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病院経営データ 分析入門 開催日 2021年4月15日・18日 開催時間 15:00~16:00 開催方法 WEB開催 参加費 無料 ご参加いただきありがとうございます

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病院経営データ分析に必要なスキルを体系的に学べるセミナーです 理論 分析の考え方など 進め方に関する基本ルール 情報 分析に利用できるデータや その取得方法に関する知識 処理 取得したデータを 加工・集計するためのスキル 周知 把握できた情報を 分かりやすく伝える技術 はじめに 病院経営データ分析入門セミナーとは 本日は、データ分析を進めるときの基本ルールについて これまでの経験を踏まえながらご説明させていただきます

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参加者同士でお互いに切磋琢磨できる300名超のコミュニティを作ります 病院経営に関心のある参加者間で知識・スキルを共有し 1つの二次医療圏に1人の病院経営データ分析人材を育成する はじめに 今後のセミナーを通して実現すること 2019年度 退院患者調査における 全国の2次医療圏数=335 当セミナーの参加者 【医療機関所属の方】 医師、看護師、セラピスト、 システム管理者、事務職員など 【その他専門職の方】 税理士、公認会計士、大学教員など 【医療関連企業の方】 経営者、コンサルタントなど

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1 データ分析が必要な理由 病院経営データ分析が必要な背景 目次 3 データ分析に必要なスキル 分析担当者に求められるスキル 4 分析前に決めておくこと 情報収集の段階で意識すべきこと 5 分析を実施するプロセス 収集データを用いた分析の進め方 2 データ分析のパターン 経営データ分析の基本パターン 6 分析結果のとりまとめ 分析結果を報告する資料の作り方

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1データ分析が必要な理由 病院経営データ分析が必要な背景① 医療技術の進歩や医療費抑制策により稼働ベースでみた医療需要は減少傾向にある 入院件数の増加率を上回る速さで平均在院日数が短縮しており 稼働ベースでみた入院患者数はゆるやかな減少傾向が続いている ①入院件数・②平均在院日数の推移 ※前年度と比較した増減率 入院延べ患者数(①×②)の推移 ※稼働ベースでみた入院患者数 (単位:億日)

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1データ分析が必要な理由 病院経営データ分析が必要な背景② 病院数は減少傾向にあり現存している病院も半数以上が赤字経営に陥っている 入院延べ患者数の減少に共ない病院数は減っており 経営を維持できている病院も半数以上が赤字の状況になっている 病院数・入院延べ患者数の推移 病院の黒字率・赤字率 ※2018年度実績

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1データ分析が必要な理由 病院経営データ分析が必要な背景③ 今後は罹患リスクの大きい高齢者の伸び率が鈍化するため稼働の維持が難しくなる 罹患リスクの大きい高齢者数の伸びは次第に緩やかになるため 今後の病院経営はより厳しさを増していくことが見込まれている 年齢階級別の入院受療率 高齢者人口数の推移・将来推計 (単位:千人)

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1 データ分析が必要な理由 病院経営データ分析が必要な背景 目次 3 データ分析に必要なスキル 分析担当者に求められるスキル 4 分析前に決めておくこと 情報収集の段階で意識すべきこと 5 分析を実施するプロセス 収集データを用いた分析の進め方 2 データ分析のパターン 経営データ分析の基本パターン 6 分析結果のとりまとめ 分析結果を報告する資料の作り方

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増収施策の検討例③ その他(診療収益以外)の収入を上げる 例①個室を増やして室料差額を徴収する 例②テナントを誘致して施設収入を得る 増収施策の検討例② 患者単価(延べ患者単価)を高める 例①加算や管理料の算定率を上げる 例②新たに施設基準の届け出を行う 増収施策の検討例① 患者数(延べ患者数)を伸ばす 例①挨拶周りによる紹介患者増加施策 例②応需率向上による救急患者の確保 2データ分析のパターン 経営データ分析の基本パターン① 分析パターン①増収施策を検討するケース…患者数・患者単価などを取得 病院における収入の多くは診療収益で構成されており 患者数を伸ばす・患者単価を高めることで増収に繋げられる

