Slide 1

Slide 1 text

2024/02/07 Engineering Manager Meetup #12 松雪 俊 "OKR"と"野望"で、 メンバーと組織をアラインメントする

Slide 2

Slide 2 text

自己紹介 2 松雪 俊(マツユキ タカシ) @applepine1125 2020年9月に入社 エンジニア -> Devのマネージャ BASE BANK Division(「BASE」の金融決済領域)の開発組織全体を見たり 新規プロダクトの開発リードしたり色々やってます

Slide 3

Slide 3 text

Contents - ”OKR”と”野望”が出会うまで - なぜ”野望”が必要なのか? - チームでの野望設定の現在地 3

Slide 4

Slide 4 text

内容に入る前に・・・ - これはBASE BANKとして実験的にアレンジ、試行錯誤しているやり方です。 - 組織規模や状況によってよりよい目標の立て方は異なると思っています。 - うちではこうしてるよーなど、ぜひこの後の懇親会などで情報共有したいです! 4

Slide 5

Slide 5 text

”OKR”と”野望”が 出会うまで 5

Slide 6

Slide 6 text

”OKR”と”野望”が出会うまで 2018年にチーム発足。金融領域の新規プロダクト開発、リリース。 当時は5人前後の小さなチームで、新規プロダクトの立ち上げには 何より個々のオーナーシップと熱量が必須と考え、”野望”を立てるようになった。 6 BASE株式会社 BASE BANKチーム紹介資料 https://speakerdeck.com/base/basebank 振り返りで積み上げた開発プラクティス( 2020年総まとめ) https://devblog.thebase.in/entry/bank-practices-2020

Slide 7

Slide 7 text

”OKR”と”野望”が出会うまで 7 上意下達的な目標設定だけをしていくのではなく、目標をボトムアップで生み出し、 メンバーの創造性の発揮やチームの成長を強く促す いきいきと働き続けられるようにするためのツール 君たちはどうユーザーと向き合うか https://speakerdeck.com/applepine1125/jun-tatihadouyuzatoxiang-kihe-uka-44b631d1-1037-41b8-b375-50d45cc2b4b5

Slide 8

Slide 8 text

”OKR”と”野望”が出会うまで BASE, BASE BANK共にプロダクトが大きく成長。 BASE BANKとしては0->1から1->10, 10->100へと向かうフェーズに。 さらなる事業成長のため、BASEグループ全体やBASE BANK内など色んな角度からの アラインメントの必要性が高まり、BASE BANKチームでも”OKR”の運用を本格開始 8 BASE株式会社 BASE BANKチーム紹介資料 https://speakerdeck.com/base/basebank

Slide 9

Slide 9 text

”OKR”と”野望”が出会うまで 9 Measure What Matters(メジャー・ホワット・マターズ) 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/2018/9784532322403/ “目標 (Objectives) と主要な結果 (Key Results)” “OKRはみなさんの最も重要な目標を明確にする。 全員の努力のベクトルを合わせ、協力させる。 組織全体に目的意識と連帯感をもたらし、多様な活 動を結びつける。”

Slide 10

Slide 10 text

”OKR”と”野望”が出会うまで 組織が同じ重要な課題にフォーカスし、 同時にやらない事も明確にするために必要 10 ”OKR” ”野望” メンバーが熱量を持って働き、 チームや組織をより強くしていくために必要 ”OKR”と”野望”の合せ技

Slide 11

Slide 11 text

なぜ”野望”が必要なのか? 11

Slide 12

Slide 12 text

なぜ”野望”が必要なのか? もうちょっとOKRを紐解いてみると・・ 12

Slide 13

Slide 13 text

なぜ”野望”が必要なのか? 13 Measure What Matters(メジャー・ホワット・マターズ) 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/2018/9784532322403/ “管理職もコントリビューターも日々の活動を 組織のビジョンと結びつけなければならない。 これをアラインメントと言い、 その重要性はどれほど強調しても足りない。” “うまく機能している組織では、 トップダウンとボトムアップの目標、 すなわちアラインメントされたOKRと アラインメントされていないOKRの関係が 自在に変化する。“ →上位からアラインメントを押し付けるの  ではなく、ボトムアップでもOKRを  策定することで組織の健全化を促している

Slide 14

Slide 14 text

なぜ”野望”が必要なのか? 14 OKRはツリーではない https://speakerdeck.com/navitimejapan/okrhaturidehanai 小田中さんのスライドからもまとめると・・・ OKRはかならずしも上位OKRから 厳密にブレイクダウンする必要はない →越境やオーナーシップを生み出す余地を残し、  組織全体に目的意識と連帯感をもたらす。 直接はチームのOKRに紐づかなくても、 グループ全体の開発生産性向上に繋がったり、 結果的にそれ自体がメンバーの成長に大きく影響し いきいきと働けるようになる個人OKR自体は 立ててもよい! 立てる中でいろんな視点、視座、視野で 議論をするのが大切

