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0 正月を100倍楽しむ方法(門松編)

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1 0. はじめに 1. 門松とは はしやすめ1:自由過ぎる門松 2. 門松の鑑賞ポイント はしやすめ2:門松が自由でよい理由 3. 門松鑑賞ガイド(全国編) はしやすめ3:門松はいつ飾る?→結構長めに飾れます 4. 門松鑑賞ガイド(特殊編) おわりに 目次

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2 正月が嫌いな人はいない、という前提がまずある • 日本の正月は、ゆく年くる年からスタートし、その後、初詣、おせち、駅伝と堪能 • 億劫な親戚づきあいもあろうが、それでも総評正月は良いものという認識は相違ない 一方、その正月を陰で彩る門松については、皆様どんな思いを馳せているのかと言うと…… • “全然考えもしなかった。言われて思い出した。視界には入る”(20代女性、医療職) • “竹だなー、って感じ。あれ、なんなん?”(30代男性、サービス業) 上記二つの状況を鑑み、以下の仮説が導き出される。 “謎に包まれた門松に親しくなれれば、正月の楽しみは100倍に膨れ上がる” ということで、皆様の門松鑑賞の一助になりたい。その一心である。 なぜって、門松はこんなにも面白いのだから……。 はじめに 何気なく正月に燦然と輝く門松、そしてその実態は……

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3 1. 門松とは

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4 門松とは:一般的に門松と言われる形態 実は門松には、大きな個体差は無いのでは……という視点 基本要素を網羅した門松の例 しばしば街中で見られる門松例 一般に平時目にする門松は、およそ共通して以下の ような特徴を持つと思われているのではないだろうか • 竹が三本で構成されている • 竹が斜めにスパっと切れている • 藁でできた土台がある • 小さい松がついている • 縄のような結び目がついている • オレンジがついていることもある……など 要すれば、右の写真のような門松がほとんどであって、 それほど一つ一つに差がないのではないか、と。 ……上記について、結論から申し上げる。

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5 門松とは:一般的に門松と言われる形態 実は門松には、大きな個体差は無いのでは……という視点 基本要素を網羅した門松の例 しばしば街中で見られる門松例 一般に平時目にする門松は、およそ共通して以下の ような特徴を持つと思われているのではないだろうか • 竹が三本で構成されている • 竹が斜めにスパっと切れている • 藁でできた土台がある • 小さい松がついている • 縄のような結び目がついている • オレンジがついていることもある……など 要すれば、右の写真のような門松がほとんどであって、 それほど一つ一つに差がないのではないか、と。 ……上記について、結論から申し上げる。 残念ながらその認識は……実態にそぐわない。 実は門松は、もっと自由だ! 似て非なるのが門松。個性があるのが門松。

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6 これも こんなのも どれも

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7 ましてや なんかも…… こんなの

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8 ぜんぶ、門松!

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9 門松とは:門松の構成要素 ……とは言っても、昨今基本の7要素はあり、まずはここを抑える 基本要素を網羅した門松の例 各項目の解説 1 2 3 4 5 6 7 項目名 左の例 竹の切り方 そぎ 竹の種類 モウソウチク 竹の結び目 赤・銀のワイヤー 松の大きさ 大(関西風) 土台の種類・結び目 竹袴 その他の装飾 南天、葉牡丹、熊笹等 門松の配置 出飾り 次章で 詳細説明

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10 はしやすめ1:自由過ぎる門松 Source: 1. TIME&SPACE “【ネット系女子!】ギャル? エンジニア? 謎の電子工作ギャルユニット・ギャル電さん”(https://time-space.kddi.com/interview/netlife/20170406/)2. Twitter(@Ohoho1974様) (https://twitter.com/ohoho1974/status/947783026733334529) インターネットの発達は、我々に思いも寄らない 変化を与えたが、こと門松に関しては良い方向に 振れた、と思っている。 右1は“ギャル門松”。電子工作ギャルユニットの ギャル電さんが作成したものだ。 「私たちはギャルだから、パリピの神を呼ぼう」 という意味が込められているという。脱帽だ。 また、左2はある協会で飾られた門松。 “十字架門松”、とでも呼ぶべきだろうか。 撮影者は“宗教の融和とはという人類のテーマに一つの答えを出してる気がする” というコメントを残している。 蓋しその通りだ、と思うとともに “世の中には変わった門松があるものだな”とも思った。 ここから分かることは、やはり門松は自由である、ということだ。

