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知識社会マネジメント 6月28日 第11回 「テクノロジーによる民主主義への挑戦」 Innovation management in knowledge society 2024夏学期講義金曜2限(10:25〜12:10) 佐々木一 Hajime Sasaki Ph.D. 東京大学 特任准教授 未来ビジョン研究センター

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サービス消費者 VS サービス提供者 市⺠︓街をメンテナンスするのは市役所の仕事、 税⾦も払っているんだからきちんとやって欲しい。 役所︓市⺠のためにメンテナンスしたいのは⼭々だが、 予算にも限りがあり、すぐに全部をやるのは到底不可能。 市⺠︓役所はきちんと仕事をしてくれない。 役所︓市⺠は市役所の仕事をわかってくれない。 『ベンチを直す⼈は出せないが、ペンキならある』、FixMyStreetでわかったこと, http://okfn.jp/2013/02/12/fmsj/ 解決するわけがない。

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lͱ͔͘ࢲͨͪ͸ɺ੓෎ʢ࣏ࣗମʣͱ͍ ͏΋ͷΛҰछͷࣗಈൢചػ˞ͷΑ͏ͳ ΋ͷͩͱߟ͕͑ͪͩɻ ੫ۚΛ౤ೖ͠ɺಓ࿏΍ڮɺපӃɺফ๷ɺ ܯ࡯ͳͲͷߦ੓αʔϏεΛऔΓग़͢ɻ ͦͯࣗ͠ಈൢചػ͔Β๬Έͷ΋ͷ͕ग़ ͯ͜ͳ͍ͱจ۟Λݴ͏ɻ ࢲͨͪ͸ࢢຽࢀՃͱ͍͏΋ͷΛɺͳͥ ͔ͩࣗಈൢചػΛ༳͞ͿΔ͜ͱͱಉҰ ࢹ͢ΔΑ͏ʹͳͬͯ͠·ͬͨɻz Gov 2.0: It's All About The Platform, https://techcrunch.com/2009/09/04/gov-20-its-all-about-the-platform/ Tim OʼReilly ※「⾃動販売機型政府」の概念⾃体 は⾏政学者ドナルド・F.ケトルに よるものが起源。

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制度の隙間にある課題はロングテール • 福祉、交通、教育etc︓変化していく社会、増える課題の数と種類 • ⾼齢化、少⼦化 → 税収減、⼈員減 ⽩川展之, シビックテックの実践とオープンサイエンスの公共政策, より抜粋 ※ • 提供されるサービスのメニューが予め全て決まっている。 • ⾃分の製品を⾃販機に⼊れてもらえるベンダーは限られている。 • その結果、利⽤者の選択肢は限られ、価格も⾼い。 ⾃治体の既存ビジネスでのサービス 「⾃動販売機モデル※ 」で対応するには限界がある。

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⾃販機モデルから市⺠政府へ Input 税⾦ 政府 (地⽅)⾃治体 Output ⾏政サービス (橋、道路、 警察、消防 etc.) 不満があれば、叩く、揺さぶる 抗議活動 政府 (地⽅)⾃治体 市⺠ ⾃販機モデル 市⺠政府 Input 税⾦ Output ⾏政サービス 稲継裕昭 編著, シビックテックより⼀部改変

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Adopt a Hydrant https://www.esri.com/esri-news/arcwatch/1215/adopt-a-fire-hydrant-app-makes-a-splash-in-land-of-10000-lakes

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GetCalFresh(カリフォルニア) • フードスタンプの応募の簡便化 • 取り忘れのリマインダ・適切な⽀給 Honolulu answers(ホノルル) DiscoverBPS(ボストン) ・⾃治体のサイトがわかりにくい ・⾃前の検索エンジンを実装した⾃治体のはしり ・公⽴⼩学校の選択時 ・必要な情報、⼿続きの⼀元化 Clear my record(S.F.)

