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データサイエンティストに必要なスキルと、 分析プロジェクトを成功させるための 上流⼯程のポイント ⾚⽯ 雅典

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講演者プロフィール AIエンジニア 著書 「最短コースでわかる PyTorch &深層学習プログラミング」 「Pythonで儲かるAIをつくる」 「最短コースでわかるディープラーニングの数学」 以上⽇経BP 「現場で使える!Python⾃然⾔語処理⼊⾨」(共著) 翔泳社 「Watson Studioで始める機械学習・深層学習」 リックテレコム twitter @makaishi2

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AI人材育成関連の経験 ⾦沢⼯業⼤学⼤学院 ⻁ノ⾨キャンパス 「AI技術特論」 (2018-2019) ⾦沢⼯業⼤学は、東京の⻁ノ⾨に社会⼈向け⼤学院キャンパスを持っている。 この⼤学院で、IBMによるAI授業を実施することになり、講演者は、「AI技術特論」という技術系上級コースの責任者とし て、シラバス設計からコンテンツ作成、講師まで⼀通りのタスクを経験した。この時得た知⾒・経験は、書籍出版に活⽤し ている。 IPA ITスキル標準 スキルコミュニティ活動(ITスペシャリスト) (2007-2010) 経済産業省の外郭団体であるIPAでは、ITスキル標準を定め、PMやITアーキテクトなど職種別のスキル要件を定義した。 更に⽇本のベンダー各社の代表を集めてより詳細なスキル要件の検討を⾏った。講演者は、「ITスペシャリスト」職種の委 員会にIBMの代表として参画し、主査として委員会活動をリードした。 具体的な成果としては、元々のタスクであるスキル定義・作業項⽬定義の精緻化以外に、スキルハンドブックのコンテンツ の検討や、新専⾨分野(アプリケーション共通基盤)の創設などがある。この活動が認められ2008年に通産省から表 彰を受けた。 この他、現在は関⻄の⼤学院⼤学で「最短コースでわかるディープラーニングの数学」をテキストとした授業の講師をしている。

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「Pythonで儲かるAIをつくる」 ⾒込み客、⼟⽇の需要、商品リコメンド… 営業、マーケティングが劇的に変わる 業務に本当に役⽴つ“儲 かるAI”を⾃分で作る︕ 業務の課題を認識し、どう改善するかという「業務⽬線」が必要なのは 従来システムと同じですが、AIの構 築ではさらに 業務の課題が本当に AIで解決できるのか、AIのどの処理⽅式なら適⽤できそうか という 「技術⽬線」が不可⽋なのです。 本書のPython実習で学ぶことで、「AIの⽬利きができる技術⽬線」を獲得し ⾃分でもAIを作れるよう になります。 1章 業務と機械学習プロジェクト 2章 機械学習モデルの処理パターン 3章 機械学習モデルの開発⼿順 4章 機械学習モデル開発の重要ポイント 5章 業務要件と処理パターン 6章 AIプロジェクトを成功させる上流⼯程のツボ Amazon(単⾏本) https://www.amazon.co.jp/dp/4296106961 Amazon(Kindle) https://www.amazon.co.jp/dp/B08F9P726T 書籍サポートページ (全実習コードGithubでダウンロード可) https://bit.ly/2EbU3hz 2020年12⽉にAmazon⼈⼯知能・コンピュータサイエン スカテゴリで2週間連続1位!(Kindle版)

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本⽇のアジェンダ PART 1 AI・データ分析⼈材 - データサイエンティスト協会・IPAで作成したスキルスキルチェックリストの紹介を中⼼に PART 2 機械学習の適⽤領域の選択 - 書籍「Pythonで儲かるAIをつくる」 6.1節の内容紹介を中⼼に

