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価値づくりを⽀える戦略と組織能⼒ 明治⼤学 商学部 加藤拓⺒ Marketing #09

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位置付け 顧客管理と効果測定 戦略と実⾏ 価値づくりの考え⽅ 調査による客観的な状況把握 #01 マーケティング #02 ブランドマネジメント #04 市場調査 #07 科学的検証 #08 感性⼯学 #05 消費者⾏動 #03 ロイヤルティとCRM #10 クチコミ #09 戦略と組織能⼒ 仮説⽴案 具現化 検証 #06 知覚品質

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1. 「競争優位」を規定する2つの要素 2. 捨てることが「戦略」 3. 競合の模倣に強い企業固有の「組織能⼒」 4. 戦略や⼈材を⽣かすも殺すも⼈事 5. まとめ アジェンダ

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1. 「競争優位」を規定する2つの要素 2. 捨てることが「戦略」 3. 競合の模倣に強い企業固有の「組織能⼒」 4. 戦略や⼈材を⽣かすも殺すも⼈事 5. まとめ アジェンダ

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「競争優位」を規定する2つの要素 競争優位 戦略 (ポジショニング) 組織能⼒ (ケイパビリティ) • 本社主導による選択と集中 • 業績を⼤きく左右 • ブランド構築の源泉 • 現場主導によるカイゼン • 安定した利益に貢献 • 競合の模倣に強い 戦略が弱ければ低空⾶⾏を続け,組織能⼒が弱ければ戦略の”アタリ”に依存する

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価値づくりの基盤 思想・制度・⽂化なきまま,システム導⼊や⼈材獲得しても,猫に⼩判である 個⼈の あり⽅ 理論に基づき,ひたすらに考え・⼿を動かしてつくり, 顧客の知覚による検証を⾏い,それをもとに説得する 組織の あり⽅ どんな事情であれ,顧客に価値がないものは切り捨て, 科学的な検証結果に基づき,オープンに意思決定を⾏う ⼈事の あり⽅ 最重要リソースである「価値づくりをしている⼈」に 適切な環境・権限・報酬を⽀払う⼈事制度を整備する 価値の 考え⽅ 顧客の ”潜在的な” 困りごとを解決するコンセプトを ⾼い知覚品質(デザイン・UX)で,⼀貫して具現化する

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価値づくりの基盤 個⼈の あり⽅ 理論に基づき,ひたすらに考え・⼿を動かしてつくり, 顧客の知覚による検証を⾏い,それをもとに説得する 組織の あり⽅ どんな事情であれ,顧客に価値がないものは切り捨て, 科学的な検証結果に基づき,オープンに意思決定を⾏う ⼈事の あり⽅ 最重要リソースである「価値づくりをしている⼈」に 適切な環境・権限・報酬を⽀払う⼈事制度を整備する 価値の 考え⽅ 顧客の ”潜在的な” 困りごとを解決するコンセプトを ⾼い知覚品質(デザイン・UX)で,⼀貫して具現化する 組織能⼒ 戦略

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1. 「競争優位」を規定する2つの要素 2. 捨てることが「戦略」 3. 競合の模倣に強い企業固有の「組織能⼒」 4. 戦略や⼈材を⽣かすも殺すも⼈事 5. まとめ アジェンダ

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⽇経産業新聞. (2016). 平井改⾰の1500⽇. ⽇本経済新聞出版社. トップマネジメントの仕事 トップマネジメントの仕事は3つしかない. ⽅向性を打ち出すこと,責任を取ること,そして⼈事 Sony 元会⻑・吉⽥ 憲⼀郎⽒

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戦略とは捨てること • 戦略とは,何をやらないかを決めること • 戦略とは,進むべき⽅向性と資源配分の選択 「できたらいいこと」の選択肢は常に無数にある。 しかし,経営資源や時間は限られており,すべての実践はできない。 経営者は,10万ある選択肢のうち,いくつかを選択し, 残りの9万9900以上を切り捨てる決断をしなければならない。 Michael Porter

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「考えつく限りの⼿を同時多発的に実⾏する」が最悪の戦略 最悪の戦略︓全⽅位攻撃 売上向上 TV広告 Web広告 キャンペーン 値引き ・・・ もし効果があっても,その要因がわからず,組織にノウハウが蓄積されない

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競合やトレンドに⽬を奪われ,⾃社の強みを⾒失うと,選択を誤る 捨てるためには「⼰を知ること」が不可⽋ 「強みを⽣かし,弱みを捨てる」という鉄則のために, まずは⾃社の状況を知ることが第⼀歩である。 しかし⼀般的に,弱みはすぐに思いつくが,強みが⾒えにくい。 既存のロイヤルティの⾼い顧客が⾒出している価値を知る (競合やトレンドに⽬を奪われると,選択を誤る)

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戦略の効果 経営資源 の有効活⽤ 明確な⽬的に向けて各部⾨が計画を⽴てられ,適切な⼈材・ 予算の割り当てが可能になり,社内資源の”無駄死に”が減る. 現場⼒の向上 ⽬的が共有されているため,従業員の判断基準が明確になり, 想定外の問題が発⽣しても臨機応変に対応しやすくなる. 優秀な⼈材 の獲得 ⽬的が対外的に⽰されているため,共感した⼈材が集まり, 明確な基準で評価されることでモチベーションが⾼まる. ノウハウの蓄積 明確な⽬的・⽬標のもと実⾏しているため,「失敗」の判断 ができ,原因究明・改善を通じ,組織が⾃然に学習していく.