Slide 15

Slide 15 text

なぜ”野望”が必要なのか? ぶっちゃけ野望と同じようなことは OKRの枠組みの中でもできる。 しかし・・・ 15

Slide 16

Slide 16 text

なぜ”野望”が必要なのか? - 個人的にOKRに感じていた課題 - 組織文化の継続的な醸成 - 熱量とオーナーシップをより強く持ち続けてもらいたい - 仕事をリフレーミングし、学習の場として活用してもらいたい これらを解決、実現するために”野望”が必要と考え、今でも運用を続けている 16

Slide 17

Slide 17 text

なぜ”野望”が必要なのか? 17 個人的にOKRに感じていた課題 例えば・・・ - 油断するとTODOリストになりがち 特にストリームアラインドなチームでは上位OKR達成のための開発マイルストーン の完遂の圧が強まり、ボトムアップな意志がないOKRになりがち。 - 直接は上位のOKRに紐づかないOKRをボトムアップで立てたときに、 その理由や意義が伝わらりづらい 目標設定は連帯感も大事。 例えば他チームと協力しつつ中長期的な目標を達成するようなOKRを立てたとき、 理想形が見えづらく、より広い協力を得る機会を失う可能性がある。 これらを改善、補助できる仕組みがあるとより嬉しい!

Slide 18

Slide 18 text

なぜ”野望”が必要なのか? 18 企業ミッションの意味、意義、ロングタームで社会やユーザーと向き合い続ける姿勢が 組織全体に浸透しており、組織や文化の作り方にも強く影響を与えている。 もちろんBASE BANKでもその姿勢を体現し、チームの熱量を持続的に維持成長させ続けてい る。 BASE株式会社 BASE BANKチーム紹介資料 https://speakerdeck.com/base/basebank 自走するプロダクト開発チーム: 主体的なアウトプットサイクルと協働の文化 https://speakerdeck.com/applepine1125/self-organizing-product-development-team-empowered-output-cycle-and-collabor ative-culture 組織文化の継続的な醸成

Slide 19

Slide 19 text

なぜ”野望”が必要なのか? 19 19 組織重力の法則からの脱却 “組織重力第1法則: 組織に属する個人は日々の責任や インセンティブとの整合性がなければ顧客と向き合う 仕事を避ける 組織重力第2法則: 組織における個人は、自分の チームやサイロの心地よさの中で一番簡単に完了 できる作業を優先する“ BASEは第2創業期を迎え、BASE BANKもさらなるグロー スの時期。 これまで以上に職能を超えてコラボレーションし、 組織重力の法則に囚われないチームづくりが求められる。 O’Reilly Japan: みんなでアジャイル https://www.oreilly.co.jp/books/9784873119090/ 組織文化の継続的な醸成

Slide 20

Slide 20 text

なぜ”野望”が必要なのか? 20 組織重力から抜け出し、役割や職能の垣根を超えてコラボレーションし続けるために “フルサイクルエンジニア”という価値観を掲げたり、チーム体制も職能間でコンパクトに 意思決定できるような組織構造を作っているし、これからも作り続けたい。 BASE株式会社 BASE BANKチーム紹介資料 https://speakerdeck.com/base/basebank 組織文化の継続的な醸成

Slide 21

Slide 21 text

なぜ”野望”が必要なのか? 21 21 フレーミングの力 “学習する場というフレームを使う人は、なじみのない 困難な仕事に長く取り組めるだけでなく、 結果として最後にはより多くのことを学習できる。 ほかの人は自分とは違った角度からものを見たり 解釈しているかもしれないことをはっきり意識 していると、好奇心が強まり、どんなことを試すべきか について互いにどんどん話し合うようになる可能性が 高い。これこそが学習フレームのまさに本質である。“ チームが機能するとはどういうことか ― 「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ https://eijipress.co.jp/products/2182 組織文化の継続的な醸成

Slide 22

Slide 22 text

なぜ”野望”が必要なのか? 22 22 リーダーによる指針の表明と併せてボトムアップな目標も 立てることで、自身の役割や仕事をフレーミングする。 学習フレームを会得することでさまざまな機会を成長の きっかけと捉え、積極的に取り組み、越境していけるよう になる(なってもらいたい)。 フレーミングの力 チームが機能するとはどういうことか ― 「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ https://eijipress.co.jp/products/2182 組織文化の継続的な醸成