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11 2. 門松の 鑑賞ポイント

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12 門松の鑑賞ポイント:竹の切り方(1) 斜めにスパっと切った“そぎ”と、真っすぐ横に切った“寸胴” 斜めに切った“そぎ” 横に切った“寸胴” • 比較的街でよく見るのが“そぎ” • 斜めに切れていれば、その間に節が入っていても、 上側が切れていても“そぎ”(詳細後述) • 中身が見えるので、お店などお客を呼びたいところ でよく使う……と言われるけど、結構どこでも見る • 徳川家康が三方ヶ原の戦いで“武田を切る”と 言ったのが由来だけれど……眉唾かな • どちらかというとマイナーなのが“寸胴(ずんどう)” • 先端が詰まっているので、“お金が漏れない”として 金融機関で使われる……というけど、どうだろうか • 歴史的に“そぎ”よりは伝統的だけれども、そもそも 門松を三本飾るようになったのが江戸時代前後 なので、伝統と言い切るには及ばないような (そぎは水商売等、陰の形式とされる説もある)

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13 門松の鑑賞ポイント:竹の切り方(2) “そぎ”は更に“節無し”、“笑い口”、“無頓着”の3区分に分かれる 節無し 笑い口 無頓着/その他 • 比較的街でよく見る形状 • シンプルがゆえに奥深く、例え ば先端は安全のため切り落とし たり、全体を波打たせたりする • “笑ったように見える”笑い口 • 節を中央より下部で区切ると 口のように見えるのがポイント • 更に、節が窪んでいると口角が 上がっているように見える (これは竹の性質による) • 何も考えずに竹を切ると、節が あったりなかったりの門松になる (左図、これはこれでオツ) • また、節の位置によっては笑い 口というより“おちょぼ口”に 近くなる(右図) • 他にも切り方は自由だ!

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14 門松の鑑賞ポイント:竹の種類 おおむねマダケ、モウソウチクの二種類が主流だが…… マダケ モウソウチク • マダケは“けっこう”緑が深い • 竹の節が二本なのがマダケ (ほかに大型の竹としては“ハチク”という種類も節 が二本だったりするが、門松での登場頻度は稀) • 門松界隈では少数派 • モウソウチクは“どちらかというと”色味が淡い • 竹の節が一本なのがモウソウチク • 更に、節の周りに蝋のような白いモノが残っていれ ばそれは若いモウソウチク(一年生や二年生) • 日本の竹林面積の大半を占め、門松界隈でも 多数派(特に、大型の門松はたいていこちら) 節が二本 節が二本 節が二本 節が一本 かつ白蝋アリ

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15 門松の鑑賞ポイント:竹の種類 おおむねマダケ、モウソウチクの二種類が主流だが…… マダケ モウソウチク • マダケは“けっこう”緑が深い • 竹の節が二本なのがマダケ (ほかに大型の竹としては“ハチク”という種類も節 が二本だったりするが、門松での登場頻度は稀) • 門松界隈では少数派 • モウソウチクは“どちらかというと”色味が淡い • 竹の節が一本なのがモウソウチク • 更に、節の周りに蝋のような白いモノが残っていれ ばそれは若いモウソウチク(一年生や二年生) • 日本の竹林面積の大半を占め、門松界隈でも 多数派(特に、大型の門松はたいていこちら) 節が二本 節が二本 節が二本 節が一本 かつ白蝋アリ ま、それほど気にしなくてもいいんじゃないでしょうか。 • マダケとモウソウチクどちらにせよ、意義は変わらない (繁栄や生命力の強さの象徴) • そもそも、見た目が似すぎているので判別が困難 • 人に説明するときに、その差を分かってもらいづらい……などなど (話のタネになりづらい) ちなみに、ときどきマダケやモウソウチク以外も使われています。 結構レアリティが高いので探してみてもよいかもしれない。