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戦略の種類

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戦略の分類 多くの企業は競合他社と差別化した価値を追求する戦略を選択する必要がある SCP理論 (Structure-Conduct-Performance Theory) 1980年代以降の競争戦略の代名詞であり,ポジショニング戦略が代表的 コストリーダー シップ 差別化 ニッチ市場にフォーカス 市 場 規 模 ⼤ ⼩ 競争優位の源泉 ⼤ ⼩ Michael Porterの「戦略3類型」

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• 業界構造が安定している寡占市場 (例︓コーラ,通信) • 差別化戦略によってブランドを確⽴し,独⾃のポジションを構築 IO型 (industrial organization) • 技術開発が活発で,競争が激しい市場 (例︓⾃動⾞) • ⼈材という経営資源に投資し,技術⼒を積み上げるRBV戦略 チェバレン型 • 技術が⽇進⽉歩で進化する不確実な競争環境 (例︓IT) • 早期から市場に投⼊し,改善していくリアルオプション戦略 シュンペーター型 内容 戦略 Barney, J. B. (1986). Types of competition and the theory of strategy: Toward an integrative framework. Academy of management review, 11(4), 791-800. 市場特性に合わせた戦略 (Resource Based View)

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Amit, R., & Zott, C. (2001). Value creation in e-business. Strategic management journal, 22(6-7), 493-520. ビジネスモデルの分類 内容 分類 効率性 • 従来よりも費⽤を抑えることができる • 例︓メルカリは仲介業者を除き,CtoCにすることで費⽤を削減した 1 補完性 • 複数の企業・事業を結びつけることで,単体では得られない効果を得る • 例︓楽天はEC・⾦融・保険等広範な経済圏を構築し,相互で購⼊促進 2 囲い込み • 顧客を競合他社に流出させないように設計する仕組み • 例︓航空会社のマイレージプログラムは,利⽤するほどやめられない⼼理に 3 新規性 • これまでにない組み合わせによって,新しい問題解決を実現する • 例︓Airbnbは住宅と旅⾏客を結び,現地⽣活体験と空室の活⽤を実現 4

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フレームワークは「分析」ではなく「整理」

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経営資源をどこからどこに振り分けるのかを整理するためのフレームワーク 経営資源の配分 市場シェア 低 ⾼ 市場成⻑率 低 ⾼ 負け⽝ (Dog) ⾦のなる⽊ (Cash Cow) 問題児 (Problem Child) 花形 (Star) BCGプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM) シェアを拡⼤できれば「花形」に,逆に 成⻑率が低下すると「負け⽝」になる. 諸刃の剣であり,投資判断が難しい. 競争が激しく⼤規模投資が必要. 市場が成熟したときに「⾦のなる⽊」に なるようシェアを維持・拡⼤すべき. 早急に撤退すべき市場. かつての栄光事業がここに転落すると, その意思決定が遅れてジリ貧に. 利益率が⾼いが,将来は衰退する. この利益を別に投資して,次の成⻑ 事業を育成すべき.

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フレームワークに答えを求めてはならない。マーケティングは⾃ら思考する活動 「フレームワークをつくって満⾜」という思考停⽌ • BCG-PPM, SWOT, 4P, 5フォース等,多数のフレームワークがあるが, これらはすべて「分析」ではなく,「整理」である • 整理の仕⽅などなんでも良く,使いたければ使えば良い。しかし,フ レームワークをつくって満⾜することは断じてならない • 情報収集・整理は,思考の出発点にすぎない

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ちなみに,... • 学術研究として,フレームワーク等のツールの提案は,業績として認 められにくい • ツールが普及した背景には,アメリカを中⼼とするMBAやコンサル ティングファームの商売道具として取り上げてきたことがある • それよりも,実務では価値の創出,研究では新しい知⾒の導出が重要 であり,商売道具はあくまで道具であることを忘れてはならない

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結局は,コンセプト策定と具現化

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マーケティングにおける戦略 ブランドマネジメント = コンセプト + ⼀貫した具現化 コンセプト ⼀貫した具現化 実⽤的+⼼理的な問題を解決する 時代によらない価値の定義 定義したコンセプトを ⼀貫して具現化・訴求 Concept ZMOT (Zero Moment of Truth) Webサイトや⼝コミを⾒たとき FMOT (First Moment of Truth) 店頭で商品を⾒たとき SMOT (Second Moment of Truth) 商品・サービスを利⽤したとき 流⾏ 性能・技術 デザイン・UX 本質的な 価値 Who What How どんな困っている⼈に? どんな価値を︖ どうやって提供するか︖ 狙いどころ

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戦略の⽬的を果たすために,⽬標を適切に設定し,⼀貫して実⾏することが重要 良い戦略の基準︓SMAC Specific 数値化されてなければならない ⼈によって解釈のブレがないよう,⽬標が数値化されている必要がある. Measurable 測定可能でなければならない 数値化された⽬標の測定⽅法が明確にされている必要がある. Achievable 達成可能でなければならない 現状と外部環境変化を想定し,達成が可能な必要がある. Consistent ⼀貫性がなければならない ⼀過性にせず,⽬的達成まで⼀貫して戦略を執⾏する必要がある.

