Slide 1

Slide 1 text

Rust vs. JavaScript で メモリ管理を比較してみた 2025/1/31  StepByCode vol.4 「StepByCode 新年LT 会!」 中野ヨシユキ

Slide 2

Slide 2 text

自己紹介 名前:中野ヨシユキ (@engin_yo) 職種:ソフトウェアエンジニア 仕事:LINE ミニアプリ開発 会社:クラスメソッド株式会社 福岡オフィス 興味:ソフトウェアアーキテクチャ/TypeScript/AWS CDK/DevOps 趣味:ランニング、自作キーボード

Slide 3

Slide 3 text

2025 年の抱負

Slide 4

Slide 4 text

Rust できる人 になりたい

Slide 5

Slide 5 text

手始めに

Slide 6

Slide 6 text

メモリ管理を 理解したい

Slide 7

Slide 7 text

アジェンダ 1. そもそもメモリとは 2. JavaScript のメモリ管理 3. 束縛と代入の比較 4. Rust のメモリ管理 5. Rust 所有権のメリット

Slide 8

Slide 8 text

そもそもメモリとは プログラムが実行時に使用する一時 的な記憶領域 変数や値を保持する場所 スタックとヒープの2 種類がある メモリ スタック 固定サイズのデータ ヒープ 可変サイズのデータ

Slide 9

Slide 9 text

JavaScript のメモリ管理 ガベージコレクション(GC )による 自動管理 オブジェクトは参照として扱われる 同じメモリ領域を複数の変数で共有 オブジェクトへの参照が再代入でき なくなるだけでプロパティの書き換 えは可能 1 // 同じメモリ領域を参照 2 let obj1 = { data: "hello" }; 3 let obj2 = obj1; // 同じオブジェクトを参照 4 5 // obj2 経由で変更すると、obj1 も変更される 6 obj2.data = "world"; 7 console.log(obj1.data); // "world" 8 console.log(obj2.data); // "world" 9 10 // const でも参照先の値は変更可能 11 const obj3 = { data: "test" }; 12 obj3.data = "changed"; // OK 13 // obj3 = null; // エラー:再代入は不可

Slide 10

Slide 10 text

代入の変数と値の割当 JavaScript Memory 変数 値のアドレス 別の変数 値のアドレスを共有 複数の変数が同じ値を参照可能 変更が全ての参照に影響

Slide 11

Slide 11 text

束縛の変数と値の割当 Rust Memory 変数 値 別の変数 値のコピー/ 移動 値は一つの変数にのみ紐付く 同時に複数の変数から変更不可 束縛という概念を利用してRust はメモリ管理を行う

Slide 12

Slide 12 text

JS とRust のメモリ管理の比較 項目 JavaScript Rust メモリ解放 自動(GC ) 自動(コンパイル時) 値の共有 参照で共有 所有権移動 並行処理 データ競合の可能性 コンパイル時に防止 パフォーマンス GC による一時停止 予測可能な実行時間

Slide 13

Slide 13 text

所有権とは Rust のメモリ管理を実現 各値にはある時点でただ一つの所有者が存在 スコープを抜けると自動的にメモリ解放 1 fn main() { 2 { 3 let s = String::from("hello"); // メモリ確保 4 println!("s = {}", s); 5 // ここでs のスコープが終わり、メモリが自動解放される 6 } 7 // println!("s = {}", s); // コンパイルエラー:s は解放済み 8 9 let s1 = String::from("world"); 10 let s2 = s1; // s1 の所有権がs2 に移動 11 println!("s2 = {}", s2); // OK 12 // println!("s1 = {}", s1); // コンパイルエラー:s1 は無効 13 }

Slide 14

Slide 14 text

所有権の移動 Memory 移動前 v1 データ [1,2,3] Memory 移動後 v1 (無効) v2 データ [1,2,3] 所有権の移動とは 値のメモリ所有権が別の変数に移る 元の変数は無効になる(使用不可) 同時に2 つの変数が同じメモリを操 作できない コンパイル時にメモリの安全性を保 証 1 // ヒープメモリに[1, 2, 3] を確保 2 let v1 = vec![1, 2, 3]; 3 4 // v1 の所有権がv2 に移動 5 // - メモリの所有者がv1 からv2 に変更 6 // - v1 は無効になる 7 let v2 = v1; 8 9 // ここでv1 を使おうとするとコンパイルエラー 10 // println!("{:?}", v1) 11 12 // v2 は有効なので使用可能 13 println!("{:?}", v2);

Slide 15

Slide 15 text

所有権の借用 借用とは 所有権を移動せずに値を参照する仕 組み & で不変の参照(読み取りのみ) &mut による可変参照 借用中は所有者が値を手放さない 関数に値を渡す際によく使用する 1 // &Vec は「Vec の参照」を表す 2 // 所有権は移動せず、一時的に借用する 3 fn print_vec(v: &Vec) { 4 println!("{:?}", v); 5 // 関数を抜けると借用が終了 6 } 7 8 let v = vec![1, 2, 3]; 9 10 // & を付けて参照を渡す(借用) 11 print_vec(&v); 12 // v の所有権は移動していないので使える 13 println!("{:?}", v);

Slide 16

Slide 16 text

所有権はなにがうれしいの? 1. メモリ安全性の保証 データ競合の防止 無効な参照の防止 2. 予測可能なパフォーマンス GC による停止がない リソースの即時解放 3. 並行処理の安全性 コンパイル時のチェック データ競合の防止

Slide 17

Slide 17 text

さいごに

Slide 18

Slide 18 text

2025 年の目標 Rust を理解してなにかつくる! サーバーサイドRust 、Webassembly やりたい

Slide 19

Slide 19 text

ご清聴ありがとうございました