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16 門松の鑑賞ポイント:竹の結び目 なくてもいいけれど、あったらあったでうれしい派手な結び目 しめ縄タイプ その他タイプ • “どうせ正月に飾るものなので、門松としめ縄は いっしょにしちゃおう!”というコンセプト (もともとは、全く別の役割という説が支配的) • なお、門松の意味を“年神様の依代とするならば、 本来的には”結界“の意味を持つしめ縄を配する のは若干矛盾があるような気がしないでもないけ れど……見た目よいならOK! • しめ縄にしない場合は、機能的に“竹を結ばなけ ればほどけそう”な場合につけられる • そのため、比較的簡素になるのも納得 (一部、梅結びなどはあるが) • 別に門松にしめ縄がついていなければならないわ けではないので、飾りは無い場合も多い

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17 門松の鑑賞ポイント(休憩):鑑賞ポイントを理解する意味 野球をイメージしてみよう。 ルールが分からなくても、周りの盛り上がりや、動きの速さ、打球処理の 華麗さなどで、一遍は楽しむことが出来るだろう。 門松で言えば、その壮大な大きさや 正月らしい派手さに感服する、といったところか。 しかし野球においても、配球やポジショニング、 選手の経歴を知っていればより楽しめる。 要すれば、ドラマが生まれるわけだ。 門松で言えば、装飾の歴史的背景や、 それぞれの装飾の差分を理解することに他ならない。 要すれば、何かを鑑賞する際には、前提知識が あったほうが“より”楽しめる、ということである。 それは当然門松にも当てはまるが、義務教育でも教えて くれないし、年に一度しか登場しないから知識が溜まらない。 それは正月を楽しむために、ちょっとモッタイナイのだ。

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18 門松の鑑賞ポイント:松の大きさ 大きいのが関西風、小さいのが関東風 関西風(大) 関東風(小) • 松が上に横に広がっているのが関西風で、 たいていは竹の背丈を越えてくる • とにかく派手に持っていきたいのが関西風で、 葉牡丹や南天などと併さって艶やか鮮やか • 松が小さくまとまっているのが関東風 • 上部が自然に発散しているタイプと、より小さく 刈り込まれているものの二種類が存在 • ちなみに、関東でも派手な門松は稀に見られる

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19 門松の鑑賞ポイント:土台の種類、結び目(1) 菰で巻く、板で巻く、鉢を使う3パターンが主流 菰(こも) 板巻き 鉢植え • 菰(竹のワラ)で竹や松を ぐるりと巻いた形式 • 縄でぐるぐる巻きにしたタイプは、 高級感がある(気がする) • 特に結び目のバリュエーションが 豊富(詳細後述) • 竹を割ったものや木の板で囲み、 棕櫚縄等で結んだ形式 • 特に関西地方に目立つ形式 • 完全自由型の鉢植え形式 • どちらかというと関西地方で 目立つ • レアなので、見つけると正月が さらにラッキーかもしれない

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20 門松の鑑賞ポイント:土台の種類、結び目(2) 特に、菰に関しては多様な結び目が存在 皆さんご存じ梅結び かわいい生き物風結び その他よく見る結び

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21 門松の鑑賞ポイント:その他の装飾 関西3点セットが大半 関西3点セット その他小物 • 葉牡丹は、紅白で縁起がよいことから • 南天は、“難を転ずる”という語呂合わせから +似た形の千両、万両は商売繁盛などの象徴 • 熊笹は、笹が神様に宿る木である所から+ 葉の縁取りの美しさから • 三つ併せればあら不思議関西風 • 梅は、松竹梅そろい踏みで縁起よし! (しかし梅が咲くのは二月なので、擬木が多い。 旧暦の場合は、門松のタイミングで丁度だった) • 橙は、“だいだい”栄えるようにの語呂合わせ (自重で外れるので、プラスチック製が大半) • その他紙・プラスチックの小物