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PART 1 AI・データ分析⼈材

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データ分析人材 データサイエンティスト協会・IPA(情報処理推進機構) データサイエンティストのためのスキルチェックリスト・タスクリスト概説 https://www.ipa.go.jp/files/000083733.pdf より引⽤ • ITシステム開発では「ビジネス」「エンジニア」の2側⾯のスキル、知識が必要でした。 • データ分析ではこれに「データサイエンス」という新しい軸が加わり、3つの側⾯でのス キル・知識が必要になります。 • すべての領域の必要スキルを同時に満たせる⼈は現実にはほとんどいないです。得 意分野から出発して、他領域に軸⾜を広げていく形になります。 • 実プロジェクトでは複数の専⾨家が協⼒して分析プロジェクトを進めます。その場合に 重要なのは「専⾨でない領域の最低限の知識・スキル」と「相⼿に合わせて会話内 容を変えていけるコミュニケーション能⼒」です。 コミュニ ケーショ ン能⼒

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3つのスキル領域の活用イメージ 「ビジネス⼒」「データサイエンス⼒」「データエンジニア⼒」の3つのスキルが、データ分析プロジェクトのどの局⾯で活⽤さ れるかを模式的に⽰すと、下の図のようになります。

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データ分析プロジェクトのタスク構造図 データ分析プロジェクトにおけるタスク間の関係をハイレベルで⽰すと次のようになります。 出典 https://www.ipa.go.jp/files/000063897.xlsx

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ビジネス力 データ課題解決カテゴリは、最近「データコンサルタント」として注⽬を浴びている領域のスキルです。 従来型のコンサルティング⼿法では仮説検証型を主に⽤いたのに対して、データを起点とした探索型・発⾒型の⼿ 法を⽤いてビジネス課題を解決します。 いわゆる「従来型コンサル⼿法」。 データ中⼼の新しいコンサルティング⼿法。 PM系スキル主体だが、データ分析プロジェクト固有 の要素も加味されている。 PDCAサイクルを回すタスクを含め、分析結果をビジ ネスに反映するスキル。 倫理・法令遵守だけでなく「コンサルタントの⼼構え」 的な内容も含んでいる。

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ビジネス力・データ課題解決 「ビジネス⼒」の中で最も重要な「データ課題解決」のスキルをもう⼀段ブレークダウンすると、以下のようになります。 着想・デザイン 課題の定義 データ⼊⼿ 分析評価 ビジネス観点のデータ理解 • データを利活⽤した事業モデルの着想・デザイン • 担当事業におけるデータ・AI利活⽤を検討できる • KPI設計 • 問題の⼤枠整理・アウトプットイメージの想定・論点の特定 等 • 分析テーマから必要なデータを検討し、実際に⼊⼿できるスキル • 分析結果をビジネス観点で評価し、業務上のアクションを導く 等 • データから得られた⽰唆のビジネス上の価値を判断できる • 分析結果から分析の深掘り・データ⾒直しの⽅向性を設計できる 等 以下のスキル詳細項⽬資料は、データサイエンティストスキルチェックリスト https://www.datascientist.or.jp/common/docs/skillcheck_ver3.01.xlsx を加⼯して作成。 上流 下流

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データサイエンス⼒ 「データサイエンティスト」の知識・スキル領域を俯瞰的に⽰した図。「⾮構造化データ処理」の領域は分析対象により 不要な場合もあるが、それ以外の領域はそれぞれ別の観点で重要です。 「狭義」のデータ分析領域(狭義といって も俯瞰すると相当広い) データ分析を深く理解したい場合、数学 的素養が必要になってくる ビジネスとの接点にあたる領域のスキルで 重要。特に「データの理解・検証」と「意 味合いの抽出・洞察」は「業務」と「分析」 の⼊⼒・出⼒としてのつなぎの意味を持 つ。 分析対象が「構造化データ」であれば不 要でオプション的な位置づけ

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データサイエンス力・データ課題解決 データの理解・検証 分析プロセス 意味合いの抽出、洞察 • 要件に応じて、分析の切り⼝や⽐較対象を正しく設定できる(データ理解) • 実データを検証し、その結果をもとに分析プロセスを⽴案・修正できる(データ確認)等 • ⽬的に応じて必要なデータ、分析⼿法、可視化などを適切に選択できる(アプローチ設計) • 各種の解析⼿法の結果を解釈し、意味合いを説明できる(評価) • 図表による分析結果から直接的な意味合いを抽出できる(洞察) 「データ課題解決」は、「データサイエンス⼒」側にも存在します。 そのスキルをもう⼀段ブレークダウンした結果です。 ※詳細項⽬は実際のスキル定義ではより多くの項⽬が存在する場合があり、代表的なもののみ記載しています。