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UNIQLOとZARAにおける戦略の違い つくったものを売る 基本的な服を⽣活部品として提供 ⼤量⽣産(1,000種/年) 機会損失を避ける⼤量在庫 翌年に売れる商品を企画・製造 商品を探しやすい倉庫型店舗 売れたものをつくる ヨーロピアンモードを提案 多品⽬⽣産(18,000種/年) 最低限の在庫で廃棄削減 販売状況を⾒て短期間で製造 スタイルの提案型店舗 ⿑藤孝浩. (2018). ユニクロ対ZARA. ⽇本経済新聞出版.

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着実に稼ぎながら,次への投資を⾏う

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(特に現在成功している)企業は知の深化に偏り,知の探索を怠る傾向がある 両利きの経営 (Ambidexterity) 既存事業で効率的に稼ぐ 利き⼿による知の深化 新しい商品・サービスに挑戦する 反対の⼿による知の探索 コンピテンシー・トラップ 知の探索はコストがかかるわりに,不確実性が⾮常に⾼い. ⼀⽅,知の深化は⼿堅く,短期的視点では効率的に利益を上げられる. しかし,それは⻑く続かないため,知の探索を怠ると,⻑期的に停滞する.

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撤退は次なる投資への前向きな決断 (将来的に)市場で1番か2番の事業に集中し, それ以外の事業は収益が上がっていても売却・撤退 過剰な事業を有すると,限られた資源が広く薄くしか配分されずに 商品⼒が低下し,かつ消費者にとっては過剰選択肢で魅⼒が低下 円滑な撤退のため,撤退基準・決定プロセス・体制を明確化 ※事業多⾓化の否定やリストラ推進を推奨したのではなく, 「新しい事業に挑戦しながらフォーカスすべき」という考え⽅

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知の探索の推進役︓ヤミ研 • 開発者らが深夜にこっそり⾏う「闇の研究」がかつては⼀般的だった - 危険すぎると批判された”国産⾞づくり”を道楽として研究した豊⽥喜⼀郎1 - 猛反対の中,夜間研究を続けて開発し,ヒットしたCasioのデジタルカメラ2 • コンプライアンス上の問題から,ヤミ研の活動は困難になった現在, 企業の正式な制度として,知の探索ができる環境づくりが求められる 1: WebCG. (2019). 信念の技術者、豊⽥喜⼀郎 国産⾞づくりに懸けた⽣涯. https://www.webcg.net/articles/-/41436 2: ⼊⼭章栄. (2012). 世界の経営学者はいま何を考えているのか. 英治出版. 3: 近岡裕. (2017). 3M社の優れたアイデアは「不⽂律」から⽣まれる. ⽇経クロステック, https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/column/15/415543/061200074/?P=2 15%カルチャー3 業務時間の15%を好きな研究に使える制度. 粘着メモ「ポスト・イット」は当該制度から⽣まれた.

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グローバル市場での競争の武器

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⾃動⾞業界が急ぐ部品共通化 モジュールを細かく持つことで,多様な商品を共通の構造を利⽤して具現化 • 商品⼒向上と同時にコスト削減を実現するために,共通プラットフォームを採⽤ • 従来のプラットフォームにあたる部分を細かくモジュール分割し,その組み合わ せによって,多様な商品を具現化する製品開発アプローチ TNGA (Toyota New Global Architecture) CMF (Common Module Family) MQB (Modularen Querbaukasten)

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効率的な各国市場に合わせた開発 標準化された設計をベースにすることで,調達コスト・在庫コスト・開発コストを削減 「⽴ち⾷いそば⽅式」の世界戦略1 • ⼀般的に異なるニーズに対応する場合,コストが⾼く,利益率が下がりやすい • しかし,基本部分は共通化しておき,表⾯的なオプションだけ個別最適化 (どんな注⽂でも同じそば・つゆを使⽤し,最後にトッピングだけ変える) • アメリカ向けでも,インド向けでも,基本的には同じ設計を採⽤して効率化 1: 吉川良三. (2011). サムスンの決定はなぜ世界⼀速いのか. ⾓川書店.