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活動︓ • フェローシップ︓⾏政⾃治体への派遣 • ブリゲード︓ 各⾃治体におけるコミュニティ活動 • スタートアップ︓ 起業家への助成⽀援 • ピアネットワーク︓成功事例の横展開 • 国際活動︓ Code for All 派遣都市 成果 シアトル、ボストン、フィラデルフィア 学校進学選択マップ、犯罪歴消去 シカゴ、デトロイト、ニューオリンズ他 311プロセス改善、バス通知システム サンフランシスコ、ラスベガス他 コミュニティヘルスシステム アトランタ、デンバー、チャタヌガ他 オープンデータ活⽤、エコシステム サマービル、インティアナポリス他 教育⽣徒⽀援、故郷安全情報提供 フェローシッププログラム成果例 Mission︓ ”21世紀における市⺠による市⺠ のための政府”の実践

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https://www.ushahidi.com/blog/2018/03/07/elections-are-important-to-ushahidi Ushahidi ︓スワヒリ語 =⽬撃者 「だれか、⼀緒に無料地図情報サービ スに暴動発⽣個所と被害状況をマッ シュアップするサービスを作ろう︕」 週末3⽇の作業でプロトタイプをリ リース その後 ハイチ⼤地震 クライストチャーチ地震 メキシコ湾の原油流出などでも活⽤

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sinsai.info sinsai.info を1ヶ⽉やってきて思うこと【関治之】https://techwave.jp/archives/51650191.html ■震災4時間後にサイト⽴ち上げ ʮ໾ʹཱ͔ͭͲ͏͔෼͔Γ·ͤΜ ͕ɺͱΓ͋͑ͣ6TIBIJEJαΠτΛ ্ཱͪ͛·ͨ͠ʯ ■2ヶ⽉後 レポート 1万件以上 アクセス数 100万PV/⽉ 訪問者 65万⼈ ユニークビジター 50万⼈ 参加ボランティア 延べ300⼈ 関治之 ⽒ Georepublic Japan代表 コードフォージャパン代表 政府CIO補佐官

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Code for Japan:「ともに考え、ともにつくる」をコンセプトに、技術活 ⽤をしながら課題解決を⾏なっていくコミュニティ

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Code for Japanの理念

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伽藍とバザール (Eric S. Raymond, The Cathedral and the Bazaar, 2007) •伽藍(⼤聖堂)⽅式︓ •⼀部の開発者のグループ内で開発が⾏ われ、形になるまで外部に公開しない。 •開発の経過は基本的に部外者には⾒せ ない。 •バザール⽅式︓ •参加者を限定せず、⾃由に⾃主的に開 発を進められる。 • 「早めのリリース。しょっちゅうリ リース」 を基本とし、開発過程も公開 することにより、⽣産性を上げる。 https://cruel.org/freeware/cathedral.pdf

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•中央集権な組織ではなく、素早く意思決定、こまめに フィードバック。 •意思決定のルールの例 •多様なメンバーが参加しているので皆が同じ⽅向を向 くのは難しいことを前提に議論する。 •「全員の合意」ではなく「⾏動につながる仮説を」つ くることを意識する。 •「⾃分以外の誰かが◯◯をやるべき」ではなく、「⾃ 分がどう貢献できるか、⾃分が何をしたいか」を基本 に考える。

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出典: 川⼈隆央, FixMyStreet Japanの取り組み • ⽣産年齢⼈⼝は急激に減るが、あわせて地域が狭くなるわけ でもない。街の問題も急激に減ることはない。 • インフラは⽼朽化。 • ⼈⼝の減少に合わせて⾃治体職員も減る。 • 問題に対応できるリソースも減る。 ⼀⽅で • 住⺠は専⾨知識はなくても⾃分の地域に起こった問題を⾒つ けることはできる。 • ⾒つけることは住⺠が⼀部にない、専⾨知識を持った職員が 道路の修繕等必要なことに注⼒できるようにする。

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出典: 川⼈隆央, FixMyStreet Japanの取り組み

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60%が開庁時間外に投稿されたレポート(半⽥市) •道路の修復にかかる時間の短縮。早ければ数時間。 (複数) •「道路の⽳はだいたい1⽇で直っています。これは⾃ 信を持って⾔えます。お褒めをたくさん頂いていま す。」(⽣駒市) •防犯灯の故障が多数⾒つかる。 「特に防犯灯について は助かりました。暗い時にいつも職員は⾛って(パト ロールして)いませんので」(⽣駒市) •⼟⽇出勤が減った。(半⽥市) 出典: 川⼈隆央, FixMyStreet Japanの取り組み

