Slide 1

Slide 1 text

アジャイルチームが らしさを発揮するための 目標づくり 株式会社カケハシ 小田中 育生 2024.11.22

Slide 2

Slide 2 text

小田中 育生(おだなか いくお) 株式会社ナビタイムジャパンでVP of Engineeringを務め、 2023年10月にエンジニアリングマネージャーとして株式会社カケ ハシにジョイン。 薬局DXを支えるVertical SaaS「Musubi」をコアプロダクトに位置 づけ、「しなやかな医療体験」を実現するべく新規事業のプロダ クト開発にコミットしている。 著書: ● いちばんやさしいアジャイル開発の教本 ● アジャイルチームによる目標づくりガイドブック ブログ: dora_e_m|note X: @dora_e_m

Slide 3

Slide 3 text

目標設定は好きですか?

Slide 4

Slide 4 text

© KAKEHASHI Inc. 目標がもたらすもの 明確な方向性 ゴールへの集中 モチベーション醸成 パフォーマンス発揮

Slide 5

Slide 5 text

© KAKEHASHI Inc. よい目標設定とは? ● 組織にとって ○ 組織が目指すビジョンの達成に近づく ○ 組織のミッション遂行に繋がっている ● 個人にとって ○ 自分のモチベーションと紐づいている ○ 具体的で挑戦的

Slide 6

Slide 6 text

© KAKEHASHI Inc. 環境 チーム よい目標設定をするために 明確で具体的 ミッションへの共感 メンバー同士の相互理解 チャレンジ推奨の気風 目標と評価の切り離し 目標

Slide 7

Slide 7 text

© KAKEHASHI Inc. 目標 環境 チーム よい目標設定をするために 明確で具体的 ミッションへの共感 メンバー同士の相互理解 チャレンジ推奨の気風 目標と評価の切り離し SMARTな目標設定 チームビルディング OKR

Slide 8

Slide 8 text

© KAKEHASHI Inc. OKR Objectives(目標)とKey Results(主要成果) Key Results ● 何を目指したいのか?と いう問いに対する答え ● 気後れするくらいの高い レベル ● 3-5個に絞る ● 目標までの到達度を測定 する指標 ● 定量的で計測可能なもの ● 1つのObjectiveに対し3個 ほど設定 Objectives

Slide 9

Slide 9 text

© KAKEHASHI Inc. “OKRは、従業員を評価するためのツールではありません。  OKRは、社内共有のタスク管理ツールではありません。    実際のところ、OKRの使い方は他の目標設定の手法とは  異なります。簡単に達成できないような目標を設定する  のがOKRの狙いだからです。こうした方法でOKRを使用  すると、チームは大きな目標を見据えて専心し、  完全には達成できなくても予想外の成果を挙げられる  ようになります。” OKRはチャレンジを促す https://rework.withgoogle.com/jp/guides/set-goals-with-okrs#learn-the-abridged-history-of-OKRs

Slide 10

Slide 10 text

目標づくりとアジャイル

Slide 11

Slide 11 text

目標設定は始まりでしかない

Slide 12

Slide 12 text

© KAKEHASHI Inc. ここがスタート地点 O KR KR KR 設定したら、今度は目標達成へ向けて動き始めることになる

Slide 13

Slide 13 text

© KAKEHASHI Inc. 目標達成への道のりは平坦ではない O KR KR KR 平坦ではないし、そもそも道のりが見えないことさえある

Slide 14

Slide 14 text

© KAKEHASHI Inc. アジャイルなアプローチ ①生み出す価値、  検証したい仮説を明確にする ②どうやって価値を生み出すか  検討し実行する ③毎日、検査と適応を繰り返 しながら価値創出を目指す ④生み出した価値を検査する ⑥学びから新たな仮説を得る  プロセスをアップデートする ⑤プロセスをふりかえる

Slide 15

Slide 15 text

© KAKEHASHI Inc. OKRとアジャイル O KR KR KR インクリメント その期間に 生み出す価値

Slide 16

Slide 16 text

あらためて、どのように 目標をつくるべきか?

Slide 17

Slide 17 text

© KAKEHASHI Inc. OKRツリー 組織 個人 チーム OKRツリーは組織、チーム、個人の目標をアラインメントさせる

Slide 18

Slide 18 text

© KAKEHASHI Inc. もしかして、こう思った? OKRはツリーじゃないんだが?