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同族経営は悪なのか︖

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戦略の⼀貫性に優れる同族経営 (Family Business) 同族経営には,正と負の両⾯があるが,マーケティングの観点では良い条件が揃う 1: La Porta, R., Lopez-de-Silanes, F., & Shleifer, A. (1999). Corporate ownership around the world. The journal of finance, 54(2), 471-517. 2: Anderson, R. C., & Reeb, D. M. (2003). Founding-family ownership and firm performance: evidence from the S&P 500. The journal of finance, 58(3), 1301-1328. • 世界27カ国の主要企業のうち,創業者⼀族が株式20%以上を保有する 企業を抽出すると約30%にも達する1 • S&P500のうち1/3は同族経営で,⾮同族企業よりも経営業績が良い2 • 同族経営の場合,⽬先の利益よりも⻑期的な反映を⽬指すため,⼀貫し た戦略を実⾏できることなどが要因として考えられる • ただし,経営トップの資質が伴わない場合は,暴⾛してしまう懸念あり

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本当に多様性は効果的か︖

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流⾏の考え⽅を盲⽬的に信じることは危険であり,効果を科学的に検証すべき 1: Joshi, A., & Roh, H. (2009). The role of context in work team diversity research: A meta-analytic review. Academy of management journal, 52(3), 599-627. 2: Horwitz, S. K., Horwitz, I. B. (2007). The effects of team diversity on team outcomes: A meta-analytic review of team demography. Journal of management, 33(6), 987-1015. 3: Earley, C. P., & Mosakowski, E. (2000). Creating hybrid team cultures: An empirical test of transnational team functioning. Academy of Management journal, 43(1), 26-49. 多様性は本当に効果的か︖ • 多様性には,能⼒多様性と属性多様性(性別,国籍等)に分けられる • 能⼒多様性は,組織のパフォーマンスに正の影響を与える1 • ⼀⽅で,属性多様性は,影響がない,あるいは負の影響を与える1,2 • ただし,属性多様性は,時間の経過とともにコミュニケーションが盛 んになり,軋轢が消えていく3

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戦略の後付け理論の解説には要注意

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「勝てば官軍」であり,成功の要因は美しい戦略として解説されがちのため要注意 BCGが分析したホンダの成功要因 Pascale, R. T. (1984). Perspectives on strategy: The real story behind Honda's success. California Management Review, 26(3), 47-72. 事象 分析結果 BCG Honda 役員談 1959年 アメリカで急成⻑するホンダ • ⽇本で⼩型バイクに集中して低コストを実現, そのコスト競争⼒を⽣かしてアメリカに進出 • 従来の”⾰ジャン”バイク利⽤者ではなく, 未利⽤者に焦点を置いて商品を訴求 • ⼤型バイクを営業したが相⼿にされなかった • 営業社員が移動に使っていたスーパーカブを ⽬にしたシアーズの担当者が⽬をつけ販売 • 同社がスポーツ売り場に置いたところ⼤ヒット 実際は...

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1. 「競争優位」を規定する2つの要素 2. 捨てることが「戦略」 3. 競合の模倣に強い企業固有の「組織能⼒」 4. 戦略や⼈材を⽣かすも殺すも⼈事 5. まとめ アジェンダ

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模倣に強い組織能⼒

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組織能⼒とは何か︖ 藤本隆宏. (2003). 能⼒構築競争-⽇本の⾃動⾞産業はなぜ強いのか. 中公新書. 組織能⼒ = 企業の競争⼒に貢献する組織ルーチンの体系 • 企業の安定的な業績を⽀える経営資産 • ⻑い年⽉をかけて蓄積された企業特有のもの • 計画的ではなく,創造的な活動から⽣み出される • 競合他社が容易に模倣できない (観察しても⾒えにくい) • ⽇本の⾃動⾞業界が世界を牽引してきた

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トヨタ⽣産⽅式 (Toyota Production System, TPS) 「徹底したムダの排除」を基本思想とするトヨタ⽣産⽅式は,JITと⾃働化の2本柱 ⼤野耐⼀. (1978).トヨタ⽣産⽅式――脱規模の経営をめざして. ダイヤモンド社. ジャ ス ト・ イ ン・ タ イ ム (Ju s t i n T i m e, JI T ) • 組み⽴て⼯程にて,必要な部品が,必要な時に,必要な量だけ,届く仕組み • 「後⼯程が前⼯程に取りにいく」という逆転の発想で,必要なものはかんばんに表⽰ • 物理的にも,財務的にも,経営を圧迫する在庫をゼロに近づける ⾃働 化 (ニンベ ンの ⾃働) • ニンベンのある⾃働化とは,機械が異常検知して⾃動停⽌する装置を組み込んだもの • 単なる⾃動化は,つくり過ぎや不良品という重⼤なムダを⽣み出してしまう • 管理者が常時機械の近くにいる必要がなく,⽣産効率が⾶躍的に向上する

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トヨタ⽣産⽅式をつくってきた「なぜなぜ分析」 ⼤野耐⼀. (1978).トヨタ⽣産⽅式――脱規模の経営をめざして. ダイヤモンド社. 1つの事象に対して「なぜ」を5回繰り返す思考の積み上げから⽣まれた 例︓⽣産機械が停⽌した 事象 原因 なぜ︓オーバーロードがかかって,ヒューズが切れたから なぜ︓軸受部の潤滑が不⼗分だったから なぜ︓潤滑ポンプの組み上げが不⼗分だったから なぜ︓ポンプの軸が摩耗して機能していなかったから なぜ︓機械にストレーナーがついておらず,切粉が⼊ったから