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制度の隙間にある課題はロングテール • 福祉、交通、教育etc︓変化していく社会、増える課題の数と種類 • ⾼齢化、少⼦化 → 税収減、⼈員減 ⽩川展之, シビックテックの実践とオープンサイエンスの公共政策, より抜粋 ※ • 提供されるサービスのメニューが予め全て決まっている。 • ⾃分の製品を⾃販機に⼊れてもらえるベンダーは限られている。 • その結果、利⽤者の選択肢は限られ、価格も⾼い。 ⾃治体の既存ビジネスでのサービス 「⾃動販売機モデル※ 」で対応するには限界がある。

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制度の隙間にある課題 ⼦育て問題のケース 全国画⼀的な法制度、⾏政サービスでは 当局⼗分に認知されない課題。 さっぽろ保育園まっぷ のとノットアローン ⼦育て中の⺟親の社会的な孤⽴を情報技術に よって距離的制約を超えて結びつけ,新たな社 会的紐帯の創出。 様々な形態の保育園(その後、医療機関)をオ ンライン地図上に可視化して⽗⺟ に保育園の位 置と⾃宅との距離等を知らせる。⼈⼝が集積す る都市圏での⾏政サービスへのアクセス向上。

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アプリ < コミュニティ

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Brigade(ブリゲード)︓ Code for Japanが提供する連携プログラムに参加している各地のコ ミュニティ

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© Code for Japan コロナ禍で生まれた様々なアクティビティ ダッシュボード 検索サイト アイデア募集 NPO支援 プロトタイピング 関治之, オープンガバメントとデジタルテクノロジー, 第6回GIST-DXセミナー

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© Code for Japan オープンソース化して公開 関治之, オープンガバメントとデジタルテクノロジー, 第6回GIST-DXセミナー

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© Code for Japan 世界中からの貢献 3週間の間に 224 名が改善に協力 750 件の提案 671 件が取り入れられる 作成数 クローズ数 Issue数 1,364 1,283 Pull Request 数 2,628 2,604 これまでの累計(Bot等を除いた数) 関治之, オープンガバメントとデジタルテクノロジー, 第6回GIST-DXセミナー

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© Code for Japan 全都道府県に波及 関治之, オープンガバメントとデジタルテクノロジー, 第6回GIST-DXセミナー

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総務省:新型コロナウイルス感染症対策サイトのためのデータ公開について より 関治之, オープンガバメントとデジタルテクノロジー, 第6回GIST-DXセミナー

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Code for Kanazawaから全国展開 オープンソースにして横展開した事例 Open Knowledge Foundation Japan から全国展開 Code for Sapporoから全国展開 Code for Tokyoから全国展開

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行政のシステム調達要件にOSSでの公開を入れることの メリット OSSで公開する前提にすることで、 ● 可読性が⾼いソースコードが提供される ● 技術⼒のあるベンダーを選定できる ● 他の⾃治体にも広がれば、より品質が向上する可能 性がある ● 不必要なベンダーロックインを排除できる ● 知的資産への投資になる 関治之, オープンガバメントとデジタルテクノロジー, 第6回GIST-DXセミナー

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オープンソースへの投資は、社会的な知的資本の蓄積に繋が る http://blog.cleverelephant.ca/2018/01/govt-oss-clusters.html

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テクノロジーによる⺠主主義への功罪 • 社会的側⾯︓ソーシャルメディアがこれまでは社会的に孤⽴していた⼈々 がつながりを提供してきた⼀⽅で、これらのツールは社会的孤⽴と疎外感を悪 化させる⼀因にもなっている。 • 経済的側⾯︓インターネットやテレワークによって多様な雇⽤形態が可能 になったが、発展途上国や伝統的な労働市場に適合しにくい労働者にも機会が 広がった。多くの先進国における中間層の空洞化に寄与する傾向。 • 政治的側⾯︓先進国を含む多くの⺠主主義国家で、分極化や過激派政党の 影響⼒が次第に⾼まっている。テクノロジーは、2000年以降の分極化の⻑期 的な傾向、特に⽶国における傾向に寄与している可能性が⾼い。 関治之 (2024) シビックテックによる、社会と⺠主主義のアップデート