Slide 19

Slide 19 text

© KAKEHASHI Inc. アラインメントは難しい 組織 個人 チーム 組織レベルで作った目標を、個人にうまくブレイクダウンするのは難しい 他社にない 新機能を バンバン作る! トップダウンw モチベ無視かw

Slide 20

Slide 20 text

© KAKEHASHI Inc. じゃあボトムアップが正義なのか? 組織 個人 チーム 個人のwillに紐づいた目標はモチベーションを引き出す。では、それは 組織に貢献するものなのか? とにかく 新機能作る! 僕は難しい ロジックを 実現する! 自分は ひたすら リファクタする

Slide 21

Slide 21 text

© KAKEHASHI Inc. [再掲]よい目標設定とは? ● 組織にとって ○ 組織が目指すビジョンの達成に近づく ○ 組織のミッション遂行に繋がっている ● 個人にとって ○ 自分のモチベーションと紐づいている ○ 具体的で挑戦的

Slide 22

Slide 22 text

© KAKEHASHI Inc. 目標の機能不全の兆候となる言動 目標に関するタスクが独立して設定される

Slide 23

Slide 23 text

© KAKEHASHI Inc. 目標の機能不全の兆候となる言動 目標に関するタスクが独立して設定される 「他に優先度が高いことがあって…」

Slide 24

Slide 24 text

© KAKEHASHI Inc. 目標の機能不全の兆候となる言動 目標に関するタスクが独立して設定される 「他に優先度が高いことがあって…」 「これって何でこの目標なんでしたっけ」

Slide 25

Slide 25 text

© KAKEHASHI Inc. OKRが浸透しているアジャイルチーム O KR KR KR インクリメント その期間に 生み出す価値

Slide 26

Slide 26 text

© KAKEHASHI Inc. OKRが浸透していないチーム O KR KR KR インクリメント その期間に 生み出す価値 目標とは 関係のない 何か

Slide 27

Slide 27 text

© KAKEHASHI Inc. OKRをもはや見ていないチーム O KR KR KR インクリメント その期間に 生み出す価値 目標とは 関係のない 何か

Slide 28

Slide 28 text

腹落ちしていない目標は機能しない 組織目標とずれた目標も機能しない

Slide 29

Slide 29 text

© KAKEHASHI Inc. 組織のOKRはMission/Visionとつながる 組織 個人 チーム

Slide 30

Slide 30 text

© KAKEHASHI Inc. VisionとObjectiveの関係 Vision Objective 中長期的な理想像、あるべき姿 ある期間において目指すもの

Slide 31

Slide 31 text

© KAKEHASHI Inc. 熱量の高い組織のOKRができたとする 組織 個人 チーム

Slide 32

Slide 32 text

© KAKEHASHI Inc. チームに熱量は伝わっているか? 組織 個人 チーム

Slide 33

Slide 33 text

© KAKEHASHI Inc. 個人には? 組織 チーム 個人

Slide 34

Slide 34 text

© KAKEHASHI Inc. 最上位目標がこうだったとする 組織 設定:ECサイトを提供する企業の開発組織 日本のEC市場でシェアナンバー ワンを達成するため、最高のUX と信頼性を実現する開発組織に なる サイトの平均ページ読み込み時 間を3秒から1秒未満に短縮 システムの可用性を99.95%から 99.99%に向上させる 新機能のリリース頻度を 月一回から週一回に

Slide 35

Slide 35 text

© KAKEHASHI Inc. 組織レイヤーではOにもKRにも腹落ち 組織 日本のEC市場で シェアナンバー ワンを達成する ため、最高のUX と信頼性を実現 する開発組織に なる サイトの平均ペー ジ読み込み時間を3 秒から1秒未満に短 縮 平均ページ読 み込み時間を 短縮したら UXよくなる! やるぞ!!

Slide 36

Slide 36 text

© KAKEHASHI Inc. チームレベルにブレイクダウン 組織 チーム 日本のEC市場で シェアナンバー ワンを達成する ため、最高のUX と信頼性を実現 する開発組織に なる サイトの平均ペー ジ読み込み時間を3 秒から1秒未満に短 縮 ※説明のためOKRをひとつに絞っています キャッシュを活用し 再訪ユーザーからの リクエストの読み込 み時間を半減 読み込み時間を 短くするのか。 まあUXよくなる よね

Slide 37

Slide 37 text

© KAKEHASHI Inc. 個人レベルにブレイクダウン 組織 チーム 個人 日本のEC市場で シェアナンバー ワンを達成する ため、最高のUX と信頼性を実現 する開発組織に なる サイトの平均ペー ジ読み込み時間を3 秒から1秒未満に短 縮 ※説明のためOKRをひとつに絞っています キャッシュを活用し 再訪ユーザーからの リクエストの読み込 み時間を半減 再訪ユーザーに 絞った目標? どれくらい大事 なんだろう… キャッシュヒット率 を50%→80%へ

