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Hotwire から DHH が考えるこれからの Rails と JS との付き合い⽅を知る @willnet 1

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いろんな会社で技術顧問をしつつ、空 いた時間で savanna.io などを開発して います 2

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savanna.io は Hotwire を利⽤していま す 3

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今⽇は Hotwire の話をします 4

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Hotwire とは? Basecamp 社製js フレームワーク Rails の作者であるDHH がCTO をしている会社 hey.com(Basecamp 社製メールアプリケーション) を作るのに使われ ている 複数のフレームワークで構成されている 5

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Hotwire とは? ( 意訳) モダンなweb アプリケーションを、JSON とたくさんの JavaScript を使うことなしに、HTML を送ることで実現するアプロー チ Hotwire is an alternative approach to building modern web applications without using much JavaScript by sending HTML instead of JSON over the wire. “ “ 6

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今どきの js フレームワークといえば JSON を使うのがふつう? サーバサイドはJSON を返す フロントエンドはJSON を受け取る そこからDOM を構築してHTML をレンダリングする js ですべてを制御するのでUI を細かく作り込める 7

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でもそれって⼤変ではないですか? ロジックがサーバサイドとクライアントサイド両⽅に必要になる クライアントは複数存在するのでそれぞれで実装を頑張らないと… ブラウザ iOS Android それぞれに専任のエンジニアが必要 8

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Hotwire を使うとどうなるか サーバサイドにロジックを寄せることができる クライアントサイドのコードは最⼩限に抑えることができる それでいて、それなりにSPA ができる 結果として ひとつのチームですべてを担当できる( かも) 好きな⾔語を使える Hotwire はRails に限らず使えるようになっている ※ブリッジになるようなものは必要(ex: turbo-rails gem) 9

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とはいえ vue やreact と⽐べて細かいことはできない native アプリケーションも基本webview になるぞ hey.com (Basecamp 社製のメールサービス) くらいのものであれば Hotwire で実現できるので、そのレベルで問題ないサービスならOK 「そのレベルで問題ないサービス」は結構な割合でありそう 10

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Hotwire のアーキテクチャ Turbo Turbo Drive Turbo Frames Turbo Streams Turbo Native Stimulus Strada( 現時点で未発表なので今回は話しません) iOS やAndroid のネイティブで必要な機能(ex: カメラ) とHTML と をつなげるためのライブラリらしい 11

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前提 Hotwire はRails に限らず使えますが、Rails を前提にしたツール (turbo-rails) があるのでRails で使うのが便利です 今回はturbo-rails を利⽤している前提で話します 12

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注意点 IE などの古いブラウザで動かすのは⼤変そう fetch API custom elements Intersection Observer API など、モダンブラウザでしか動かないAPI を利⽤している polyfill を使えば動きそうだけど⼤変そう IOS も12 以上( 近いうちに13 以上) が必要 13

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Turbo から話していきます 14

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Turbo Drive Turbolinks を改善させたもの 15

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Turbolinks とは Rails4.0 からRails 標準のライブラリとなっている すべてのリンクをajax で置き換える 受け取ったHTML のうち、body だけを現⾏のものと差し替える するとjs やcss のダウンロード→ パースをスキップできるぶん⾼速化 できる 16

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不遇の Turbolinks リリース当時( 約7 年前) はjQuery およびjQuery プラグイン全盛 Turbolinks はjQuery プラグインと相性が悪いことがあった Turbolinks を使うためには⾊々わかっている必要があった 通常のページロードは最初の⼀回のみであること E2E テストで、次ページに遷移したかをちゃんと待つ必要がある form に関しては完全に対応していないこと ハマるひとが多く、デメリットが⼤きいと判断→ 基本消されるライ ブラリに 17

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Turbolinks もきちんと理解して使えば 使いやすい いまはSPA なアプリケーションも増えたので、フロントエンドの知 識のある⼈も増えている( はず) 要点さえ押さえれば、少ない労⼒でSPA 化が可能なメリットは変わ っていない 18

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( 余談 ) いま Turbolinks を使っているひと はどうやって Turbo に移⾏したらいいの エイヤで頑張ると移⾏できます 詳細はブログに書いたのでこちらを⾒てください Turbolinks からTurbo への移⾏ - おもしろweb サービス開発⽇記 19

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Turbo Drive による改善 form に関してもデフォルトでturbo 仕様になった form_with ヘルパメソッドはこれまでTurbolinks を意識し、デフォ ルトで data-remote="true" 属性がついていた Turbolinks を使っていない⼈からしたら混乱の元 Turbo がリリースされたことにより、Rails6.1 から data-remote="true" はデフォルトオフになった 20

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Turbo Drive の form 送信時の挙動 form 送信時は302 などのレスポンスが返るとリダイレクト、4xx や 5xx 系が返るとレスポンスボディを差し替えて履歴はそのまま、と なった Turbolinks 時にここをちゃんとやろうとすると⼿動でSJR(Server generated javascript response) して対応する必要があった 21

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SJR ってなに 例えばPost のcreate アクションでバリデーションエラーが起きたら、 次のようなposts/create.js.erb をレンダリングします。 (shared/_error.html.erb にエラーメッセージ⽤の部分テンプレートが ⼊っている想定) document.querySelector('#error').innerHTML = "<%= j(render("shared/error", model: @post)) %>"; するとrails-ujs が↑ の内容をeval してくれるので
にエラーメッセージが表⽰されます。 22

