20251102 WordCamp Kansai 2025
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Chiaki Okamoto
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岡本千秋 株式会社HAMWORKS フロントエンドエンジニア Github: @chiilog X: @chiilogweb Zenn: https://zenn.dev/chiilog 2
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今日のアジェンダ 1. 「更新しやすいサイト」とは何か 2. 設定パネルに頼りすぎない設計をする 3. パターンで「完成形」を提供する 4. デザインの選択肢を整理する 5. まだ解決できていないこと 6. まとめ 3
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1. 「更新しやすいサイト」とは何か 4
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こんな状況に陥ること、ありませんか? 「更新しやすいサイトを作ってほしい」という要望 でも 「どう更新するか」は具体的に詰められていない 結果として……… かっこいいデザインだけど更新できない 機能は豊富だけど使い方がわからない 結局、ユーザーが更新を諦めて、制作会社に毎回依頼することになる 5
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これは誰が悪いわけでもありません! 「更新しやすいサイト」が当たり前すぎて言語化されていないことが 原因 6
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「更新しやすい」とは、ユーザーにとって 必要なときに、 必要な場所を スムーズに更新できる 7
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そもそも、なぜ「更新しやすさ」が重要? ユーザーが更新しやすい ということは、 情報が新鮮に保たれる ことであり 訪問者(エンドユーザー)に価値が届く ことにつながる! これが、私が考えるWordPress(CMS)の本質です。 8
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これを実現するために ブロックテーマで試行錯誤してきました 解決できたことも、できなかったことも 理想論じゃない、現場の話。 「私なりのやり方」をお話しします! 9
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2. 設定パネルに頼りすぎない設計をする 10
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まず、一番大事にしていることは 設定パネルを触らなくても きれいなコンテンツが作れる状態を目指す 11
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それってどういうこと? ユーザーが「コンテンツ」に集中できるようにする テキストや画像など、本来考えるべきことに時間を使う レイアウトや装飾の設定で迷わせない 12
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例えば、スペーサーブロック 余白なら「サイズ」で選べるのでは?と思う ところだけど……… パディング、マージン、ブロックの間隔… ユーザーは何を触ればいいか分からない 13
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そもそもの問題 14
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そもそも設定パネル自体が出てなくて 存在を知らない可能性もある! 説明を聞いても、実際に使う時には 「なんだったっけ…?」ってなるかもしれない 16
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じゃあ、ユーザーはどうする傾向にあるでしょう? 17
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Q.空の段落ブロックは何を意図していると思いますか? 18
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A.「スペースとして」の段落ブロック この使い方の問題点 意図がわからない → 「これ消し忘れ?」と思われて削除されてし まう コントロールできない → 複数入れても思い通りの余白にならない 19
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そこでスペーサーブロックの出番 20
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見た目のためのブロックがわかりやすいのはどっち? 22
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「正しいCSS」より「わかりやすい操作」の方が、 ユーザーには価値がある 「ここは余白にしたい」という意図が明確になった ほしい余白を確実につけられるようになった 結果、ユーザーが迷わず、デザインも崩れない 23
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3. パターンで「完成形」を提供する 24
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よく使われるレイアウトの例 25
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既存ブロックの組み合わせで 色々なデザインが作れます。 26
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でも、これを他のページでも使いたいとき… 毎回ブロックを組み合わせるのは大変 複雑なレイアウトになるほど手間がかかる たくさん重なったグループブロック………どこをコピーしたらいいかわ からなくなりがち! 毎回1から作ると、デザインを統一するのも難しい 27
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そこで「パターン」の出番 ブロックの組み合わせを「パターン」として保存すれば、 入れるだけで整ったデザインが使えます 28
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「パターン」からどういうデザインがあるか一覧で見ることができる 29
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パターンがない頃はカスタムブロックを作っていた 今ならブロックの組み合わせでできることも、 その都度カスタムブロックを作っていたので、 開発コストが今より高かった! コアの更新に追従しないのでメンテナンスも大変………。 「いらなくなったから消す」ができない、負の遺産になりがち。 30
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パターンの作り方 1. エディターでブロックを組む 2. ブロックを選択 → 「パターンを作 成」 3. 名前とカテゴリを設定 4. 「同期」のチェックを外して保存 これだけ! 31
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理想的なページの作り方 1. パターンを挿入 2. テキスト・画像を差し替える 3. 必要があれば微調整 パターンの組み合わせだけでページが作れる状態を目指す! 32
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実際にパターンにしているもの 複雑なレイアウト・デザイン性が高いもの メインビジュアル 入力が面倒・設定が必要なもの 病院の診察時間テーブル、背景色付き全幅セクション 繰り返し使うもの 投稿一覧、装飾付き見出し、カードリンク 33
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さらに、ページの雛形も 作れます ページ全体をパターンとして 作成することができるので、 新しいページを作るたびに過去の ページをコピーする手間が 省けます! https://developer.wordpress.org/themes/ patterns/starter-patterns/ 34