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⽇本の⾃動⾞業界を⽀える組織能⼒ 海外の競合による⽇本の組織能⼒の解明は進んでいるが,模倣には時間がかかる 1: 藤本隆宏. (2003). 能⼒構築競争-⽇本の⾃動⾞産業はなぜ強いのか. 中公新書. 2: 酒井昌昭, 岡⽥英彦. (2016). すり合わせ技術で仕事を進める 「6つの道具 (モジュール)」. 経営センサー, (181), 37-42. 3:延岡健太郎, 藤本隆宏. (2004). 製品開発の組織能⼒: ⽇本⾃動⾞企業の国際競争⼒. 東京⼤学ものづくり経営研究センター ディスカッションペーパー, 9. • ⽣産リードタイム(出荷までの時間)は,欧⽶より⽇本企業の⽅が短い1 • 欧⽶企業でトヨタ⽣産⽅式が導⼊されたが,依然としてToyotaが優位1 • ⾼い競争⼒を誇るハイブリッド技術は,⽇本の擦り合わせ技術の成果2 • 1,500⼈の社内技術者, 700社程度の取引先, 3万点以上の部品,等の 膨⼤な技術の調整の積み重ねが,⽇本企業の強みをつくっている3

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模倣が難しい⽣産技術 ⽇経産業新聞. (2016). 平井改⾰の1500⽇. ⽇本経済新聞出版社. 競合が同じ半導体装置を導⼊しても,Sonyの画像センサーは再現不可。 なぜなら,複雑な⼯程において,装置を使いこなす独⾃の技術・ノウハウ が隠されており,⽣産ラインの全容を把握できる⼈材は⼀握りしかいない。

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組織能⼒が競争⼒に寄与しにくくなってきた背景

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2つのアーキテクチャー ⾃動⾞は⻑年にわたってインテグラル型アーキテクチャだったため,新規参⼊が困難 インテグラル型 (すり合わせ型) モジュラー型 (組み合わせ型) 代表産業 ⾃動⾞ (90%以上の部品が各企業特有の設計) PC, デジタルカメラ 差別化 製造能⼒の獲得に時間がかかる 技術での差別化が困難 概要 複雑な設計と巧みに調整された 組織能⼒によって製造 標準化部品の組み合わせ でスピーディに製造 藤本隆宏. (2003). 能⼒構築競争-⽇本の⾃動⾞産業はなぜ強いのか. 中公新書. 新規参⼊が困難 価格競争が激化 (デジタル化によって当該アーキが増加)

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⾃動⾞業界にもモジュラー型の波 電気⾃動⾞・⾃動運転が発展することで,組織能⼒での差別化が困難になる 電気⾃動⾞によるモジュラー化 ⾃動運転によるプログラム化 部品が標準化され,種類が⼤幅に 減るため,製造が容易になる 頭脳は,ハードウェアではなく, ソフトウェアに移⾏される

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機能勝負から価値勝負へ 技術は同じであっても,コンセプトによって価値は全く異なる コンセプト デザイン UX Third place 落ち着ける場所 温かみのある インテリア 穏やかなBGM ⾳のしない⾷器 Starbucks

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迅速な意思決定も組織能⼒

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⻑らく指摘される,決められない⽇本の会議 優れた意思決定を,より多く,よりスピーディに下すためのプロセスが求められている

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技術発展が⽇進⽉歩な領域では,専⾨家の知⾒なくして意思決定すべきではない Podolny, J. M., & Hansen, M. T. (2020). How Apple Is Organized for Innovation. Harvard Business Review Nov.-Dec, 86-95. Appleの組織構造と意思決定 • ジョブズ復帰前は,事業部制の分権型で, 同じ職能が重複し,対⽴が発⽣ • 意思決定はその領域の専⾨家が⾏うべきと の考えから,職能専⾨性を軸とした組織へ • ゼネラリストに専⾨性を備えるのではなく, 専⾨家にマネジメント能⼒を育成する • 1998年と⽐べて収益が40倍になった現在で も職能別組織を維持している (Jobs復帰時)

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本⽥宗⼀郎の考え ⼤衆という批評家の知覚での検証に向けて,科学的知⾒の重要性を訴えている 本⽥宗⼀郎. (2005). やりたいことをやれ. PHP研究所. • 合理的に⾏動した⽅が必ず勝つ.科学的に指摘しなければ納得できない. • 科学は⼈間の持つ最⾼の能⼒であり,いつの時代も変わらない正義. 科学を否定することは絶対に許されない罪悪である.⼈間否定である. • 学問が根底にない商売は,⼀種の投機みたいなもので,真の商売を営む ことは不可能.学問を修めることで仕事の基礎知識を得ることが⼤切.