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データサイエンス力・解析技術 探索的 「解析技術」のうち、「探索的」カテゴリと「データ可視化」の詳細内容です。 サンプリング データ加⼯ 検定・判断 • 実験計画法など統計学におけるサンプリング技術 • データ加⼯・クレンジング・特徴量エンジニアリング 等 • 統計学における様々な検定⼿法を実施できる データ可視化 • 散布図や積み上げ棒グラフに関して適切な軸の候補を選定できる • ネットワーク構造、グラフ構造など統計的な関係性の可視化ができる 等

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データサイエンス力・解析技術 Static 「解析技術」のうち、「Static」カテゴリの詳細内容です。 機械学習技法 グルーピング • 各種アルゴリズムを理解し、適切なものを選定できる • SHAP等ブラックボックス性の⾼いモデルの局所的な説明性を適⽤できる 等 • 階層型・⾮階層型のクラスター分析ができる • 異常検知のアルゴリズムを理解し、適切なものを選択できる 等 ※詳細項⽬は実際のスキル定義ではより多くの項⽬が存在する場合があり(最⼤20程度)、代表的なもののみ記載しています。 性質・関係性の把握 パターン発⾒ グラフィカルモデル • ヒストグラム・クロス集計表・散布図でデータの性質・関係を把握できる • 主成分分析・因⼦分析などを利⽤できる 等 • アソシエーション分析を利⽤できる • 協調フィルタリングを利⽤できる 等 • ベイジアンネットワーク分析結果から⽬的事象の事後確率を算出できる 等

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データサイエンス力・解析技術 Dynamic 予測 時系列モデル • 重回帰・ロジスティックモデルに関する詳細な内容を説明・適⽤できる • ROC曲線、混同⾏列、MSEといった評価⼿法を理解し・適⽤できる 等 • 時系列データの基礎的な概念を理解・説明できる • 時系列分析のアルゴリズムを理解し、適切なモデルを選定できる 等 「解析技術」のうち、「Dynamic」カテゴリの詳細内容です。 ※詳細項⽬は実際のスキル定義ではより多くの項⽬が存在する場合があり、代表的なもののみ記載しています。 シミュレーション/データ同化 最適化 • MCMC(マルコフ連鎖モンテカルロ法)シミュレーションを実装できる 等 • 代表的な最適化問題について、ソルバーを⽤いて最適化できる 等

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データサイエンス力・基礎数学 統計数理基礎 線形代数基礎 微分・積分基礎 • 順列・組み合わせ・条件付き確率・平均・中央値・最頻値・分散・標準偏差 • 名義尺度、順序尺度、間隔尺度、⽐例尺度の違い • 代表的な確率分布 • ベイズの定理・ベイズ推論 • 尤度と最尤推定 • ⾏列同⼠、⾏列とベクトル間の計算⽅式 • 固有値・固有ベクトル • 微分により計算する導関数が傾きを求めるための式であること • 偏微分の計算⽅法 • 確率密度関数を定積分することで確率が得られること 「基礎技術」「基礎数学」の詳細内容です。 ※詳細項⽬は実際のスキル定義ではより多くの項⽬が存在する場合があり、代表的なもののみ記載しています。

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データエンジニア力 当スキルチェックリストでは「データ分析」に特化した形の知識・スキルが定義されています。 実プロジェクトではより広く「IT基盤技術」の観点で必要なスキルが出てくる場合が多いです(例としてLinuxとか、Git、 Jenkinsなど)。最近では特にクラウドサービスを利⽤した基盤設計・実装⼒が重要です。 細かい技術内容としてはSQLが⾮常に重要です。

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ビジネスや事業への関わり方 データサイエンティストはビジネスパーソンたれ • ビジネスシーンでは「現場⼒」「実践⼒」が重視されます、 分析結果を「⾔語化」し、「ロジカルに説明」できることが重要です。 • 情熱を持って現場同⼠をネットワークし導く • ⽬利き⼒を⽣かして先回りのデータ活⽤戦略を⽴てる https://www.ipa.go.jp/files/000083733.pdf から引⽤