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⺠主主義を発展させるための概念 「Plurality︓ ⿻數位 」 •テクノロジーが政治や社会にもたらしたネガティブな影響に対 抗するために、テクノロジーによって市⺠の⼒を取り戻すこと による挑戦の⽅向性。 •Audrey TangやGlen Weylによって最近提唱された概念。 •「単⼀の中央政府」に対して「多様な⼈々」を対置する表現。 •「Singular(単数)」の対義語としての「Plural(複数)」

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「Plurality︓ ⿻數位 」のアプローチ •科学をベースにしながら、社会にアプローチする •システムを意識しながら、新たな統治システムの構築を⽬指す •社会組織の様々なレベルが交差する、分散型のコミュニティ •⼤規模で統⼀された、合理的で科学的な計画システムを 志向するのではなく、独⽴、孤⽴した個⼈と資本主義の ダイナミクスに任せるのでもなく、個⼈と社会の関係性 を重視して実践していく 関治之 (2024) シビックテックによる、社会と⺠主主義のアップデート

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主観か客観かではなく、⼀⼈の主観から⼤勢の主観へ ブロードリスニング • ⼤勢の意⾒を聞くことを⽀援する技術としてPluralityの⽂脈で登場 • AIによる要約、統計、クラスタリングなどを活⽤して多数の⼈の意⾒を • わかりやすく、届ける、可視化する、共有する。 出典︓⻄尾泰和(サイボウズ・ラボ)

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Talk to the city Pol.is

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Pol.isに触れてみる ひとつめのテーマ 学費引き上げ議論について https://pol.is/6xefhcscde ふたつめのテーマ ⼤学院⽣の新卒就職活動と研究活動のバランスについて https://pol.is/3djrnevdwb

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vTaiwan(市⺠と台湾⾏政が運営するプロジェクト) •運営主体︓シビックテックコミュニティg0v 零時政府(ガブゼ ロ) •ひまわり 抗議運動(2014)を契機に市⺠が⽴法のあり⽅をめ ぐって政府への意⾒提案。 •当初からのg0vメンバー唐凰(Audley Tang)がITデジタル担当に なってより正式な権限獲得。 •誰でも法規制に関する議論を提起できるプラットフォーム。 •多様なステークホルダ との議論 •積極的なデジタルツールの活⽤。(⾏政、企業、消費者) •対⽴する⽴場をあえて明らかにし、相互の考える機会を提供。 •問題点の集約と解釈。 •コミュニケーションギャップを埋める。 •意思決定過程の⽂書化 ⽯⽥ 聖(2021), シビックテックにおける市⺠参加型 プラットフォームの機能分類

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vTaiwanにおけるプロセスとツールのシームレスな接続 Hsiao et al. 2018 • ⼀部が⽴法院で提出 され法案。 • 議論の80%以上が政 府のアクションに。 提案段階 意⾒段階 振り返り段階 ⽴法段階

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vTaiwanにおける市⺠による政府への提案事例 アルコールのオンライン販売案(2015) •財政部、酒店、市⺠の協議→うまくまとまらず。 •vTaiwan上で450⼈が議論。 •合意形成といくつかの提案。 •販売は限られた電⼦商取引プラットフォームと流通業者のみ •決済はクレジットカードのみ •受けわたしはコンビニで(⼦どもの不正購⼊が不可能) •→2016︓台湾政府草案にまとめ議会提出。

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vTaiwanにおける市⺠による政府への提案事例2 UberX︓台湾進出への規制要請(2015) •公開競技トピックとしてUberX案件の議論開始。 •Pol.isによるリアルタイム意⾒集約 • 運転⼿、タクシー組合、企業代表、学識経験者、消費者の利害を可視化。 • ライブキャスト1875⼈の参加。 • 3115投票、145コメント。 •2016︓⾃動輸送管理規則の改正および施⾏。 • ⻩⾊に塗る必要なし • 既存料⾦を下回らない限り営業は⾃由。 • 配⾞システムにドライバーの識別、運賃、評価の表⽰ • ライドあたり課税の報告義務