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トヨタ産業技術記念館 豊⽥喜⼀郎の考え 学術理論に基づいて考え,ひたすら⼿を動かし,消費者の知覚で検証する

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ブレストするべからず

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「ブレスト」ではなく「魂のプレゼンのぶつけあい」 1時間会議をやるなら,出席メンバー各⾃が50時間は考え・調査・分析してくること よくあるブレスト • ⽬的(価値づくりの考え⽅)の整合すらできていない寄せ集めメンバー • その場の思いつきでしかないため,たいしたことは出てこない • “いい感じの模造紙マッピング”ができて⾃⼰満⾜ あるべき会議 • 同じ⽬的を共有し,各⾃が異なるアプローチで真剣に事前検討してくる • ⽂献を読み込み,調査し,アイディアを練りにねってくる • 解決すべき問題と有効と考えられる解決策(仮説)が成果物になる

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全員で考えてはいけない 1: Taylor, D. W., Berry, P. C., & Block, C. H. (1958). Does group participation when using brainstorming facilitate or inhibit creative thinking?. Administrative science quarterly, 23-47. 「全員で集まって,話し合いによって問題を解く」よりも, 「⼀⼈⼀⼈が個別に問題を解き,回答を持ち寄る」⽅が効率的1 全員で考える会議が機能しない理由 • 集まることで個々⼈の責任が曖昧になり,社会的⼿抜きが発⽣ • 他⼈からの⾃分の評価が気になり,斬新な意⾒を出しにくい • 多数派意⾒が明らかになると,問題解決よりも同調の⽅が重要になる

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Amazonの”Two-Pizza Rule”1 ⼤⼈数だと,責任感がなくなり,派閥ができ,無駄の温床に 1: Hern, A. (2018). The two-pizza rule and the secret of Amazon's success. The Guardian, 24 April, https://www.theguardian.com/technology/2018/apr/24/the-two- pizza-rule-and-the-secret-of-amazons-success 社内のすべてのチームは2枚のピザを⾷べるのに ちょうど良い⼈数でなければいけない

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ブレストは組織の記憶⼒を⾼める 「組織の誰が何を知っているか︖」を組織の全員が知っている組織能⼒を構築 IDEO(アイディオ)におけるブレストの研究1 • 前例のない課題に取り組むには,多様な専⾨家の知の掛け合わせが重要 • 「誰が何に詳しいか︖」 「誰がどんな経験をしてきたか︖」など, 組織内にある知の所在地を共有することが求められる • ブレストは,知の所在地を共有する効果的な役割を果たす 1: Sutton, R. I., & Hargadon, A. (1996). Brainstorming groups in context: Effectiveness in a product design firm. Administrative science quarterly, 685-718.

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トランザクティブ・メモリー 「全員が同じことを知っている」より「誰が何を知っているかを知っている」ことが組織能⼒ 1: Wegner, D. M., Erber, R., & Raymond, P. (1991). Transactive memory in close relationships. Journal of personality and social psychology, 61(6), 923-929. 2: Lewis, K. (2004). Knowledge and performance in knowledge-worker teams: A longitudinal study of transactive memory systems. Management science, 50(11), 1519- 1533. • イノベーションの創出には「知の組み合わせ」が重要とされる • 知を共有することではなく,誰が何を知っているかを共有すること1,2 • 直接的な対話が効果的である⼀⽅で, メールや電話は負の効果になる2

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⽂化が戦略を⾷う

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⽂化が戦略を⾷う 良い戦略を考えるより先に,良い戦略を受け⼊れる⽂化づくりが必要 “Culture eats strategy for breakfast” Peter Drucker どんなに正しい戦略でも, 組織に染み付いた⽂化には勝てない

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厳格な管理より⾃由の提供 の⽅が⽣産性が⾼くなる 公平な成果主義の導⼊は 従業員の⼠気を⾼める 根拠に基づく意思決定ならば 不⽑な政治活動は不要に 情報隠蔽は不信感を⽣み 情報共有は信頼感を⽣む ⾃由・裁量 の提供 優れた能⼒の 適切な賞賛 科学的な 意思決定 オープンな 情報共有 OUR ASSET 価値づくりを⽀援する⽂化 Bock, L. (2019). Work Rules!: Insights from Inside Google That Will Transform How You Live and Lead. Twelve.

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抜けられない旧態依然の⽇本組織 あいまいな⽬的のもと,⼈情主義を重視し,過去の成功体験にとらわれた組織 曖昧な⽬的 • 意義が不明な活動に対し, 現場のモチベーションが低下 • 現場が都合よく解釈し,⾏動が⼀貫せず,無駄が発⽣ ⼈情主義 • 合理的な判断ではなく,⼈間関係を重視し,感覚論で意思決定 • 既に決定された事項に,都合の良い数字を後付け 過去の 成功体験 • 過去の成功体験を否定する選択の拒否 • プライドから失敗を認めず,いつまでも学習しない組織 ⼾部良⼀, 寺本義也, 鎌⽥伸⼀, 杉之尾孝⽣, 村井友秀, 野中郁次郎. (1984). 失敗の本質―⽇本軍の組織論的研究, 中公⽂庫.