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SJR 、セキュリティどうなんですか さっき提⽰したコードのレベルなら⼤丈夫だけど、ユーザが⼊⼒し た⽂字列をカジュアルにSJR とすると⼤変危険ですね>< そもそもTurbo(links) でなにかするときに頻出する操作は限られて いる 特定のDOM にHTML を挿⼊する(append, prepend) 特定のDOM を差し替える(replace, update) 特定のDOM を削除する これを提供するのがTurbo Streams 23

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Turbo Streams Turbo のレスポンスとして、↓ のようなHTML ⽚を Content- Type=text/vnd.turbo-stream.html で返すとTurbo がいい感じに処理し てくれる。
id がmessages なDOM の内部に挿⼊(append) される
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Turbo Streams で部分テンプレート活⽤ turbo-rails を使っていると次のように書ける turbo-stream タグやtemplate タグを⾃動で付与してレスポンスを返 す これで既存の部分テンプレートを活⽤できる!! def create message = Message.create!(params.require(:message).permit(:content)) render turbo_stream: turbo_stream.append(:messages, # ここがturbo-rails 提供部分 partial: "messages/message", locals: { message: message }) end end 25

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複数操作をする ビュー側で複数のturbo-stream タグをレンダリングして複数操作をす ることもできる <% # app/views/entries/entry.turbo_stream.erb %> <%= turbo_stream.remove entry %> <%= turbo_stream.append "entries" do %> <%= render partial: "entries/entry", locals: { entry: entry } %> <% end %> 26

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Turbo Streams で使える action action として使えるのは次の5 種類のみ append prepend replace update remove レールを敷くことで判断を楽にできるのと、SJR でセキュリティに⽳ を開けるのを防ぐことができるのがメリット 27

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Turbo Streams と websocket websocket(Action Cable) でも使える turbo-rails にはAction Cable ⽤のヘルパメソッドがあり、subscribe やbroadcast が簡単にできるようになっている 例えば新着メールが来たタイミングで⾃動的にメールが追加され る、というのが簡単にできる 詳細はturbo-rails ソースコードをみてください( 現時点でドキュメ ントにはほぼ記載がない) 28

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ここまで⾒てわかる Turbo ができること 既存のHTML をそのまま使いつつユーザ体験を良くする(Turbo Drive) 同じテンプレートをいろんなところで使い回す(Turbo Stream) ex: ⼀通のメッセージを表す部分テンプレートをTurbo Streams で も使う 29

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もっと使いまわしたい いろんな環境で共通のテンプレートが使えるとうれしい スマホなどの⼩さい画⾯ PC の⼤きい画⾯ そこで Turbo Frames ですよ 30

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Turbo Frames turbo-frame タグ中に書かれた要素はframe として区切られる frame 内のリンクはTurbo Frames ⽤のリンクとなる( 詳しくは次⾴)
メッセージ⼀覧

Hotwire

いいですね

// ↓ をクリックすると… ? メッセージを編集する 31

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Turbo Frames

メッセージの編集

メッセージの内容 32

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つまり Turbo Frames を使うとレスポンスのHTML の⼀部を使い、もとの HTML の⼀部を部分的に差し替えることができる 33

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turbo-frame タグの中だけど普通のリン クにしたいときもありますよね
メッセージ⼀覧

Hotwire

いいですね

メッセージを編集する 34

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Turbo Frames のメリット target="_top" つけはずしすることで、⼀つのテンプレートを使いま わしできる ⼤きいディスプレイのときはインライン編集 スマホなどの⼩さいディスプレイでは専⽤のページに遷移させる 35

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Turbo Frames のもう⼀つの活⽤⽅法 src 属性をつけると、値となるURL を⾮同期でfetch する ファーストビューの時間を短縮できる Turbo Frames ⽅式でレスポンスを差し替える

ともだち⼀覧

...

ともだちかも?

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Turbo Frames でさらに遅延表⽰ loading="lazy" をつけると、その要素が画⾯に表⽰されるまでロー ドを遅延する

ともだち⼀覧

...

ともだちかも?

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Turbo Native iOS やAndroid でTurbo を使うためのライブラリ webview でアプリケーションを利⽤する 主にTurbo Drive での遷移による履歴をネイティブで管理するた めのもの 38

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Turbo については⼀通り話した 39

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Turbo を使うとサーバサイドにロジック が集中する つまりjs の量が減る が、ゼロになるわけではない Turbo を使うと、全ページで使うjs をひとまとめにして提供するよ うになる js の整理がたいへん 「A というページでだけ発⽕させたいjs 」を管理するのがたいへん 40

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Stimulus HTML とjs をいい感じに紐付け合い整理するライブラリ 学習コストが低い 41

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特定のページだけで発⽕させたい js が 書きやすい // hello_controler.js import { Controller } from "stimulus" export default class extends Controller { connect() { // ここにdata-controller="hello" が // 表⽰されたときに実⾏したい処理を書く } } 43

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Stimulus のメリット controller ごとにファイルが⾃然と分かれて整理される HTML タグの属性名を⾒るとjs のどの部分に紐付いているかすぐわ かる 特定のページだけで発⽕させたいjs が書ける 44

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まとめ 未公開のStrada を除き⼀通りHotwire について説明した Hotwire は、" 最⼩限の労⼒でユーザが求めているサービスを提供す ること" に特化しているライブラリ つまりそれはRails と同じ⽅針をフロントエンドにも持ち込んだ、 と⾔える 少⼈数で開発するスタートアップ〜中規模なサービスに特に向い ているはず 便利なので使ってみてください! 45