Slide 1

Slide 1 text

フロントエンドにおける アーキテクチャとの向き合い方 FRONTEND CONFERENCE FUKUOKA2019

Slide 2

Slide 2 text

Name 甲斐田 亮一 Twitter @camcam_lemon Company 日本事務器株式会社 Skills TypeScript, React / Figma Occupation フロントエンドエンジニア/デザイナー

Slide 3

Slide 3 text

もくじ 今のフロントエンドを取りまく環境 モダンなフレームワークがもたらした陰り アーキテクチャは知ることから始まる 具体例で知るアーキテクチャ まとめ

Slide 4

Slide 4 text

今のフロントエンドを取りまく環境

Slide 5

Slide 5 text

フロントエンドの外面 状態管理ツール 有名どころはReduxとVuex 中規模以上の開発では必須のライブラリ 言語 TypeScriptがデファクトスタンダート となりつつある(理由は割愛) React, Vue.js, Angularの三大巨塔 jQueryの採択は減少傾向も現役 フレームワーク

Slide 6

Slide 6 text

フロントエンドの内面 ビジネスロジック middlewareやactionに記述して UIからは切り離すのが鉄板となっている UI 汎用性の高い再利用コンポーネントを据えて 適切な粒度でページコンポーネントを設計していく UI(Local State), Application(Global State) の2つに大別でき別々に管理することが多い 状態(state)

Slide 7

Slide 7 text

フロントエンドの内面 “キレイ” ES2015、コンポーネント指向、Flux... などの登場によって今のフロントエンドの内面は とても にできるようになった

Slide 8

Slide 8 text

パフォーマンス 仮想DOMによる効率的なDOM更新が可能になった ブラウザ(JavaScriptエンジン)そのものも進化し て速くなった 実装者はパフォーマンスを意識せずにコーディング ができるようになった => パフォーマンスチューニングは気になってからすればよくなった

Slide 9

Slide 9 text

今のフロントエンドの環境は とても恵まれており なおも進化し続けている

Slide 10

Slide 10 text

jQueryからの移行 - モダンフレームワークでの新規開発 - この流れはまだ変わらない

Slide 11

Slide 11 text

モダンなフレームワークが もたらした陰り

Slide 12

Slide 12 text

なぜフロントエンドに React, Vue.js, Angular を採択するのか

Slide 13

Slide 13 text

パフォーマンスに優れてる - jQueryより保守性に優れてる - SPA開発に向いている - 流行ってるから - よく聞く採択理由

Slide 14

Slide 14 text

パフォーマンスに優れてる - jQueryより保守性に優れてる - SPA開発に向いている - 流行ってるから - よく聞く採択理由

Slide 15

Slide 15 text

パフォーマンスに優れてる - jQueryより保守性に優れてる - SPA開発に向いている - 流行ってるから - よく聞く採択理由 本当にそうなのか

Slide 16

Slide 16 text

保守性に優れている理由 保守性に優れている理由 ビジネスロジック middlewareやactionに記述して UIからは切り離すのが鉄板となっている UI 汎用性の高い再利用コンポーネントを据えて 適切な粒度でページコンポーネントを設計していく UI(Local State), Application(Global State) の2つに大別でき別々に管理することが多い 状態(state)

Slide 17

Slide 17 text

コンポーネント指向を正しく理解できていなければ 保守性に優れたコンポーネントは作れない 状態にも種類がありどこでなにを管理すべきかを理解できていなければ 保守性に優れた状態管理はできない ただしい理解がなければ 保守性に優れているものは作れない 保守性に優れている理由

Slide 18

Slide 18 text

モダンなフレームワークを使ったから保守性が高くなるわけではない 優れた保守性 モダンなフレームワーク= よくある勘違い

Slide 19

Slide 19 text

2016年以降のReactやVue.jsの勢いは凄く あっという間に広まっていった よく分からないままjQueryから移行、新規で導入した プロダクトは少なくはないと思われる その結果生まれたのが・・・

Slide 20

Slide 20 text

人への陰り ヤバくなってから対応すればいいという間違った姿勢 そもそもヤバい自覚がない コードへの陰り ただ管理されてるだけの状態 昔の書き方のまま放置された非推奨のコード 1000行越えのファットコンポーネント 2つの陰り

Slide 21

Slide 21 text

2つの陰り 陰りはそのまま技術的負債となる jQueryより保守性に優れているのは 思想や新しい機能をただしく使えている前提の話

Slide 22

Slide 22 text

今のフロントエンド ブラウザやフレームワークの進化でフロントはとてもリッチな資源を得た できることの幅も増えたが、考えるべき事も増えた 今のフロントエンドはあり余る資源を管理しないとすぐに収拾がつかなくなる 膨大なファットコンポーネント、状態が複雑に絡み合ったアプリケーションの 保守性の低さは想像にかたくない jQueryと同じ轍を踏むことになる アーキテクチャ だからこそ と向き合う必要がある 保守性を高める整備もされたが、保守性が低くなりやすくもなった