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ただ、WordPressが提供する機能だけでは 実現できないデザインもあります 例えば: ボタンのホバー時の色変更 矢印などの装飾アイコン メインビジュアルなど、緻密なレイアウト調整 リンクのクリック可能な領域を拡張する 35
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そんなときは、 ブロックの 追加CSSクラス を使う WordPressのコア機能ではカバーしきれない 部分を独自のCSSで補う形をとります。 なお、追加CSSクラスを使うたびに CSSファイルを増やすのも大変だなぁと 思っているので、私はTailwind CSSを 採用しています。 36
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ポイント: ユーザーが入力することは想定していない 開発者がパターン作成時に設定する 「複数ブロックで成り立つデザイン」をコンポーネント的に扱える 万が一class名が壊れても、パターンを入れ直せば元に戻る 37
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カスタムブロック? or パターン? まずはブロックを使ってパターンで実現できるか? を考えましょう 1. コアブロックの組み合わせで解決できるか? 2. CSSで装飾すれば実現できるか? --- 8〜9割くらいはここまでで解決します --- 3. 既存ブロックに機能を追加するプラグインを入れる? 4. それでも無理ならカスタムブロックを作る or 要件に合致するプラ グインを使う 38
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結果、パターンを使うようになってどうなった? カスタムブロックの開発数がすごく減った! 数年前は「10〜20個作るのは当たり前」くらいでしたが、近年は 5個作ったらちょっと多いかも?と思う くらい。 カスタムブロック=Reactでの開発なので、パターンにすることで 開発コストも下がりました。 39
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4. デザインの選択肢を整理する 40
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デザインの選択肢を整理する ユーザーの執筆体験を邪魔しない設計を目指す 見た目に関する設定はあらかじめ作り込んでおく ボタンの色や、本文のフォントサイズ 設定パネルによるカスタマイズの効率化 41
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設定パネルは「補助」として使う 右側の設定パネルでできることは限定的に。 カラーを変える フォントサイズを変える この2つを重点的に設計する! 42
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例: フォントサイズ デザインからスタイルを整理して、 可能であれば5個に絞ります。 デフォルトのフォントサイズをMサイズに 設定して、それより大きい見出しのサイズ+ 小文字に使うためのSサイズで 構成しています。 43
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大量にフォントサイズを設定したところで 使わない 選択肢が多いとどれを使うのがよいか迷っ てしまう 6個以上だとセレクトボックス形式にな り、操作感が変わって混乱する S〜XXLからポチッと押すだけでフォント サイズ変わる方が手間がない 44
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例: カラーパレット デフォルトの色はノイズにしかならないので、 無効化しておく。 ( theme.json で "defaultPalette": false ) サイトで使わない色が大量に並ぶことで、 本当に使うべき色が埋もれる。 結果、色選びに時間がかかったり、誤った色を 選んでサイトの統一感が損なわれてしまう。 45
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どんな色をカラーパレットにする? 企業のコーポレートカラー → Primary, Secondary デザイン上で使われている色 → 背景色、 差し色など 機能的な色 → エラー表示用の赤など カラーパレットは視覚的に選べるので、 色相順や使用頻度順に並べると選びやすい 46
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その結果、ユーザーからの反応は? 47
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実際にいただいた声や起こったこと 「カラーパレットを設定してもらったので、色を探さなくてよくな って助かる」 「使い方を説明してもらっただけで、やりたいことができるように なった」 ユーザーが制作会社に依頼することなく、自分でページを作成でき た 48
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5. まだ解決できていないこと 50
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ボタンのホバー ボタンブロックのホバー色は現状、 管理画面から設定できません。 CSSで :hover をつけるしかないけど、 ボタンの色ごとにホバーの色を変更する ことができない。 今のところは透過や輝度の変化で対応中です。 51
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ナビゲーション メガメニューだとどう作る?→Interactivity APIを使う手法で検証中 そもそもスマホでレイアウトが変わるのはどうする? メガメニュー参考:https://developer.wordpress.org/news/2024/02/an- introduction-to-block-based-mega-menus/ 52
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Tailwind CSS を使うかどうか? 実装時には独自CSSではなく、Tailwind CSS を 採用していますが、これが最適解かどうかは まだ模索中です。 「今のところ大体うまくいっている」 だけなので、もっといいアプローチも 探っていきたい。 53
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これだ!っていう答えはまだない WordPressもバージョンアップのたびに どんどん作りやすくなっています。 今回私が発表した内容も、 数ヶ月後にはもっといい案が出ているかもしれない。 試行錯誤しながら、最適解を探していく このスタンスはずっと大事にしたい。 54
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まとめ ユーザーが使いやすく、 訪問者(エンドユーザー)にも価値が届く。 両方を満たして初めて、サイトの価値が生まれる 55
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具体的なアプローチ 56
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設定パネルに頼りすぎない設計をする 右側の設定パネルは気づかれにくい → スペーサーなど、目に見える形 で余白を作る パターンで「完成形」を提供する ゼロから組み立てるのは大変 → 「入れるだけで整ったデザイン」を 用意する デザインの選択肢を整理する 選択肢が多すぎると迷う → サイトで使う色・文字サイズだけに絞る 57
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はっきり言い切ります。 ブロックテーマで「使いやすいサイト」を作るのは、思っているより ずっと簡単です。 「どう作ったらユーザーが更新しやすい?」 この問いに、すごく向き合いやすくなりました ぜひ、ブロックテーマを作ってみてください。 一緒に「使いやすいWordPress」を増やしていきましょう。 58
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ありがとうございました! 59