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PART 2 機械学習の適⽤領域の選択

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機械学習の適⽤領域の選択 前提 教師あり機械学習の適⽤領域には、予測結果そのものを業務に利⽤するパターンと、予測モデルから項⽬別影響 度などの知⾒を抽出し、その知⾒を業務に活⽤するパターンがあります。 以下のスライドでは、そのうち、予測結果そのものを業務に利⽤するパターンについて、適⽤領域の選定時、特に注 意すべき点を解説します。 書籍「PythonでもうかるAIをつくる」の中の 6章「AIプロジェクトを成功させる上流⼯程のツボ」 6.1節 「機械学習の適⽤領域の選択」に該当します。

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機械学習適⽤領域の選択 1. 処理パターンの当てはめが肝要 2. 教師あり学習は正解データの⼊⼿が命 3. AIに100%は期待するな 予測⽬的でAI(機械学習)を業務利⽤する際に、通常のITシステムと⽐較して最も注 意すべき点は、間違った箇所にAI(機械学習)を利⽤しようとすると、絶対にうまくいか ないという点です。 以下では特に重要なツボ・陥りやすい失敗を3つの観点に絞り込んで説明します。

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機械学習適⽤領域の選択 1. 処理パターンの当てはめが肝要 2. 教師あり学習は正解データの⼊⼿が命 3. AIに100%は期待するな

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1. 処理パターンの当てはめが肝要 処理パターン︓書籍の中では以下のような定義をしています。 機械学習モデルをブラックボックスと⾒た時、 ⼊⼒と出⼒のみに着⽬したモデルの振る舞い 機械学習の⽤語でいうと、「分類」「回帰」「時系列分析」「アソシエーション分析」などのことを指します。 案件によっては、モデルの処理パターンがそのまま、顧客の希望に合致する場合もあります。 (例えば⼩売店における販売数予測などのケース) そうでないケースでは、「AIであればなんでもできる」と顧客が誤解しているケースもあり、そのような場合、顧客に機 械学習で可能な処理パターンを理解してもらった上で、「現⾏業務のXXをYYに変えた場合、ZZを機械学習で実 現できる」というような話を検討する必要があります。

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1. 処理パターンの当てはめが肝要 ⼀番単純でわかりやすい処理パターンとしては、下記のような回帰モデルで数値予測をするケースがあります。 実際のユースケースでは、回帰モデルの予測結果から、⼈員スケジュールの最適化、発注の最適化などを⾏う場合も あり、その場合は、ToBeモデルの全体像と、その中でどの部分に機械学習モデルを適⽤するかの検討が必要です。 例) 回帰 「教師あり学習」で数値を予測するモデル 「Pythonで儲かるAIをつくる」⽇経BP からの引⽤

