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スクラム開発入門 スクラムガイドと スクラム認定試験 アジャイル・スクラム勉強会 Satoshi Harada

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スクラムの歴史をおさらい ● The New New Product Development Game ► 1986年、野中郁次郎と竹内弘高がHarvard Business Reviewに掲載された論文 ► 新製品開発のような不確実性の高いプロジェク トは変化に対応できない ► ラグビーのようにチーム内でパスを回し合いな がら、スピード感を持って自律的に行動してい く必要があると説いている ● アジャイルソフトウェア開発スクラム ► 野中氏、竹中氏の論文に着想を得て、Ken SchwaberとJeff Sutherlandが1995年に OOPSLAカンファレンスでスクラムを発表 ► Jeff Sutherlandはその後、2001年のアジャイ ルソフトウェア開発宣言の場にも参加している ✔ 2010年にScrum Guideの初版が制定され、ス クラム開発の原則はこのScrum Guideに則っ ている

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スクラムガイドとは ● スクラムガイドは、Jeff Sutherland と Ken Schwaber が 20 年以上かけて開発・ 進化・保守してきたスクラムを文書化した ものである。(Scrum Guide 歴史の章から 抜粋) ● 公式の日本語版も公開されており、日本に おけるスクラム開発の原典としてはこの PDFファイルを指す ► https://www.scrumguides.org/docs/scr umguide/v2017/2017-Scrum-Guide-Jap anese.pdf ● 数年に一度改定されて内容が変わるので、 最新版を参照すること ► 2020年8月現在、スクラムガイドは2017年 版が最新

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スクラム認定試験の種類 ● 大前提 ► 認定試験の合格証を持っていなくてもスクラムマスターの ロールを担うことはできるし、認定を持っていない凄腕ス クラムマスターも存在する ► 逆に、認定を持っているからといって優秀なスクラムマス ターであるとは限らない ✔ スクラムは経験を重視している。認定だけ持っていてスクラム の経験が無いスクラムマスターも存在する ● スクラム認定試験の種類 ► Scrum Alliance ► Scrum.org ► Scrum.inc ✔ その他(LeSS、Scrum@Scale、などなど)

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  ● 特徴 2001年に設立された非営利団体。歴史が長いため、世界的に見て も日本国内でも最も知名度が高い。日本語トレーニングと日本語試 験あり。 日本国内だと、Scrumの資格を持っている=Scrum Allianceの資格 を持っていると同義くらいのイメージ。 ● おおまかな認定の種類 ► Certified ScrumMaster (CSM) ► Certified Scrum ProductOwner (CSPO) ► Certified Scrum Developer (CSD) ● 認定試験の費用 ► Certified ScrumMasterは、トレーニング・試験費用合わせて 20万円ほど ► トレーニングを受けないと認定試験は受けられない

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  ● 特徴 スクラムガイドの著者のケン・シュエイバーが2009年に設立、日 本語トレーニング提供無し&試験も英語。 試験費用が安いため受験しやすいが、日本国内におけるScrum.org の知名度が低いので対外的なアピール度は弱い。 ● おおまかな認定の種類 ► Professional Scrum Master ► Professional Scrum Product Owner ► Professional Scrum Developer ✔ おそらく、認定区分はScrum Allianceに準じているのだと思う ● 認定試験の費用 ► 認定試験のみで$150くらいらしい ► トレーニングを受けなくても認定資格だけ受けられる

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  ● 特徴 スクラムガイドの著者のジェフ・サザーランドが設立、日本で はKDDIが2019年から日本語トレーニングを提供。 日本国内でスクラム開発を古くから推進しているKDDIが協力 しているので、これから日本国内で存在感が増してくる可能性 もある。 ● おおまかな認定の種類 ► Licensed Scrum Master Training ► Licensed Scrum Product Owner Training ● 認定試験の費用 ► トレーニング・試験費用合わせて20万円ほど ► トレーニングを受けないと認定試験は受けられない

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結局どの認定がいいの? 発足 知名度 試験費用 2001年 ◎ 20万円〜 2009年 △ $150 2019年 ○ 20万円〜 社外に向けてスクラムマスターの基礎知識を持っていることをア ピールする目的であれば、Scrum Allianceがベスト。 ただ、これらのトレーニングや試験を受けても、スクラム開発の実 戦スキルは身につかない。 スクラムは失敗からの学習や改善を試みた経験など、学習や 経験をベースにして身につくものなので、これらの認定は基 礎知識を持っていることの証明くらいにしかならない。 (悲しいですが認定ビジネスの側面もあります…)

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実戦的なスクラムマスターとは ※経験則ベースですが、あくまで主観的なイメージです ● スクラムの師に付き、実戦的な経験を積んでいる ► 無からスクラムの経験を積み、優秀なスクラムマスターになるのは大 変難しい ► スクラムの経験が長い師に付いて、「こういうときはどうするとよい か」という経験をその理由・背景と一緒に学習するのが一番確実 ● 守破離の守を守っている ► 武道と同様、基本的には型(スクラムフレームワーク)を守る ● 守破離の破や離に挑戦している ► 型を守るだけでは目的を達せないとき、破や離に挑戦していて(失敗 する場合も多々あるが)成功・失敗の引き出しが多いスクラムマス ターが実戦で強い ● 改善マインドを持っている ► スクラムの目的は改善。スクラムをすることが目的ではない ● 黒子に徹している ► スクラムマスターは裏方であり、注目を浴びる綺羅びやかな役割では ない ► プロジェクトの成功や開発メンバーの成長に対して奉仕できる人がス クラムマスターには適している

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質問Time アジャイルマニフェストでは「プロセスやツー ルよりも個人との対話を」としていますが、ス クラムガイドでは開発のプロセス(役割分担や イベント)が定められています。 これはアジャイルマニフェストと矛盾している のでしょうか? スクラムの守破離として、守はアジャイルマニ フェストやスクラムガイドといった基本の型に 従うことを指しますが、破や離にはどのような アクションが考えられますか?