Slide 23

Slide 23 text

なぜ”野望”が必要なのか? 23 課題解決や文化醸成のために、熱量を乗せながらボトムアップに 目標を立てるための仕組みがOKRとは別に欲しかった →OKR運用以前から取り組んでいた”野望”の継続活用! 仕組みを通じてメッセージングもする

Slide 24

Slide 24 text

チームでの野望設定の 現在地 24

Slide 25

Slide 25 text

チームでの野望設定の現在地 25 O KR KR ・ ・ ・ O KR KR O KR KR ・ ・ ・ O KR KR 野望 野望 野望 O KR KR O KR KR 全社OKR 事業部OKR チームOKR 個人OKR BASE全体では個人OKRまで必須。 BASE BANK内の方針では、実験的にチームOKRまでは立てて、チームで柔軟に背中を任せ合 いながら事業目標に貢献できるように。個人野望を必須に。 O KR KR O KR KR O KR KR BASE BANK

Slide 26

Slide 26 text

チームでの野望設定の現在地 26 OKR 野望 グループ OKR 個人 野望 チーム OKR ・・・ 本人 マネージャーや メンバー マネージャーやメンバーと共に野望と OKRのアラインメント →事業としてフォーカスすべき目標と個々 がやりたいこと、できるようになりたい ことをすり合わせて野望に落とし込む アラインメントと自律性のバランスを取る 日々の1on1やQごとのOKR策定のタイミン グで振り返りと野望のアップデート →対話とフィードバックを通じて  OKRと野望を手になじませる 日々の仕事の捉え方をアップデートする アラインメント アップデート

Slide 27

Slide 27 text

チームでの野望設定の現在地 27 野望例(実際のメンバー(本人許可済み)のをぼやかしつつ書いています) マネージャーからの期待: - チームリードの役割を担えるように、目下の高難易度PJを完遂し周りの巻き込み方、意思決定の仕方を学んでいってほしい! - コミュニケーション能力の高さを活かし、BASE BANK以外にも越境しチーム運営のノウハウを吸収してチームに還元してほ しい! 野望: - 自分が見ているチームが生産性高くアウトプットし、価値を最大限生み出せている状態を作る - より大規模(長期間、大人数)な仕事をエンジニアとしてリードし、完遂できるようになる Qのゴール: - チームリーダーに依存している見積もりを”チームで”行えている状態にする - なぜ - チームリーダーの継承にあたり、これまで前リーダーがえいやでポイントを振っていた - 具体的には - バックログリファインメント時の各 issue に、納得感を持ってストーリーポイントを”チームで”つけられている状態

Slide 28

Slide 28 text

チームでの野望設定の現在地 28 野望例(実際のメンバー(本人許可済み)のをぼやかしつつ書いています) マネージャーからの期待: - チームリードの役割を担えるように、目下の高難易度PJを完遂し周りの巻き込み方、意思決定の仕方を学んでいってほしい! - コミュニケーション能力の高さを活かし、BASE BANK以外にも越境しチーム運営のノウハウを吸収してチームに還元してほ しい! 野望: - 自分が見ているチームが生産性高くアウトプットし、価値を最大限生み出せている状態を作る - より大規模(長期間、大人数)な仕事をエンジニアとしてリードし、完遂できるようになる Qのゴール: - チームリーダーに依存している見積もりを”チームで”行えている状態にする - なぜ - チームリーダーの継承にあたり、これまで前リーダーがえいやでポイントを振っていた - 具体的には - バックログリファインメント時の各 issue に、納得感を持ってストーリーポイントを”チームで”つけられている状態 マネージャーからの期待を明記することで、”本人が言っているだけ”ではなく周りのメンバーからもこの人はいまどういう期 待を受けているのか? や野望とのつながりなどちゃんとマネージャーとアラインメントできていることを示す Qに閉じない中長期的な目標を設定。持続的な事業貢献や成長を意識しながらQのゴールへブレイクダウンできるようにする 野望を元にQ単位での具体的なアクションを明記。 Why?も書くことで、一見チームやグループのOKRに紐づかない目標であっても周りのメンバーが納得し相互に巻き込みやす い状態を作る

Slide 29

Slide 29 text

チームでの野望設定の現在地 29 野望は自分がただやりたいことを突き通すためのツールではない 事業の成長 ↔ 個人、チームの成長 この2つをアラインメントして、ロングタームで事業貢献ができる チーム、メンバーを作っていくためのコミュニケーションツール

Slide 30

Slide 30 text

おわりに 30 コミュニケーションの取り方、書き方、振り返り方などは まだまだ試行錯誤中 みなさんの目標設定の仕方もぜひ教えてください!