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上記の妨害⾏為を意識的・無意識的に⾏っている”社内コメンテーター”を遠ざける 1: U.S Office of Strategic Services. (2016). Simple Sabotage Field Manual, Desert. 組織をダメにするCIAのサボタージュマニュアル1 1. 形式的な⼿順を過度に重視せよ 2. ともかく⽂書で伝達して,そして⽂書で間違えよ 3. 会議を開け 4. ⾏動するな,徹底的に議論せよ 5. コミュニケーションを阻害せよ 6. 組織内に衝突をつくり出せ 7. ⼠気をくじけ

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しかし,⽂化が根付くのは時間がかかる

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組織を動かす2つの⼒ BrainとMafiaをセットにすることで,⼈情組織でも,有益な戦略がスピーディに進む Brain Mafia ×

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明治維新の原動⼒ 維新のおり薩摩から⼈材が多く出たのは,⻫彬公の教育感化によるもの (勝海⾈)

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イノベーターのジレンマを超える 1: Christensen, C. M. (1997). The innovatorʼs dilemma. Harvard Business School Press コンセプトが⾰新的であればあるほど,社内で否定的な反応になる。 その結果,”優良企業”の⼤企業は既存事業を第⼀に考え,決断できない1 • 筋が通っているならば,反対されようが,何度も具現化・検証すべき (むしろ反対勢⼒が現れないプロジェクトの⽅が問題) • ここがマフィアの出番であり,ジレンマを超えられるか否かの鍵

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実現するための条件 1 会社を変⾰する経営層の強い意志 ⾼い成⻑性・利益率を実現できないのは,現状を打破する意志の⽋如. 他⼈任せで,⾃分ごとに考えられない組織に,変わるチャンスなどない. 2 失敗を許容する⽂化 失敗から学ばなければ成功など訪れない.早く何度も,他社よりも失敗をすべき. 5,000回以上失敗を重ねたDysonと,失敗を怖がる⽇本企業の差は歴然. 3 チャレンジを奨励するインセンティブ設計 案件数や関与額だけでなく,どれだけチャレンジしたか︖どれだけ有益な失敗をしたか︖ を適切に評価しなければ,現場はついてこない.

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1. 「競争優位」を規定する2つの要素 2. 捨てることが「戦略」 3. 競合の模倣に強い企業固有の「組織能⼒」 4. 戦略や⼈材を⽣かすも殺すも⼈事 5. まとめ アジェンダ

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世界各国の従業員満⾜の⽐較 (⽇本の中間回答傾向はあるものの) 従業員の職場への満⾜度は決して⾼いとは⾔えない Gallup. (2013). State of the global workplace. https://nicolascordier.files.wordpress.com/2014/04/gallup-worldwide-report-on-engagement-2013.pdf        !   %$ "  "( ' $  ") $$$#   $  $&( #

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従業員を軽視する企業は,持続的に顧客満⾜を⽣み出す基盤がない脆弱さ 従業員満⾜が顧客満⾜を⽣み出す 社内向け サービスの向上 従業員満⾜ の向上 定着率・⽣産性 の向上 商品・サービスの 知覚品質の向上 投資額の向上 売上・利益率 の向上 顧客ロイヤルティ の向上 顧客満⾜ の向上 サービス・プロフィット・チェーン1 優れた企業では,「従業員に向けた内部サービスは,従業員満⾜を⾼め, 顧客満⾜に寄与し,企業の成⻑に貢献する」というサイクルが持続的に回る 1: Heskett, J. L., Jones, T. O., Loveman, G. W., Sasser, W. E., & Schlesinger, L. A. (1994). Putting the service-profit chain to work. Harvard business review, 72(2), 164-174.

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成果主義で給与が⾼く,専⾨性が⾝につき,チャレンジできるやりがいある仕事 従業員満⾜を⾼める要因 要因 単語例1 単語例2 単語例3 頻度 寄与度(オッズ⽐) Resultism 成果主義 実⼒主義 実⼒重視 3.4% 2.259 Highincome ⾼収⼊ ⾼給 インセンティブ 9.9% 2.146 Challenging 挑戦 チャレンジ チャンス 5.0% 2.118 Rewarding やりがい 意義 ビジョン 6.9% 1.348 Professional プロフェッショナル 専⾨性 スキルアップ 3.2% 1.205 Training 研修 トレーニング 育成 8.2% 1.201 Welfare 福利厚⽣ 保養所 社割 6.8% 0.725 Diversity 多様性 外国⼈ LGBT 8.5% 0.571 Comfortable 快適 協調 雰囲気 8.5% 0.551 WorkLife ワークライフバランス 休暇 有休 17.8% 0.510 Flexible フレキシブル 裁量 ⾃由 8.7% 0.441 Stable 安定 堅実 健全 13.1% 0.254 Total 100.0% ­ Kato, T. (2021). Factors of Employee Satisfaction in the Difference between Frequency and Contribution. Proceedings of the 10th International Congress on Advanced Applied Informatics (IIAI-AAI) (pp. 563-568). IEEE.