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22 門松の鑑賞ポイント:門松の配置 出飾りと迎え飾りがありますが……主流は出飾り 出飾り 迎え飾り • 何かに“出て行って”欲しいときは出飾り (例えば、この写真は某予備校の門松。そりゃあ、 そうであるという納得の出飾り。他には病院等) • 三本あるうちの、中くらいの竹が“外側”の配置 • 何かに“来て欲しい”ときは迎え飾り (商店や、その他客商売) • 一方で、近年は配置時のバランスの問題なのか、 迎え飾りを見る場面は減ってきた • 三本あるうちの、中くらいの竹が“内側”の配置 Now Printing...

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23 はしやすめ2:門松が自由でよい理由 Source: 1. 国立国会図書館デジタルコレクション 守貞謾稿巻26(https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2592412?tocOpened=1)、2. 国立国会図書館デジタルコレクション 江戸名所図会一(https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/994930/28) 門松の歴史は古く、健康などを願った平安時代の “根引きの松”を源流とする説が一般的だ。 右図1のように、根がついた松を門に立てかけた形式。 見て明らかなとおり、現代で“一般的”とされる 門松とは形式が全く異なる。 なにせ、竹がないし。 では、竹が使われていた江戸時代はどうだろうかと 紐解くと、左の図2のようになる。 やはり、現代と大きく形式が異なる。さながら門のようだ。 すると、現代の細かいルール(竹が三本、松は雄松と雌松、 左右一対など……)は、そもそも守る必要があるのかと。 門松は伝統から解き放たれて、もっと自由で奔放であっても よいのではないかと、私は思うわけですよ。

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24 3. 門松鑑賞 ガイド(全国編)

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25 門松鑑賞ガイド(全国編):全国の門松分布の外観(一部) 全国土着の門松がある……なので、一部をご紹介 モミカドマツ 人飾り 鳥居型 門松カード 門竹 武田流 北海道~甲信越 甲信越以西以南 鳥居型 ヨシ門松 門松禁止 榊門松 お松っつぁま 葦門松 門松禁止 フライング カドカザリ 根引きの松 逆さ門松 たまねぎ 三角形 門松禁止 円錐型 南極門松 門松カード 巨大門松 巨大門松 イカす門松 鳥居型 巨大門松 一本門松 白砂門松 白砂門松

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26 門松鑑賞ガイド(全国編):北海道(モミカドマツ) Source: 1.(株)イノタニHP(http://www.mytokachi.jp/ino1/entry/ct/3604/p-1) 2. Twiter(@rain_party様)(https://twitter.com/rain_party/status/811424477166780416) 北海道には日本の大型竹類(マダケ、モウソウチク等)は 一般には自生しないので、門松文化はなかった。 しかし、もちろん本土の文化流入は門松に限らず盛んに 行われており、商店等では本土風の門松はよく見られる。 しかし、独自性は一部にある。 地域密着型の園芸店や、森林組合連合会 などは、特産のトドマツを松の代わりに用いる (左図、右図)。 トドマツは松といえども、形状はいわゆる“モミ”に 似ており、それで作られた門松は、 まさしく北海道固有の文化と言えよう。 なお、竹の代わりに芯材としてトドマツを用いる こともまれにある(右図)。

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27 門松鑑賞ガイド(全国編):宮城県(鳥居型) Source: 1. 心のふるさと創生会議HP(http://www.kokoronofurusato.org/info/1912_sendaikadomatsu/) 文化というのは、一度途切れると 取り返しがつかないものだ…… ということをよく言うが、 例外は仙台の門松だ1。 同市の“心のふるさと創生会議” が、観光都市としての仙台を 盛り上げるために、伊達政宗の 時代から連なる仙台伝統の 門松を作成。 ちなみに、こういった鳥居型の門松は江戸時代に全国的に流行していた 様式とよく似ている。おそらく、江戸の文化が仙台に伝って、それが独自に 変化・残存していったものかと思われる。 こうした歴史的背景も、分かればなお面白い。