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•市⺠参画

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© Code for Japan オープンガバメント ● OECDの定義「民主主義と包括的成長を支える、透明性、誠実さ、説明責任、 ステークホルダー参加の原則を推進するガバナンス文化」※1 ● ここでの「ステークホルダー」とは、年齢、性別、性的指向、政治的所属や、個 人、政府、学会、民間セクターなどの区別無しに、政策から影響を受けるすべ ての人を指す ● 参加のレベルには、「情報提供(Information)」「諮問(Consultation)」 「より深い関与(Engagement)」などがある ● 勧告文書では、オープンガバメント戦略の策定、イニシアチブ組織の設置、指 標策定と定期的な計測による改善が推薦されている 48 ※1:https://legalinstruments.oecd.org/en/instruments/OECD-LEGAL-0438#_ga=2.37822115.1251313301.1554450220-751648841.1537891795 関治之, オープンガバメントとデジタルテクノロジー, 第6回GIST-DXセミナー

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© Code for Japan 参加のレベル3「エンゲージメント」 ● あらゆる参加者は、アジェンダの設定・プロジェクトや政策の提案・対話において、同等の立場にある ● (そのために)対話の機会と情報、データ、デジタルツールなどの必要なリソースが与えられる OECD「オープンガバメントに関する理事会勧告」(2017年) https://legalinstruments.oecd.org/en/instruments/OECD-LEGAL-0438 transparency public participation collaboration 関治之, オープンガバメントとデジタルテクノロジー, 第6回GIST-DXセミナー 情報提供 諮問 より深い関与

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現実・ 課題 問題に対する姿勢 状態1:傍観者(批評家) 自分には関係ないことにしている 状態2:課題解決型 状態3:主体者(自分も起点) 問題を分析し、解決する ただし、外側から対処する 問題を作り出している 可能性があるところに立つ 問題をシステムと捉え全体を俯瞰し、 自分もその問題に加担している(一部 を担っている)という所に立ち、自分の あり方(Being)からその問題自体に変 化を与える 問題を分析し解決する。ただし、問題 は絡み合って益々高度化し、次から 次へと新たな課題が発生する 飲み屋で会社の悪口を言ったり 、うちもトップが変わってたらいい のだけどね、と言う状態 ■旨み: 責任を取らなくていい、安心、居心地が いい、傷つかなくていい ■代償: ・現状は何も変わらない ・今の環境を生き続ける ・成長しない ■旨み: 達成感、成長・能力が上がる、頼られる、 承認される、自己効力感、自己価値の証 明 ■代償: ・分断が起こる可能性がある ・どこかむなしさを感じる ・孤軍奮闘、自分だけが頑張る ・責任ばかり上がる セルフ リーダーシップ 現実・ 課題 現実・ 課題

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© Code for Japan 51 アジャイル・ガバナンスとオープンガバメン ト ● 社会のありたい姿そのものがつねに変化。 ● ルール自体を柔軟に変えていく必要がある ● 社会のガバナンスは何重にも積み重なっている(Governance of Governance ) ● 「ゴール設定」「システムデザイン」「運用」「説明」「評価」 「改善」をマルチステークホルダーで継続的かつ高速に発展させて いく「アジャイルガバナンス」が必要 ● ステークホルダーとコミュニケーション。 ● 特定の有識者での議論や過去のパターンのあてはめではない有機的 なありかたの模索。 ● 誰一人取り残されない包摂的なルールメイキングをするには、オー プンガバメントの取り組みも必須となる 関治之, オープンガバメントとデジタルテクノロジー, 第6回GIST-DXセミナー

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© Code for Japan 52 トップダウンとボトムアップ、双方が必要 ⾏政 市⺠や⺠間企業、⼤学等 透明性の高い情報発信 協働機会の提供 参加機会の提供 政策の理解 主体的な参加 適切なフィードバック 信頼 醸成 関治之, オープンガバメントとデジタルテクノロジー, 第6回GIST-DXセミナー

