してリリースしましょう! あなた リーダー・マネージャー スピードとのトレードオフに見られる もっと悪い場合 : 事業スピードを遅くする存在として煙たがられる

Slide 18

Slide 18 text

問題の構造 「顧客に会おう」だけでは足りない原因 : 縦と横の問題 組織図イメージ(≒ 扱う価値の抽象度) 経営 例 : マーケ 例 : セールス 例 :プロダクト 1. 縦の問題 小粒なインサイト問題 施策レベルに閉じた小さな結論 = 戦略が変わることはない = 「ユーザー理解ってそのぐらいのもの」の印象に = 投資されない、失敗回避にしか使われない 2. 横の問題 閉じたインサイト問題 特定のチームや個人に閉じた結論 = 本来はすでに分かっていることまで調査 = 不要なコストが発生 = 「遅いもの」認知

Slide 19

Slide 19 text

投資が増えないワケ 縦と横の問題が解消されない限り、インパクトが弱い 組織図イメージ(≒ 扱う価値の抽象度) 経営 例 : マーケ 例 : セールス それで事業が 伸びるんですか?(疑い) 例 :プロダクト 顧客に向き合うのがダイジ! 顧客ともっと話そう! うちは文化が..と嘆く現場、投資に踏みきれない経営 (結果として「信じるかどうか」の問題になってしまうが、これは根本的ではない = 続かない)

Slide 20

Slide 20 text

放置するとどうなるか? インサイト負債が増えて、解消に膨大な時間が必要に 組織図イメージ(≒ 扱う価値の抽象度) 経営 例 : マーケ 例 : セールス 例 :プロダクト 誰も「なぜ選ばれているか」 根拠を持って語れない = 「いろいろあるよね」に = 偉い人の意見が勝つ構図 (顧客課題が) 「いろいろある」発言が出てきたら危険信号

Slide 21

Slide 21 text

解決のために必要なこと 組織図イメージ(≒ 扱う価値の抽象度) 経営 例 : マーケ 例 : セールス 例 :プロダクト 現場で得られたインサイトを 大きな結論へと フィードバックする インサイトを閉じずに、共有の資産 (=他チームで使える状態) にする

Slide 22

Slide 22 text

事業を動かすのは常に大きな結論 イントロをスキップ機能 初期のMVP Discover Weekly 接続までのフリクション HubSpot Academy 味集中カウンター ※ いずれの事例も『インサイト図鑑』より引用

Slide 23

Slide 23 text

事例に見るインサイトと事業の関係 インサイトは大きな結論にしないと、事業を大きく動かすことはない Netflixの「イントロをスキップ」機能のように 大きなインサイトは、大きなリリースというわけではない インサイトと事業アクションは、1:Nの構造であり、 インサイトを満たす手段としてプロダクト・マーケなどがある 一度機能をリリースしたらインサイトが満たされるというわけではなく ツボのように徹底的に、あらゆる手段で満たし続けていくことが成長に必要 縦と横の問題の解消 = インサイトへの投資増加の要点

Slide 24

Slide 24 text

なぜインサイトマネジメント? 1. 縦の問題 小粒なインサイト問題 2. 横の問題 閉じたインサイト問題 インサイトマネジメントの必要性

Slide 25

Slide 25 text

どんどん進めていきます 1 インサイトマネジメントとは 2 これまでのユーザー理解の問題点 3 なぜ今、インサイトマネジメントか 4 何をどうやるのか 5 おわりに

Slide 26

Slide 26 text

必要性がどんどん増している インサイト時代 (インサイトマネジメント) IM時代 関心ごと 深い情報を得る 定性リサーチ N1, UXリサーチ 深さ(点)では足りない 統合・共有 インサイト基盤 環境の変化 BIの整備 リサーチャー普及 開発の内製化 アジャイル開発 データの散逸 リサーチ低ハードル化 生成AI普及 デリバリー高速化

Slide 27

Slide 27 text

必要性がどんどん増している インサイト時代 (インサイトマネジメント) IM時代 関心ごと 深い情報を得る 定性リサーチ N1, UXリサーチ 深さ(点)では足りない 統合・共有 インサイト基盤 環境の変化 BIの整備 リサーチャー普及 開発の内製化 アジャイル開発 データの散逸 リサーチ低ハードル化 生成AI普及 デリバリー高速化

Slide 28

Slide 28 text

生成AIの普及でますます必要に 環境の変化 何かをつくる、生み出すことが 爆発的に容易になっている = デリバリー (実行) では差がつかない 加えて、誰でも顧客接点を持てるように = データも散らばりやすくなる 取るべき対策 デリバリー以外の新しい 強み (競争優位)を築く必要性 = 一朝一夕でまねできないものへの投資 = 企業独自のインサイト基盤 加えて、実行→価値を最大化する 一貫性 (Integrity) への投資 = インサイトが共有されていると 組織のベクトルが揃う

Slide 29

Slide 29 text

どちらの組織が強いか? どの組織もこれからスピードは早くなるが... 組織A 組織B マーケ プロダクト マーケ プロダクト セールス CS セールス CS

Slide 30

Slide 30 text

一貫性が高い組織が勝つ インサイトがそろった状態(insight-aligned)かで差がつく 組織A 組織B マーケ プロダクト マーケ プロダクト セールス CS セールス CS インサイトが共有されない組織は速さを価値に転換できない