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よく⾒られる会話 優秀な⼈材が⾼いロイヤルティを有する要因を把握し,適切に投資すべき • 従業員ロイヤルティを⾼めるため,社内スポーツイベントを開く • 有名な教授と対談イベントをして,職場を魅⼒的に⾒せよう • 社⻑と従業員の懇談の回数を増やして,⾵通しをよくしよう • 本⾳で話すには飲みニケーションを増やそう • 社内⽤イメージ動画をつくって,⼠気を⾼めよう いつまで⼩⼿先の⾒世物に頼るのか︖

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• 有望な⼈材が退職してしまう,あるいは優秀な⼈材採⽤に苦労するのは, 従業員の仕事に対する満⾜を組織が理解していないためである • ⼤切なことは「⼈⽣の⽬的」を満たす仕事と環境を提供することであり, それが従業員のロイヤルティを⾼める • 「⼈⽣の⽬的」とは,⼩⼿先の福利厚⽣ではなく,従業員がキャリアと して,何をなしていきたいかを理解し,その実感が得られることである • 従業員の最⼤の関⼼は,⻑期的なキャリアに繋がるか否かである 従業員の「⼈⽣の⽬的」を理解しているか︖ Butler, T., Waldroop, J. (1999). Job sculpting. Harvard Business Review, 77(5), 144-152.

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貧弱な環境は⼠気を下げる

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優秀な⼈材を獲得しても,貧弱な環境によって,⼠気低下・離職を招く 環境を軽視する代償 1: 崎村夏彦. (2020). さようなら, 意味のない暗号化 ZIP 添付メール PPAP: ⽇本のセキュリティ・ルネサンスに向けて. 情報処理, 61(7), 706-707. 2: ⼤川原拓磨. (2020).平井⼤⾂が宣⾔した「脱PPAP」がベンチャーで加速、パスワード別送と決別なるか. ⽇経クロステック, https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/04878/ • 平等なPC環境を重視した結果,専⾨家が⼗分に成果を出せない • 性悪説に基づく過度のセキュリティによって,⽣産性が著しく低下 • 全く意味のない慣例の強制的な遵守 例︓PPAP (Password付きZIP送付, Passwordを送付, Angoka, Protocol)1 - 同じ宛先に同じ形式で送るため,攻撃者が情報取得した場合2通とも⾒られる - Zipファイルでは,受信者のマルウェアフィルタが機能しない - 効率が悪い (送信者︓メールを2回送る⼿間, 受信者︓スマホで⾒られない) ※ 2020年11⽉に平井デジタル改⾰担当⼤⾂がPPAPの廃⽌を通知2

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教育への投資の重要性

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ジャック・ウェルチによるGEの⼈事改⾰ 半分以上の時間を⼈事制度設計に投資したジャック・ウェルチ1 • ニューヨークにグローバル研修センターを設置 • 20対70対10の業績評価システムを構築 - トップ20%は特別扱い (上位の役職, ストックオプション) - ボトム10%は解雇+転職⽀援 1: Bock, L. (2019). Work Rules!: Insights from Inside Google That Will Transform How You Live and Lead. Twelve.

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強みであるオペレーションの標準化・効率化を世界展開する原動⼒が”社内⼤学” 劉建英, 伊藤宗彦. (2010). ⽇本マクドナルドのサービス・イノベーション. マーケティングジャーナル, 30(1), 56-68. マクドナルドの⼈材育成︓ハンバーガー⼤学 • 創業者のレイ・クロックは「ハンバーガーを最初にベルトコンベアー に乗せた」と述べるように,⼯業製品のオペレーション思想が強い • ハンバーガー⼤学の⽬的は,マクドナルドの経営哲学であるQSC&V (Quality, Service, Cleanliness, Value)を実践できる従業員の育成 • 正規社員の場合,⼊社後4年間で2,000時間(就業時間の約25%)の研修

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グルーバル化を兼任する「地域専⾨家」 優秀な⼀部の⼈材に依存するのではなく,組織として再現性⾼い能⼒を構築 各国のニーズを捉えるマーケター「地域専⾨家」1 • ⼈材育成組織で3ヶ⽉間,⾔葉と⽂化を学ぶ (住み込み, 他⾔語使⽤禁⽌) • 派遣先の国で6ヶ⽉から1年間,業務として現地⽣活を送る (経費⽀給以外は誰の⼒も借りてはならない.独⼒で家を探す,⼈脈を広げる,...) • プロジェクト開始時には,現地の⼈と同等な⽂化理解が済んでいる 1: 吉川良三. (2011). サムスンの決定はなぜ世界⼀速いのか. ⾓川書店.

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1. 「競争優位」を規定する2つの要素 2. 捨てることが「戦略」 3. 競合の模倣に強い企業固有の「組織能⼒」 4. 戦略や⼈材を⽣かすも殺すも⼈事 5. まとめ アジェンダ

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まとめ • 競争優位を規定する要素は,「本社主導の戦略」と「現場主導の組織 能⼒」で,前者は業績を⼤きく左右し,後者は確実な利益に貢献する • 戦略は,やらないことを決め,⽬的に向けて適切に資源配分すること • 組織能⼒は,企業の競争⼒に貢献する組織ルーチンの体系 • ITの発達によってインテグラル型からモジュラー型に変化すると,価 格競争に陥るため,適切な戦略によって感性的価値づくりを⾏うべき • 「⽂化は戦略を⾷う」と⾔うとおり,⽂化の整備なきままでは戦略は 絵に描いた餅で終わる

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