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3年連続で入院件数が減少している病院 10.6% 入院件数の増減が複数年連続で同様のトレンドを示している病院は少ない 3年連続で増減トレンドが一致している病院は3割未満しかなく 多くの病院は不安定な集患状況のなかでの経営を強いられている 入 院 件 数 増 加 病 院 入 院 件 数 減 少 病 院 3年連続で入院件数が増加している病院 17.4% 2データ分析のパターン 【参考】入院件数の推移について①

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病床規模が大きいほど入院件数が増加している病院の比率が高い 入院件数が増加している病院の比率 ※2019年度 入院件数が増加している病院の比率 ※2017ー19年度 病床数が多いほど入院件数が増加している病院の割合が高く 中小規模の病院が集患により持続可能性を確保するのは困難 2019年度に 入院件数が増加していた病院 2データ分析のパターン 【参考】入院件数の推移について② 2017年度から 2019年度にかけて 3年間連続で 入院件数が増加していた病院

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増益施策の検討例② 変動費(薬品費・材料費など)を下げる 例①価格交渉によって購入単価を下げる 例②ジェネリック薬への切り替えを行う 増益施策の検討例① 固定費(人件費・委託費など)を抑える 例①スタッフの退職時に補充を見送る 例②業者の変更により委託費を下げる 2データ分析のパターン 経営データ分析の基本パターン② 分析パターン②増益施策を検討するケース…変動費・固定費などを取得 収入の総額が減少してしまったとしても 固定費・変動費の削減額がその金額を上回れば利益は増加する 増益施策の検討例③ 収入を増やすことにより 費用の対収益比を下げる

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ベンチマーク分析の実施例③ 収支科目毎の構成比を類似病院と比較する 各種加算の算定率を全国の病院と比較する (自院と他院を比較して問題点を探る) ベンチマーク分析の実施例② 同一医療圏の病院と症例数増減を比較する (自院の地域シェアの推移を把握する) ベンチマーク分析の実施例① 同一医療圏の病院と症例数を比較する (自院の地域シェアを把握する) 2データ分析のパターン 経営データ分析の基本パターン③ 分析パターン③ベンチマークを行うケース…他院実績・疾患シェアなどを取得 自院の実績を他病院と比較することにより 改善の余地がある指標を探して必要に応じた対策を講じる

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1 データ分析が必要な理由 病院経営データ分析が必要な背景 目次 3 データ分析に必要なスキル 分析担当者に求められるスキル 4 分析前に決めておくこと 情報収集の段階で意識すべきこと 5 分析を実施するプロセス 収集データを用いた分析の進め方 2 データ分析のパターン 経営データ分析の基本パターン 6 分析結果のとりまとめ 分析結果を報告する資料の作り方

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3データ分析に必要なスキル 分析担当者に求められるスキル① 分析担当者としての地位を確立するためには依頼者の期待値を超える必要がある データ分析担当者が地位を確立するためには 依頼者のスキルや期待値を超えるためのレベル上げが必要 レベル②依頼者の想定通りにデータ分析が実施できる →依頼者の目的に応じてアウトプットの質が変わる レベル③依頼者の想像を超えるデータ分析が実施できる →分析担当者の質に応じてアウトプットの質が変わる レベル①依頼者の指示通りにデータ分析が実施できる →依頼者の指示に応じてアウトプットの質が変わる

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レベル③ 依頼者の想定を超えるデータ分析 ↓ 診療科別の延べ患者数減少要因を報告 レベル① 依頼者の指示通りにデータ分析 ↓ 診療科別の延べ患者数を報告 依頼者からの指示が同じでも担当者のレベルに応じてアウトプットには差が出る 依頼者からの指示が同じでもアウトプットには差が出るため 分析担当者が自ら分析のデザインができるようになる必要がある Q.病床稼働率が前年比を下回っているので診療科別の状況を報告して欲しい レベル② 依頼者の想定通りにデータ分析 ↓ 診療科別の延べ患者数増減を報告 3データ分析に必要なスキル 分析担当者に求められるスキル②