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28 門松鑑賞ガイド(全国編):千葉県(門松カード) Source: 1.市原市HP(https://www.city.ichihara.chiba.jp/kurashi/kankyoryokuka/ryokukasuisin/kadomatu.html) 2. 松戸市HP(https://www.city.matsudo.chiba.jp/shisei/matsudo_kouhou/kadomatsucard.html) 千葉県には門松カード文化が 根付いている。それは、市の公式 HPを見ても明らかだ。 左は、千葉県市原市1と松戸市2の HPからダウンロードした門松カード。 それぞれに個性があり、大変よい! もともと門松カードとは、抑圧の産物であった。戦後の新生活運動(要すれば、派手な文化とかやめようねという運動) によって、古来の門松含む文化が駆逐されていく中で生まれた、望まれない子だったはず。 しかし、こうして文化として根付いている。しかも、市原市に至っては古来より“松を飾らない地域”があることを加味して、 “門榊カード”を配布している。これこそ、文化の融合により生まれた新たな伝統である。こういうのを、見たいんだ。

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29 門松鑑賞ガイド(全国編):兵庫県淡路島(たま松) Source: 1.市原市HP(https://www.city.ichihara.chiba.jp/kurashi/kankyoryokuka/ryokukasuisin/kadomatu.html) 2. 松戸市HP(https://www.city.matsudo.chiba.jp/shisei/matsudo_kouhou/kadomatsucard.html) 兵庫県淡路島のたま松は、モロに観光資源である。 道の駅うずしおに建てられているのは、 もう門松のルール無視もいいところな玉ねぎの妖怪である。 竹は8本、切り口はバラバラ、一基しかない、関西なのに松の背が(相対的 に)低いし葉牡丹もない、しかも玉ねぎがついている。これぞ自由だ! そう、こういうのはルールを覚えないと、どれほどが逸脱していて、 どれほどがレギュレーション順守なのかが分からない。 好プレーの度合いが分からないのだ。それを(暗に)教えてくれる、 教材としてもGoodな門松だ。一石三鳥。 なお、惜しむらくは2018年以降はたま松が建設されているか どうか不明なところである。門松とは一期一会。これもまた、勉強である。

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30 門松鑑賞ガイド(全国編):福岡県(日本一の大門松) Source: 1.宮若ナビ(https://miyawaka-navi.com/detailpage_format.php?select=81&cate=all) 大きいことは良いことだ! を体現 するような福岡県宮若の門松1。 驚異の高さ約9メートルもさることながら、 マダケモウソウチク計350本使用というの が完全に規格外。唖然。 なお、何が日本一かというと “風格”日本一だそうです。 高さだけが高い門松は、ほかにもたくさん あれど……ということかもしれないが、 いや、やっぱり大きすぎるでしょ。

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31 はしやすめ3:門松はいつ飾る?→結構長めに飾れます 昨今門松はいつ頃から見始めるだろうか。 おそらく、早くても12月26日ではないか。 クリスマスツリーと横並びで門松が立っているのは、 おそらくほとんど目にしたことはないだろう。なので、26日。 昨今日本ではそう相場が決まっている……のだが、 私はもっと門松を見たい! 実は、松迎えと呼ばれる正月に向けた初めの イベントは、12月13日に執り行われると古来よりされている。 なので、にっくきクリスマス商戦さえなければ頭は取れる。 一方、終わりが7日ということになっているが、これは実は 江戸幕府のせい、江戸幕府のせいなんですよ! (実際は、燃えやすい門松を撤去するお触れのせい)。 なので、外様な関西は15日ごろまで飾られているところも 多い。全国でも、そのルールにのっとろうじゃないか。ええ? 現代の認識(関東) 12月26日~1月7日(13日) 最大限の解釈 12月13日~1月15日(34日) 門松を最大楽しむ条件 クリスマス廃止or門松との共存許諾 + 江戸幕府への陳情・歎願