Slide 38

Slide 38 text

組織レベルから ブレイクダウンする過程で 「ありたい姿」が 見えづらくなる

Slide 39

Slide 39 text

アラインメントする チームで自律性をもつ これらを両立するために 「自分ごと化」する

Slide 40

Slide 40 text

© KAKEHASHI Inc. 「自分ごと化」するアプローチ ● 直接、組織レベルの目標を持つ ● 組織レベルの目標を自分たちで咀嚼する

Slide 41

Slide 41 text

© KAKEHASHI Inc. 「自分ごと化」するアプローチ ● 直接、組織レベルの目標を持つ ● 組織レベルの目標を自分たちで咀嚼する

Slide 42

Slide 42 text

© KAKEHASHI Inc. チームも個人も直接組織の目標をもつ 組織 チーム 個人

Slide 43

Slide 43 text

© KAKEHASHI Inc. なっていたい姿・提供価値と直結 組織 チーム 個人 日本のEC市場で シェアナンバー ワンを達成する ため、最高のUX と信頼性を実現 する開発組織に なる サイトの平均ペー ジ読み込み時間を3 秒から1秒未満に短 縮 ※説明のためOKRをひとつに絞っています

Slide 44

Slide 44 text

© KAKEHASHI Inc. チームyabusameの場合 Evolving DevOps Teams and Flexible Organizational Culture @Devopsdays 15 Year Anniversary Celebration: Antwerp チームで 目標設定 組織目標 を追う 試行錯誤を繰り返すフェーズではチームで目標を持っていたが、現在は 「PoCの成果を顧客数が多い既存プロダクトに反映し、一気に行動変容をしかける」 という組織目標に直接コミット

Slide 45

Slide 45 text

© KAKEHASHI Inc. 直接、組織レベルの目標をもつこと ● 👍 ○ 組織目標とは間違いなくアラインメントできる ○ ブレイクダウンによる意義の喪失がないため、 高い熱量で目標に向かうことができる ● 🤔 ○ 組織目標を直接咀嚼できるケイパビリティが求 められる ○ プレッシャーは大きい

Slide 46

Slide 46 text

© KAKEHASHI Inc. 「自分ごと化」するアプローチ ● 直接、組織レベルの目標を持つ ● 組織レベルの目標を自分たちで咀嚼する

Slide 47

Slide 47 text

© KAKEHASHI Inc. 上位KRと下位Oがつながるところ 組織 チーム 個人 日本のEC市場で シェアナンバー ワンを達成する ため、最高のUX と信頼性を実現 する開発組織に なる サイトの平均ペー ジ読み込み時間を3 秒から1秒未満に短 縮 ※説明のためOKRをひとつに絞っています キャッシュを活用し 再訪ユーザーからの リクエストの読み込 み時間を半減 キャッシュヒット率 を50%→80%へ

Slide 48

Slide 48 text

© KAKEHASHI Inc. 上位のObjectiveを咀嚼する 組織 チーム 個人 日本のEC市場で シェアナンバー ワンを達成する ため、最高のUX と信頼性を実現 する開発組織に なる サイトの平均ペー ジ読み込み時間を3 秒から1秒未満に短 縮 ※説明のためOKRをひとつに絞っています キャッシュを活用し 再訪ユーザーからの リクエストの読み込 み時間を半減 キャッシュヒット率 を50%→80%へ

Slide 49

Slide 49 text

© KAKEHASHI Inc. 腹落ちさせていく 組織 チーム 個人 日本のEC市場で シェアナンバー ワンを達成する ため、最高のUX と信頼性を実現 する開発組織に なる サイトの平均ペー ジ読み込み時間を3 秒から1秒未満に短 縮 ※説明のためOKRをひとつに絞っています キャッシュを活用し 再訪ユーザーからの リクエストの読み込 み時間を半減 キャッシュヒット率 を50%→80%へ 最高のUXね! 実現したい! 最高のUXのため サイトを高速化 したいのか! よし!

Slide 50

Slide 50 text

© KAKEHASHI Inc. そして自分たちの言葉でOを設定しなおす 組織 チーム 日本のEC市場で シェアナンバー ワンを達成する ため、最高のUX と信頼性を実現 する開発組織に なる サイトの平均ペー ジ読み込み時間を3 秒から1秒未満に短 縮 サクサク動く直感 的なUXを提供し、 エンゲージメント を向上させる キャッシュを活用し 再訪ユーザーからの リクエストの読み込 み時間を半減

Slide 51

Slide 51 text

© KAKEHASHI Inc. 組織レベルの目標を自分たちで咀嚼する ● 👍 ○ 組織の目指す方向を向きながら、ブレイクダウ ンされた目標が生み出す価値について腹落ちで きる ○ 自分たちの言葉にすることで自分ごと化できる ● 🤔 ○ 定量的なKRを定性的なOに変換するため、上位 のKRが達成されるかは別途トラッキングが必要 になる