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© Code for Japan 53 住民参加 これから︖ 住民参加による行政の推進は30年来の課題。では、どうすればよいのか? ⼀往復 ⼀往復半 案の提⽰ 意⾒提出 採否・理由 の公⽰ ● タウンミーティング ● パブリックコメント ● 審議会等 理由はわかったけど、 (実はわかってないけど) もう意見は言えないの? きちんと反映され たのだろうか? 双方向? オンライン? どうなったらいい のかな・・・ 関治之, オープンガバメントとデジタルテクノロジー, 第6回GIST-DXセミナー

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公共経営・公共政策の進化の方向 ⽩川展之, シビックテックの実践とオープンサイエンスの公共政策, より抜粋

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© Code for Japan 55 OECD Guidelines for Citizen Participation Processes 市民参加プロセスの設計・計画・実施・評価のための10ステッ プ 1. 解決すべき問題と参加のタイミングを特定する 2. 期待される成果を定義する 3. 参加対象者を特定し、リクルートする 4. 最も適用可能な参加方法の選択 5. 適切なデジタルツールの選択、対面式との並行 6. プロセスの透明性確保、明確平易なコミュニケーション 7. 参加プロセスの実施とそのTips 8. 意見の活用とフィードバック 9. 参加プロセスの評価 10. 「民主主義の筋トレ(exercise their democratic “muscles”)」 を通じた参加文化の醸成 https://www.oecd.org/gov/open-government/oecd-guidelines-for-citizen-participation-processes-f765caf6-en.htm 市民参加プロセスの設計、計画、実施、評価のための10のステップ、プロセスの質を確保 するのに役立つ9つの原則、市民を巻き込むための8つの異なる方法を提示(2022年9月) 関治之, オープンガバメントとデジタルテクノロジー, 第6回GIST-DXセミナー

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重層的なガバナンスの下での調整⽅策 ①情報技術の利⽤ • 情報処理によって複雑性に対処する技術的解決⼿段の追求 ②評価基準の多元化 • 複数の基準と指標を受容する評価基準の設定 ③相互交渉の促進 • アカウンタビリティの責任を持つ代理⼈側とその他の⽴場の 主体との相互交渉の促進 ④枠組規制 • 政策の与件や⽬標を遵守すべき個別⽬標を設定するのではな く、全体の枠組みを規定するルール設定、柔軟に修正・調整 を許容することでダイナミックな変動に対処 ⑤ステークホルダーのプロ セスへの参加 • アカウンタビリティを付託する依頼⼈側の政策形成・意思決 定のプロセスに参加させる参加促進 課題に対して、複雑なネットワークでマネジメント⽬標に向けた設計を⾏うための⼿段としては、次 の5つの⼿段がある。 (Klijn and Koppenjan,2014)

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© Code for Japan 市民参加の 10ステップ 57 1. 情報とデータ 2. 公開会議・市民会議 3. パブリックコンサルテーション (≒パブコメ等) 4. オープンイノベーション 5. シチズンサイエンス 6. 市民モニター 7. 参加型予算編成 8. 代表制熟議プロセス 1. 明確さとインパクト 2. コミットメントとアカウンタビリ ティ 3. 透明性 4. 包括性とアクセシビリティ 5. 誠実さ 6. プライバシー 7. 情報へのアクセス 8. 必要なリソースの確保 9. 評価(による信頼向上) プロセスの質に関する 9原則 8つの市民参画方法 1. 課題特定・参加タイミング 2. 期待される成果の定義 3. 参加対象者の特定と募集 4. 適用可能な参加方法 5. デジタルツール・対面併用 6. 透明性確保・わかりやすさ 7. プロセスの実施 8. 意見活用とフィードバック 9. 参加プロセスの評価 10.参加文化の醸成 OECD Guidelines for Citizen Participation Processes https://www.oecd.org/gov/open-government/oecd-guidelines-for-citizen-participation-processes-f765caf6-en.htm 関治之, オープンガバメントとデジタルテクノロジー, 第6回GIST-DXセミナー

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良い週末をJ 佐々⽊⼀ [email protected] 次回は7/5(金) 10:25- です。 知識社会マネジメント2024⽤ 講義関連フォルダ https://qr.paps.jp/1rawC