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③分析後のプロセス ↓ 集めた情報を整理する ②分析中のプロセス ↓ 仮説と検証を繰り返す ①分析前のプロセス ↓ やることを明確にする データ分析のシナリオをデザインするためには分析プロセスの理解が不可欠 データ分析のシナリオをデザインするためには アウトプットまでのプロセスに一貫性をもたせることが重要 ・分析の目的をできる限り具体的に理解する ・目的を達成するために必要な情報を整理する ・収集困難な情報を補うための仮説を検討する ・確認したい情報のうち上位の階層から分析を行う ・分析の過程で認識した情報をもとに仮説を立て直す ・妥当性が高いと感じた結論に対する反証を試みる ・結論としてどのようなことが言えるのかをまとめる ・報告する場面における相手の反応をイメージする ・最低限の情報で結論の妥当性を示す資料を作成する 分 析 準 備 か ら 資 料 作 成 ま で 一 気 通 貫 3データ分析に必要なスキル 分析担当者に求められるスキル③

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1 データ分析が必要な理由 病院経営データ分析が必要な背景 目次 3 データ分析に必要なスキル 分析担当者に求められるスキル 4 分析前に決めておくこと 情報収集の段階で意識すべきこと 5 分析を実施するプロセス 収集データを用いた分析の進め方 2 データ分析のパターン 経営データ分析の基本パターン 6 分析結果のとりまとめ 分析結果を報告する資料の作り方

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5W1Hのフレームワークを利用して分析の前提条件を明確にする データ分析をデザインするためには 5W1Hのフレームワークを利用して前提条件を整理する 4分析前に決めておくこと 情報収集の段階で意識すべきこと① Why 何故分析するのか ↓ 目的の明確化 Whom 誰からの要求か 誰に説明するのか ↓ 対象者の明確化 When いつまでに どのくらいの時間で ↓ 完了する期日 説明時間の明確化 What 何について調べるか ↓ 分析指標の明確化 Where どこで説明するか ↓ 報告手段の明確化 How 5Wを満たす手段 ↓ デザインの明確化

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必要な情報を整理してどのようにデータ収集すれば良いかを確認する データ分析に必要な情報を整理するときは 分析範囲・単位・期間・指標などを細分化すると具体化しやすい 4分析前に決めておくこと 情報収集の段階で意識すべきこと② 全国 地方区分別 全期間 年度別 範囲の選択肢イメージ 利益 診療収入 1日入院単価 入院診療収入 収入 その他収入 平均在院日数 入院患者数 費用 ・・・ 都道府県別 医療圏別 四半期別 月別 期間の選択肢イメージ 分析指標の選択肢イメージ 1入院単価 外来診療収入 ・・・ ・・・ ・・・ 病院全体 入外別 単位の選択肢イメージ 診療科別 患者別

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指標によってはデータが存在しないケースもあるため 妥当性が高いと感じられる仮説を検討して必要な情報を作成する 4分析前に決めておくこと 情報収集の段階で意識すべきこと③ 必要なデータが存在しない場合はその情報を補うための仮説を検討する Q.自院が所在する地域の将来的な患者需要動向を知りたい ① 年 齢 階 級 別 入 院 受 療 率 ( 福 岡 県 ) ② 年 齢 階 級 別 将 来 推 計 人 口 ( 福 岡 県 ) 入院医療需要将来推計 (①×②)

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1 データ分析が必要な理由 病院経営データ分析が必要な背景 目次 3 データ分析に必要なスキル 分析担当者に求められるスキル 4 分析前に決めておくこと 情報収集の段階で意識すべきこと 5 分析を実施するプロセス 収集データを用いた分析の進め方 2 データ分析のパターン 経営データ分析の基本パターン 6 分析結果のとりまとめ 分析結果を報告する資料の作り方

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分析したい指標の上位に位置する階層からドリルダウンを実施する 上位の階層から段階的に分析を行うことで なるべく少ない工数で重要なトレンドを掴むことを心掛ける 5分析を実施するプロセス 収集データを用いた分析の進め方① 分析範囲 パターン例 全国 都道府県別 医療圏別 分析期間 パターン例 年度別 四半期別 月別 地方区分別 半期別 分析指標 パターン例 利益 収支科目 科目明細 収入・費用 細 か く な る ほ ど 情 報 量 が 増 加 す る 分析単位 パターン例 病院全体 診療科別 疾患別 入外別