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1. 処理パターンの当てはめが肝要 機械学習モデルの理解が不⼗分な顧客が対象の場合、例えば下のような表を顧客に提⽰してそれぞれの処 理パターンの理解を深めてもらった後、業務適⽤の議論をはじめます。 処理パターンの⼀覧 教師あり学習と教師なし学習の⽐較 ଌϑΣʔζʯͷ۠ผ͸ͳ͘ɺσʔλΛϞσϧʹ༩͑Δͱɺ͍͖ͳΓग़ྗ͕ಘΒ Ε·͢ɻڭࢣͳֶ͠श͸ɺػցֶशͷख๏ͷҰͭͰ͕͢ɺ ʮσʔλ෼ੳʹ͍ۙʯ ͱ΋͍͑·͢ɻਤ ʹɺڭࢣͳֶ͠शͷॲཧΠϝʔδΛࣔ͠·ͨ͠ɻ ɹ͜͜·Ͱʹઆ໌ͨ͠ڭࢣ͋Γֶशͱڭࢣͳֶ͠शͱ͍͏ֶशํࣜͷ۠ผ͸ɺ ॲཧύλʔϯΛબ୒͢ΔࡍʹۃΊͯॏཁͰ͢ɻද ͰվΊͯ੔ཧ͓͖ͯ͠· ͢ɻ Ϟσϧ ೖྗ ೖྗ ೖྗ ೖྗ ग़ྗ ग़ྗ ग़ྗ ग़ྗ ֶश ݁Ռ ਤ ɹڭࢣͳֶ͠शͷॲཧΠϝʔδ ද ɹڭࢣ͋Γֶशͱڭࢣͳֶ͠श ֶशํࣜ ਖ਼ղσʔλ ओͳ໨త ϑΣʔζ ར༻࣌ͷೖྗσʔλ ڭࢣ͋Γֶश ඞཁ ༧ଌ ʮֶशʯͱʮ༧ଌʯ ະ஌ ڭࢣͳֶ͠श ෆཁ ෼ੳ ʮֶशʯͷΈ ط஌ 学習⽅式 処理パターン 対応節 業務・利⽤例 教師あり 分類 5.1営業⾒込み客予測 回帰 5.2売り上げ予測・来客数予測 時系列予測 5.3売り上げ予測・来客数予測 教師なし アソシエーション分析 5.4お薦め商品分析(購買済み商品に基づく) クラスタリング 5.5マーケティング分析(顧客のグループ化) 次元圧縮 5.5マーケティング分析(個別顧客の特性可視化) 「Pythonで儲かるAIをつくる」⽇経BP からの引⽤

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1. 処理パターンの当てはめが肝要 「処理パターンの当てはめが肝要」に関連するスキルは、スキル定義の中では「データサイエンス⼒」の項⽬のうち、 「分析プロセス」「アプローチ設計」の⼀部として規定されています。 ⼤分類 NO Sub No スキルカテゴリ スキルレベル サブカテゴリ チェック項⽬ データサイエンス⼒ 140 1 分析プロセス ★ アプローチ設計 スコープ、検討範囲・内容が明快に設定されて いれば、必要なデータ、分析⼿法、可視化など を適切に選択できる データサイエンス⼒ 141 2 分析プロセス ★★ アプローチ設計 解くべき課題がフレーミングされていれば、必 要なデータ、分析⼿法、可視化などを適切に選 択できる データサイエンス⼒ 142 3 分析プロセス ★★★ アプローチ設計 複数の事業や課題にまたがっていても、必要な データ、分析⼿法、可視化などを適切に選択し 作業⼿順に落とし込める データサイエンス⼒ 143 4 分析プロセス ★★★ アプローチ設計 複数のアプローチの組み合わせでしか解けない 課題であっても、その解決までの道筋を設計で きる データサイエンティストスキルチェックリスト https://www.datascientist.or.jp/common/docs/skillcheck_ver3.01.xlsx を加⼯

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機械学習適⽤領域の選択 1. 処理パターンの当てはめが肝要 2. 教師あり学習は正解データの⼊⼿が命 3. AIに100%は期待するな

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2. 教師あり学習は正解データの⼊⼿が命 教師あり学習 • 学習時に教師データ(正解データ)が利⽤できることが⼤前提です。 • 同じ教師あり学習の処理パターンであっても、正解データが⼊⼿しやすい業務とそうでない業務があります。 ⼊⼿しやすい業務例 未来の予測がAIの⽬的の場合。 結果(営業の正否 or 1⽇の売上額)の記録さえあれば⾃動的に教師データ(正解データ)になります。 分類: 営業⾒込み客予測 (書籍 5.1節のテーマ) 回帰: 売り上げ予測・来客数予測 (書籍 5.2節のテーマ)

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2. 教師あり学習は正解データの⼊⼿が命 ⼊⼿しにくい業務例 ⼈間の判断結果が機械学習モデルの⽬的変数の場合。 分類: 商品の⽋陥判定、病気疾患の有無判定などが該当します。 ⼊⼿しにくいのは、次のような理由によります。 ・特定の専⾨家しか判断できないケースが多い その⼈に依頼しないと正解データが得られない場合、正解データを作りにくくなります。 専⾨家も⼈によって判断結果が異なる場合があります。 正解データにブレがあると精度の⾼いモデルは作れません。