Slide 31

Slide 31 text

インサイト基盤は模倣しづらい 組織A : インサイトを貯めてこなかった組織 組織B : 地道にインサイトを貯め続けてきた組織 「詳しい誰か」だけで進めてきた →その人がいなくなると急に回らなくなる 施策が「当たる/当たらない」ばかり気にして 「なぜ選んでもらえているか」を気にしない 小手先のhowばかり話され、戦略の見直しは雰囲気 早い段階から「スケールする顧客理解」に投資する = 最初は手間で違いがわからない(ように見える) 貯まってくると、もはや追いつけない 「自社しか知らない顧客の秘密集」ができあがる メンバーが自律的に動ける、手戻りが少ない組織

Slide 32

Slide 32 text

では、どうやるのか? 1 インサイトマネジメントとは 2 これまでのユーザー理解の問題点 3 なぜ今、インサイトマネジメントか 4 何をどうやるのか 5 おわりに

Slide 33

Slide 33 text

全体像のイメージ(再掲) インタビュー いつかの商談 定期MTG 行動ログ 分かったこと 分かったこと 分かったこと プロダクト開発 インサイト マーケティング インサイト 事業戦略 分かったこと SNSでの発言 ①集めて ②体系化して ・・・ ③共有・活用する

Slide 34

Slide 34 text

理想状態 = 根拠ある価値のツリー トップレベルのインサイト コアな顧客課題・価値1 分解されたインサイト1-1 根拠となる議事録A 分解されたインサイト1-2 根拠となる議事録B 分解されたインサイト1-3 根拠となる議事録C トップレベルのインサイト コアな顧客課題・価値2 トップレベルの課題から根拠までたどれる・アプデできる状態

Slide 35

Slide 35 text

Zoomの例 施策例 : URLからワンクリックで会議を開始 トップレベルのインサイト スムーズな会議の開始 開始前の登録・ログインの手間 根拠となる議事録A 接続の不安定さへの課題 根拠となる議事録B 入室までの分かりづらさ 根拠となる議事録C トップレベルのインサイト オフラインの場の再現 トップレベルから具体まで一貫していることで価値になる = 部分的に機能だけ模倣しても選ばれない(競合をマネしてもうまくいかない理由)

Slide 36

Slide 36 text

はじめ方のポイント インタビュー いつかの商談 定期MTG 行動ログ プロダクト開発 分かったこと 分かったこと 分かったこと 分かったこと マーケティング インサイト 事業戦略 ・・・ SNSでの発言 ①集めて インサイト ②体系化して ③共有・活用する 蓄積は複利 = すぐには効果が出ない →なるべく早く効果を出すには③活用からの逆算が重要

Slide 37

Slide 37 text

徐々に育てていく インタビュー いつかの商談 定期MTG 行動ログ プロダクト開発 分かったこと 分かったこと 分かったこと 分かったこと マーケティング インサイト 事業戦略 ・・・ SNSでの発言 ①集めて インサイト ②体系化して ③共有・活用する 議事録→ファクト→インサイト...と徐々に抽象化 そして下層 (議事録など) が追加されたら上層 (インサイト) が更新されるように

Slide 38

Slide 38 text

育つと外さなくなる ※ 『"主観で終わらせない"定性データ活用 ― プロダクトディスカバリーを加速させるインサイトマネジメント』より引用

Slide 39

Slide 39 text

育つと非連続な成長をする あるヴィーガン向けの寿司店は、徹底的にインサイトを蓄積 ヴィーガンの外国人観光客がどんなルートで、何が課題なのか徹底的に蓄積 結果的に、飲食未経験メンバーで、3ヶ月で店舗立ち上げ 立ち上げ半年でGoogle Mapの評価は、500件、星4.8 ※ 『3ヶ月で高速事業立ち上げ —— 徹底したインサイトマネジメントで急成長する「ヴィーガン寿司」の知られざる裏側』より引用

Slide 40

Slide 40 text

はじめ方、用意しました インサイトマネジメントのはじめ方 スライドで見る

Slide 41

Slide 41 text

AIでできないんですか? インタビュー いつかの商談 定期MTG 行動ログ プロダクト開発 分かったこと 間の論理をすっとばして回答を出す インサイト 合ってる場合があったとして 分かったこと たどれない、アップデートできない 分かったこと結局決まらない インサイト =問題はAIがやれるかどうかではなく、 分かったこと 人にもAIにも適切な枠組み(レール) マーケティング 事業戦略 ・・・ SNSでの発言 ①集めて ②体系化して ③共有・活用する 部分的に可能かもしれないが、大事なのは枠組みと共通理解 枠組みがないとどこで間違えたか、検証(デバッグ)できない

Slide 42

Slide 42 text

さいごに 1 インサイトマネジメントとは 2 これまでのユーザー理解の問題点 3 なぜ今、インサイトマネジメントか 4 何をどうやるのか 5 おわりに

Slide 43

Slide 43 text

インサイトマネジメントとは さまざまな顧客接点を集めて 体系化することで、 組織全体で扱えるようにすること

Slide 44

Slide 44 text

競争優位になる 地味だが、複利で効く 早く始めた組織が有利

Slide 45

Slide 45 text

顧客理解を信じてきた人が 報われる概念であり ビジネスに真剣だった人が やっと信じられるための概念

Slide 46

Slide 46 text

“ 私たちは競合ではなく 顧客に執着する。 顧客が必要としているもの から出発しそこから逆算する —— Jeff Bezos(Amazon)

Slide 47

Slide 47 text

“ ユーザーを深く 理解していなければ 自分の会社を 理解していないのと同じだ —— Sam Altman(OpenAI)

Slide 48

Slide 48 text

今日からはじめてみましょう