Slide 23

Slide 23 text

具体例で知るアーキテクチャ

Slide 24

Slide 24 text

あくまで一例です

Slide 25

Slide 25 text

定数はjsonで管理 APIのパス Pageのパス カラーテーマ 管理する定数は見極める 絶対に腐らない資産となる json形式は言語が変わっても使用できる

Slide 26

Slide 26 text

この機能が要るならあの機能もくるという予測をする やりすぎはオーバーエンジニアリングになる プロダクトの初期〜中期フェーズでよくある 今の仕様に合わせるだけだと仕様追加の度に 追加の状態や条件文が必要になってくる 冗長性を持たせた状態管理

Slide 27

Slide 27 text

canDeleteはTodoを削除できる状態を指す

Slide 28

Slide 28 text

Todoを編集できるようにcanEditを追加した

Slide 29

Slide 29 text

仕様が色々追加された

Slide 30

Slide 30 text

やばみ〜つらみ〜

Slide 31

Slide 31 text

Todoに関する状態をmodeで管理するようにした

Slide 32

Slide 32 text

仕様が追加されても型を修正するだけで済む

Slide 33

Slide 33 text

アーキテクチャは 知ることから始まる

Slide 34

Slide 34 text

...etc ソースコード内(アプリケーションの詳細) 可読性、冗長性、拡張性、再利用性 責務の分離 非推奨APIの使用、古い書き方をしていないか フォルダ構成/ファイル名 コンポーネント設計 状態の仕分と管理方法 ビジネスロジック、ユーティリティの管理 ソースコード外(アプリケーションの全容) アーキテクチャの範囲

Slide 35

Slide 35 text

アーキテクチャが指し示すものはとても広範囲 アプリの見通しの良さに繋がるものが指標になってくる

Slide 36

Slide 36 text

アーキテクチャの考え方 アーキテクチャは色々な観点からアプローチできる が重要 アプローチ数の多さ 切り口は複数ある 経験がものを言う コンポーネント設計や状態管理は試行錯誤の末に考え方が身に付く 判断 どのアプローチが効果的かの は経験によってくる 人に教えるのは困難

Slide 37

Slide 37 text

アプローチA アプローチB アプローチC アプローチD 経験による判断 Done

Slide 38

Slide 38 text

アプローチA アプローチB アプローチC アプローチD 経験による判断 Done の中から 最良のものを判断 A,B,C

Slide 39

Slide 39 text

アプローチA アプローチB アプローチC アプローチE アプローチD 経験による判断 Done の中から 最良のものを判断 A,B,C,E

Slide 40

Slide 40 text

アプローチA アプローチB アプローチC アプローチD 経験による判断 Done A,B,Cの中から 最良のものを判断 通るアプローチが多いほど 柔軟かつ堅牢なアーキテクチャへの考え方ができる

Slide 41

Slide 41 text

アプローチA アプローチF アプローチB アプローチC アプローチD 経験による判断 Done アプローチE F これは でいこうと判断

Slide 42

Slide 42 text

アプローチA アプローチF アプローチB アプローチC アプローチD 経験による判断 Done アプローチE F これは でいこうと判断 判断フローはいずれ最適化されていく

Slide 43

Slide 43 text

知るだけでは効果を発揮しないもの(知見) フォルダ構成 コンポーネント設計 Store構成 短く抽象的な変数名よりも長く説明的な変数名の方が優れている UI部とロジック部を分け責務を分離すると読みやすくなる 関数の中で直接関数をbindしない 知るだけで効果を発揮するもの(知識) アプローチの種類

Slide 44

Slide 44 text

アーキテクチャとどう向き合うか 最初から完璧な設計をすることは不可能 であることが多い 現時点のベストなアプローチ 捨てやすさ、拡張しやすさは後々響いてくる ヤバくなってから対応すればいいは非常に危険 まずはどのようなアプローチがあるかの知識を知ることが大事 累積した知識は結びつくことで知見に昇華する ヤバくなっても良いように備える アプローチの手数を増やす

Slide 45

Slide 45 text

まとめ

Slide 46

Slide 46 text

アーキテクチャは一日にして成らず アプローチの手数を増やそう 経験に勝るアプローチはない アーキテクチャに銀の弾丸や完璧は存在しない

Slide 47

Slide 47 text

ご静聴ありがとうございました!