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2. 教師あり学習は正解データの⼊⼿が命 ・⽋陥判定系のユースケースでは、データ件数がアンバランスになりやすい ⼯場で⽣産した商品の⽋陥を検出するモデルを作る場合を想定します。 通常、ほとんどの商品(例えば99.5%)は正常であり、まれに(0.5%)に⽋陥があります。 正解データの件数にばらつきがあると精度の⾼いモデルが作れません。 そこで⽋陥側に件数を合わせる必要があります。 → 多くの学習データを⼊⼿できない可能性が⾼くなります。

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2. 教師あり学習は正解データの⼊⼿が命 「教師あり学習は正解データの⼊⼿が命」に関連するスキルは、スキル定義の中では「データサイエンス⼒」の項⽬ のうち、「機械学習技法」「機械学習」の⼀つとして規定されています。 ⼤分類 NO Sub No スキルカテゴリ スキルレベル サブカテゴリ チェック項⽬ データサイエンス⼒ 176 6 機械学習技法 ★ 機械学習 教師あり学習におけるアノテーションの必要性 を説明できる データサイエンティストスキルチェックリスト https://www.datascientist.or.jp/common/docs/skillcheck_ver3.01.xlsx を加⼯

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機械学習適⽤領域の選択 1. 処理パターンの当てはめが肝要 2. 教師あり学習は正解データの⼊⼿が命 3. AIに100%は期待するな

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3. AIに100%は期待するな 「分類」の処理パターンを業務で利⽤するあたって、AI(機械学習モデル)では100%の精度があり得ない点を留 意する必要があります。 ユースケースにより、100%でなくても意味がある場合と意味がない場合があり得ます。

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3. AIに100%は期待するな (A) 100%でなくて意味がある場合 営業⾒込み客予測(書籍 5.1節の事例) ランダムに顧客にアプローチした場合: 成功率10% モデルで選定した⾒込み客のみアプローチした場合: 成功率30% → 業務効率化ができているので、精度(成功率)が100%でなくてもAI(機械学習モデル)利⽤の意味があると考 えられます。

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3. AIに100%は期待するな (B) 100%でないと意味がない場合 商品⽋陥予測・病気疾患予測 →⾒逃しがあった場合の影響が多⼤な場合、単純にAI(機械学習モデル)を⼈間の代わりに使うことは難しいで す。 PoCが完了し、本番実装を検討する段階でこのことに気付き、結果的に先に進めなくなるプロジェクトがかなり多い です。

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3. AIに100%は期待するな (B)のような商品⽋陥予測・病気疾患予測であっても、AIを業務で役に⽴てる⽅法があります。 予測そのものを⽬的とするのでなく、予測モデルの⼊⼒変数の重要度分析を⾏い、分析結果を業務改善に役⽴て るアプローチです。 (例) ⼯場で製品の⽋陥予測モデルを作成し、製造⼯程A、B、Cに関係する説明変数の重要度分析を⾏う → ⼯程Cに関する重要度が⾼かった場合、⼯程Cの改善に注⼒するのが、効率的と考えられます。 (処理パターンとしては「教師あり学習」だが、利⽤⽅法において「予測」でなく「分析」を主⽬的とする⽅法。)

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3. AIに100%は期待するな 以上で説明した話は、PoC(Proof of Concept、AIプロジェクトで必ず最初に⾏う実証実験)を始める前から、 机上で検討可能です。 AIで100%の精度が出なくてももAI利⽤の意味があるのか⼗分に検討した上で、PoCに着⼿するのが失敗 を少なくするアプローチとなります。

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3. AIに100%は期待するな 「AIに100%は期待するな」に関連するスキルは、スキル定義の中では「ビジネス⼒」の項⽬のうち、「活動マネジメ ント」「プロジェクト発⾜」の⼀つとして規定されています。 ⼤分類 NO Sub No スキルカテゴリ スキルレベル サブカテゴリ チェック項⽬ ビジネス⼒ 87 4 活動マネジメント ★★ プロジェクト発⾜ PoCで終わらないよう、PoC⽴ち上げ時点で実 務実装の計画ができる データサイエンティストスキルチェックリスト https://www.datascientist.or.jp/common/docs/skillcheck_ver3.01.xlsx を加⼯