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32 4. 門松鑑賞 ガイド(特殊編)

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33 門松鑑賞ガイド(特殊編):最終章について ついにきた最終章、驚天動地の猛者が集まる ここまでは、ぎりぎり常識の範囲内の門松が出現してきた。 どれもこれも、まあ……あるかもな。という門松。 ところがどっこい、本最終章ではそれを覆す猛者が出現する。 言いたいことはただ一つ。 門松は自由なのだ。 そして、それをこの目で見る旅に出たい…… (正月の極めて限定的な時期に、全国津々浦々で公開されるので、要すれば、めちゃめちゃ難しい)

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34 門松鑑賞ガイド(特殊編):オリンピック門松 一期一会と言ったがあれはウソ……なんと来年もオリンピック門松 Source: 1. 美里町の探検日記GP(個人ブログ)(https://blog.goo.ne.jp/misatotanken/e/a75df527b207b0a6a607cbd43a2e2336)、2. パルシェ公式HP(https://www.parchez.co.jp/news/2020/01/02/6437/)、3. Twitter (@2000_psm様)(https://twitter.com/2000_psm/status/945473202238644225) 日本文化とグローバリゼーション、 奇跡の融合と言えるだろう カラーリング鮮やかな五輪もよし、 シンボルのみの利用もよし これが見れるのはほぼ一生に一度 と思っていたら、なんとチャンスがもう一度 日本中が悲しみに暮れる中、 ここに一筋の希望の光が……というのは、 期待しすぎだろうか。ま、ちょっと期待過多か……

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35 門松鑑賞ガイド(特殊編):マフラー門松 メタルな輝きが新年を祝う……排気量バリバリのマフラー門松 最近は竹に色を塗った門松が流行っているが、 このメタルな輝きには適うまいと思うのがマフラー門松 マフラーはもちろん車や単車の排気管を指すのだが、 それでもって門松を作ろうという試みがマフラー門松だ はっきり言って、超かっこいい。 私も車や単車を買った暁には、この仕様にしたい (道交法云々はわかりませんが……) Source: 1. Twitter(@momy2411様)(https://twitter.com/momy2411/status/1209834251195039744)2. Twitter(@kairi710様)(https://twitter.com/kairi710/status/550973064372948993)

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36 門松鑑賞ガイド(特殊編):食べる門松 おせちに飽きたら門松もね……神様を喰らう食べる門松 何度か記載しているが、門松は “神様の依代”、つまり神様が住まうところ というのが通説だ そんな門松を、神様ごと食べてしまおう…… そういうコンセプトのもとに開発された (ということはないと思うけど)のが、食べる門松 恐れ多いというか、こう発想力の強さに感服。 もちろん、自由な門松の一つである。神を喰らえ! Source: 1. Twitter(@dokuro9646様)(https://twitter.com/dokuro9646/status/815037718803554304)2. PR TIMES(株式会社ディー・アール)(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000334.000029602.html)、3. ニッスイ HP(太ちくわの門松飾り)(https://www.nissui.co.jp/recipe/01390.html)

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37 おわりに 改めて言おう、門松は、自由だ! そして基本形を抑えておくことで、その自由さが際立つ。 その後に異常な門松を見て、ようやく正月を100倍楽しめるのだ。 するとやはり、現代ツールには感謝、感謝だ。 インターネットがなければこれだけの探索はできなかったのは間違いない。 (前半の解説は自前、後段の鑑賞については各頁のソースの通り) 知識と探索、この両輪が門松の自由を知るには不可欠。 願わくば自分の足で探したいが、一か月くらい飾ってもらえないものか……。 神様を探す長い旅路、と思うと少しは格好がつくのかもしれない。

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