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分析の過程で認識した情報をもとに分析プロセスの見直しを行う 分析前の想定と異なる状況が生じていた場合は 原因を調査してあらかじめ想定していたシナリオを修正する 5分析を実施するプロセス 収集データを用いた分析の進め方② 入院受診延日数予測値・実績値 (福岡県) 年 齢 階 級 別 入 院 受 療 率 ( 福 岡 県 ) 年 齢 階 級 別 人 口 数 ( 福 岡 県 )

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分析結果に対する反証を試みて必要に応じた追加調査を行い確証を得る データ分析の結果として把握できた情報について 思い込みや決め付けによる無意識のバイアスがないか確認する 5分析を実施するプロセス 収集データを用いた分析の進め方③ 入院受診延日数予測値・実績値 (福岡県) ① 年 齢 階 級 別 入 院 受 療 率 ※ 1 年 当 た り 前 年 比 最 大 ・ 最 小 ( 福 岡 県 ) ② 年 齢 階 級 別 将 来 推 計 人 口 ( 福 岡 県 )

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1 データ分析が必要な理由 病院経営データ分析が必要な背景 目次 3 データ分析に必要なスキル 分析担当者に求められるスキル 4 分析前に決めておくこと 情報収集の段階で意識すべきこと 5 分析を実施するプロセス 収集データを用いた分析の進め方 2 データ分析のパターン 経営データ分析の基本パターン 6 分析結果のとりまとめ 分析結果を報告する資料の作り方

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分析結果をそのまま伝えるだけでは経営的な意思決定に繋がらない 時間をかけて分析した結果を伝えるときは 受け手がどのように解釈すれば良いか分からない表現は避ける 6分析結果のとりまとめ 分析結果を報告する資料の作り方① 入院受診延日数増加率予測 (福岡県) ①悲観的なシナリオを想定 2020年から2025年にかけて 病床利用率は83.6%(△16.4%)になる ※入院受療率の増減が過去最低レベルになると仮定 ②楽観的なシナリオを想定 2020年から2025年にかけて 病床利用率は103.7%(+3.7%)になる ※入院受療率の増減が過去最高レベルになると仮定 ③地域医療構想ガイドラインを想定 2020年から2025年にかけて 病床利用率は108.1%(+8.1%)になる ※入院受療率が2017年度実績のまま一定と仮定 結果として何が言いたいのか? 増える?減る?どっち?

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情報の見せ方は同じでも結果によっては説得力が増すケースがある 報告資料のフォーマットが同一であっても 分析結果次第で伝わりにくいケースと伝わりやすいケースがある 6分析結果のとりまとめ 分析結果を報告する資料の作り方② 入院受診延日数増加率予測 ※疾患指定なし(福岡県) 入院受診延日数増加率予測 ※呼吸器系疾患のみ(福岡県) 結果として何が言いたいのか? 増える?減る?どっち? 複数のパターンで分析した結果 すべて増加予測→確実に増える!

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分析結果をもとに具体的な取組に向けた議論が進むきっかけを作る 受け手に認識してもらいたい情報と これから取り組んで欲しいことを結果報告の場面で表現する 6分析結果のとりまとめ 分析結果を報告する資料の作り方③ 入院受診延日数増加率予測 ※循環器系疾患(福岡県) ①最小予測:悲観的なシナリオを想定 ※入院受療率の増減が過去最低レベルになると仮定 2020年から2025年にかけて 病床利用率は67.7%(△32.3%)になる ②最大予測:楽観的なシナリオを想定 ※入院受療率の増減が過去最高レベルになると仮定 2020年から2025年にかけて 病床利用率は98.1%(△1.9%)になる →①・②のいずれも減少予測のため 地域全体の需要が下がることを前提に 病院としての施策を検討する必要がある 方向性①地域内のシェアを拡大する 方向性②地域で連携して戦略的縮小 その他、循環器疾患が減少することを許容しながら 他疾患を強化してカバーするなどの発想もあり得る

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第2回 病院経営データ 分析入門 開催予告 開催日 2021年5月26日・29日 開催時間 14:00~16:00 開催方法 WEB開催 参加費 無料 詳細につきましては後日ご案内いたします