Slide 52

Slide 52 text

© KAKEHASHI Inc. KR→Oの変換を行わないアプローチ 組織 チーム 日本のEC市場で シェアナンバー ワンを達成する ため、最高のUX と信頼性を実現 する開発組織に なる サイトの平均ペー ジ読み込み時間を3 秒から1秒未満に短 縮 キャッシュを活用し 再訪ユーザーからの リクエストの読み込 み時間を半減 上位のOを咀嚼することでチームに納得感が生まれるのならば、 チームのOは上位KRをブレイクダウンしたものでもよい

Slide 53

Slide 53 text

そもそも「目指すところ」 がわからないとき

Slide 54

Slide 54 text

© KAKEHASHI Inc. なりたい姿がわからず指標だけがある場合 組織 チーム 個人 日本のEC市場で シェアナンバー ワンを達成する ため、最高のUX と信頼性を実現 する開発組織に なる サイトの平均ペー ジ読み込み時間を3 秒から1秒未満に短 縮 ※説明のためOKRをひとつに絞っています キャッシュを活用し 再訪ユーザーからの リクエストの読み込 み時間を半減 キャッシュヒット率 を50%→80%へ

Slide 55

Slide 55 text

© KAKEHASHI Inc. 研究開発部門であったこと 研究開発部門 プレスリリース年間◯件 年間目標として「プレスリリース年間◯件」を掲げる ことが恒例になっていた ◯に入る数値は、年々大きくなっていく ニーズを先取りする 先進的な研究開発 売りになる研究開発

Slide 56

Slide 56 text

© KAKEHASHI Inc. 現場から上がっていた声 達成すると毎年目標が引き上げられて辛い プレスリリースを目指すと無理やり新規性 を盛り込もうとしてしまう 本質的なユーザー体験価値向上に つながらないのでは?

Slide 57

Slide 57 text

よし、じゃあやめてみよう …で、何を目指す?

Slide 58

Slide 58 text

© KAKEHASHI Inc. 目指しているところを明らかにしよう 研究開発部門 プレスリリース年間◯件 ニーズを先取りする 先進的な研究開発 売りになる研究開発

Slide 59

Slide 59 text

© KAKEHASHI Inc. いろんな人に聞いてみた 研究開発部門 プレスリリース年間◯件 ニーズを先取りする 先進的な研究開発 売りになる研究開発 「ユーザーが『こんなこともできるの?』って驚くようなも のを提供したいんだよね。そうすると、一気にファンになっ てくれる。」

Slide 60

Slide 60 text

© KAKEHASHI Inc. なるほどね 研究開発部門 プレスリリース年間◯件 ニーズを先取りする 先進的な研究開発 売りになる研究開発 「他社では実現できない機能が、商談の決め手になるんです よ!いつもありがとうございます!」

Slide 61

Slide 61 text

© KAKEHASHI Inc. 目指すところが見えてきたぞ!!…そして 研究開発部門 プレスリリース年間◯件 ニーズを先取りする 先進的な研究開発 売りになる研究開発 「プレスリリースきっかけで商談につながったりするんです よ。あと、広告費払わなくても情報が広まっていくから、経 済効果も高い」

Slide 62

Slide 62 text

© KAKEHASHI Inc. 自分たちで考えてみて気付いたこと プレスリリースは、自分たちが目指す指標 として妥当なものだ

Slide 63

Slide 63 text

あなたの組織にある 「なんだかよくわからない目標」と 向き合ってみよう

Slide 64

Slide 64 text

まとめ

Slide 65

Slide 65 text

© KAKEHASHI Inc. 目標がもたらすもの 明確な方向性 ゴールへの集中 モチベーション醸成 パフォーマンス発揮

Slide 66

Slide 66 text

© KAKEHASHI Inc. 目標 環境 チーム よい目標設定をするために 明確で具体的 ミッションへの共感 メンバー同士の相互理解 チャレンジ推奨の気風 目標と評価の切り離し SMARTな目標設定 チームビルディング OKR

Slide 67

Slide 67 text

腹落ちしていない目標は機能しない 組織目標とずれた目標も機能しない

Slide 68

Slide 68 text

© KAKEHASHI Inc. 「自分ごと化」しよう! ● 直接、組織レベルの目標を持つ ● 組織レベルの目標を自分たちで咀嚼する

Slide 69

Slide 69 text

© KAKEHASHI Inc. カケハシの技術に関連する情報を 発信しています。 𝕏 @kakehashi_dev 是⾮フォローしてください! ありがとうございました!!